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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第24(最終)話「壬氏と猫猫」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
2巻 20話「鳳仙花と片喰」中盤 ~ 終話まで
- コミック
-
7巻 28話「爪紅」中盤~ 8巻 30話「見送りの舞」中盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- 羅漢は、なぜその子どもが鳳仙の娘だと分かった?
- 羅漢は、なぜそこまで猫猫に執着している?
- 羅漢は、なぜその先に鳳仙がいると気付いた?
- 原) 枯れた薔薇に意味はない?
- 羅漢は、なぜ鳳仙だと分かった?
- 鳳仙のこと、何年間、隠し続けていた?
なぜもっと早く教えなかった? - 梅梅は、羅漢のことを・・・?
- 原) やはり猫猫は、羅漢を受け入れられない
- 楼蘭妃は、なぜあんな所にいた?
- 「うまく当ててくれた」とは?
- 原) 羅漢の、壬氏の見つけ方
- 猫猫、羅漢を恨んでないのに拒絶するのはなぜ?
高順の「好きで嫌われる父親なんていない」とは? - 羅漢は、何か起こるか分かっていた!?
- (考察) 猫猫は何を思って舞ったか
- (考察) 鳳仙(フォンシェン)の身請け金は現在価格でどれ位?
- 猫猫は、なぜ突然、牛黄の話をし出した?
- 世間で広がる噂話
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第13話 | 外廷勤務 | 4巻 | 2巻 |
第14話 | 新しい淑妃 | ||
第15話 | 鱠 | ||
5巻 | |||
第16話 | 鉛 | ||
第17話 | 街歩き | ||
第18話 | 羅漢 | ||
第19話 | 偶然か必然か | ||
6巻 | |||
第20話 | 曼荼羅華 | ||
第21話 | 身請け作戦 | ||
第22話 | 青い薔薇 | 7巻 | |
第23話 | 鳳仙花と片喰 | ||
第24話 | 壬氏と猫猫 | ||
8巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
猫猫との勝負に負け、緑青館の妓女を身請けすることになった羅漢。
一列に並ぶ女達から梅梅の手を取ろうとしたそのとき、梅梅は離れへ繋がる扉を開いた・・・。
時に薬師、時に探偵、今度は恋のキューピット!?
青い薔薇1つで人を動かし、望み望まれた二人の願いを叶えてあげる。
長い年月、何のその。
羅漢の目に映るのは、美しきかな鳳仙花。
二人には、伊達眼鏡や色事も必要なし。
欠かせないのは、碁石のみ。
一方、我らが猫猫は ──
祝いの衣装を身につけて、花街に向かって舞い踊る。
祝いたかったのは梅梅か。
母親らしい記憶はない、自分を産んだ元妓女の身請けに何を思うのか・・・。
さて、猫猫が賭けの対象にした「妓女の身請け」。
これは、両親に向けた手向けでしょうか。
それとも、羅漢を試しただけでしょうか・・・。
子の心、親知らず。
壬氏の心、猫知らず。
それでも少し進んでいる、二人の関係。
最終話、見事な〆でした。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第24話「壬氏と猫猫」
鳳仙花と片喰
猫猫に負け、緑青館の妓女を身請けすることになった羅漢。華やかな女たちが並ぶ中、羅漢が梅梅の手を取ろうとした時、彼女が扉を開けると・・・。
猫猫は特別?
鳳仙。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
残った娘と共にいたい、ただそれだけが願いだった。
「残った娘」。
やはり羅漢は、鳳仙は死んだと思っているのです。
だからこそ、残された娘と一緒にいたいと願っていたのです。
でも、ちょっと不思議ですよね?
えっ、何が?
羅漢は、その後何度も緑青館に来ていました。
そんな状況で、鳳仙を隠し通せたのは、よほど口止めを徹底していたのでしょう。
では、なぜ娘が生きていると分かったのでしょうか?
母親を隠しているのに、なぜ娘の方だけバレたのでしょう。
娘を隠していたのなら、鳳仙が生きてるのも伏せていると疑わなかったのでしょうか?
羅漢は、なぜ鳳仙の死を信じたのでしょうか?
鳳仙が死んでいるにも関わらず、どのようにして猫猫が自分の娘だと分かったのでしょうか?
あぁ、確かに!
原作によると ──
あのあと、 緑青館の門戸を何度も叩き、そのたびにやり手婆に折檻を受けた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「あのあと」とは ──
店の名を汚し、信用と価値が地に落ちた妓女が辿る末路・・・。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
夜鷹のごとく客を取り・・・いずれ・・・。
このあと、羅漢は何度も緑青館を訪れていたのです。
赤子などいない、早く帰れと箒で殴られた。本当に恐ろしい婆である。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
鳳仙はもちろん「赤子などいない」と、やり手婆に突き返されていたのです。
そんなとき、ある子どもを見かけます ──
側頭部から血を流し、けだるげに座り込んでいると、隣でなにかをむしっている子どもがいる。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
幼き猫猫ですね!
幼い猫猫めちゃカワイイー!!
満年齢で2~3歳だね
でも、なぜ鳳仙の娘と分かったんだろうね
顔が似ていたから?
羅漢は顔を識別できないよ?
あぁーそうだよ! なんで!?
羅漢は、なぜその子どもが鳳仙の娘だと分かったのでしょうか?
その答えは、原作にありました。
碁石のように見えるはずの顔が、なぜか無愛想な顔に見えた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
人の顔が碁石か駒に見えるはず羅漢の目に、この子どもの顔は認識できたのです。
「無愛想」は余計だけど…
でも、それだけでは気付かず、子どもを追いかけていくともう一人、重要な人を見つけます ──
子どもは草を両手につかんだまま、走っていく。走った先には、よたよたと老人のような歩き方をする者がいる。普段なら碁石に見えるその顔が、将棋の駒に見えた。しかも、歩や桂馬ではなく、大駒、竜王駒がそこにいた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
叔父貴である羅門を確認したのです。
羅門と、顔を認識できる幼子。
この二つの事実で、羅漢は状況を理解し、目の前の子が鳳仙の娘だと確信したのです。
原作を読んでも、鳳仙の死についてはやり手婆に言われたとしか書いてありません。
もしかすると・・・。
別の人でも、妓女でもなく、
羅門が面倒を見ていたから、鳳仙は死んだと確信したのかもしれないですね。
鳳仙が生きていれば自分で子どもの面倒を見るはず。
鳳仙の手が空いてないのであれば、禿か他の妓女が手伝うはず。
緑青館と関係のない羅門が、猫猫の面倒を見ている、あるいは引き取っていると知り、羅漢に鳳仙の死を確信させたのではないでしょうか。
実際は、鳳仙が梅毒で子育てどころではなく、羅門は(恐らく)叔父として羅漢の尻拭いをしていただけだと思われます・・・。
この辺のすれ違いも、羅漢自身が原因を作ったことであり、自業自得というか、運命のイタズラを感じさせられる上手い作りになっています。
残った娘と共にいたい
鳳仙。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
残った娘と共にいたい、ただそれだけが願いだった。
話を戻しましょう。
羅漢の願いは、最愛の女・鳳仙の忘れ形見となった猫猫と一緒にいたいだけ。
憎まれても仕方がない。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
それでも傍に置いておきたかった。
「憎まれても仕方ない」とは、小指のことです。
憎まれていても、傍にいてほしかったのです。
原作では、その理由が述べられています。
碁石と将棋の駒に囲まれただけの生活はもう嫌だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
羅漢は、顔が見える人を望んでいたのです。
そりゃあ、そうです。
生まれてこの方、羅漢は誰の顔であろうと認識できませんでした。
ずっと、そのままであれば問題なかったでしょう。
ところが、人の顔を見てしまったのです。
それも、とても鮮烈で美しい鳳仙を。
鳳仙は単に特別なだけではありません。
羅漢に、人がどんな顔をしているのか教えてくれる唯一の人だったのです。
その上、愛してしまった。
鳳仙亡きあと、顔が見え、かつ最愛の人の娘である猫猫を傍に置いておきたいと考えるのは至極当然ですね・・・。
羅漢が猫猫に異常な執着を見せる理由。
羅漢にとって、猫猫は(見えている)世界を彩る唯一の存在だったのです。
アニメではカットされましたが、ここからの羅漢が凄い!
碁石と将棋の駒に囲まれただけの生活はもう嫌だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
そのために、力をつけた。父から家督を奪い、異母弟を排斥し、甥っ子を養子に引き入れた。
「そのため」とは、猫猫を手に入れる為。
つまり、猫猫を手に入れる為に「力をつけた」。
羅漢が軍師になったのは、猫猫を手に入れるためだったのです!
羅漢は、娘の為に家をも犠牲にする(愛すべき?)バカだったのです!
李白みたい…
にしても、あの男ーー許せん!
試合中に3回も娘の肩に手をかけよって!腹いせに何をしてやろうか。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
いや、愛すべきバカじゃなくて、ただの「親バカ」か
折角いい話だと思ってたのに…
妓女のプライド
どんなに着飾った妓女も碁石にしか見えない。
それならば・・・。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
よくしてくれた、梅梅に報いてもいいのかもしれない。
羅漢の前に、花街随一の緑青館の(恐らく)売れっ子妓女が羅漢の前に整列。
ですが、羅漢ビジョンではただの碁石。
どんな美人だろうと、どれだけ着飾ろうと、羅漢の心には響きません。
原作では、次のように描写されています。
女たちの笑いが聞こえる。 香しいにおいがする。色とりどりの衣装が目にまぶしい。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
だけど、それまでだ。
それまでなのだ。
羅漢の心を叩くものはない。
梅梅は人の心に敏感です。
そんな羅漢の気持ちを見透かしたのでしょう・・・。
私とて妓女のプライドは持ち合わせています。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅漢が梅梅を選んだのは、妥協の産物であると見抜いたのです。
梅梅が口にしたように「妓女のプライド」が許せなかったのか。
それとも、鳳仙に申し訳ないと思ったのでしょうか・・・。
もし、この時、鳳仙が亡くなっていれば、梅梅は羅漢の手を素直に受け取っていたかもしれませんね・・・。
これもまた、男と女。
運命なのです。
微かに聞こえしその声は…
私とて妓女のプライドは持ち合わせています。
もし、お望みでしたら、なんの躊躇いもございません。ですが・・・選ぶなら、ちゃんと選んでくださいね。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
梅梅が開いた扉の先へ走り出す羅漢。
(私達は)扉の先の離れに鳳仙が伏せているのを知っています。
が、羅漢は知りません。
アニメ鑑賞時、なぜ羅漢が気が付いたのか、よく分かりませんでした。
梅梅の「選んで」で分かったのか、「枯れた青い薔薇」の意味に気付いたのか、その程度の理解でした。
原作を読んで、羅漢が何に気付いたのか分かりました ──
ふと耳になにかが聞こえてきた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
妓女たちの笑いじゃない。どこかつたなく、あどけないわらべ歌が聞こえてくる。
羅漢は目を見開く。
扉を開けたことにより、鳳仙の歌声が聞こえたのです。
アニメでもボリュームを上げると聞こえました!
ホントだ! 聞こえる!
このわらべ歌は ──
前話、羅漢の回想シーンで、鳳仙が寝床で歌っていたものですね。
羅漢は、その歌を覚えていたのです。
鳳仙が歌っている=生きているのでは!?と気付き、走り出したのです。
導いたのは…
枯れても美しい花。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
あれに意味があったとしたら・・・まさかっ!?
猫猫が羅漢に渡した「枯れた青い薔薇」。
枯れても美しいまま、と鳳仙のことを指しているのでしょうか?
猫猫が羅漢に、いや両親に向けた手向けだったのでしょうか・・・。
実は、原作でもコミックでもこのシーンで「枯れた青い薔薇」に触れられていません。
#上記セリフは、アニメオリジナルです。
ただ、原作では、猫猫が面白いことを言っています。
あの男は薔薇を入れた箱に入った文に気付いただろうか。それが、猫猫が種馬にできる最大の譲歩だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
わからなければそれでいい。気のいい妓女の小姐さまを身請けすればいい。その方が幸せだろう。
「枯れた青い薔薇」を入れた箱に文を入れていたというのです。
それが、猫猫ができる「最大の譲歩」。
分からなければ、気のいい妓女(梅梅)を身請けすればいい、と言っているので鳳仙の居場所、あるいは生存を示す文なのでしょう。
文の内容については、原作でもコミックでも(現時点)触れられていません。
一体、猫猫は、文に何を込めたのでしょうか・・・。
原作によると ──
重要なのは「枯れた青い薔薇」ではなく、箱に隠された文。
文章の流れからすると、鳳仙の存在を指し示す内容だった模様・・・。
腹立たしいことに・・・。
羅漢は、猫猫の好意を当てにせずとも、鳳仙を見つけてしまったのです。
こういう所を、猫猫は嫉妬してしまうんだろうな…
変わり果てても美しきかな鳳仙花
何やってんだい、ここは病人部屋だよ!
by やり手婆『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
早く出ておいき!
やり手婆のこのセリフ、面白いですね~。
羅漢が部屋に入ってもまだ、やり手婆は彼女の事を隠そうとしているのです。
やり手婆は、バレないと思ったのでしょう。
羅漢が病室にいる女を見ても、彼女が鳳仙だとは・・・。
それだけ、鳳仙は変わり果てていたのでしょう。
彼女を何年も放っておいた、この陸でなしに分かるはずがない、と。
ですが、羅漢は一目見て分かります。
恐らく顔が(碁石ではなく)見えたからでしょう。
原作は ──
そこには痩せた女がいた。艶のない髪を伸ばし、枯れ枝のような手が胸の上に置かれている。病のにおいがする女だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
その左薬指は、歪に欠けていた。
羅漢は呆然となる。
ふと気付くと、頬になにかが伝っている。
女の薬指が欠けているので分かったのです。
小指じゃなくて薬指だったんだ
アニメは、最初のシーンで手は隠れています。
なので、顔が認識できたことで気付いたのだと推測しました。
指ではなく、顔。
アニメの方がロマンチックと言えますね。
碁をやろう。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
なぜ懐に「碁石」を入れている!?
まあまあ、落ち着いて(笑)
いいシーンだからね!
突っ込みはさておき(笑)。
羅漢が扉を勢いよく開けても、やり手婆が大声を出しても、鳳仙は無反応。
手を握り、彼女の手に碁を置くと、ようやく鳳仙が反応する・・・。
まるで精気が戻ったかのように・・・。
これは、本物の碁石を触ったのが久しぶりだからかもしれないですね。
18話で、鳳仙が使っているのは碁石ではなく、黒と白の石です。
(OPでもえがかれていますね)
部屋に月明かりが差し明るくなると同時に、羅漢視点に切り替わる。
そこには笑みが・・・。
私は、この妓女を身請けするよ。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
鳳仙花のような美しいこの女を。
羅漢視点で見た映像は、いわゆる羅漢フィルターでしょう。
羅漢の持病「相貌失認 」云々ではなく、「恋は盲目」の方の病でしょう(笑)。
でも、鳳仙が嬉しそうなのは、なぜでしょうか?
鳳仙は、このとき既に末期症状です。
とうに言葉も忘れたか。
病が進んで、記憶もズタズタに引き裂かれてる。オヤジの薬はよく効くけど、こうなっては気休めにもならない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
羅漢が分からなくても碁は分かるのでしょうか。
それとも、羅漢と打てる碁が嬉しいのでしょうか。
それはもう、二人にしか分からないですね・・・。
愛は薬!
確かに…
原作では、鳳仙の描写はほんの3行程です。
その僅かな描写が、アニメ化されています。
痩せこけた病人の女、そのはずなのに羅漢には誰よりも美しい女に見えた。
- 中略 -
女の顔が一瞬赤みを帯びたと思うのは気のせいか。
- 中略 -
ただ、羅漢は碁石を楽しそうに眺める女を見つめていた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
鳳仙花のような美しい女を──。
素晴らしい!
お見事でした♪
隠したいのは…
姐さん、最初から素直になっていれば良かったのに。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
どうしてもっと早く・・・。
鳳仙が生きている事実を、羅漢に何年間隠し続けてきたのでしょうか。
猫猫の年齢と羅門後宮追放の時期から、おおよその年月が計算できます ──
鳳仙の妊娠直後、羅漢が都を離れていたのは、3年間。
十月十日で産まれたとすると、3年後だと猫猫は満年齢で2歳。
つまり、猫猫が2歳の時、羅漢は鳳仙が死んでると思わされた
猫猫は、現在数え年で18歳です。(14話 )
満年齢だと16~17歳といったところでしょうか。
ここから気付いた年齢の2歳を引いて…
隠していた期間は、14~15年となります。
一方、羅門が後宮追放された時期からも計算してみましょう。
(羅漢が遊説を命じられたのは、羅門が後宮を追放された直後です)
羅門が失脚したのは16年前。(10話 )
(10話から時も経っているのでもう17年前の可能性も)
羅漢が都を離れていた3年を引くと…
こちらで計算すると、13~14年になります。
猫猫の年齢と、羅門後宮追放時期、どちらにも辻褄が合うのは14年。
やり手婆たちは、鳳仙が生きている事を14年間(±1年)隠し続けていたのです。
14年間!?
長い!
なぜ14年間もの長きにわたって、鳳仙のことを羅漢に明かさなかったのでしょうか?
それは、後半で猫猫が理由らしきことを述べていましたね。
鼻が欠けたことを恥じて、自分の事を遠ざけていたという女が、誰であるのか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
鳳仙は、プライドが高い妓女です。
妓楼で産まれた鳳仙は、誇りだけを固めたような性格だった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
娘である猫猫すら遠ざける程、鼻が欠けた顔を恥じていたのです。
愛する羅漢に、見られたくなかったのではないでしょうか・・・。
鳳仙は、羅漢に会いたかったのに会わなかった。
でも実際は、鼻どころかこれほど痩せ細った鳳仙を見ても、笑顔で受け入れてくれたのです・・・。
だから、梅梅は ──
姐さん、最初から素直になっていれば良かったのに。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
と言ったのではないでしょうか。
鳳仙が猫猫を嫌っているのは、私はてっきり ──
猫猫が(羅漢を都から遠ざけた元凶である)羅門に引き取られ、仕事を手伝っているからだと思っていました。(23話 )
大ハズレですね、お恥ずかしい(苦笑)
まあ、そんな時もあるよ…
妓女の矜持と恋心
姐さん、最初から素直になっていれば良かったのに。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
どうしてもっと早く・・・。
前項で書いたとおり、このセリフは、鳳仙の事を思って出てきた梅梅の本心でしょう。
ですが、原作を読むと、別の意味も見えてきました。
アニメではカットされていますが、原作には先のセリフの続きがあります。
「大姐、最初から素直になっていればよかったのに。どうしてもっと早く……」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
梅梅は泣いているらしい。嗚咽が聞こえる。
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
梅梅が泣き崩れる理由はわからなかった。
「どうしてもっと早く・・・」
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
この2行に梅梅の気持ちが込められていますね。
「どうしてもっと早く」
鳳仙が猫猫や羅漢を自分から遠ざけたのは、鼻が欠けた醜い顔を見られたくなかったから。
嫌われる、バカにされる、蔑まれると思ったのでしょう。
何より、プライドが許せなかった・・・。
実際は、羅漢は、そんな鳳仙を「美しい」と言いました。
だから、「もっと早く」生きていると教えれば良かったと梅梅は後悔したのです。
きっと、鳳仙がもっと元気な内に、という意味も込められているのでしょう。
そしてもう一つ ──
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
「終わっていれば」とは、梅梅の羅漢に対する恋心のことでしょう。
羅漢は、身請けの対象に梅梅を選びました。
なのに梅梅自ら、鳳仙の存在を仄めかしフラれたのです。
鳳仙には敵わない。
羅漢の心に、梅梅が入り込む余地はないと見せ付けられたのです。
では、「私が期待する前に」とは、どういう意味でしょう・・・。
もうお分かりですよね。
「期待」していたのは、羅漢が自分を選んでくれる可能性を考えていた証拠。
梅梅は、羅漢を振り向かせられると少しは思っていたのでしょう。
なぜなら、思っていたから「期待」したのです。
「期待」してしまったから、「期待」する前に終わっていれば良かったと後悔したのです。
では、期待していたのに、なぜちゃぶ台返しになるようなことをしたのでしょうか・・・。
そこに「妓女のプライド」と「鳳仙に対して気が咎める」。
もしくは、梅梅の優しさが出てしまったのかもしれないですね。
梅梅は、鳳仙のことを隠したままでは、あるいは鳳仙を放ったままで、身請けを受けることはできなかったのです。
梅梅優しくて、いい人なのに…かわいそう…
だよね…でも碁石にしか見えてないんだよね…
ちなみに、羅漢は梅梅の気持ちに全く気付いていません・・・。
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
梅梅が泣き崩れる理由はわからなかった。
大バカ者ですね・・・。
ってか、この「鈍感さ」見覚えがあるような…
猫猫とそっくり・・・
原) 相容れない
あの男を緑青館まで送り届けるのに同行してくれたのは、馬閃だった。
疲れたな・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅漢を緑青館に送り届けた帰り道。
実は、この日は、まだ園遊会の日です。
猫猫は、1ヶ月程前から青い薔薇作りに、それこそ不眠不休で取り組み、壬氏に届け。
少し仮眠した後、羅漢に象棋勝負を挑んでいたのです。
そりゃあ、疲れるはずです(笑)。
と解釈していましたが、原作を読むと「疲れたな」には別の意味が!
(すごく疲れた)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
やはり慣れぬ者の相手をするのは疲れると、猫猫は改めて思った。
「疲れたな」は長い一日を言っていたのではなく、羅漢の相手をしていたことを言っていたのです。
原作では、少し間を置いて、更に念押しされています。
やはり相容れない、どうしても受け付けないものがあると、改めてあの男に会って猫猫は思った。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
象棋勝負時の猫猫は少し楽しそうに見えました(笑)。
勝負が楽しいからか、勝利を確信している余裕か・・・。
毒が絡んだせいか、酒が入ったせいか・・・。
酒を飲んだのは1敗してからか(笑)
いずれにせよ、猫猫は、羅漢とは相容れないと考えていたのです。
園遊会後
あれは、楼蘭妃。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
園遊会のあと、こちらに残っていたのか。
上級妃である楼蘭妃は、普段後宮にいます。
というか、後宮に入ると、たとえ上級妃でも簡単には出られません。
では、なぜ楼蘭妃は、こんな所(外廷)にいたのでしょうか?
前項でも書きましたが、今日はまだ園遊会当日。
そこを理解すると、ストンと腹落ちすると思います。
園遊会は、後宮ではなく外廷で行われます。(5話 )
出席する上級妃は、この日ばかりは、後宮を出て園遊会に参加するのです。
つまり、楼蘭妃は、後宮に戻らず外廷にいただけです。
だから、猫猫は「こちらに残っていたのか」と言ったのです。
この様子からすると ──
父親は後宮に入れないので、娘が後宮に入ると会えなくなります。
久しぶりに会い、園遊会後も食事でも楽しんで表まで見送っている、という感じですね。
馬閃の「腹黒」発言がなければ、ほのぼのシーンに見えますが・・・真相は如何に!
あらあらあら、こんなに痩せちゃって・・・。
by 水蓮『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
水蓮が心配するほど猫猫はやつれていました。
これも、園遊会の当日だからです。
猫猫は、青い薔薇作りで1ヶ月休まず働き、かつ園遊会後、羅漢と象棋勝負をしたので疲れ切っていたのです。
羅漢が嵌められた?
恨んじゃいません。
こちらとしては、うまく命中させてくれたおかげでここにいますので。── 他に言い方はないのか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
本当の事です。
「命中させてくれた」とは、妊娠のことですね。
危険日だからと言って、必ず妊娠するわけではありません。
にも関わらず、羅漢と鳳仙は一夜を共にしただけで妊娠したのです。
だから「うまく命中させてくれた」と猫猫は言ったのです。
ある意味、猫猫らしい。
いや、医学の知識がある薬師らしい言い方ですね(笑)。
このセリフの面白い点は ──
猫猫は生まれてきたことを後悔していない、と認識していると分かること。
「恨んじゃいません」。
それどころか、(二人が結ばれ妊娠してくれたことに)感謝している、とさえ読み取れるのです。
普通は、母親は病気になり育児放棄、父親は遠くへ、という状況なら、両親を恨みそうです。
こんなことになるなら産んでくれるな!と思ってもおかしくありません。
ですが、猫猫は感謝している!?
理由は、この後出てくるので、その時に
何を想像したか知りませんが、妓女の合意がなければ子は孕みません。
避妊薬や堕胎罪もありますし、初期であれば流すこともできます。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
産んだのは、その意思があったからでしょう。
なんと、この時代(この作品内ではという意味)、避妊の方法が確立していたのです。
いや、それどころか、妊娠しても中絶の技術まであったのです。
つまり、子(猫猫)が産まれたこと自体が、鳳仙に産む意思があった証拠だったのです。
むしろ謀られたのではないですか?
── 軍師殿がか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
「謀られた」と聞くと、まるで羅漢が被害者のように聞こえますが・・・。
羅漢も既に鳳仙に惹かれていたのです。
何せ羅漢も「悪いこと」を考えていたしね(23話 )
鳳仙も自分を好いていない(可能性はない)と分かっている男に賭けをしないでしょう。(たまにそういう危険な女はいますが…)
羅漢の気持ちも察して、臆病な男の背を押すため、覚悟を決めさせるために、作戦を実行したのです。
まあ、騙したとまで言わないまでも、嵌めたと言えますね(笑)。
女とは狡猾な生き物です。
血の流れの周期を読めば、子ができやすい日時などある程度予測がつきます。妓女ならば文を出して、訪問の日を変えてもらうこともできます。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
鳳仙は、羅漢が来るのを妊娠しやすい危険日にして賭けを持ちかけた、と猫猫は見ているのです。
鳳仙は、子ができることを分かってやった確信犯。
むしろ自ら望んで、子を孕み妓女の価値を落とし、羅漢と共になろうとしたのです。
ここは花街。
後宮の女達に負けず劣らず、自分の願いを叶えるために何だってやる所なのです・・・。
外れた思惑
だからこそ狙いがはずれた時は我を忘れたことだろう。
自分を傷付けることすら厭わないほどに。それでは飽き足らず、赤子の小指まで添えて文を送った。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
妊娠までは鳳仙の思惑通り上手くいきましたが、羅漢は、この地を離れてしまいます。
身請け金が破格値まで吊り上がったトップ妓女が、他の男の子を孕む。
客に対して義理を欠いただけでなく、鳳仙自身の妓女としての価値も暴落。
客の信頼を無くし、自身だけでなく、緑青館に対しても大打撃を与えました。
きっと、鳳仙は身請け話を持ちかけた客以外にも、他の妓女からも責められたでしょう。
そうなることは鳳仙なら想定していたでしょう。
それも覚悟の上で、子を孕んだのです。
だけど、その後羅漢は、身請けどころか緑青館に姿すら見せない・・・。
さぞかし、焦ったことでしょう。
どれほど、追い込まれたことでしょう。
これまで身を売らなかった鳳仙が、責められたからか食いつなぐ為か、身を売り。
挙げ句の果てに梅毒にかかってしまう・・・。
こんなはずではなかったと、羅漢に縋るのも分かります。
「指切り」に走るのも理解はできます・・・。
ですが、ちょっと自分勝手ですね・・・。
壬氏も分からず
壬氏様、あの男に執務室以外で話しかけられたことはないですよね?
── そういえば・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅漢は、人の顔が分かりません。(23話 )
相貌失認(失顔症)という脳障害を患っています。
分かるのは、猫猫とオヤジこと羅門の二人のみ。
壬氏も分からず、執務室以外では声をかけていなかったのです。
では、執務室以外ではどうしていたのだろう?と疑問に思っていたら、原作に答えがありました!
壬氏は回廊ですれ違うときは、いつもあっさり頭を下げられるだけだったと言った。いつも執拗に話しかけられるのは執務室に居座られているときだけだったと。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
軽く頭を下げられていただけだったのです。
羅漢にとっては、壬氏も駒の一つ。
自分より上の位の方を間違えてはいけない。
強い駒に見えているので区別できると思っていましたが・・・。
他にも強い駒に見える人がいるので、見た目だけでは判断できない、ということですね!
壬氏を同じ強さの駒を見つけて、声をかけてしまうと ──
偉い方には違いないので、間違っていたらとんでもないことになってしまうのです(笑)。
壬氏の執務室で、強い駒の人がいれば、それは壬氏である可能性が高いというわけです。
違う(偉い)人を壬氏と間違えないよう、確実に壬氏である事を確認した上で話しかけていたのです。
実は、原作では、もう一つ壬氏と判断する方法が明かされています。
園遊会終了後 ──
挑発が失敗に終わった羅漢は、壬氏をからかって腹いせしようとします(苦笑)。
天女のような笑みを持つ男、皆が誉めるそれでさえ、自分にはわからない。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
ただ成り銀を連れた金将、それを探せば問題ない。
そうやって人を探すのには慣れた。
それにしても、今日はいつも以上に目が痛い。
「成り銀」とは高順のことですね。
優秀な高順も碁石ではなく、強い駒に見えるので、その組合せで壬氏を見つけていたのです。
羅漢はただの種馬
自分を父親だと言い張りますが、せいぜい種馬がいいところです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
種馬とは、一例を挙げると ──
繁殖や品種改良のために種(精子)を提供する馬のこと。
羅漢を種馬とは・・・言い得て妙ですね(苦笑)。
確かに、羅漢は鳳仙と子作りだけして行方をくらましたのです。
鳳仙が一番辛かった時期に放っておいて、3年後に戻ってきて、「父親」だと言い始めたのです。
猫猫が言っているのは ──
本来父親とは、子と生活を共にし母親と一緒に子育てするもの。
猫猫の幼少期、面倒をみてくれたのは、緑青館の三姫であり、オヤジこと羅門です。
羅漢は、(知らなかったとは言え)父親の義務を放棄し、子育てを一切していません。
猫猫は、そんな羅漢に「父親だと言い張る」資格などないと言っているのです。
だから、せいぜい精子を提供した「種馬」だと位置づけているのです。
嫌いであっても、恨んではいません。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅門の娘になれた点だけは、感謝しているんです。
「種馬」と言いながらも感謝はしているようです。
でも、オヤジを養父にできたことに感謝?
アニメ鑑賞時、意味が分かりませんでした。
オヤジに感謝するなら分かります。
が、猫猫は羅漢に感謝と言っています。
産んでくれたことを感謝しているのでしょうか?
これまでの流れと、一連の猫猫のセリフから見るに ──
オヤジこと羅門が養父になったのは、猫猫は羅漢の子だから、と猫猫は考えているようです。
羅門と羅漢は、叔父と甥っ子の関係。(23話 )
鳳仙は、猫猫を遠ざけていました。
羅漢は、都を離れています。
甥っ子の娘を放っておくことはできず、引き取ったと考えられます。
このように考えていくと ──
猫猫が羅門の子になれたのは、羅漢の娘だったから。
そういう意味で、羅漢に感謝しているのではないでしょうか。
ま、少年漫画風に考えると ──
猫猫は薬師としての才能があったから引き取ったパターンもありますけどね(爆)。
師匠が弟子を取る、よくあるパターン!
原) トラウマと父親の座
嫌いであっても、恨んではいません。
── その割には露骨な嫌い方に見えたが?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
猫猫は羅漢に感謝している!?(前項)
それに恨んでもいない!?(上記セリフ)
壬氏様と同じ事を私も考えました ──
その割には、殺意さえあるような嫌悪感を見せていませんでした??
そうそう!同じこと思った!
アニメではカットされましたが、原作にはその理由が2つ述べられていました。
羅漢を嫌う理由① トラウマ
一つ目の理由は ──
ある日突然現れた奇妙な男は、いきなり自分を連れ出そうとした。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
やり手婆が現れて、箒で殴られ、血だらけになった男の姿には幼心に恐怖を覚えたものだった。
血まみれの顔でにへらにへらと笑いながらふるふると手を伸ばされたりすれば、誰だって怖がるものである。
前話、3年ぶりに都に戻り緑青館を訪れた羅漢が、やり手婆にホウキで殴られていた日は雨が降っていました。
今話、前半、幼い猫猫に手を伸ばしていた回想シーンは晴れた日でした。
つまり、別の日。
羅漢は、あれから何度も何度も緑青館を訪れては、その都度、やり手婆に折檻されていたのです。
何度も訪れるうちに猫猫が鳳仙の子だと分かったのです。
ですが、それを猫猫目線で見ると ──
血だらけになった男が、(事情も分からない)子供である猫猫に手を差し伸べてくる・・・。
さすがの猫猫も、恐怖を覚えるでしょう。
「さすがの」って…猫猫も幼い頃は普通の感覚でしょ(苦笑)
って、思うよね?(ニヤリ)
実は、この続きが面白い!
それから何度も現れては、予想外のことを行って血まみれで帰っていくので、だんだん、大抵のことには驚かない性格になってしまった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
猫猫が鳳仙と自分の子だと分かると、羅漢は毎回血まみれになっては、猫猫に対して何かをやってから帰るので、何ごとにも動じない性格になったのです。
猫猫が、年の割に落ち着いている。
何ごとにも動じない性格は、ここで形成されたのです!
猫猫(の性格)誕生秘話だっ!
もう一つ興味深いのは ──
「何度も現れては、予想外のことを行って・・・」という一文。
「予想外のこと」とは・・・。
父親らしい行いではなく、好き勝手なことを猫猫に言ったり、押しつけてきたのではないでしょうか。
突然現れ、しかも血だらけの怪しい姿。
その上、言動は意味不明。
そりゃあ、嫌われる、というか警戒されて当然です(笑)。
羅漢は、猫猫に積極的にアプローチするほど、嫌われていったのではないでしょうか。
嫌われるどころか、幼い我が子にトラウマを植え付けていった・・・。
羅漢は、人並みの交流をしてこなかったので、子供との接し方が分からなかったのです。
それが仇となり、娘をますます遠ざけてしまったのです。
羅漢を嫌う理由② 父親の座
二つ目の理由は ──
自分を父だと言い張るが、猫猫にとって父はおやじであって、あの変人は父ではない。役割から考えると、せいぜい種馬がいいところだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
原作では、ここで「種馬」が出てきます。
そして、原作では、ここからが本質です ──
おやじである羅門を押しのけ、自分が父親になろうとする。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
それはありえない、どうしても譲れない点である。
猫猫にとって、オヤジは優秀な師匠であり、自分を育ててくれた恩人。
1話で、自身が攫われた時も真っ先に心配したのはオヤジのこと。
まさか、人さらい?
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
あ~あ、おやじ、心配するだろうな。
壬氏にオヤジの事を話す時は、嬉しそうでもありました。(17話 )
猫猫は、オヤジをとても認め、憧れており、好きなのです。
その唯一無二のオヤジこと羅門が自分の師匠であり養父であることを、猫猫は誇りに思っている節すらあります。
その父親の座を、羅漢は奪おうとしているのです。
それは、猫猫にとっては許しがたいこと。
たとえ、本人にその意思がないにしても・・・。
一つ目に述べた理由同様、羅漢は猫猫のことを何も分かっていないのです。
猫猫が自分を嫌っているのは別の原因だと考えています。(後述)
いや、猫猫のことを分かろうとしていないように見えますね・・・(苦笑)。
それではいつまで経っても、娘に受け入れられません。
さて、では、なぜ猫猫はあんな言い方をしたのでしょうか?
先に書いたことを壬氏に説明できないからですね。
恥ずかしいからか、面倒だからか・・・。
多分、後者だな(苦笑)
結果、一言で済ませたのです ──
壬氏様、あのモノクルに「パパって呼んで」と言われたら、どう思います?
── 眼鏡をかち割りたくなるな。
でしょ?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅漢をパパと呼ぶ。
その姿を想像して、(羅漢が苦手な)壬氏様も猫猫が何を言わんとしているか理解したのです。
猫猫は、羅漢を生理的に受け付けられないのでしょう。
恐らく・・・。
猫猫が幼い頃、羅漢が猫猫に「パパって呼んで」と言ったのではないでしょうか。
幼い頃から、変なアプローチをされ続け、生理的に受け付けられなくなったのです。
自業自得とは言え、羅漢の境遇を考えると、少し可哀想になってきますね・・・。
ちなみに ──
原作では、先のセリフの直後に・・・。
世の中には、好きで嫌われる父親なんていないと思ってください。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
高順がしみじみと言っています。
猫猫の生理的に受け付けない、という感情に理解はしつつも・・・。
この中で唯一父親である高順は、羅漢側の寂しさも慮ったのでしょう。
確かに、娘に「生理的に受け付けない」と完全拒否されたら・・・辛いですよね(苦笑)。
認めたくない
── その割には露骨な嫌い方に見えたが?
壬氏様もまだよく分かっていませんね。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
その上、羅漢を嫌う理由がまだあったのです!
祭事を止めようとした時、私はあの男に助けられました。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
恐らく、何か起きることを感じていたんです。
祭事を止めようと祭事場・蒼穹壇に入ろうとして止められた時 ──
軍師・羅漢が割り込み、猫猫は中に入ることができました。
この時、謀ったように現れた羅漢。(19話 )
羅漢は、「何か起きることを感じていた」というのです。
私のように証拠を集め、予測を立てるのではなく。
キナ臭そうなことを勘で判断して、それをめったに外しません。腹立たしいことに、面倒くさがりで自分では動かないんです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
あの中祀で何か起きると、直感で分かっていたと言うのです。
確かに、鱠食中毒事件を高順に持ちかけたのは羅漢です。(15話 )
宮廷御用達の彫金細工師の遺言を調べてほしいと言ったのも羅漢。(16話 )
遺言だけじゃなく、金具のことにも触れていました。
最後に先代が作った細工は素晴らしかった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第16話
あれは単なる金具でしたが、祭具にあの細工を使うと映えるでしょうな。
真相に行き着いていないにしても、何かあると踏んでいたのです。
となると、こうして壬氏に(あるいは猫猫が動くよう)キッカケを与えていたのかもしれないですね・・・。
となると、やり方自体がイヤらしいですね・・・。
原作では ──
李白が翠苓について調べるのが早かったのも、刑部が迅速に動いたのもあの男の仕業かもしれない。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
翠苓に辿り着いたのが早かったのも、すぐに踏み込んだのも、羅漢の読みがあったからこそ、とまで言及しています。
そして、その気持ちは ──
分かっている、これは嫉妬だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
オヤジが手放しで誉める程なのに、あの男は自分の恵まれた才を分かっていない。
羅漢の才能に嫉妬していると、猫猫は自身を分析しているのです。
もしかして、生理的に受け付けない、のではなく。
優秀な羅漢を心情的に受け入れられない、のかもしれないですね。
終話 (エピローグ)
数日後の夜、城壁の上で美しく舞う猫猫の姿があった。
送りたかったのは梅梅?それとも…
本当は、梅梅姐ちゃんを送りたかったな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅漢が鳳仙を身請けしたと聞き、花街に向かって舞を踊る猫猫。
一方、送りたかったのは梅梅だと言う猫猫。
猫猫は、一体何を思って舞ったのでしょうか・・・。
うん、正直よく分からなかった…
SNSでも色んな感想があるようだね
自分を産んだ妓女が身請けされるのです。
鳳仙の為に、というのが妥当でしょうか。
それか、長年の願いを叶えた羅漢と鳳仙、つまり両親に対してでしょうか。
羅漢を嫌ってはいるが、恨んでないのは、ここまで書いてきた通り。
もう一点付け加えると ──
憎まれても仕方がない。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
それでも傍に置いておきたかった。
羅漢は、猫猫に恨まれていると思っています。
なぜなら、恨まれる理由が思い当たるからです。
鳳仙が送ってきた「小指の先」ですね。
猫猫が生まれた時に傍におらず、小指を切るような事態に追い込んでしまった。
きっと猫猫は恨んでいるに違いないと、考えているのです。
が、実際は、猫猫は(嫌ってはいるが)恨んでいないことが分かりました。
実は「恨まれている」と考えていることすら、娘のことを分かってない要因の一つだったのです。
世界や事件の予兆は読めても、娘の気持ちは読めず。
いや、娘どころか、他人の心が分からないのです。
これが軍師・羅漢。
大体、指を切ったのは羅漢ではなく鳳仙です。
確かにその原因を作ったのは羅漢ですが、指を切る選択したのは鳳仙です。
では、指のことに関して、猫猫は鳳仙を恨んでいるのでしょうか?
それも「否」ですね。
猫猫は、言っています。
女の母たる記憶はない。
今あるのは、歪んだ小指だけだ。- 中略 -
壬氏様、指の先って、切っても伸びてくるのですよ。
フフッ。── 今、言うことか・・・
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
猫猫が突然持ち出した「指の先」の話。
これは、切れた指先も、今は伸びて問題ない。
小指は、何ら問題ないから、恨む理由もない。
と言いたかったのでしょう。
突然指の話が出てきて驚いたけど、そういうこと!?
相変わらず「言葉足らず」だよね(苦笑)
猫猫の小指を切ったのは鳳仙です。
でも、上記で考察したように、もう恨んでいません。
ならば、猫猫は今現在、鳳仙のことをどう思っているのでしょうか?
これも、猫猫は答えていますね。
女の母たる記憶はない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
今あるのは、歪んだ小指だけだ。
幼い頃から(醜い顔を見られたくないので)近寄らせなかったので、猫猫に鳳仙の母親らしい記憶はありません。
看病をしていた時も、薬師と患者の関係だったのでしょう。
唯一残っている母子関係の思い出は、歪んだ小指。
記憶としては覚えていないが、潜在意識に刻み込まれ夢に出てくるほど。
鳳仙が自分に向けた母親らしい記憶は、これだけなのです。
もしかすると、猫猫は、鳳仙を恨んでいたかもしれないですね。
でも、今となってはその小指も普通の生活をするには問題なく、恨みもなくなった。
だから ──
女の母たる記憶はない。
今あるのは、歪んだ小指だけだ。もう私には関係はない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅門の娘として幸せになったのだから。
「もう私には関係はない」と続けたのかもしれません。
猫猫は、鳳仙に母親らしい行為をしてもらったことがありません。
(母親らしいと言えませんが)
唯一あるのは、夢で見る小指を切られた記憶・・・。
悲しいかな、猫猫の、母親・鳳仙に対する思い出はその程度だったのです。
母親と思うどころか、鳳仙に対して良い感情を持っていないのは当然ですね。
さて、そう考えていくと、猫猫が踊った舞の意味は・・・。
梅梅ではもちろんありません(笑)。
梅梅への応援や弔いの気持ちはあった気もするけど(苦笑)
では、ようやく結ばれた二人に対してか。
少なくとも幸せを掴んだ父親・羅漢に対してでしょうか。
私はどちらでもない気がします。
猫猫が、何を思って踊ったのか?
二つ考えました。
一つ目は ──
単に、身請けされた先輩妓女に対して、義務感で踊った。
何せ、自分がそのキッカケを作った(賭けに勝利した)のですから。
そして、二つ目が本心 ──
生みの親である鳳仙と羅漢に対して、決別の意を込めたのではないでしょうか。
猫猫は、羅漢に「妓女の身請け」させることで、鳳仙を選択するチャンスを与えました。
これが、猫猫ができる(許せる)最大の譲歩。
自分を産んだ男と女に対して、最低限の義理を果たした。
一応、二人の門出を舞で祝福もした。
これで、もう自分には構わないでくれ。
それが猫猫のセリフ ──
もう私には関係はない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
羅門の娘として幸せになったのだから。
の意味ではないでしょうか。
えっそんな寂しい理由なの!?
すみません、全然ロマンチックではないですよね。
羅漢と鳳仙のせっかくの門出なのに・・・。
私はとても現実主義です。
事実を積み重ねていくと、このような結論に至りました。
いや、ただのひねくれ者かな(苦笑)
でも ──
だから猫猫は、羅漢に梅梅を選んで欲しかったと考えていたのではないでしょうか。
鳳仙の命は長くありません。
あの男が身請けした女は、そんなに長くもつまい。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
長くもたないのであれば、なおさら母親の思いを遂げてあげたいと思うのが普通です。
が、猫猫は、一切そんな考えを口にしません。
それどころか、今でも梅梅を選んでおけば良かったのに、と考えています。
これこそが、猫猫が鳳仙のことを母親と思っていない。
母親どころか、何とも思っていない証拠ではないでしょうか。
念のため、言っておきますが・・・。
決して、私は猫猫が冷たい、と言っているのではないですよ。
母親よりも、育ての姐である三姫を愛し。
父親よりも、育ての養父であるオヤジを大切にする。
猫猫は、血の繋がりと言ったことに拘らず、世話になったら感謝する。
何もされなければ、何とも思わない。
ある意味、当たり前の考えと言えるのです。
やり手婆の思う壺?
姐の手紙書いてありました。
三日三晩どころか七日七晩宴をするそうです。身請け金にいくら使ったか知らないが、あの行灯の上がりよう、そこらの妓女の身請けの比じゃない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
花街では、妓女が身請けされるとき宴をするようです。
原作によると、宴の内容は ──
身請けは祭りだ。酒とご馳走が振る舞われ、皆が踊る。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
夜も宴が続き、花街は眠らぬ夜の城だ。
身請けは祭り!?
酒とご馳走が振る舞われる!?
つまり、費用は身請けする者の全部持ち!?
だから、人気の妓女の身請け金は高いのです。
行灯の数を見ただけでも相当の規模だと猫猫は試算しています。
それが、三日三晩どころか七日七晩!?
さて、羅漢は幾ら支払ったのでしょうか?
銀1万で足りなければ、2万でも3万でも。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
さすがに10は、ちとキツいがな。
最初、羅漢は、猫猫に賭け象棋で負け、代償として妓女を身請けすることになり、1万でも2万でも構わないと言っていました。
李白が白鈴を身請けしたいと言ったとき ──
三姫クラスは1万必要だと、猫猫は試算していました。(21話 )
私はその時、銀1万は、現在の価格で言うと1億円位だろうと書きました。
正直、高いなーと思っていましたが・・・。
花街あげての祭りをやるのです。
皆に酒や料理を振る舞うのです。
それが、その妓女の価値となり、花道となるのです。
そして、そもそも緑青館に納める金もあるのでしょう。
と考えていくと、(三姫クラスなら)確かに、1億円は必要ですね(苦笑)。
では、今回の鳳仙の身請け金は・・・
誰でもいいと言ったのは婆の方だろ。
金はいくらでも出そう。10万でも20万でも払ってやる。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
10万でも20万でも・・・。
羅漢がここまで言い切ったのです。
やり手婆は、ちゃっかりしっかり、搾り取ったのではないでしょうか。
仮に低い方の10万としましょう。
現在の価値にすると ── ざっと10億円!
ちょっと多すぎる気もするので、半分としましょうか。
それでも5億円となり大金です。
半分の価値にすると、高官である李白の給料(年1,000)が年500万円程になります。
国の中心である都の高官で、出世頭の李白の給料が500万・・・。
まあ、20代だから、高いと言えなくもないですね。
低く見積もっても、これ位のレートではないでしょうか。
先のレートと幅を取って・・・
銀1が、現在の日本円で5千円~1万と推測します。
その場合 ──
- 農家の年収
-
100~200万円
- 安い妓女の身請け
-
200~400万円
- 李白の年収
-
500~1,000万円
- 三姫の身請け
-
5,000万~1億円
となると、羅漢が支払った身請け金は ──
- 10万だと
-
5億~10億円
- 20万だと
-
10億~20億円
となります。
どっちにしても凄い金額!
だよね、それを妓女1人の為に使うなんて…
現代の価格に置き換えると、とんでもない金額を払うのだと実感・・・。
そりゃあ、七日七晩宴になるのも頷けます。
いや、羅漢のことです。
鳳仙の身請けを祝う宴であれば、盛大にやれと言ったのでしょう(笑)。
緑青館の噂ばかりが大きくなる。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
やり手婆の思うままだ。
やり手婆は、15年近く鳳仙を隠し続けて来ました。
が、結果的に、最高の高値で売り抜けることができたのです(爆)。
凄ぇな、やり手婆の土地転がしならぬ、妓女転がし!
えっ、そういうことなの!?
結果的にね
いいや、やり手婆だけではないですね。
最終的には、猫猫にとっても羅漢に一泡拭かせたのです。
えっ、えっ、どうして??
羅漢は10万は「ちとキツい」と言っていました。
原作では、金の調達にも言及しています ──
「一万で足りなければ二万でも三万でも。さすがに十はちときついがな」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
やれやれと羅漢は思う。羅漢の立場であってもそう安い額ではない。しばし、いろんな副業をしている甥っ子にせがむしかなかろう。
名門である家の家督を引き継ぎ、軍師の羅漢でも、さすがに10万はキツいと言っています。
それでも、甥っ子にせがめばなんとかなる様子。
副業で稼いでいる甥っ子に縋ったのでしょう。
羅漢は大金を甥っ子に返済しなくてはなりません。
仮に、甥っ子に返さなくて良いとしても、しばらく新たな資金調達は難しいでしょう。
結果、羅漢は猫猫を身請けする金を用意する余裕はなくなったのではないでしょうか。
あっ!!
はい。
猫猫は、(意図していたかは分かりませんが)自分に執着する羅漢をしばらく封じ込めることに成功したのです。
まあ、金のことは置いといて・・・。
しばらくは鳳仙の相手でふぬけになりそうですけどね(笑)。
潰れかけたのは猫猫のせい!?
緑青館が潰れかけた原因が自分にあること。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
緑青館が潰れかけたのは猫猫せい!?
えっそうなの!?
いや、言い方が悪いね
これは、正解でもあり、間違いでもありますね(笑)。
正しくは ──
緑青館が潰れかけたのは、身請け金が吊り上がっていた鳳仙が子を孕み、客を裏切り緑青館の信用を下げたからです。
確かに、子は直接の原因ですが、子を作ったのは猫猫ではなく生みの親の鳳仙です。
緑青館が潰れかけたのは、猫猫を妊娠した鳳仙のせいです。
そうだよね~~良かった~~
猫猫によくある「言葉が足りない」ってやつだね
とは言いながら・・・。
こんな言い方(考え方)をするのは、猫猫がそう考えている可能性もあります。
後宮から戻ると緑青館で働き。
壬氏に身請けされる時も、やり手婆に身請け金。
何だかんだ言っても、猫猫が緑青館を親元のようにしているのは、経営を傾けさせた責任を(直接的ではないにしろ)感じているのかもしれないですね・・・。
どこでも手術
傷口が開いてしまいました。
- 中略 -
大丈夫です、すぐ縫いますんで。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
また傷口が開いてしまった猫猫。
すぐさま縫おうとします。
なぜ懐に「針と糸」を入れている!?
ん?さっきも同じ事を言ったような…
羅漢の碁石にも言ってた…やはり親子?
猫猫が自分の足を縫おうとするのは、ここが初めてではありません。
祭事に飛び込み足を切った時も同じようなことを言っていました。(19話 )
その時書きましたが、原作によると ──
猫猫はごそごそと胸元を広げる。いつも懐には、薬と簡単な医療器具を入れてある。そんな猫猫の手を角ばった手が掴んだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
何かあった時に備え、猫猫は懐に簡易な医療器具を入れているのです。
さすが、薬師!?
思い出したのは恥より…
壬氏様・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
牛黄をください。
やはり、牛黄はまだ入手していなかったか!
牛黄を手に入れたら絶対興奮するだろうから、そんなシーンはないので、まだ入手していないと睨んでいました。
分かってたんだ(苦笑)、さすが!
でも、最後の最後に持ってくるとは思わなかった(苦笑)
でも、なぜここで牛黄の話を持ち出したのでしょうか?
少し時間を戻しましょう ──
── こうやって運ぶのは2度目だ。
ケガで気を失ったあの時か・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
猫猫は、お姫様抱っこをされ、「2度目」と聞いて、中祀に飛び込み気を失った時の事を思い出します。
公衆の面前でお姫様抱っこをされていたことを知れば、猫猫は恥ずかしがると思っていました(笑)。(20話 )
実際、原作の猫猫の心情描写で描かれています。
そうなると、あの大勢の前で猫猫は運ばれたことになるが──。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
そんなことよりもっと大切なことを忘れていた。ずっと言うべきだったことなのに、どうして言わなかったのだろうと後悔した。
が、それ以上に、あの時の報酬を思い出したのです。
こんな時に、申し訳ないのですが、ずっと言いそびれていたことがありました・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
目を潤ませ、猫猫にしては珍しく、言いづらそうに勿体ぶる猫猫。
壬氏様にとっては、否が応でも期待をしてしまいます・・・。
って、壬氏様もまだよく分かってないですね(笑)。
猫猫が、恍惚の表情をするのは、毒と薬だけですよ(爆)!
3歩進んで(進んだように見せかけて)、2歩下がる。
猫猫は、やっぱり猫猫でした(笑)。
いきなり頭突きとは大人げない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第24話
でもまあ、大人げないくらいのほうが話をしていて気が楽だ。
それでも、猫猫の中で、壬氏との距離感は近くなっているのではないでしょうか。
最初は触れられるだけでもゾゾッとしていたのが、次第に平気になり。
壬氏様の意を汲むようになってきました。
愛情にはまだまだ遠そうですが、猫猫は少しずつ壬氏様を受け入れています。
アニメのサブタイトルも ──
12話「宦官と妓女」が24話「壬氏と猫猫」と変化しているのが良いですね♪
噂は広がるどこまでも
さて、最後は、噂話で締めましょう!
今、後宮内外で面白い噂が流れていてな。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第24話
今話のミニアニメ「猫猫のひとりごと」によると、城壁で踊っていた猫猫の姿は、「死者の国との交信」と噂されているようです(笑)。
ミニアニメで語られている噂は、(現時点では)原作にはありません。
(ミニ)アニメオリジナルです。
が、反対に、アニメでは出てこない噂話が原作には記載されています。
大陸の中央に位置する、とある大国。どこから漏れたか、そこのやんごとなき貴人が霊薬ばかりかき集めると噂になる。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
壬氏の執務室が、見舞いの花でいっぱいになり入れなくなったと知ったのは、午後の茶会のときであった。
やんごとなき貴人とは壬氏様のことですね。
さて、壬氏様は、なぜ霊薬を集めているのでしょうか・・・。
噂になっているように、壬氏様は重い病気に!?
それとも薬に興味を持ったのでしょうか(笑)。
その答えは、2期で明かされますかね・・・。
壬氏は、なぜ霊薬を集めている?
おわりに (『薬屋のひとりごと』24話とは)
さすが、最終話!
これまでの伏線回収と、羅漢にまつわるエピソードの決着。
ネタが豊富で筆は止まらず。
本レビューは(色んな意味で)泣きの2万5,000文字超となりました(笑)。
まあ、終わって欲しくない、ずっと考え続けていたい!という気持ちがあったのが原因ですが・・・。
2万5千文字超!?
よく書いたね~~
『薬屋のひとりごと』レビューで最長です(苦笑)
文章は作者のもの、行間は読者の想像。
行間、つまり書かれていない部分を考えるのが楽しい、とても刺激ある作品でした。
1期は放送終了しましたが、すぐに2期放送決定の告知が!
嬉しい!
来ると思ってました!
羅漢と鳳仙の決着は着いたとはいえ・・・。
翠苓は逃げたままだし、誰が何の為にやんごとない方の命を狙ったのかは不明なまま。
楼蘭妃については少し触れただけ。
父親の子昌なんて、何かありそうなのにちょっと出てきただけ。
大体、13話冒頭で、壬氏様が帝に受けた勅命が何だったのかすら描かれていません。(13話 )
原作は現在15巻まで刊行。
アニメ化されたのは2巻まで。
アニメの続きは、まだまだあるどころか物語は始まったばかりなのです。
2期が1クールか2クールになるのか分かりません。
が、1期のペースと同じなら原作ストックは13クール分もあるのです。
2期、3期と続いて欲しいですね!
それまでは原作、コミック、メディア等で楽しみましょう!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第24話の感想&考察レビューでした。
超長文にも関わらず、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
また、全24話、半年間もの長きに渡りお付き合い下さり、ありがとうございました。
2期のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(旧Twitter)(@toki23_a)にて!
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 24-01 壬氏は、なぜ霊薬を集めている?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
- 疑問 20-01 なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
- 疑問 20-02 壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
- 疑問 20-03 楼蘭妃は、なぜ訪れる度に雰囲気が変わる?
- 疑問 21-01 やぶ医者より先に後宮へ来た姉は、今どこにいる?
- 疑問 21-02 先の皇太后は、なぜ木の伐採に制限をかけた?
- 疑問 22-01 猫猫は、なぜ爪紅を流行らせた?
- 疑問 23-01 賭け対象にした「妓女の身請け」の狙いは?
- 疑問 23-02 羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 24話(終)
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) March 24, 2024
時に薬師 時に探偵 今度は恋のキューピット!?
青薔薇1つで人を動かし望み望まれ願い叶える
長い年月何のその目に映るは美しきかな鳳仙花
伊達や色事必要なし、欠かせないのは碁石のみ
賭けは手向けか試したか子心親知らず
祝いの衣身に付けて花街向けて舞踊る
見事な〆😆
#薬屋のひとりごと 1期全話総括
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) March 24, 2024
まるで実在したかのような欲望愛憎渦巻く宮廷を逞しく生き抜く主人公。面倒事は嫌いなのにスイッチ入った時の行動力が凄まじく爽快感が堪らない😆
2クール目になると好敵手が登場。何ごとにも無関心だった猫猫が他者に興味持ち始める展開で面白さが加速
2期決定嬉しい!
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