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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第3話「幽霊騒動」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
1巻 10話「幽霊騒動 前編」11話「幽霊騒動 後編」
- コミック
-
1巻 3話「月下の芙蓉」
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
城壁の上で白い女の幽霊が宙を舞う・・・。
後宮内に噂が広まる幽霊騒動、猫猫は興味なかったが壬氏から夢遊病だと知らされ調査することに。
運命に翻弄されながらも、忘れられない幼馴染み。
一つ間違えば不敬と処罰されようとも、想わずにいられない・・・。
夢遊病は薬では治せない。
仮病は医者でも治せない。
そして・・・恋の病は当人達しか治せない。
帝の機嫌を損なわず、祖国に不利益を与えず、「お手つき」されないようにする!?
その最終段階が夢遊病。
取った作戦は、ナローパス!
一歩間違えれば壁から落ちる・・・じゃなくて処分が下る。
踊っている姿が美しく見えたのは、愛する人を想っていたから。
鳥籠に囚われた姫の合法的脱出物語。
上手い!
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第3話「幽霊騒動」
幽霊騒動 前編
“城壁の上で女の幽霊が踊っている”という噂が後宮内に広まった。よくある幽霊話と気にしない猫猫だったが、壬氏に夢遊病について聞かれ、幽霊の正体をその目で確かめることに。
妃によって故郷が潤う
愛藍:最近は西都と中央との交易も盛んになったって。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
貴園:玉葉様、愛されてるから。
桜花:帝の寵妃の故郷だもの。中央も無視できないわ。
なるほど。
愛する娘をなぜ後宮に送り込むのかと思ったら、妃は故郷を背負っていたのです。
妃になったからと言って、故郷が重要になったり、お金が流れるわけではありません。
帝に気に入られると、中央(政府)が政治を行う際、妃の故郷に冷たくできないのです。
その計らいにより故郷は栄えるのです。
妃を送り込むのは、とても政治的ということですね。
原作では、西都は貧しい土地だと言っています。
玉葉妃や桜花たちの故郷は西にある。乾いた気候のその場所は、これといった資源もなく、干ばつになることもしばしばだ。桜花たち侍女は、官の娘だったがそれほど贅沢をした記憶はない。働かねば飢える、そんな貧しい地方だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
西都は乾いた気候で干ばつになることもしばしば。
だから、桜花が「故郷の砂と日差しが恋しいわ」と言ってたのか!
そんな土地では、作物を作るのも難しく、他にこれといった資源もないので、貧しい地方だったのです。
そこへ、玉葉妃が帝の寵愛を受け、交易が盛んになったのです。
中央から西にある地方のようなので、おそらく西洋との交易の窓口あるいは中継点となったのでしょう。
なぜ、こんな話が今話冒頭に描かれたのでしょうか。
それは──
後宮に送られてきた妃は、それぞれ故郷の願いを背負っているという事を示すためですね。
だから、芙蓉妃もあんな作戦をとるしかなかったのです。
異国の姫?
それにしても、気になる事も言っていましたね。
愛藍:お召し物に毒針が刺さってたり、身籠もっていらした時なんて特にひどかったものね。
桜花:異国の姫っていうのもあるんでしょうけど・・・。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
玉葉妃は異国の姫?
確かに玉葉妃の目は翡翠色で西洋の血が入っているようにも見えます。
てっきりアニメ的表現だと思ってました(苦笑)
西都は、違う国なのでしょうか?
それとも、西都は西だけに西洋とも交流が盛んで、異国の血が混じっているだけでしょうか。
西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
幽霊騒動
知ってるよ!
by 小蘭『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
白い女の幽霊でしょ!
小蘭!彼女が出てくると何だか嬉しい!
猫猫が侍女になったのに、こうして小蘭と情報交換しているのがいいよね~~
噂と言えば、小蘭!
下女の間のうわさ話を仕入れるには、小蘭に聞くのが一番!?(笑)
原作では、このように描写されています ──
ありきたりな怪奇話に猫猫は首を傾げる。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
翡翠宮に来る前には聞いたことのない噂だった。噂という噂は小蘭が持ってきてくれていたので、ここ最近に出てきた話だとわかる。
小蘭から聞いてなければ、それは噂になっていないのと同義!?
ある意味凄い存在です、小蘭は!
続いて、情報収集しにいく場面では──
猫猫が向かったのは東側のおしゃべり娘、小蘭のもとだった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
小蘭は猫猫に会うなり、玉葉妃のことを根掘り葉掘り聞き出そうとしたので、差しさわりのない情報と交換に幽霊騒動について聞き出した。
おしゃべり娘(笑)
クールな猫猫は、聞きたい用事があるから小蘭の元へ行った感じですね(苦笑)。
まあ、小蘭は小蘭で、猫猫から玉葉妃のことを聞き出そうとしているから、どっちもどっちですかね(苦笑)。
四方を取り囲まれた後宮
城壁はぐるりと後宮を囲んでる。
出入りできるのは、東西南北、四方の城門のみ・・・。城門には常時見張りがいる上に、外には深い堀、脱走や侵入は不可能。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
徐々に明らかになる後宮の構造。
人さらいに攫われて連れてこられた猫猫が逃げられないのです。
女性、それも国中の美女が集められたのであれば外部から狙われる可能性もあります。
厳重な管理がされているのだろうと推測していましたが、こんな風になっていたとは・・・。
妃として送られてくる女性達は、故郷の期待をしょっているから逃げられないだけでなく。
物理的にも、この後宮から逃げることはできないのです。
原) 正真正銘のやぶ
こないだまで警戒されてたのが、ウソみたいだな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
私が薬を作れるって分かってからは、こうやって調合もさせてくれるし、必要な材料も分けてくれる。
なんと、やぶ医者は永遠のライバル(当て馬)かと思ってましたが、仲良くなってしまうとは!
もしかして、猫猫って天然の人たらし!?
どれだけ猫猫が優秀だとしても、この医官はプライドはないのでしょうか・・・。
その疑問は、原作を読むと解けました──
やぶは、最初はわけのわからない小娘と思っていたらしいが、猫猫の作る薬を見てだんだん態度が軟化してきた。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
今では、茶菓子を出し、必要な材料を分けてくれるようになったのだが、医局としてそれはあまりよくないことである。
猫猫が薬を作れるのを知り、態度を軟化させたのです。
猫猫は後宮の医官が頼るほど優秀?
だとしたら、その経緯をエピソードで見たかったのですが・・・。
どうやら、逆のようです(苦笑)。
ごく最低限の調合法しか、この医官は知らないようだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
後宮という場所が場所だけに、医官も人手不足のようだ。女は医官になれず、医官になれば好きこのんで宦官になる必要はない。
猫猫が技術が高いのではなく、やぶ医者のレベルが低すぎるのです(苦笑)。
後宮は男性は入れず、男性機能を失った宦官しか入れません。
女は医官になれない世界?
ならば、医官は男性だけ。
医官になれば収入も地位も得られ十分豊かな暮らしができる。
誰も好き好んでわざわざ宦官になって後宮の医官になる必要性がないのです。
結果、後宮にいる医官は、レベルの低いやぶになるのです。
「おしろい」事件の時、梨花妃と玉葉妃で医官の取り合いになりました。(1話 )
なぜ、女官が2,000人もいる後宮で医官が一人しかいないのか疑問でした。
なるほど、宦官になってまでの成り手がいないのです!
納得!
原作では、猫猫はここまで言い切っています。
医務室に入ると、どじょう 髭 のやぶ医者がごりごりとすり鉢をすっていた。この医官の場合、薬を作るためでなく暇つぶしでやっているだけだと猫猫はわかっている。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
でなければ、毎回自分の作る薬を渡す必要はないだろう。ごく最低限の調合法しか、この医官は知らないようだ。
この医官が薬を作っているのはポーズだと言うのです。
だから、猫猫の腕を重宝しているのです。
この医官は、正真正銘のやぶ医者だったのです(苦笑)。
持ちつ持たれつ?
それどころか、お茶まで・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
こんなゆるゆるで大丈夫か?
この医官は「やぶ」であるだけでなく、ゆるゆる?
ゆるゆるとは、部外者である猫猫に薬を調合させたり、医局を自由に出入りさせたりのこと。
ここで毒を混入されたら一発ですよ(苦笑)
あ!確かに!
その上、芙蓉妃のこともペラペラ喋っています。
医者としての守秘義務もないのです(苦笑)。
ですが、猫猫はやぶ医者を咎めません。
理由は原作にありました──
守秘義務だとか、なんだとかあまりにないのである。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
(大丈夫かな? こんなんで)
思っていても、忠告する気はない。そのほうが猫猫には便利だからだ。
やぶ医者に忠告すれば、プライドを傷付け医局出禁を食らってしまうかも。
壬氏に(医官を替えた方が良いと)進言してそれが通ったとしても、医官が優秀ならば、猫猫の技術は求められない。
そうなると、薬の材料を手に入れ自由に調合もできないのです!
猫猫は、むやみに正義感を振りかざす子ではありません。
困っている人を気に掛けはしますが、基本、他のことには無関心で、自分の好きなことをやりたいタイプ。
だから、後宮の医官は、彼、やぶ医者が(猫猫にとって)ちょうど良いのです。
おお、嬢ちゃんかい、ちょっと待ってな。
- 中略 -
嬢ちゃん、甘いのより、しょっぱい派だろ?
by やぶ医者『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
饅頭とかではなくセンベイを出す、やぶ医者。
猫猫は甘党ではない?
やぶ医者は、医官としての腕前はともかく、人を見てはいるようです(笑)。
ちゃんと、猫猫の好みを把握しているのです。
実は、懐柔されているのは猫猫の方かもしれませんね(笑)。
私の分もお願いするよ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
壬氏が来た途端、センベイは引っ込められ、猫猫は涙目・・・。
これは、壬氏の好みは甘いもの。
壬氏の好みが優先されるので、センベイのお預けを食らったのです。
頭のいい猫猫です。
やぶ医者の狙いに気付いていないわけはありません!(笑)
最近、いろいろ餌付けされている気がしないでもないが、気にしない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
やぶだが人はいい。性格はいいが仕事はできない型である。
自分でも「餌付け」されている気はしているが、気にしてなかったのです(苦笑)。
にしても、その後、猫猫はヒドいことを考えています・・・。
やぶ医者のことを「性格はいいが仕事はできないタイプ」とまで断定しているのです。
にしても・・・
医官がこんなに出てくるなら名前付けてあげて!
それ思った!
「やぶ」医者のままだなんて(苦笑)
夢遊病
壬氏は、やぶ医者に薬の調達を頼みわざと人払いをします。
それで、本題は何でしょう?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
察しの良い猫猫は、すぐに自分に用事があるのだと気付いたのです。
じゃあ、夢遊病というのは?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
フフッ、興味があるようだな。
段々、猫猫の扱いが慣れてきた壬氏。
猫猫が興味を持つような話を盛り込みます(笑)。
こうして、幽霊騒動の原因になっている夢遊病患者を診ることになったのです。
原) 宦官になると女性化!?
あまり宦官っぽくない人だよな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
猫猫は、高順の何をもって「宦官っぽくない」と考えたのでしょうか?
猫猫の心情描写が原作にありました。
宦官は物理的に陽の気を取り払っているため、女性的になることが多い。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
体毛が薄く、性格は丸く、性欲の代わりに食欲が増し太りやすくなる。
一番わかりやすいのは、やぶ医者の例だ。見た目はおっさんだが、話していると時折、育ちのよい商家の奥方とでもいっしょにいる気分になる。
宦官とは、男性機能を切り取った元男性。
なんと、宦官になると、体毛が薄くなり、性格も丸くなり、女性的になると言うのです。
分かりやすいのは、やぶ医者。
見た目はおっさん、中身は商家の奥方だと言うのです!
高順は──
高順はというと、体毛は濃くないが精悍で、後宮という場所にいなければ武官と間違えられることだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
武官と間違えられるほど、男らしい体つきをしているのです。
さすが薬師・猫猫と言った所か。
宦官を、医学的に分析していたのです。
面白い!
愚弄よりも後始末
壬氏様に、毛虫でも見るような目を向けるのは、やめて頂けませんか?
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
高順に注意される猫猫。
さすがに身分の高い人に対して失礼が過ぎたか・・・。
いや、どうやらそうではない様子・・・。
先ほども戻るなり「毛虫でも見るような目をされた」と悦に入った様子で報告されました。
免疫のない者が見てしまったら、うっかり昏倒しかねません。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
猫猫が侮蔑の目を向けると、壬氏が喜ぶ(悦に入る)。
壬氏の恍惚の表情を免疫がない人がうっかり見てしまうと、倒れてしまう。
つまり、壬氏を侮蔑した目で見ることを叱ったのではなく、侮蔑した視線を向けることで悦に入る壬氏が及ぼす二次災害に困っていたのです!(爆)
軽蔑した目を向けられ興奮する壬氏。
悦に入った表情による周囲への影響を気にする高順。
どちらもなかなかの変人(1人は変態か)ぶりですが、良い組合せですね(笑)。
月下の芙蓉
あっ、月下の芙蓉・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
城壁で踊る芙蓉妃を見て、思わずつぶやいてしまう猫猫。
「月下の芙蓉」とは、詩や文学で使われる美しいものを現す表現の一つ。
「月下」とは、月の光が差している様子。
その下で踊る芙蓉妃を見て、「月下」に続く言葉を口にしたのでしょう。
周囲に本もない世界。
なぜ、猫猫がそんな文学的な言葉を知っていたのでしょうか。
それは、花街育ちだからですね。
花街は、女性を口説くために、あらゆる知恵と工夫が集まって来ます。
そんな環境で育った猫猫だからこそ、「月下の芙蓉」という言葉を知っていたのではないでしょうか。
偶然にも、「月下の芙蓉」と芙蓉妃の名前が重なり、高順も「勘が良い」と言ったのです。
幽霊騒動 後編
夜、壬氏の部下である高順に連れられて城壁に行くと、美しく舞う女の姿があった。女の事情を調べる猫猫は、やがて思いがけない理由を知ることになる。
誰もが羨ましがる
猫猫の調査報告を聞き──
武官に下賜されるのがイヤで夢遊病のフリをしているのだと勘違いされた芙蓉妃。
ところが、出立の当日──
芙蓉妃は幸せそうで、周囲の女官達は羨望の眼差しを向けていたのです。
アニメ鑑賞時、分かりませんでした。
が、原作を読んで理解できました。
コミックでは、玉葉妃は驚いています。
あら・・・幸せそう。
by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』コミック1巻
芙蓉妃の幸せそうな表情を見て、玉葉妃は猫猫が何か隠していると気付いたのです。
原作では、出立する芙蓉妃を見た女官達が描写されています。
おとなしい色白の姫は、頬を染めて中央門をくぐる。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
目立った風貌ではないものの、幸せを感じる明るい頬に皆が嘆息した。
羨望の眼差しが中央門に集まる。
下賜されるならこうでありたい。その光景が広がっていた。
武官に下賜され可哀想だと思っていた芙蓉妃は、皆が羨むほど幸せそうだったのです。
ねえ、私にくらい話してくれていいんじゃない?
by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
本当のこと。
芙蓉妃が下賜された武官は、幼馴染み。
武官の身では、一国の姫に求婚できるわけもなく・・・。
武勲を立てて釣り合う立場に出世するつもりだった。
が、姫は後宮に入ることになってしまう。
姫も幼馴染みの武官を想っていたのでしょう。
挿入歌と共に流れた、武官と姫が故郷らしき国で寄り添うシーン。
これは、未来ではなく、過去ではないでしょうか。
姫が出てきた建物は明らかに王族の屋敷。
一介の武官が、このような屋敷に住めるわけがありません。
ならば、このシーンは過去。
後宮に来る前の話。
姫は屋敷の裏門からこっそり抜け出して、幼馴染みと逢い引きしていたのです。
姫は後宮に来る前から、武官と愛し合っていたのです。
姫は相手の気持ちを知っているから、強い信念を持っていられたのです。
そこで考えたのは、帝に気に入られることなく後宮を出ること。
官や帝に目を付けられては、お国に影響を与えてしまう。
だから、思い人がいることは口が裂けても言えない。
そこで考え出したのは、得意の踊りで失敗をすること。
恥を掻き、部屋に引きこもる状況を作り出すこと。
幼馴染みの武官は武官で、武勲を立てる。
功労として芙蓉妃の下賜を願う。
ところが、強く下賜すればするほど、帝から「それほどのものならば・・・」と興味を持たれかねない。
だから、芙蓉妃は幽霊騒動となるような奇行に走ったのです。
誰かが仕組んだ?
芙蓉妃の作戦。
一歩間違えれば、不貞を働いた、帝に対して不心得だと判断され、死罪になりかねません。
だから、猫猫も玉葉妃に「他言無用」と言ったのでしょう
でも、こんな大胆な作戦、本当に芙蓉妃と幼馴染みの武官の二人だけでやり遂げたのでしょうか・・・。
その辺のところ、原作では(このエピソードでは)触れられていません。
が、面白いのはコミック。
コミックは、その辺に触れているのです。
下賜といえば、今度一人決まったらしいよ。
それも堅物武官が突然望んだもんだから、みんなビックリしてさあ。まるで媚薬でも盛られたんじゃないかって噂で~~。
by 小蘭『薬屋のひとりごと』コミック1巻
下女の小蘭が、なぜ一介の武官の性格まで知っているのか疑問ですが(笑)。
媚薬でも飲んだのではないかと噂されるほど、突然だったのです。
その噂を聞いた猫猫は、ある結論を導き出します ──
ひょっとして、芙蓉妃が武官に寄せる想いを知っている者がいたとする。
その者は恋文に媚薬を添えて、堅物武官に届ける手助けをした。その上で、武官の功を取り上げるよう働きかけたら?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック1巻
そんなことができるのは・・・壬氏しかいませんね。
でも、おかしいですよね。
壬氏は、女官を試す試金石役。
帝に忠誠心がない妃は勿論、侍女も見つけ出す役目を負っています。
ならば、芙蓉妃の武官に対する恋も不貞ではないでしょうか?
いいえ。
芙蓉妃は違いますね。
壬氏が報告していたのは、後宮に入ってから、他の男に色目を使った女官。
芙蓉妃は、後宮に入る前から一人を想い続けていたのです。
その違いではないでしょうか。
後宮に入る妃は、色々な事情を持っています。
1人1人の事情を鑑み、処置する。
だとしたら、壬氏は人の気持ちを配慮する相当な善人ですね。
と思ってしまう私は、壬氏の術中にはまっているのでしょうか(笑)。
玉葉妃までもが羨ましい!?
芙蓉妃がうらやましいなんて言ったら、私はひどい女かしら
by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
アニメ鑑賞時、玉葉妃がとんでもないことを言い出したと思いました(苦笑)。
玉葉妃も、故郷に思い人がいる!?
帝への忠誠心を疑われるようなことを口にしたのです。
よく考えると違いますね。
玉葉妃は一人に対して、思い思われることを羨ましがったのではないでしょうか。
玉葉妃の気持ちは帝一筋です。
でも、帝は上級妃が複数おり、後継者を作るのが重要だから妃も多い。
どれだけ寵愛を得ようと、帝を独占できないのです。
そのことに対して、玉葉妃は羨ましがったのではないでしょうか。
となると、ラストシーン。
玉葉妃が思い人を待っている時に、待ち人・帝がやってきたのです。
だけど──
噂の薬師殿に頼みたいことがある。
by 皇帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
帝は、また、別の女に興味を持ったのです! ←違うと思います(苦笑)
残った謎は・・・
恋が女を美しくするのであれば、どんな薬になるだろう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
今話は、猫猫が左手を見ながら語るシーンが多くありました。
それも小指でしょうか。
小指には何も描かれていませんが、一体何があるのでしょうか?
時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
それと、芙蓉妃も大きな謎を残していきましたね。
芙蓉妃が踊っていたのは城壁。
城壁とは、猫猫が説明した通り、外部からの侵入と内部から逃げ出すのを防ぐための壁。
前半で猫猫が説明していたように──
城壁はぐるりと後宮を囲んでる。
出入りできるのは、東西南北、四方の城門のみ・・・。城門には常時見張りがいる上に、外には深い堀、脱走や侵入は不可能。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第3話
四方の城門にしか見張りがいないのは ── 城壁には見張りは必要ないという意味。
つまり、城壁は簡単に登れないということ。
では、一体全体、芙蓉妃は毎夜毎夜どうやって城壁に登っていたのでしょうか?
後宮の警備上の観点から言うと、踊っていたことより簡単に登れる城壁の方が一大事だと思いますが・・・(苦笑)。
原作では、猫猫も疑問に思っています。
実は一つだけ謎は残っていたのである。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
「どうやって登ったんだろう?」
猫猫は自分の四倍も高さのある壁を見上げ、首を傾げるのだった。
そのうち調べるか、と猫猫は高い塀の上を見た。
城壁の高さは猫猫の4倍。
か弱き姫がどうやって登ったのでしょうか?
「そのうち調べるか」とあるので期待したいですね(笑)。
芙蓉妃は、どうやって城壁に登ったのか?
もっと深掘り!
この中項目では、本編よりもっと深く考察を進めます。
根拠が曖昧で考察というより想像に近くなったり、時には(私の)妄想が入ることもあるので、その辺はご了承を(汗)。
ただ、当たっていると、ネタバレと同義になってしまうかも知れません。
少しでもネタバレの可能性があるなら読みたくない、という方は次項「おわりに」まで飛んでください。
ではでは、始めていきますよ~~。
さて、久しぶりの「もっと深掘り!」超考察コーナーです(笑)。
確かになんか久しぶり~~
本作の前の『天国大魔境』で書いてから4ヶ月ぶりくらいかな
すみません。
「もっと深掘り」とか「超考察」と言っても、『薬屋のひとりごと』各話レビューから読んで頂いた方には何のことだか分からないですよね。
原作未読作品の考察を本文でもしていますが、作品の根幹に関わることを「もっと深掘り!」と題して切り分けて記載しています。
私は原作未読なので、その考察が当たっているかどうか分かりません。
ただ、根本に関わるだけに、当たっているとネタバレになってしまうし、外れていたとしても変な先入観を与えてしまうかもしれません。
なので、章を別立てして記載。
気にされる方(読みたくない方)は本章を飛ばせるようにしています。
では、いきますよ~~
壬氏はもしかして・・・
先に書いたように、今回の芙蓉妃と武官の恋が成就したのは、裏で壬氏が糸を引いていたからだと思います。
コミックにヒントもありますしね。
ただ、なんだか引っかかるんですよねー
自分で書いておいて何ですが・・・。
もし壬氏が仕組んだのだとすると──芙蓉妃の夢遊病に目星が付いていたはず。
いや。
そもそも事情を知っているのだから、芙蓉妃に直接尋ねれば良いのです!
なのに、調査をさせた?
私には良からぬ仮説が頭に浮かんできました・・・。
まさかとは思いますが、壬氏は、帝に逆らっているのではないでしょうか。
嫌っているとか、転覆を狙っているとまでは言いません。
帝のやり方の一部に反対している程度です。
では、なぜそれが猫猫に調査させたことに繋がるのか?
帝のやり方、考え方に逆らうのは、死罪も当然。
慎重に慎重を期さねばなりません。
猫猫が今回の事件を調査して、真実を突き止められなければ問題なし。
猫猫が分からなければ誰にも見抜かれない、と考えたのではないでしょうか。
そう考えると、猫猫の報告を聞いて、壬氏と高順がうなずき合っていたのも怪しく見えてしまいます(苦笑)。
そういや、昼に芙蓉妃を観察していたとき、高順が意味ありげに猫猫を見ていましたね。
なんだか、キナ臭くなってきましたよ~~
と、ここまでが、悪い仮説です(笑)。
次は、良い仮説を紹介しましょう!
なんだ~~驚かさないでよ!!
ごめんごめん。でもなくはないと思ったでしょ?
うーそれは・・・
もしかしてパート2
もう一つ考えられるのが、猫猫を試している。
え?
そんなの前話でやっただろうって?
はい。
確かに、催淫剤入り包子で実力を試し、媚薬を作ってもらいました。(2話 )
でも、それは薬師としての腕前を試しただけです。
今回は、猫猫の人間性を試したのではないでしょうか・・・。
どういうことか。
今回の芙蓉妃と武官の企みは、帝にバレると恐らく死罪でしょう。
幽霊騒動に興味本位で首を突っ込み、真実を突き止めたからと言って得意げに明かせば、二人の人生どころか命すら断たれかねません。
誰かの人生や命がかかった謎に対して、猫猫がどのような判断をするのか試したのではないでしょうか。
結果、猫猫は二人に不利になるようなことは話しませんでした。
玉葉妃に詰め寄られて話してしまったのは致し方なしですね。
ノーカウントだと思います(笑)。
このことに対して、壬氏と高順は頷き合ったのではないでしょうか。
猫猫は人間的にも信頼できる。
青臭い正義感ではなく、優しく素晴らしい価値観を持っていると確認できたのです。
まあ、こんな確認の仕方をするなんて、かなり意地が悪いと思いますが(苦笑)。
それだけ後宮とは危険な所。
表面上は問題なくても、頭の中では何を考えているのか分からない、厄介な所なのではないでしょうか。
おお!そうだよ、こっちだよ!
きっとこっちに違いない!
そうだといいね~~
おわりに (『薬屋のひとりごと』3話とは)
今話は、薬や毒の出番がなく、真実も公では明かされませんでした。
なるほど『薬屋のひとりごと』は、こんな展開もあるのです。
原作を読むと改めて分かりますが、今話はとても丁寧にアニメ化されています。
コミックで言うと1話分。
#コミック1話、2話は今回アニメ化された3話よりも長いです
原作に至っては、2話分しか進んでません。
アニメ1話は、5話分。
アニメ2話は、4話分。
今話は特にゆっくりなペースでアニメ化されたのです。
アニメの1話、2話には、メインストーリーもありましたが、3話に繋がるシーンも──
武官が武勲を立てる村での毒騒動は1話ラスト。
壬氏が猫猫に媚薬を頼んだのは2話。
3話一挙放送したのは、この辺の繋がりを見せる意味もあったのかもしれないですね。
それだけ丁寧に3話を仕上げてきたのです。
次話からは通常の毎週放送。
どんな猫猫が見られるか楽しみです。
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第3話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
4話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 03-03 芙蓉妃は、どうやって城壁に登ったのか?
残っている疑問
- 疑問 02-01 後宮管理者の壬氏が、なぜ後宮の外まで判断を求められる?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 3話
— 時文@ここアニ(薬屋・シャンフロレビュー中) (@toki23_a) October 28, 2023
運命に翻弄されながらも忘れられない幼馴染み
一つ間違えれば不敬でも想わずにはいられない
帝の機嫌損ねず祖国に不利益与えない
取った作戦ナローパス & 2年間実行!?
踊ってる姿が美しく見えたのは
愛する人を想っていたから
鳥籠に囚われた姫の合法的脱出物語。上手い😆
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