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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第23話「鳳仙花と片喰」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
2巻 19話「爪紅」序盤~20話「鳳仙花と片喰」中盤まで
- コミック
-
7巻 28話「爪紅」序盤~29話「鳳仙花と片喰」中盤まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第13話 | 外廷勤務 | 4巻 | 2巻 |
第14話 | 新しい淑妃 | ||
第15話 | 鱠 | ||
5巻 | |||
第16話 | 鉛 | ||
第17話 | 街歩き | ||
第18話 | 羅漢 | ||
第19話 | 偶然か必然か | ||
6巻 | |||
第20話 | 曼荼羅華 | ||
第21話 | 身請け作戦 | ||
第22話 | 青い薔薇 | 7巻 | |
第23話 | 鳳仙花と片喰 | ||
第24話 | |||
8巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
羅漢に象棋対決を挑む猫猫。
壬氏と高順が見守る中、猫猫は自身の身、羅漢には妓女の身請けを賭けさせ、さらに2つのルールを追加した勝負が始まる・・・。
勝負に負けて、試合に勝つ。
負け戦はしない、段取り八分仕事二分、勝負は戦う前に決していた!?
象棋勝負と見せかけ、実は大酒対決。
酒は百薬の長。
少量であれば薬になるが、大量に飲めば毒となる。
確かに、猫猫さん嘘は言っていません(笑)。
でも、下戸に強い酒は有毒。
ましてや、ただでさえ強い酒にアルコールを入れれば・・・。
酔い潰されてしまった羅漢。
「一泡吹かせる」どころか、卒倒させる!?
まんまと「一杯食わせた」のです。
明らかになる、羅漢と緑青館の馴染みの女の過去。
お互い家(妓楼)のしがらみに縛られる羅漢と鳳仙。
男と女は、一手間違うと交わらぬことも・・・。
さて、猫猫が羅漢に賭けさせた「妓女の身請け」の狙いは?
それと・・・壬氏様、解説役ありがとうございます。
とても、分かりやすかったです(笑)。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第23話「鳳仙花と片喰」
爪紅
青い薔薇を完成させた猫猫は、ついに実の父・羅漢と対峙することに。軍師であり象棋も得意な羅漢に、猫猫は条件付きの象棋の勝負を申し込む。
無感情
前話ラスト、あれほど避けていた羅漢に自ら姿を見せた猫猫。
猫猫は、羅漢の顔どころか名前すら聞きたくなかったはず。
それほど憎悪があったのに、会っても平気なのでしょうか?
その答えは、前話ラスト羅漢の前に現れた猫猫の表情ですね。
羅漢を見る猫猫の目が、空虚というか、少し怖いくらいでした(苦笑)。
原作では ──
小さく貧相だがしたたかな、片喰のような娘である。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
がらんどうの目をこちらに向けていた。
「がらんどうの目」と描写されています。
「がらんどう」とは、中身のない様子のこと。
「がらんどうの目」とは、空っぽ、虚無、無感情、という感じでしょうか。
考えてみれば ──
久しぶり?どころか下手すりゃ初めての親子の会話?
世間話や相手の体調を気遣う様子はないのは、”らしい”としても ──
憎まれ口を叩くでもなく、猫猫はいきなり本題に入っています。
お相手できないでしょうか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
原作によると ──
「お相手できないでしょうか」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
将棋の駒を掴み、棒読みで娘がたずねてくる。
何の感情も込めず、棒読みで話しています。
必要最低限の会話で事を進め ──
まるで、さっさと片付けたいという感じで猫猫は対応していたのです。
原作でも、壬氏視点の心情描写で現されています。
軍師殿を誘い出し、猫猫は将棋の駒を並べている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
その顔に、感情という文字はなく、普段の無愛想のほうがまだ人間じみていた。
普段の無愛想の方が人間らしいと思うほど、猫猫は無感情だったのです。
なんか怖い・・・
感情がないって、かえって怖いよね(苦笑)
原作(壬氏)によると ──
猫猫の無表情は続き、追加ルール、毒入り酒の話をする頃に少し楽しげな表情になったと感じています。
その辺を分かった上で、アニメを再鑑賞するのも面白いですよ。
象棋
勝負は変則なしの5局勝負。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
つまり3勝したほうが勝ちです。
猫猫が羅漢に挑むのは象棋。
象棋は、現代でも中国やベトナムで楽しまれているゲームです。
羅漢は碁と象棋が得意で、特に象棋が強く負け知らずと言っていいほど。
猫猫は、象棋が得意でも、練習している様子もありませんでした。
そんな状況で、賭け象棋!?
勝てる見込みはないのに、一体何を考えているのでしょうか・・・。
賭けの褒美
羅漢:私が勝てば、うちの子になってくれるね。
- 中略 -
猫猫:構いません。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
猫猫は、負ければ羅漢の子になるという。
元々血は繋がっているようなので、ここで言っている「うちの子」とは、正式に親子になる、身請けする、養子になるという感じでしょうか。
ですが、雇用中の身ですので、年季が明けた後になりますが。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
身請けや養子になるのは、雇用中であってもできるはずです。
雇用中だとできず、雇用が明けた後でないと実行できない ──
「うちの子」とは、一緒に住むという意味かもしれないですね。
ミニアニメでも、「羅漢の所に行くのは・・・」という表現をしています。
その代わり、私が勝てば ──
緑青館の妓女を1人、身請けしてもらえないでしょうか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
猫猫の狙いは、緑青館の妓女の身請け!?
これは、予想外!
羅漢の要求は想定通りどころかど真ん中でしたが、猫猫の要求は予想外!
てっきり、猫猫は、羅漢に「これ以上、自分に付きまとうな」的な要求をするのだと思っていました。
緑青館の妓女とは、一体誰のことを言っているのでしょう?
誰とは言いませんが ──
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
やり手婆が年頃の妓女を片付けたがっていますので。
え!?
やり手婆が片付けたがっている妓女って・・・三姫のこと!?
確かに、梅梅はこの変人に好意を寄せているような感じでした。(18話 )
猫猫は、梅梅姐ちゃんのために一肌脱いだ!?
いや、それはあまりに唐突すぎます。
羅漢に梅梅を当てれば、猫猫への関心が薄れる?
梅梅は魅力的ですから、その可能性はないとは言い切れません・・・。
が、羅漢の興味を猫猫から逸らすには、もっと適材な元妓女がいるような・・・。
と ──
猫猫は、母親を(本人が望んでいないのに)売るような非道をするのかと思いましたが・・・Bパートを見ると、羅漢と鳳仙は相思相愛。
鳳仙は梅毒で命はあと僅か。
短い命の母親を元鞘へ収める手助けをしようとしている、と考えるのは短絡的でしょうか・・・。
そもそも、羅漢は、鳳仙がまだ生きていて、緑青館の離れにいるのを知っているのでしょうか・・・。
賭け対象にした「妓女の身請け」の狙いは?
勝負に負けて試合に勝つ
また負けた。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
これで2連敗だ・・・。
象棋勝負は、たちどころに羅漢に2連勝され、後がない猫猫。
象棋は、取った駒を再利用できないので、将棋ほど時間はかかりません。
羅漢の方が圧倒的に強かったので、アッと言う間に決着が着いたのではないでしょうか。
次のセリフの直後 ──
象棋で負けなしの軍師殿に挑むのだから、多少は心得があるのかと思いきや・・・。
ルールを知っている程度で、実戦の経験はないようだ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
壬氏は、何か言いたげに高順を見ました。
壬氏は、この時 ──
さて、賭けに負けたあとのことを考えようと、高順と顔を見合わせていると、
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「王手です」
と声が聞こえた。
猫猫が負けた後のこと考えていたのです。
羅漢に猫猫を奪われないよう、今のうちに何か手が打てないか考えていたのかもしれないですね。
ところが、羅漢はわざと負けて、猫猫に勝ちを譲りました。
これは、猫猫に万が一でも3杯目の毒入り酒を飲ませたくないからですね。
間違っても娘に毒を勧めるわけにはいかんからね。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
3勝すれば勝ちなので、負けた方は3回酒を飲むことになります。
毒入り酒は5つの内、3つ。
羅漢が毒入り酒を1つでも飲めば、猫猫が3杯飲むことはないのです。
ところが、羅漢は1杯飲んだだけで、倒れてしまいました。
── これは一体!?
── 1杯では問題ない薬なのだろう?
── いくら憎らしいからといって本当に毒を盛るなんて・・・。薬ですよ。
酒は百薬の長と言いますから。── 壬氏様、酔っているだけのようです。
下戸なんですよ、この人。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
羅漢は、蒸留酒1杯で酔い潰れてしまったのです・・・。
さて、猫猫は羅漢に何を仕掛けたのでしょうか?
それにしても、壬氏様はやさしいですね。
あれほど憎たらしいと思っている羅漢なのに、倒れたら、あの慌てよう(笑)。
確かに! いい人!
こういう時って、その人の素が出るんだよね~~
下戸に強い酒
── 壬氏様、酔っているだけのようです。
下戸なんですよ、この人。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
猫猫が仕掛けたのは ──
下戸の羅漢に強い酒を飲ませて酔い潰し、試合を放棄(=負け)させること。
まず、猫猫は強い酒を準備します。
においからして、きつめの蒸留酒か。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
「きつめの蒸留酒」。
蒸留酒とは、アルコール度数の高い酒(焼酎、ウォッカ、ウイスキー等)のこと。
前話 ──
高順様、頼んでいたものは?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第22話
── ええ、言われたとおりに。
高順に頼んでいたのは、この蒸留酒だったのです。
原作では ──
猫猫は高順にあらかじめ用意させていた酒瓶を取り出した。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
と描写されています。
その上 ──
── では、さっき入れた液体は?
アルコールです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
ただでさえ強い蒸留酒に、アルコールを入れてアルコール度数を上げたのです。
ここは、原作とは違います。
原作では ──
それにほんの少し、吸収をよくする塩と砂糖を混ぜたものを入れております、と。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
塩と砂糖を入れて、体内にアルコールの吸収を促進させています。
それで、下戸である羅漢は、たった1杯飲んだだけで倒れてしまったのです。
美味しそうに飲んだのは演技!?
では、なぜ羅漢は下戸なのに強い酒を飲んだのでしょうか?
もちろん、猫猫に毒入り酒の3杯目を飲ませないためです。
が、ここで言っているのは ──
少しでも飲めば倒れると分かっていたのに、なぜ飲んだのか?という疑問です。
それは、原作にとても納得感ある説明がありました。
羅漢が緑青館で目覚めた時 ──
「私とてこうなるつもりはなかったよ」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
あまり勢いよく娘が飲むものだから、それほど強い酒ではないと思っていたのに。
羅漢に酒の種類はわからない。
一口飲んだだけで、喉が焼けるような熱さだった。
下戸の羅漢に酒の種類は分かりませんでした。
いや、羅漢は興味ないことに、まったく知識がなさそうです(苦笑)。
なので、壬氏のように、においだけで「強い蒸留酒」なんて分からなかったのです。
その上 ──
猫猫があまりに美味しそうに・・・ではなく(笑)。
軽く飲んでいたので、強い酒だと思わなかったのです。
つまり ──
ペナルティの酒は、それほど強い酒ではない。
ならば、下戸の自分でも1、2杯は大丈夫だろうと判断したのです。
猫猫は、羅漢を騙すために、罰ゲームの酒を美味しそうに飲んでいたのです!
猫猫女優だね~~
演技じゃなくて素だと思うよ(苦笑)
あ、やっぱりそうだよね(苦笑)
追加ルール
では、そのような状況に追い込んだ猫猫の作戦を見ていきましょう。
── ハンデはどうする? どの駒を落とそうか?
必要ありません。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
猫猫の作戦はこのとき既に始まっています。
えっ、この時から!?
明らかに格上の羅漢に対して、ハンデを受け取らず、その後の(本命である)追加ルールを受け入れさせる土台を作っているのです。
かわいい娘に、いいところを見せたい父親心を突いたのでは?
なるほど・・・
そうして ──
羅漢が毒入り(実際はアルコール入り)酒を絶対に飲まなくてはいけない状況になる追加ルールを認めさせたのです。
少しなら薬です、三口も飲めば猛毒になりますけど。
小瓶の液体を3つの杯に入れて、どれに入れたか分からないようにします。勝負1回ごとに勝った方が1つ選び、負けた方がそれを一息に飲む。
これが1つ目のルールです。そして、2つ目は、たとえどんな理由があろうとも、試合を放棄したら負けということでお願いします。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
猫猫が提示した追加ルールは2つ。
負けた方が、三回飲めば猛毒になる薬が5杯のうち3杯に入った酒を飲む。
どんな理由があっても、試合を放棄したら負け。
一見、命を賭けた戦いに見えます。
現に、壬氏も「揺さぶり」と捉えています。
これは揺さぶりか?
確かに普通の相手なら、ひるむかもしれない。しかし・・・相手は奇人と言われる軍師殿である。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
ただの揺さぶりで心乱れるとは思えない。
確かに、羅漢は、こんなことで心乱れませんでした。
死を恐れていない、というより、負けなければ何の問題もないと考えたのでしょう。
でも、追加ルールは、同時に羅漢に足かせを嵌めたのです。
羅漢にとって最愛の娘である、猫猫を死なせるわけにいかない。
象棋勝負で、猫猫に勝つのは簡単。
ですが、猫猫に毒を3回飲ませずに勝たなければならない状況にしたのです。
羅漢の願いは、猫猫に娘になってもらうこと。
賭けに勝っても、猫猫が死んでしまっては元も子もありません。
猫猫を死なせない(毒を3回飲ませない)ためには、毒入り酒を1杯でいいから自分が飲めば良い。
猫猫は、羅漢がそのような行動をする状況に誘い込んだのです。
なぜ軍師ともあろう羅漢が、羅漢に酒を飲ますことが狙いだと気付かなかったでしょうか?
それは、羅漢が ──
猫猫のことだから羅漢の娘になる位なら死んだ方がマシ、と考えていると捉えたのではないでしょうか。
猫猫は、死を恐れていないような達観した印象があります。
(確かに淡泊なところありますが、実際はそんなことないのですけどね(笑))
賭けに負けて生き恥をさらすくらいなら、潔く死ぬ。
まさに、Bパートで出てくる片喰ですね。
片喰って、どういう意味?
触ると実が弾けてしまう感じを現したんだと思う
おおっ確かに猫猫みたい!
この子なら、やりかねない。
2つ目の「試合を放棄したら負け」は、猫猫が3敗して毒を飲むのを、羅漢が止めてしまうことを狙ったルールではないか、と。
羅漢に、追加ルールの真の目的(毒入り酒を飲ませる)を見誤らさせたのです。
下戸のことと言い、猫猫さん、名前も聞きたくなかった人の性格を、とてもよく理解していますね(笑)。
負け前提
これで2連敗だ。
象棋で負けなしの軍師殿に挑むのだから、多少は心得があるのかと思いきや・・・。ルールを知っている程度で、実戦の経験はないようだ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
あの羅漢に象棋勝負を挑むのです。
私も、猫猫は少しくらい自信があるのかと思っていました(苦笑)。
ここまで、猫猫が象棋をしている様子は描かれていませんが・・・。
Bパートで描かれたように離れにいる女は猫猫の生みの親。
羅漢ともいい勝負をするほどの碁と象棋の腕前。
ならば、猫猫は、物心ついた頃から象棋をやっていた・・・。
なんて設定が出てくると思ってた!!
ああ、よくあるパターンだね
実際は、基本ルールを知っている程度で実戦の経験がない!?
つまり、象棋そのものは負け前提だったのです。
となると肝は、追加の2つのルール。
猫猫が勝つには、羅漢に試合放棄させるしかありません。
となると、先に書いたように、猫猫の狙いは ──
猫猫に毒入り酒を3杯飲ませないよう、羅漢が棄権すること。
案の定、壬氏は心配します。
もし既に飲んだ2杯が毒入りだとすると、3杯目を飲むのは危険すぎる。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
実際、5杯のうち3杯に毒が入っている場合、3回連続で毒を飲む確率は10%です。
最初に毒を飲む確率は35、2回目からは1杯ずつ減るので ──
1杯目が毒入りの確率 ── 35
2杯目が毒入りの確率 ── 24
3杯目が毒入りの確率 ── 13
故に、35 × 24 × 13 = 660 = 110
たとえ、たったの10%の確率でも、羅漢は見過ごせなかったのです。
壬氏も心配していますが、同時にこんなことも考えています ──
正直言えば、猫猫ならば毒にあたったところで問題がなさそうだと思えるのが怖い。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
猫猫ならば、毒を飲んでも大丈夫ではないかと(苦笑)。
壬氏様、ひどい…
まあ、猫猫はこれまで散々毒を飲んでるからね(苦笑)
── お情けでも勝ちは勝ちということでいいですね?
ああ。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
間違っても娘に毒を勧めるわけにはいかんからね。
毒は3回飲まなければ薬なので、1回であれば問題なし。
ならば、羅漢が1杯でも毒入り酒を飲めば、猫猫が3回飲むことは避けられます。
そこで、羅漢はわざと負けて、酒を飲むことにしたのです。
もし、羅漢が飲んだ酒が毒(アルコール)入りでなかった場合・・・。
恐らく、羅漢はもう一度わざと負けたでしょう。
もし、2回飲んで毒ではなかったら・・・。
そんなパターンは一つしかなく、確率で言うと10%です。
羅漢が1杯でも毒入り酒を飲めば勝ち。
3回目と4回目に毒入りを飲む確率は90%。
羅漢は下戸なので、アルコール入りの酒を1杯飲ませれば潰せる(=試合放棄)。
この勝負、90%の確率で猫猫が勝てるようになっていたのです。
おお、90%なら絶対勝てるじゃん!
もし、万が一、そのわずか10%の確率で、最後に毒が残ってしまったら・・・。
私は、羅漢は賭けに破れると分かっていても、わざと負けたと思います。
娘の命に比べれば、妓女の身請けなど造作もない。
羅漢は、そう考えるのではないでしょうか。
はい、羅漢は、こと猫猫に関しては猫かわいがり(笑)。
娘最優先、娘ファーストなのです。
それともう一つ考えられるのは ──
毒(アルコール)入りでなくても、強い蒸留酒であれば、次のゲームをしている最中に酔いが回ってくると考えたのかもしれませんね。
いずれにせよ、猫猫の勝ちは100%保証されていたのです。
だからこそ、猫猫は羅漢に姿を挑んだのではないでしょうか。
猫猫は、負ける勝負はしません。
どれも引き受けるときは勝算があって受けています。
だからこそ青薔薇の時は悔しがった…
開花させる自信があったということか!
羅漢の性格を読んだ、猫猫の作戦勝ち。
羅漢は、猫猫の性格と酒に異常に強いことを知らなかったのが敗因です。
猫猫は、毒だけでなく酒にも強いです。
2話で、猫猫が媚薬を作った際 ──
酒や刺激物になれていると、効き目はそれほどありません。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第2話
この時、原作で ──
「酒や刺激物に慣れていると、効き目はそれほどありません」
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
実験に使った毒蛇を酒に漬けて飲んでいたので、猫猫は酒豪だった。
※ルビは原作通り
猫猫は、酒を水のように飲むザルだと描写されています。
「酒豪」と書いて「ざる」と読ませているのが面白い
羅漢が、毒入り酒を一杯でも飲めば、猫猫の勝ち。
この勝負は、象棋勝負ではなく、(どちらがアルコールに強いか)大酒勝負だったのです。
いや、猫猫から見れば、自分に有利な戦い(ルール)に持っていたのがポイント。
あっさり勝ったように見えますが、実は相手の性格を読んで絶対に逃れられない巧妙な罠を仕掛けた心理戦だったのです。
お見事!
まあ、とは言え、羅漢にしては読みが甘かったと思います。
私は、こう解釈しています。
猫猫との象棋勝負、羅漢は別に負けても良いと考えていたのではないでしょうか。
勝ちたいと思っていただろうし、勝つつもりでいたでしょう。
チャンスは今回しかない、とか、今回絶対勝たなくては後がないほど切羽詰まってはいない、という意味です。
理由は、負けても「妓女の身請け」だったからです。
これが、もう二度と猫猫の前に姿を現すな、縁を切る、と言った賭けだったら、羅漢も慎重になったでしょう。
妓女の身請けはピンキリですが、三姫だとして銀貨1万~2万。
今の羅漢にとっては、それくらい娘と時間を共有できると思えば安いもの。
なんて、考えていたのではないでしょうか。
だから、明らかに何か仕掛けがあるだろう追加ルールを受けたと私は解釈しました。
はい。
羅漢は、猫猫の前では、ただの親バカなのです(笑)。
原) 仕方なく治療?
下戸なんですよ、この人。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
羅漢を酔い潰した猫猫。
猫猫は、すぐさま水を飲ませて治療をします。
憎いとは言え、さすがに高位な方に何かあってはマズいと思ったのでしょうか(苦笑)。
原作を読むと、まったく違うことが分かりました(苦笑)。
「ええ、薬ですよ」
猫猫は心底、面倒臭そうに言った。脇に置いていた水差しを取ると、羅漢と高順のもとに近づいた。
眼を無理やり開けて羅漢が昏睡状態になっていないことを確認すると、水差しをそのまま口に突っ込み水をぐびぐび流し込む。かなり乱暴な手付きである。- 中略 -
猫猫は、とりあえずやっときますか、という程度のやる気のない看病をしていた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
一応は薬師という職業柄、やってしまうらしい。
薬師という職業柄、倒れた人を放ってはおけないのです。
なので、仕方なく最低限の処置を施していたのです(苦笑)。
職業病だね(苦笑)
まあ、昏睡状態になっていないので急性アルコール中毒ではなく、ただ酔い潰れただけですね。
猫猫のことです、命に別状はないよう、アルコールも調整していたのでしょう(笑)。
酔い潰れるのは想定の範囲内なのです。
そういえば、いつもジュースばかりで酒を飲むのは見たことがないな。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
壬氏の所に来ては、いつも飲んでいたのは果実水。
いや、てっきりそれは昼間だからだと思っていました。
さすがの変人軍師も仕事中に酒は飲まないだろう、と(笑)。
鳳仙花と片喰
羅漢は、アルコール入りの強い蒸留酒を飲み気を失い、古い記憶を思い出していた・・・。
相貌失認
産まれた時から人間の区別がつかなかった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
乳母と母を間違えるどころか、男女の区別もつかなかった。
羅漢は、人の顔の区別ができない先天性の病気だったのです。
そのせいで、父は他の女に走り、母も父を取り戻すのに必死。
結果、名家の長男でありながら、自由に生きることができ、碁と象棋にかまけることができたのです。
出世は家柄のおかげ
成長してからは武の才はないのに、家柄のおかげでいきなり長を任された。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
謎が一つ解けました。
羅漢は、軍師。
人を見る目があり、軍師の才能があるのは分かります。
ですが、武に優れている風でもなく、それどころか文官のようなヒョロッとした感じでした。
それなのに、どうやって軍師にまで上り詰めたのだろうと不思議でした(笑)。
何のことはない、家柄のおかげで下積みを経ずに長を任されていたのです。
納得です(笑)。
鳳仙との出会い
女の名は鳳仙。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
妓楼で負けなしの妓女と、軍部で負けなしの自分。
どちらが負けても観客は面白いことであろう。
興味がないのに付き合いで行った妓楼で、羅漢はある妓女と碁対決。
羅漢は軍部で負けなしなのに負けてしまいます、それも圧倒的に・・・。
羅漢は、完敗したのに、なぜ笑い出したのでしょうか?
その理由は、原作を読むと分かりました。
所詮は井の中の蛙。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
そんなことを考えていた自分をぶった切るかのように、鳳仙は自分を負かした。白石を持ったとはいえ、 後攻 であったとはいえ、その陣地の差は圧倒的なものであった。優雅な爪紅を付けた指は、見事、相手の鼻っ柱を叩き折ったのである。
負けたのはいつ以来だったろうか、くやしさよりもその容赦ない切り口にすがすがしささえ覚える。自分が侮っていたのが、気に食わなかったのだろう。一言も語らず、仕草すら素っ気ない様子からわかる。
羅漢が鳳仙を侮っていたのを見透かし、鳳仙は容赦なく羅漢の鼻っ柱を折ったのです。
あまりに容赦ない切り口に、すがすがしさを覚え、負けた悔しさを忘れ、笑ってしまったのです。
妓楼で負けなしなど、どうせ「井の中の蛙」と、高をくくっていた羅漢。
「井の中の蛙」は、羅漢の方だったのです。
あまりに鮮やかで、容赦ない切り口で羅漢を叩きのめした鳳仙。
ふと、妓女の顔を見ると、いつもの白い碁石ではなく、顔が見えたのです・・・。
人とは、こういう顔をしているのか。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
人の顔を初めて見た羅漢。
鳳仙が特別なのか、碁で羅漢に勝ったので羅漢の中で何か変わったのか・・・。
理由は分かりませんが、母親の顔すら分からなかった羅漢が ──
産まれて初めて、人の顔を認識できたのです。
さぞかし、鳳仙が特別に見えたことでしょうね。
母はいないのではなかった
母はおりません。
by 鳳仙『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
私を産んだ女ならいますが、花街では妓女は母になれませんので。
「花街では、妓女は母になれぬ」。
以前、猫猫はこんなことを言っていました。
母親はいない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第13話
でも優しいオヤジと、うるさい婆、賑やかな姐ちゃん達が沢山いる。
離れに伏せている女が意味ありげに描かれているのに「母親はいない」と言い切っていたので、きっと猫猫は母親と何かあったのだと思っていました。(13話 )
花街では妓女は母になれないので、妓女から産まれた子どもは自分を産んだ人を「母」と言えなかったのです。
猫猫本人だけでなく、周囲も二人の関係を腫れ物を触るような感じでした。
それで、ミスリードされてしまいましたが、単に母になれないという意味だったのです。
決して、猫猫は母親を恨むとか、縁を切っていたのではなかったのです。
男と女
たまには賭けをしませんか?
あなたが勝てたら、好きなものを与えましょう。
by 鳳仙『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
私が勝てたら、好きなものをいただきましょう。
羅漢に賭けを持ちかける鳳仙。
様子から見て、羅漢と賭けをするのは初めてでしょう。
お好きな盤を選んでください。
by 鳳仙『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
目の前にあるのは象棋と碁。
碁は、羅漢の方が分が悪い。
羅漢が勝つなら、象棋。
でも選んだのは ──
ふと悪いことが頭をよぎった。
── 碁でよろしいですね?
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
鳳仙の方が強い碁。
これはどういう意味でしょうか。
「ふと悪いことが頭をよぎった」とは何のことでしょうか。
アニメ鑑賞時 ──
羅漢は、鳳仙の願いを叶えさせたいと考え、碁を選択したのだと思っていました。
が、原作を読んで少し考えが変わりました。
妓女の価値がどうこういうより、ただ、 競り合う相手が気に食わないと値を吊り上げているらしかった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
武官として出世したものの、異母弟にあと継ぎの立場を奪われた自分には、到底太刀打ちできる額ではない。
どうしたらよいか。
ふと、悪いことが頭をよぎったが、それは即座に打ち消した。
やってはならぬことだった。
原作では ──
「ふと悪いことが頭をよぎった」のは、鳳仙に賭けを持ちかけられた時ではなく、身請け話を聞いた時だったのです。
そして、その考えは、やってはならぬ事だと、すぐさま打ち消しています。
(原作では)その後緑青館へ行き、そこで鳳仙から賭けを提案されます。
にも関わらず、アニメでは ──
ふと悪いことが頭をよぎった。
── 碁でよろしいですね?
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
「ふと悪いことが頭をよぎった」を、ここで出しています。
二つを掛け合わせて、アニメの描写を私はこう解釈します。
鳳仙の身請け話は聞いているが、とてもじゃないが手が出せる額ではなかった。
そんな折、鳳仙から勝てば「好きなモノを与える」賭けを持ちかけられ、羅漢の頭に「ふと悪いこと(妓女の価値を下げる方法)」が浮かんだが、即座に打ち消した。
悪い考えを打ち消した ──
やってはならないと考え、鳳仙が有利な碁を選んだのではないでしょうか。
象棋を選べば勝ってしまう。
勝つと、自分の欲望のまま「悪いこと」をしてしまう。
だから、勝てない(自分が不利な)碁を選んだのです。
ところが・・・。
鳳仙から見たら、碁は自分が有利。
羅漢が碁を選んだのは、鳳仙の願いを聞くと言っているのと同意。
なので、勝負を始める前に禿を退出させ、勝敗が付く前に ──
気付けば手が重なっていた。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
羅漢の選択は、返って一線を越えさせるキッカケになってしまったのです・・・。
えっ、じゃあ羅漢は悪くないんじゃ…
うん、仕掛けたのは鳳仙だね
はい、このように考えていくと、仕掛けたのは鳳仙です。
禿を下げたことからも明白ですね。
大体、この時の羅漢に、そんな度胸も甲斐性もありません(苦笑)。
でも、だからと言って羅漢に全く非がないわけでもありません。
羅漢は状況を分かっていたはずですから、手を出さなければ良いのです。
誘惑に負けてしまったのです。
とはいえ、鳳仙を好きならば、こんな状況で断れないだろうな…
誘惑に勝てないと分かっているなら、賭けを受けなければ良かったのです。
鳳仙の考え(賭けの対象)を読んでいたなら、あるいは、流れに身を任せたのなら・・・。
ある意味、羅漢は被害者と言えますが。
(道義的には)羅漢に全く責任がないとは言えないのです。
羅門
その3ヶ月後、優秀だった叔父貴が失脚した。
── 後宮の医官になったと思ったら、追放だと? 一族の面汚しだ!
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
追放された後宮の医官とくれば、オヤジこと羅門のことですね。
正直、驚きも何もありませんでした。
えっそうなの?
ようやく明らかにされたか、という感じ(笑)
理由は、名前です。
「羅門」と「羅漢」。
二人に「羅」という文字が入っていたので、関係があるのだと思っていました(笑)。
「羅門」と「羅漢」は同じ一族だったのです。
そう言えば、猫猫が外廷勤めになった時、オヤジが顔を曇らせていました。(13話 )
その理由も見えてきます。
オヤジは、羅漢と親戚で、猫猫を引き取りたいと願っているのも知っている。
羅漢が軍師となり外廷にいることを知っていたから、猫猫を近づけるのを不安に思っていたのではないでしょうか。
不運
身請け話が破談になったと鳳仙から文があり、私も半年ほどで戻れるだろうと高をくくっていた。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
羅門と仲が良かったので、しばらく宮廷を離れろと父親から命令された羅漢。
原作によると ──
家にまで害は及ばなかったものの、叔父の影響を受けた自分が疎ましかったらしく、遊説を命じ、しばらく帰ってくるなと言われた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
羅漢が、羅門の影響を受けていたので、疎ましく思っていたと言うのです。
疎ましく思っていたということは、羅漢の父は、羅門を認めていたとも言えますね。
実力を認めていたからこそ、疎ましかったのです。
上司でもある父親の命令を断ることもできず。
その上、半年ほどで戻れると甘く見ていたので従ったのです。
むしろ、誤算だったのは、鳳仙の方でしょう。
先に書いたとおり、あの賭けを鳳仙が仕掛けたのなら ──
鳳仙自ら、つり上がった値を下げるために、妓女の価値を下げたのです。
なぜか?
羅漢でも、身請けができるように。
ところが、肝心の羅漢がいなくなってしまったのです・・・。
さて、ここで考えなくてはならないのは・・・。
子どもができたのは、誤算だったのでしょうか。
それとも、子どもも込みで、鳳仙の願いだったのでしょうか。
根拠はないので、あくまで私の想像になりますが ──
鳳仙は子どもができても良いとまで覚悟していたと思います。
いや、狙っていた感すらありますね(笑)。
鳳仙にとっては、妓楼での立場や生活などどうでもよく。
ただただ、羅漢と碁を打ち続けていたかった。
羅漢以外の男に身請けされるなど考えられなかった。
何より、(面白い)碁を打てない生活が想像できなかった・・・。
だけど、羅漢は、鳳仙の意図をくみ取れませんでした。
身請けが破断した鳳仙を迎えにいくどころか、気付きもしなかったのです。
二人とも男女関係には慣れてなく、似たもの同士。
羅漢の興味の対象は、将棋と碁。
そんな男に気付かせるには、もっと説明が必要だったのです。
そういや、どこぞの娘は、よく「言葉が足りない」って言われてたな…
まさに、親子じゃん!
バカな女。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「バカな女」とは、碁をやりたいが為に全てを捨てたことでしょうか。
羅漢に身請けしてもらうために妓女の価値を下げるのに取った手段のことでしょうか。
それとも、そもそも奇人変人の羅漢に惚れたことを「バカ」と言ったのでしょうか・・・。
指切り
まさか戻るのに3年もかかるとは思いもしなかった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
半年どころか、戻るのに3年もかかってしまった羅漢。
文を見て・・・、いや、巾着の中身を見て、ようやく鳳仙がどのような状況に陥っているか気付いたのです。
原作によると ──
見慣れた定型文がそこにあった。しかし、その文の隅には赤黒いしみのようなものが付いている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「見慣れた定型文」とあります。
妓女が客に送ってくる定型文・・・。
羅漢は、遊説する前に鳳仙の身請け破談は知っています。
ですが、通り一辺倒の手紙だったので、(半年くらい)放っておいても大丈夫だろうと思っていたのかもしれないですね。
でも、この手紙は血が付いていたので、引っかかったのです。
「指切り」は、(日本では)江戸時代の遊女が、男性に変わらぬ愛を誓って自らの小指の先を切断して渡したとされています。
酷い…なんでそんなことを…
本気度を示すのと、その人にしかないから誤魔化せないよね
鳳仙は、羅漢がいないとは知らず?
文では本気にしてもらえないと考え、指を送ったのです。
自分だけでなく、子どもの指と共に・・・。
猫猫の夢で描かれたのは、娘の小指の先を切り落とす場面だったのです。
てっきり、鳳仙が猫猫を(殺したいほど)憎んでいるのかと思っていました。
反対ですね。
鳳仙は、猫猫と共に、羅漢に愛を誓うと指切りしたのです。
それでも、いくつか辻褄が合わないことがありますよね。
その辺は、「もっと深掘り」で考察します。
それよりも、ここで覚えておかないといけない事は ──
文が開かれ、巾着の口が開けられていることです。
原作によると ──
その中の一通、なぜか開かれたあとのあるそれに目をやる。見慣れた定型文がそこにあった。しかし、その文の隅には赤黒いしみのようなものが付いている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
羅漢も、文と巾着が開かれていたことに気付いています。
一体、誰が何の為に開いたのでしょうか・・・。
羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
小指
ん?土くれ?いや、小枝か? しかも二つ?
あっ・・・違う、これは・・・。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
巾着に入っていたのは、二つの小指。
鳳仙と娘、つまり猫猫のものだったのです。
猫猫が、ときどき小指を気にしている理由がようやく分かりました。
猫猫は、欠けた小指を見ていたのです。
前話、爪紅を縫った指を見つめて、こんなことを言っていました。(22話 )
キレイに染めたところで・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第22話
これでもまともになったんだけど。
「これでもまともになった」とは ──
切り落とされた小指がある程度は治ってきたと言う意味だったのです。
乳幼児の指は、第一関節までであれば切断されても生えてきます。
だから、猫猫の小指も欠損はしていないのだと思われます。
原作では ──
薬と毒と水仕事で荒れた手は、左の小指の爪が奇妙な形に歪んでいた。赤く染めても、歪みは変わらない。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
これでもまともになったのである。
まだ、「爪が奇妙な形に歪んで」と描写されています。
羅漢と梅梅
── お目覚めですか?
梅梅。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
碁を打っていても、梅梅の顔は「白い碁石」にしか見えていないようです・・・。
梅梅の腕では、碁で羅漢には勝てないからでしょうか。
いや、猫猫は象棋が強くないので、碁や象棋の強い相手の顔が認識できるということではなさそうです・・・。
恐らく──
現時点、羅漢が顔を認識できるのは、鳳仙と猫猫の二人なのでしょう。
猫猫は愛する人の娘。
というだけでなく、顔が分かる数少ない人なのです。
だから、羅漢は猫猫に執着しているのかもしれないですね。
梅梅は昔、鳳仙のもとで禿をしていた。
梅梅とはよく遊んでやった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
筋がいいと褒めたら、もじもじしていた。
もじもじ?
ふむ、梅梅は、この頃から羅漢に好意を寄せていたのかもしれないですね。
羅漢は、全く気付いている様子がありませんが(爆)。
鳳仙のことと言い、羅漢鈍すぎ!
「この親にしてこの子あり」かな…
ん?
あっ、鈍いのは猫猫と同じだ!!
そういえば・・・。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
この時、羅漢は何に気付いたのでしょうか?
それは、原作にそれらしい文章がありました。
アニメでは意図的に伏せているので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
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あのとき、傍にいて下がらせた女童は確か梅梅じゃなかっただろうかと、思い出す。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
酔い潰れている間に思い出した、過去の記憶。
あの時にいた、禿も梅梅だったと思い出したのです。
原作では、あの時にいた禿は梅梅だったことが、ここで明かされます。
Netflixで字幕表示をさせている方は、禿のセリフに「梅梅」と出ていたので、そこで分かったかも知れませんね(笑)。
── 枯れた薔薇?
たとえ枯れたとしても、形を保つことができるんですね。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
枯れた青薔薇。
猫猫が、羅漢に象棋勝負を挑んだのは、園遊会直後。
あの時作った青い薔薇であれば、まだ枯れていないはず。
つまり、この青い薔薇は、別の誰かが作ったものです。
一体、誰が作って、誰に送ったのでしょうか?
全然、分からないですね~
なんかイヤな感じ~
猫猫が、羅漢に渡した「枯れた薔薇」は何?
羅漢と鳳仙
さて、最後に本筋に話を戻しておきましょう。
流れから言って、羅漢が身請けしたいのは娘・猫猫のようです。
では、羅漢は、鳳仙が生きているのを知っているのでしょうか?
知っていて猫猫を求めているのか、知らずに求めているのでしょうか・・・。
今話で分かったのは、羅漢の鳳仙への愛情は1ミリたりとも変わっていないこと。
羅漢は、鳳仙が死んだと思っているのではないでしょうか。
だからこそ、なんとしてでも忘れ形見の娘である猫猫を手に入れたい。
でも、なぜやり手婆は隠しているのでしょうか。
梅梅や猫猫も同様ですね。
これまでは、羅漢が加害者で、ムリヤリ鳳仙を孕ませたから守っているのだと思っていました。
でも、事実は逆。
鳳仙と羅漢は相思相愛だったのです。
周囲は真相を知らないのでしょうか?
それと、猫猫は、なぜここまで手の込んだことをして「妓女の身請け」を羅漢に受けさせたのでしょうか。
私は、今回の象棋勝負で、羅漢に「一泡吹かせた」とは思っていません。
だって、羅漢は賭けに負けたことを悔しがっていませんからね。
「妓女の身請け」「枯れた青い薔薇」は、一体何を意味するのでしょうか。
次話が楽しみです!
もっと深掘り!
この中項目では、本編よりもっと深く考察を進めます。
根拠が曖昧で考察というより想像に近くなったり、時には(私の)妄想が入ることもあるので、その辺はご了承を(汗)。
ただ、当たっていると、ネタバレと同義になってしまうかも知れません。
少しでもネタバレの可能性があるなら読みたくない、という方は次項「おわりに」まで飛んでください。
ではでは、始めていきますよ~~。
鳳仙って、もしかして…
薄々分かってはいましたが(笑)。
鳳仙が、猫猫の母親だと確定。
「母親はいない」のではなく、妓楼では「母親になれなかった」のです。
確かに、子どもがいる妓女なんて、客受けが悪いですよね(苦笑)。
そう考えていくと、禿は妓女の子どもが多いのかもしれないですね・・・。
あれ?
そういえば、鳳仙自身も・・・。
母はおりません。
by 鳳仙『薬屋のひとりごと』TVアニメ第23話
私を産んだ女ならいますが、花街では妓女は母になれませんので。
これって、鳳仙の母親も妓女ってことですね。
どこにいるのでしょうか?
長生きできる妓女は少ないと思うので、年齢からすると亡くなっているかもしれません。
が、もし生きているとしたら・・・。
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緑青館にいるとすると、年齢から該当者は一人しかいないような・・・。
「やり手婆」です。
やり手婆が鳳仙の生みの親!?
ならば、やり手婆は、猫猫の祖母!?
もし、やり手婆が鳳仙の母親だとすると ──
価値がない妓女を離れに住まわせているのも、猫猫の身を管理しているのも、腑に落ちます。
まあ、そうなると、実の孫を妓女に仕立て上げようとしていることになりますが(苦笑)。
まあ、あくまで私の想像なので、話35くらいで聞いておいてください(笑)。
それって、結構高い確率じゃ…
話半分って言う意味ね(苦笑)
毛嫌いされてたのは…
今話、明らかになった羅漢と鳳仙の関係。
それにより、鳳仙と猫猫の関係もそれほど悪くはなかったと推測できます。
#微妙な表現をしているのは「仲が良かった」と言い切るほど情報もない、という意味です。
でも、これまで気になる描写がされていましたよね。
離れに看病へ行くと ──
昔は毛嫌いされて追い出されたけど・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
嫌っていないのであれば、鳳仙が猫猫を追い出す必要はありません。
鳳仙が毛嫌いして追い出すとしたら誰でしょうか?
え?そんな人いたっけ?
今話、該当者が出てきたよ
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鳳仙が、あんな無茶をしてまで羅漢と一緒になりたかったのに、それを破談にしたのは・・・。
オヤジこと羅門(の後宮追放)ですね。
あっ! え!?
でも、なんでそんなこと知ってるの??
そうだよね。
鳳仙もそうだし、羅門もどうやって知ったのでしょう?
そこで気になるのが、羅漢の屋敷に残っていた文と巾着。
誰かが開いたような跡がありました。
羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
羅門は、羅漢の叔父です。
羅漢の屋敷で、この文を読んだのではないでしょうか・・・。
あっ!
羅門は頭も良く、勘も鋭いです。
鳳仙の文を読んで、自分の失脚が原因で、二人の仲を裂いてしまったと気付いたのではないでしょうか。
えっ、あーー!!
巾着を見て、すぐに子どももいると気付き、その足で、緑青館へ向かった・・・。
オヤジが緑青館を訪れた頃は、ちょうど病が潜伏期間に入っていたらしい。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
突然訪れた宦官に、心を開くわけもなく・・・。
と、このとき(18話)は説明されていましたが、鳳仙は、羅門と羅漢の関係に気付いたかも。
自分から羅漢を引き離した原因を作った張本人が、そこにいるのです。
そんな奴の治療など拒否したい考えても不思議ではありません。
昔は毛嫌いされて追い出されたけど・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
鳳仙は、猫猫を嫌っていたのではなく、羅門の治療を毛嫌いしていたのではないでしょうか。
そして、もう一つ・・・。
まだあるの!?
羅漢が鳳仙を身請けできなかったのは、自分のせい。
羅門はその責任を感じていたから、猫猫を引き取ったのではないでしょうか。
おお~~~凄い! 繋がった!!
根拠も何もありません。
途中からは、完全に私の想像が入っています。
でも、こう考えていくと、全て辻褄が合うと思いませんか?
信じるか信じないかはあなた次第!
古っ…
念のために言っておきますが・・・。
鳳仙は、羅門を悪いと思っているかもしれませんが、実際は、羅門が悪いのではないですからね(笑)。
羅漢も羅門も運が悪かったのです・・・。
おわりに (『薬屋のひとりごと』23話とは)
ようやく、羅漢と鳳仙の関係が明かされた今話。
その内容を、粛々と紹介していけば、今話のレビューは簡単に書けると思っていましたが差にあらず(笑)。
まずは、前半の象棋勝負は切り口が多すぎて、どこから説明するのが分かりやすいか悩みました(笑)。
それでも、後半は楽だろうと思ったら、これまたとんでもない!
事実は事実として一つ一つ取り上げれば良いのですが、それを整理しながら書いていくと、新たな事実が見えてきました。
さすが、最終回手前と言ったところでしょうか。
とても満足感ある1話でした。
次話は最終回。
一体どんな結末を見せてくれるのでしょうか・・・楽しみです!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第23話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
24話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
これって翠苓どころか楼蘭妃も決着しなくね?
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 23-01 賭け対象にした「妓女の身請け」の狙いは?
- 疑問 23-02 羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
- 疑問 23-03 猫猫が、羅漢に渡した「枯れた薔薇」は何?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 16-01 羅漢は三男が一番の腕前だと知っていて、なぜ猫猫に調べさせた?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-01 羅漢は、価値を下げた妓女をなぜ身請けしていない?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
- 疑問 20-01 なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
- 疑問 20-02 壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
- 疑問 20-03 楼蘭妃は、なぜ訪れる度に雰囲気が変わる?
- 疑問 21-01 やぶ医者より先に後宮へ来た姉は、今どこにいる?
- 疑問 21-02 先の皇太后は、なぜ木の伐採に制限をかけた?
- 疑問 22-01 猫猫は、なぜ爪紅を流行らせた?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 23話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) March 17, 2024
勝負に負けて試合に勝つ 勝敗は戦う前に決してた!?
将棋と見せかけ大酒勝負 酒飲みには薬下戸には毒
確かに嘘はついてません😓
お互い家(妓楼)に縛られる男と女
男女間は一手間違うと交わらぬ…
賭けの褒美、妓女身請けの狙いは🤔
それと、壬氏様「解説役」感謝です🤣
関連記事
アニメ『薬屋のひとりごと』第24話のレビューはこちら!