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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第5話「私が死んでもこの世界は続く」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第2集
-
第8話~第9話まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- (原作) 異端者が死んでも、なぜ気にしない?
- 「君もう必要ないし」とは?
- 異端者はネックレスを持っていたのに、なぜ追求されてない?
- 異端者は、なぜオクジーを庇った?
- (考察) 大岩の印は誰が書いた?
ネックレスは、どうやって異端者に受け継がれた? - (考察) 利益を、なぜポトツキに?
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。
こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第1話 | 『地動説』、とでも呼ぼうか | 第1集 |
第2話 | 今から、地球を動かす | |
第3話 | 僕は、地動説を信じてます | |
第4話 | この地球は、天国なんかよりも美しい | 第2集 |
第5話 | 私が死んでもこの世界は続く | |
第6話 | ||
第7話 | ||
第8話 | ||
第9話 | ||
第10話 | ||
第11話 | ||
第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作漫画:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
異端者に感化されたグラスは馬車を乗っ取り逃げようとするが、ノヴァクに阻止され、異端者も死んでしまう。
なんとか逃げのびたグラスとオクジーは、山の中腹で石箱を見つける・・・。
現世に希望ないけれど、前へ進めと背を押され、人のレールを歩み出す。
異端者の言葉に影響受けたか、希望を見出したのか、はたまた縋り付きたかったのか・・・グラスは、オクジーを巻き込んで異端者を逃がすことに。
だが、すぐに異端審問官ノヴァクに阻止されてしまう・・・。
たとえ命尽きるとも、託すことで意思繋ぐ。
オクジーを庇う異端者。
続いて、同僚グラスの死。
死の間際怯える人ばかり見てきた代闘士オクジーに、二人の死はどのように写ったのでしょうか・・・。
死を恐れているオクジーこそ、実は現世に期待しているのでは?
手渡されたバトン、繋がる意思。
そのネックレスは命より重し・・・。
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第5話「私が死んでもこの世界は続く」
賭け
異端者の言葉に感化されたグラスは馬車を乗っ取り逃走しようとするも、異端審問官ノヴァクに馬車を止められてしまう。
ノヴァクは上司ではない?
ノヴァクさん、前々から思っていましたが、その態度は何ですか。
我々は、神に仕え信仰の安定を守るために働いているのですよ?
惰性は許されない。何かあったら、ノヴァクさんの責任になるって分かってます?
by 異端審問官ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
随分はっきりと物を言うダミアンに驚きました。
てっきり、ダミアンはノヴァクの部下だと思っていましたが、対等なのか、部署が違い上司部下の関係ではないのでしょうか?
上司だから好き勝手しているのかと思いましたが、役割が違うのかもしれないですね。
それとも、ダミアンが真面目なだけでしょうか?
確かに、2話、ノヴァクの過去の仕事を聞いて憤っていました ──
傭兵!?
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
そんな血に汚れた手で聖職を?
考えられない・・・なぜそんなことを・・・。
10年前から、不真面目なノヴァクに物申したかったのかもしれませんね。
ちなみに ──
ダミアンが正面切って意見を言ったのに、ノヴァクが曖昧な返事で終わってしまったのは・・・。
アニメでは一拍おいてますが ──
原作では、問い詰められノヴァクが戸惑っている時に御者(馬車を操る者)の声が聞こえ対応したからです。
渡りに船?
ノヴァクにとって、ちょうど良いタイミングでトラブルが発生したのです。
原) 異端者は火刑
あちゃ~派手に転けたな。
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
もう無理か。
真面目に働くようダミアンから指摘されたばかりなのに、移送中の異端者を死なせてしまってもあまり気にしていない様子のノヴァク・・・。
これはなぜでしょうか?
大体想像つきますよね(笑)。
ノヴァク達異端審問官は、異端者の命を何とも思っていないのでしょう。
それと、もう一つ。
アニメではカットされていますが、原作では異端者の裁判判決シーンが描かれています ──
以上により、改悛の意思なしと見なし、被告を、火刑に処す。
by 『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
この異端者は、完全に死が確定していたのです。
異端者の火刑(死刑)が確定していたので、死んでも問題なかったのです。
何よりも、逃がしてしまうことが問題だったのです。
だから乱暴で拙速ですが、強引な手段を取ったのでしょう。
反対に ──
異端者もこれが最後のチャンスだから、命を賭けた博打に打って出られたのです。
何を言っても信じてもらえない
── た、助けてください!
── 俺は脅されて・・・。それ、信じろって?
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
態度はいい加減でも、この手のことに関しては冷静なノヴァク。
異端者の縄を解き、御者を脅したのはオクジーではなく、グラスです。
でも、オクジーはそれを証明できません。
御者に聞けば脅したのはグラスだと分かるのに…
あっ、そうじゃん!
でも、オクジーがグラスの仲間ではない証拠にはならない…
あっ、そうか…
結果、剣を向けられるオクジー。
ノヴァクは元傭兵。
オクジーは、すぐさまノヴァクの強さを把握します。
この人強い、戦ったら多分死ぬ。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
こうなったら、あれか・・・。
敵わないと分かると、すぐさま作戦変更!
マスク外さず兜脱ぐ
負けました!
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
俺が悪いです、許してください!
降伏宣言!?
私は、てっきり ──
生まれてすいません。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
生まれてすいません。
生まれてすいません。
生まれてすいません。
謝罪砲をぶっ放すのだと思っていました(笑)。
あー、ちょっと思ったかも(笑)
まあ、全面降伏に変わりはないけどね…
ノヴァクは一瞬戸惑いますが、書類(マニュアル?)で確認し冷静に判断します。
まあ、でも一度裏切ってるしなー。
ダメかな。君もう必要ないし。
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
「君もう必要ないし」とは ──
代闘士オクジーを雇った目的は、異端者輸送の警備。
その異端者は、既に虫の息。
死が確定しているなら、警備など必要ありません。
警備の仕事は必要なくなったのです。
だから、ノヴァクに「もう必要ない」にと判断されたのです。
その上、裏切ったと認識されているので、切り捨てる判断をされたのです。
なんだろ、とても命が軽いよね…
ほんと、それ!
担当違い
── はあ?なんで?
歴史が君を必要としたからだ。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
頼む・・・。
オクジーの命を救ったのは、ついさっき出会ったばかりの異端者。
えっと・・・。
異端者に庇われたオクジーは、異端審問官から見たら裏切り確定ですね(苦笑)。
あっ、そうじゃん!
その上、ネックレスまで託されます。
ラファウがフベルトから受け取ったネックレスは、この異端者が持っていたのです。
ここで、疑問が浮かびました ──
このネックレスは、フベルト、そしてラファウの物だとノヴァクは知っているはずです。
ならば、なぜこの異端者を追求しなかったのでしょうか?
ラファウは、はっきりと研究資料を残すと言って自害しました。
── なぜ、こんな台無しにした。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第3話
単純ですよ。
資料を焼かない方が、地動説の為になると思った。
そのラファウのネックレスを、この異端者が持っていたのです。
資料の隠し場所を知っている可能性は十分にあります。(実際知っていましたしね)
にも関わらず、この異端者が拷問を受けた形跡がないのです。
えっ・・・あっ!
分かりましたよね。
ノヴァクが拷問をすると、どうなりますか?
爪が剥がれるか、苦悩の梨で頬を割かれます。(3話 )
でも、この異端者の顔や手には拷問の跡がないのです。
つまり、この異端者はノヴァクの拷問を受けていないのでしょう。
これは妙なことです。
あのノヴァクが、見落としたのでしょうか?
三度の飯より拷問が好きそうな(偏見?)ノヴァクが、死刑だから拷問せずに見逃したのでしょうか?
そんなことはないでしょう。
その疑問に対する解は、冒頭の何気ない会話にヒントがありました ──
頼むよダミアン君さ、これ私必要なの?
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
今日の異端はペーターさんの担当でしょ?
移送の時だけ駆り出されるのものなあ。
この異端者は、ノヴァクとは別の異端審問官が担当。
ノヴァクの担当ではないのです。
ノヴァクが、この異端者に接したのはこの移送時だけ。
だから、ネックレスを所持していることを知らないのでしょう。
恐らく、ペーターという異端審問官は、ネックレスのことを知らない、もしくは見落としていたのでしょう。
そして今回、異端者がオクジーにネックレスを渡す際も、ノヴァクからは体に隠れて何をしたのか見えていません。
だから、ノヴァクはあっさり ──
我々が捕らえるべきは、今くたばってるこれだしね。
私も元傭兵だから分かるが、どうせ奴らは文字一つ読めんだろう。
異端になる脳もない。ほっといても何もできやしないさ。
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
オクジー達を放っておいたのでしょう。
ネックレスを持っているということは、ラファウが命を賭けて守った研究資料の隠し場所を知っている可能性がある。
そのチャンスをノヴァクは逃したのです。
いや、逆に言うと ──
この異端者の担当がノヴァクじゃなかったので気付かれなかった、と見るべきでしょう・・・。
ネックレスもまた、数奇な運命を辿っているのです。
歴史がオクジーを必要!?
── はあ?なんで?
歴史が君を必要としたからだ。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
頼む・・・。
そんな大事なネックレスを、縄を切ったグラスならともかくオクジーに託す!?
「歴史が君を必要としたからだ」
異端者にとって、オクジーは運命の人?
オクジーに何かを感じて身を挺して助けたのでしょうか?
歴史の転換点には様々な事があり、偶然が重なり命を救われることがあります。
人はそれを運命だと捉え生き方を変えることも・・・。
オクジーも、そんな星の下に生まれたのでしょうか・・・。
などと、運命論に走るほど私はロマンチストではありません(苦笑)
えっ、何、何!?
これは、異端者側に立てば少し見えてきますね。
先にも書いたとおり、異端者はこれから火あぶりの刑。
もうすぐ死を迎えます。
フベルトやラファウ同様、地動説の研究を誰かに引き継ぎたい。
フベルトはウソをついて一度釈放され、ラファウに託しました。
ラファウも、ある仕掛けで誰かに託しました。(後述)
では、この異端者は・・・。
今まで、これと言う人には出会えなかったのでしょう。
最後の最後に出会った代闘士達に可能性を感じたのか、それとも最後に出会った二人に賭けたのでしょうか・・・。
私は前者な気がします。
異端者の護衛をする民間警備組合の人間は下級市民です。
多かれ少なかれ、今の世の中に不満を持っています。
そこを突けば心が揺らぐことは分かっていた。
異端審問官に捕まってしまうと、一般人との接触を断たれるのではないでしょうか。
然すれば、異端審問官以外の者と接触するのは処刑場に移送される馬車の中でしかありません。
捕まってから唯一接触できる、異端審問官以外の人間(一般人)。
そのチャンスに異端者は賭けたのではないでしょうか。
要は偶然。
でも、それは巡り合わせでもあります。
異端者が欲する未来には必要な人間。
確かに「歴史が君を必要とした」と言えるのです。
その上、オクジーは面識のない異端者相手に「正直可哀想で殴る気も起きない」「今からでも~悔悛したらどうです?」と優しい言葉をかけました。
そこを突いたのではないでしょうか。
異端者はオクジーの優しさにつけ込んだのです。
なので、ここで死なれてしまっては元も子もない。
いや、異端者だって人間です。
自分のエゴで巻き込んでしまった罪悪感もあって、ノヴァクの刀を受けたのは咄嗟の判断だったかもしれません。
そして、最後に決め台詞 ──
歴史が君を必要としたからだ。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
頼む・・・。
「歴史が君を必要」等と宿命論っぽく言ったのです。
そんなに上手く事が運ぶわけないですか?
学者なのに行き当たりばったりすぎですか?
あまりに口が上手すぎですか?
では、少し異端者の素性を掘り下げてみましょう。
(後の手紙で判明したように)異端者は、占星術師。
占星術師とは、つまり占い師です。
占い師と言えば、人の心を見抜くのが得意です。
心の隙間を突き、人の心を捉えるのはお手の物。
いつ、どこで、どんな言葉を投げかければ、その人に響くか。
そんなことを考えさせたら、占い師であれば最高のシナリオを思いつくと思いませんか?
前話終盤から今話序盤にかけて ── 異端者の出番は僅かでした。
てか、名前も判明することなく死んでしまった…
ずっと異端者呼ばわりだったね…
そんな僅かな時間でも圧倒的な存在感。
馬車内でのやり取りで、まんまと二人は、いや少なくともグラスは影響されてしまいました。
まだ落ちていないオクジーにターゲットを絞って・・・命を賭けた大芝居を打ったとしたら・・・。
前話終盤、異端者はグラスとオクジー言いました ──
今夜、君たちはこれから少しの間だけ、恐らく人生で初めて自らの運命を変える挑戦権を得ている。
一生、快適な自己否定にとどまるか、全てを捨てて自己肯定に賭けて出るか。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
二人に賭けを仕掛けつつ、異端者自身も賭けに出たのです。
ああでも、ここまで行くと、考察と言うより想像、いや妄想に近いですね(笑)。
話半分以下で聞いて下さい。
出た!予防線!
でも、上記のように考えていくのも楽しくないですか?
名前も出てこなかった異端者。
きっと今後も名前が明かされることはないでしょう。
となると、この時の本心も描かれないでしょう。
然すればこうして想像力たくましく妄想するしかないのです。
あと、思いついたのは・・・。
単に占いで「今日は運命の人と出会えるでしょう」と出たのではないでしょうか(笑)。
もしくは、本当に先が見えて(予知)いたとか?
あっ、えっ・・・え~~~
これまでの考察?想像?台無しじゃん
さあ、真相や如何に!
石箱
命からがら逃げ出したオクジーとグラスは、異端者に言われた山の中腹を調査する。
自分がない
逃げないんで、もう剣おろして良いですよ。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
グラスに文句を言うこともなく、逃げようともしない。
オクジーはお人好し・・・。
いや、グラスの犯罪に巻き込まれ、異端者に庇われたことで彼まで完全に裏切り者だと認識されているのに、事の重大さを分かっていなさそうですね(苦笑)。
この後 ──
ここまで来ちゃいましたけど冷静になれば俺、この先も付いていく必要あんまないというか、グラスさんが決めてくれますか? どっちがいいか。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
とも言っているので、全く自分が置かれた状況を把握していないし、自分の意見はないのです。
「自分がない」「主張がない」と言ってもいいくらいですね。
反面、グラスは ──
巻き込んでしまい、すまない。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
しかし、やり直したいか問われたらそうではなく、恐らく何度繰り返しても同じ選択をしただろうから、この謝罪は誠実さを欠いている。
「何度繰り返しても同じ選択をした」と言っていることから、覚悟を持って選択し後悔していないと口にしています。
良いか悪いかは別にして、グラスは自分を持ち、自分の頭で考えていますね。
発見者
不思議なことに気付いた。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
そこにある2つの大岩のそれぞれに中央に印が付いた三つ星、オリオンのベルトが彫られていた。
異端者がネックレスを持っていたので、てっきりネックレスを受け取って石箱の隠し場所を知ったのだと思っていました。
が、異端者は、大岩に彫られた印から山の中腹に何かあると気付いたのです。
では、このキズは誰が彫ったのでしょうか?
考えられるのは、ラファウですね。
3話、家で地動説の研究資料の下書きが義父ポトツキに見つかった際、ラファウは手紙を書きました。(3話 )
その後、家を出て戻ってきた時には、首元からネックレスがなくなっていました。
手紙は石箱に入れたとして、石箱の場所を示すネックレスは誰に、あるいはどこに託したのだろうと思っていました。
が、ネックレスも手紙と一緒に石箱に入れたのではないでしょうか。
そして、石箱の場所を示すメッセージは、この観測地に残した ──
ある時、視界や高度を考慮し、ここ一体で一番の観測地を見つけた。
不思議なことに気付いた。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
この辺で一番の観測地に暗号を刻んだのです。
天体観測が好きな人しか来ないような場所に、天体のことを知らないと分からないメッセージを残したのです。
恐らく、ラファウには研究を受け継ぐめぼしい人がいなかった。
でも、研究資料は受け継ぎたい。
だから、少しでも地動説に興味を持ち研究してくれる可能性のある人が見つけてくれるようなヒントを残したのでしょう。
その証拠に ──
結局、箱を残したのが誰で、なぜ放置されていたのか経緯はわからない。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
異端者は、ラファウと接触してないどころか、箱を残したのがどこの誰だかも分かっていないのに、石箱を見つけネックレスを持っていました。
故に、異端者は大岩のメッセージから石箱を発見し、そこでネックレスを手に入れたのでしょう。
でも、それって・・・
ラファウだけではなく、フベルトも同じ事できるじゃないか、とお考えですか?
確かに、その通りです。
フベルトが先にあの観測地を知っていたのです、ネックレスを渡したのは念のためかも知れません。
でも、もしそうなら ──
もしフベルトが、観測地の大岩にメッセージを残していたのなら・・・。
私はやり残したことがあるから戻ってきた。
by フベルト『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第1話
そのためには火にだって飛び込む。
「やり残したことがある」なんて言わないのではないでしょうか・・・。
ネックレスにしかヒントはなく、(有望な)誰かに託したかった。
だから ──
── フベルトさん!本当に行くんですか?やり残したことは?
たった今やったよ。
by フベルト『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
ラファウに手渡した時、「たった今やったよ」と言ったのではないでしょうか。
あっ、そういうことか…
ポトツキ
これにより利益が生じた場合、その1割をポトツキに贈与すること。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
彼の協力は心強かった。
利益が生じた時は、ポトツキに贈与!?
って、ラファウが残した手紙の内容これだけ!?
フベルトのように、地動説に掛ける思いが書かれているのだと思いましたが・・・。
ちょっと拍子抜けですね・・・。
本当にこれだけなのだろうか…
そして、なぜポトツキに利益の1割を贈与するのでしょうか?
義父ポトツキは、ラファウを教会に売りました。
なのに、なぜ「彼の協力は心強かった」のでしょうか。
この手紙を書いたのは ──
ラファウが、異端審問官に連れ去られる前夜。
地動説の計算式の下書きが、ポトツキに見つかり見逃された日以降。(3話 )
見逃されたので、ポトツキに感謝を込めたのでしょうか・・・。
でも、見逃されたと確信したのなら、(まだ研究を続けられるので)手紙を残す必要がない気も・・・。
なんだか矛盾していますね。
むしろ、地動説の研究資料と共に「ポトツキの協力は心強い」なんて手紙が異端審問官に見つかれば異端認定されかねません。
こんな所に名を残すのは百害あって一利なしでは!?
あれ?
もしかして・・・。
あの時点で見つかったら、ポトツキが密告したということ。
ポトツキに復讐をするために・・・。
ポトツキが密告しなければ、その後も研究を研究を続けられ、その時手紙を回収すれば良い・・・。
ラファウには、回収する機会が訪れなかったので、こんな中途半端な手紙が残ったのではないでしょうか。
え~~そんな…ちょっと酷いかも…
ですよね・・・。
異端研究をしていたのはラファウで、(教会から見て)悪いのは彼です。
ポトツキはラファウを恨んでいたわけでもなく、単に教会の教えに真面目なだけ。(実際は恐怖ですが…)
仮にも、最後は密告されたとは言え、育ての親です。
ラファウは、感謝していたと信じたいです。
先の考察は、あくまで可能性という事で(苦笑)
ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
希望
石箱の資料はきっと何かあるに違いないと考えたグラスは、ある修道士に会いに行くことを提案する。
託す思い
希望は天国にしかない。
なのに、なぜあの異端は天国を遠ざけて命を懸けてまでこの世を称えた?人は死ぬ。
いつか出ていくこの世への思いを持つことに、何の意味がある?死後に残るのは、自分抜きの世界だけだ。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
そこに希望なんて・・・。
一人考えるグラス。
このグラスの心情描写から ──
どうやらグラスも「希望は天国にしかない」と信じていた様子。
だけど異端者は ──
だが、この地球は天国なんかよりも美しいということに。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
天国を否定し、殺されるかもしれないのに命を懸けてまでこの世界(現世)を称えました。
なぜそこまでして、この世を信じる?
なぜいつか死んでしまう、現世に期待をする?
人はいつか死にます。
死は必ず訪れます。
必ず終わってしまう人生に、何を未練がましく希望を持つのか?
死後、現世に人は何も残りません。
後に続くのは、自分がいない世界。
そこで、ふと残された人に残るモノに目が向くのです・・・。
あの異端が命を張れたのは、きっと託す相手がいたからだ。
君の言うように、この世界は喪失で溢れている。
それに人はいつか死んでここを去る。でも、私が死んでもこの世界は続く、だったらそこに何かを託せる。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
それが喪失まみれのこの世界から生まれた、ある種の希望だ。
グラスは、ようやくこの世界(現世)で希望を見つけたのです。
人は死んでも、残った人に思いを託せる。
フベルトはラファウに、美しい宇宙を教えました。
ラファウは未来に、自分が得た感動を残しました。
「私が死んでもこの世界は続く」
グラスは占星術師でも天文学者でもありません。
石箱に残された資料の重要さは分かりません。
が、この資料を然るべき人に見せれば、何か変わるかもしれない。
グラスが家族と出会い過ごしたこの世を肯定できるかもしれない。
そんな風に考えれば、今やっている無謀なことも楽しく思える。
この世に希望を持つために行動すること自体が、希望になっていたのです。
託される思い
君はまだ天国へ行くべきじゃない。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
君の顔は、まだ死を恐れてるからだ。
天国大好き人間、今すぐ天国に行きたいと願っていたオクジーに、死を恐れていると宣告するグラス。
亀の甲より年の功。
異端者張りのズルい説法ですね(笑)。
オクジーが、いや人が死を恐れるのは本能です。
天国を信じていないからとか、そんな小難しいことではありません。
突然命の危険にさらされると、人は本能で恐怖してしまう生き物です。
そんな本能を逆手に取って、死を恐れているから天国へ行くべきではないと説く。
異端者の「歴史が君を必要とした」に匹敵するようなパワーワードですね(笑)。
だけど、この手の話術が、オクジーのような人には効くのです。
何せ、(頭では)天国を信じているオクジー。
だけど、幾人もの死の間際を見て、天国に行けるか不安になっていました。
そこへ、自らの手で死を選んだ(=天国最高?)人が続けて二人も現れたのです。
現に二人は死を迎えるのに、満足そうな顔。
本当は天国へ行く喜びではなく、満足な生き方をした満足感だけど…
あ~~、確かに。
二人の言説は、オクジーの心に響いたのです。
死を恐れているのは、心の底から天国を信じていない?
天国を信じてない = 現世に期待をしている?
異端者からグラスに託された希望。
そして、死を・・・いや運命を悟ったグラスはオクジーに思いを託しました。
二度にわたってオクジーに託されたペンダント(思い)。
命を代償にして渡されたペンダントは、命より重いのです・・・。
おわりに (『チ。-地球の運動について-』5話とは)
何の因果か運命か。
命拾いしたのか、これから地獄の人生が始まるのか・・・。
満足はしていないものの真面目に生きてきた代闘士オクジー。
同僚グラスの犯罪行為で人生を大きく狂わされてしまいます。
自分がないからか(この世に)期待してないからか、自分の意見を持たず他人に行動を任せる主人公(笑)。
でも、天国話となるめちゃこだわりがあったり(苦笑)
それな!
だけど、そんなオクジーに期待?する異端者と、見捨てないグラス。
グラスって危ない人だけど、人はいいんだよな…
でしょ!
だから言ったじゃん!
命を懸けた説得?にとうとう折れてしまうオクジー。
いや、この場合、遂に目覚めた主人公!と言えばいいのでしょうか(笑)。
なんだか、すごーい変化球(クセ球)で主人公の信条(考え方)が変化していますが、気付いたら真っ当な考えになっている!?
同時に、それがいつの間にか(作品としても)王道展開へと進んでいるのです。
お見事!
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第5話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
「山の中腹」の「ち」
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 02-02 異端審問官ノヴァクの娘の手紙に何がある?
- 疑問 04-01 なぜ地球が宇宙の中心から底辺へ教会の教えは変わった?
- 疑問 04-02 修道士は、なぜグラスに火星の逆行を教えなかった?
今週の感想X
#チ。 #チ球の運動について 5話
— 時文@ここアニ(『チ。』レビュー中) (@toki23_a) October 27, 2024
現世に希望ないけれど…
前へ進めと背を押され 人のレールを歩み出す
死の間際怯える人ばかり見てきたオクジーに2人はどのように写ったか…死を恐れてる彼こそ実は最も現世に期待してるのでは?🤔託されたペンダントは命より重し…
ところで…フタ閉めたよね?😅
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アニメ『チ。-地球の運動について-』次話のレビューはこちら!