【文字数(本文):約1万1千文字(目安28分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第23話「同じ時代を作った仲間」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第7集
-
第55話~第59話中盤まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第16話 | 行動を開始する | 第6集 |
第17話 | この本で大稼ぎできる、かも | |
第18話 | 情報を解放する | |
第19話 | 迷いの中に倫理がある | 第7集 |
第20話 | 私は、地動説を愛している | |
第21話 | 時代は変わる | |
第22話 | 君らは歴史の登場人物じゃない | |
第8集 | ||
第23話 | 同じ時代を作った仲間 | |
第24話 | ||
第25話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
地動説は異端ではなく、弾圧していたのはノヴァクのみ。
アントニ司教から衝撃の事実を告げられるも、ノヴァクはそれを受け入れることはできなかった・・・。
記録消すなら、新たな罪作ればいい。
風向きが変わったなら、戻せばいい。
勘違い上等。
信念と信念のぶつかり合い・・・、いや、執念が勝ったこの結末。
体に染みついた思想は簡単には変えられない。
異端は排除、なら異端解放戦線の組織長であるヨレンタは?
自分を悪役と認めることで、娘を受け入れられたこの皮肉・・・。
地動説は異端ではない。
これはノヴァクにとっても救いになったのです。
そして誰もいなくなった・・・。

って、アガサ・クリスティー言ってる場合じゃねえよ!

ドゥラカ~~
またもや予想外。
とんでもない決着になってしまいました・・・。
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第23話「同じ時代を作った仲間」
最悪の想定
地動説は異端ではなく、弾圧していたのはノヴァクのみ。アントニ司教から衝撃の事実を告げられるも、ノヴァクはそれを受け入れることはできなかった・・・。
金儲け

君や、君が担当した異端者達。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
君らは、歴史の登場人物じゃない。
前話ラスト、ノヴァクを絶望に陥れたアントニ司教。
勝ちを確信したのか、うっかり口を滑らしてしまいます・・・。
この先、地動説に類似した発想の本が出版されたとしても、とやかく騒がないでくれよ、無意味だから。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
アントニさん、それは言ってはいけません(苦笑)。

えっ、そうなの?
だってそうでしょ?
先のセリフ ──
「これから地動説のような本を出すから邪魔するなよ」と言っているに等しいです。

・・・あっ、確かに!
だから鈍いノヴァクでも気付いたのです。
裏に金がある、と。
いくら私でもすぐに分かりますよ。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
信仰だとか言っても、所詮は金なんでしょ?
ノヴァクは反撃に出ます。
いや、信仰心が厚いだけに、金で信仰の解釈を変えたアントニ司教とドゥラカに怒りが爆発したのでしょう。
聖職者を買収とは世も末だ。
一体、いくら使った?── さあね。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
原作では、ドゥラカは答えています。
これから入る利益の8割。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』コミック第8集
ま、自分の取り分は、さらにその半分だけど。
8割をアントニ司教に渡すと明かしているのです。
そりゃあ、ノヴァクも確信しますよね、アントニ司教は金で判断したと。
それと「自分の取り分は、さらにその半分」という答えが泣かせます。
ドゥラカの取り分は2割。
でも、その内の半分、1割は自分の取り分ではないと言っているのです。
1割と言えば・・・。
ドゥラカは「利益の1割はポトツキに寄付」を守ろうとしているのです。

ドゥラカいい子~~
では、アニメでは根拠が弱いのでしょうか?
そんなことはありませんね。
さあね。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
私は特殊な主張をしたいわけじゃない。
買収したのだろう?と質問され、ドゥラカは否定していません。
これでは肯定したのと同じですね。
ドゥラカがアントニ司教を買収した。
今のノヴァクには、これで十分なのです。
神のいない世界
解放戦線の組織長が火薬を使って自爆するところを見た。
あの光景を見て、悲劇的だと思わない者がいるか?知性や技術が進歩した先は、あの爆発だ。
文明や理性の名のもとでは、神の名のもととは比べものにならない規模の大虐殺が起こせる。分かるか?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
神に進むべき道を与えられなくなった人間の末路が。
随分、飛躍しましたね(苦笑)。
技術の進歩があの自爆生んだことは、分からなくはないです。
ですが、それは神とは別。
神を信仰していても、科学技術は発展します。
大体、「地動説は異端ではない」ことを話しているのに、なぜ信仰の話になっているのでしょうか?

あっ、そうじゃん!
ノヴァクは、恐らく、地動説を信じる者は、神を信じていない。
神を信じない世界は、いずれこうなる、と言いたいのでしょう。
なるほど。
だから最後に辿り着いたのは誰でもないドゥラカだったのです。
地動説を愛しているヨレンタは、神を信じています。
地動説に対しての考えは聞けませんでしたが、シュミットやレヴァンドロフスキも神の存在を信じています。
神の存在を全く信じていないのはドゥラカだけ。
神の存在を信じていないドゥラカと、神を(妄信的に)信じるノヴァクの対峙をもってきたのです。
迷いの中に倫理がある
── 神を失ったら、人は迷い続ける。
ええ。
でも、きっと迷いの中に倫理がある。その組織長の言葉だ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話

次に来るのは大量死の時代かもしれない。
でもその死の責任は、神じゃなくて人が引き受ける。だからそこにはきっと”罪と救い”じゃなく、”反省と自立”がある。
そうやって、苦しみを味わった知性は、いずれ十分迷うことのできる知性になる。
暴走した文明に歯止めをかけて、異常な技術も乗りこなせる知性になる。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
進むべき道を決めるのは、神か人か・・・。
人は神の導きがなければ正しき道すら分からないのか・・・。
誤った選択をしても責任を取れないのでしょうか・・・。
面白いですね、この議論。
まるで、いつまでも子離れできない親と、自立したい子供が話しているようです(笑)。
ノヴァクは、人は神の下で生きていかなければならない、と言い。
ドゥラカは、人はもう神から自立して自分の意思で生きていかなくてはならない、と言っているように聞こえます(笑)。

お~~確かに
これも、かなりテーマを大きくしているようで、第三章でやってきた議論ポイントをずらしています。
第三章で見てきた人々は、神を否定してはいません。
教会正統派を否定していました。
教会正統派が自分達に都合良く神を解釈しているのに不満を持っていたのです。
ところがドゥラカは、教会正統派に(異端解放戦線のような)恨みがあるわけではありません。
単に、神の存在を信じていないだけ。
ここでもドゥラカでないと成り立たない構図だったのです。
きっと、社会から神が消えても、人の魂から神は消せない。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
確かに、教会正統派を支持していない異端解放戦線の面々も、神を信じていました。
神の存在を信じていなかったドゥラカは、彼らの中に神がいると感じたのではないでしょうか。
自分は神の存在を信じていなくても、彼らが神の存在を心から信じていることを信じる。
こんな心境になったのではないでしょうか。
決着
では、話は終わりだ。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
ここまでの議論を聞いても、アントニ司教の考えは変わりません。
というか、議論に参加すらしませんでした。
アントニ司教は、既に結論を決めていたのでしょう。
地動説は異端ではない。
地動説を世に広めても問題ない。
問題ないどころか、刺激的な本ができ金になる、と考えたかもしれません。(22話 )
私が思うに ──
ノヴァクは、(今話の議論は)地動説が異端かどうかを問うたのではありません。
地動説を世に広げることによる、人々に与える影響。
人の自由な発想が、大量破壊兵器を生み、人類に大きな損害を与えると警告したのです。
アントニ司教は、否定どころか、触れてもこなかった。
(ノヴァクからすると)アントニ司教は、将来のことを何も考えていないに等しいのです。
こんなこと信じたくない。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
こんな最悪の想定が的中するなんて・・・。
ノヴァクが面白いことを言い出しました(苦笑)。
前話ラスト、これまでの認識と行為を否定され、ひっくり返されたノヴァクでしたが・・・。
この結末を、最悪のパターンとして想定していたと言うのです。
女が教会に向かったと聞いて嫌な予感がしたんだ。
もし万が一にも地動説に好意的な判断が下されたらどうしようかと・・・。まさか、ここまで前言撤回を見せ付けられるとは思わなかったがな。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
つまり、前話ラスト、ショックを受けていたノヴァクは、演技・・・とまでは言わないまでも想定内だったのです。
アントニ司教が、これまでの教会正統派の主張をひっくり返して、地動説に好意的な判断を下すことを一つのシナリオとして想定していたのです。
ならば、前話ラストのノヴァクのショックは本気ではなく、アントニ司教の言葉に付き合っていただけ・・・。
その原因は、金でたぶらかしたドゥラカ側にあると考え、冷静に判断。
議論を仕掛けてもアントニ司教の判断は変わらず。
そこで、最終手段である全員殺して地動説主導者に罪を着せる逆転ホームランを狙ったのです。
もし今夜私たち全員がここで死んだらどうです?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
このセリフを言った時点で、本当に死ぬ気だったのか、ドゥラカに刺されたから覚悟したのかは分かりません。
が、命に替えても「地動説は異端」を死守したい、という思いはあったのでしょう。
ノヴァクの執念というか、信仰心の厚さというか・・・。
心情的に褒めたくはないですが、天晴れとしか言いようがないですね・・・。
と考察を進めていくと ──
ノヴァクは、「地動説が異端ではない」という解釈を全く信じていないのです。
この時点では、ノヴァクは地動説は異端だと確信しているのです。
という解釈になってしまいますね・・・。

アントニ司教が言ってた事に、全然動じてなかったということ?

でないと、司教殺してまで地動説を悪にしようとしないよね?

全否定を受け入れられなかった、ノヴァクの意地かと思った…

声の抑揚、落ち着いた言動から、冷静に判断しているように見えるね
同じ時代を作った仲間
死を目前にしたノヴァクは、幻を見る・・・。
ラファウ
多分、死にかけで朦朧としてて勝手に見えてるだけの幻ですよ。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
死にかけのノヴァクの前に現れたのは、今は亡きラファウ!
実際に現れたのではなく、ラファウが言うようにノヴァク自身が見せている幻でしょう。
つまり、自分との対話。
ノヴァクは、自分の中にいる少年ラファウと対話を始めたのです。

OPにあった、炎の中のラファウはこれか

だから12歳当時の(成長していない)ラファウだったんだ
悪役
地動説が異端じゃないと言われて気付いたよ。
全く予想外だったが、私は ── 私はこの物語の悪役だったんだ。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
地動説が異端じゃないと指摘されたからか、元々感じていたが考えないようにしていたのか・・・。
恐らく、後者ではないでしょうか。
ノヴァクは、薄々自分の言動が間違っていると気付きがありながら、その考えに蓋をしてきたのではないでしょうか。
気付いたのは、ラファウと対話し痛みを感じた、その時から。
5話 ──

今日の異端はペーターさんの担当でしょ?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
異端審問官は他にもいるのに、地動説の異端になると自分が担ぎ出される。
12話 ──

ところで君、戦闘経験は?
── は、初めてです。ふっ、そりゃいい人材は回してくれないか・・・。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
司教の指示で動いているのに、よい人材を回してもらえない。
これらは ──
地動説は異端ではない、あるいは、地動説を異端とする考えに皆疑問を持っている、という考えが根底にあることに通じるのです。
逆に言うと、ノヴァクは、それでも任務に忠実だった。
神を崇拝し、自分の上司である司教を信頼している。
時折、思い浮かんだ考えや、異端者に対する痛みを、それ以上深く考えようとはしなかった。
信念はすぐ呪いに化ける。
それは私の強さであって限界でもある。── でも、信念を忘れたら人は迷う。
迷って。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
きっと迷いの中に倫理がある。
娘ヨレンタとは真逆の道を歩んでしまったのです。
25年前 ──
アントニ司教は、ノヴァクの排除ではなく、司教に地動説は異端ではないことをぶつけていたら被害はここで抑えられたかもしれませんね・・・。

そうじゃん!

まあ、そこはアントニだからね(苦笑)
心残り
だからやっぱり、私は悪役なんだ・・・。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
地動説は異端ではない。
自分は悪役だった。
最後の最後に、真実に気付いた・・・いや、真実を受け入れたノヴァク。
地動説が異端でないなら、娘ヨレンタも異端ではありません。
娘ヨレンタに言及します。
私の娘は、天国に行けたのか?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
ラファウは幻です。
ノヴァク自身が見せている幻影です。
ラファウの言葉は、ノヴァク自身が潜在的、あるいは無意識に考えていたことでしょう・・・。
そうなって欲しいなら、アナタがまだ生きてるうちに、すべきだと思う事をして下さい。
やり残したことを。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
前項で触れたように、これまで浮かんだ(自分の中では)感じてはいけない感覚や考えをノヴァクは見ないようにしてきました。
娘に対しても同じようにしたのです。
合点がいきました。
ノヴァクは、子煩悩でとてもヨレンタを愛していました。
なのに、ヨレンタが異端者として処刑されたと聞いて、ノヴァクは疑うこともしませんでした。
それがとても不思議でした。(19話 )
なるほど。
妄信的な信者であるノヴァクは、教会(=神)が下した判断を疑うことを是としなかったのです。
最愛の娘に関することですら、教会が絶対的に正しいと考えていたのです。
娘は地動説の研究に関わり異端。
娘は異端者として処刑され、この世にはいない。
なのに、生きて、あろうことか異端解放戦線の組織長などあってはいけない。
でも、ノヴァクは、あの一瞬で、組織長がヨレンタかもしれないと感じたのでしょう。
だから、飛んできた手を拾い、今も持っていたのでしょう・・・。

えっと、あれから数日経っているよね…

そっか、ずっと持ち続けていたんだ…
それでも、確信はない。
いや、考えようとはしなかったのでしょう。
そこで、最期の最後、ラファウ=自分の心に聞いたのです。
ラファウの言葉(=自分でも思っていたこと)に従い、ヨレンタの形見である手袋を拾った手にはめる・・・。
買い与えた当時は ──
私にピッタリの手袋をくれるって言ったのに、大きさが全然違うんだもん!
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第15話
ブカブカだった手袋が、ぴったりフィットします。
これが組織長がヨレンタである証拠になったのでしょうか?
私はそうは思いません。
大きさはたまたま合っただけです。
でも、今のノヴァクにはそれで十分。

目が合った瞬間に感じた直感を確信するには、十分な偶然の一致だったのでしょう。
つまり、ノヴァクは、この手、つまり組織長がヨレンタだと信じたかったのです。
その判断を、確信する一押しを、神(=手袋)に委ねたのではないでしょうか・・・。
そうか、お前も見つけたんだな。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
その為に、地獄に墜ちたっていいと思えるものを・・・。
興味深い言い方ですね。
「お前も」と言っています。
ヨレンタを他の誰かと同類に並べています。
その後「地獄に墜ちたっていい」と言っているので異端者のことですね。
ヨレンタを地動説の異端者と並べておきながら、まるで生きる目的、生涯を掛けて打ち込める物を見つけた子供に対して親が言うような感情に捉えましたが、如何でしょうか。
ノヴァクは「地動説は異端」と勘違いしながらも、地獄に墜ちてまで没頭できる物に対して羨ましい、あるいは娘を褒めているような感情が見え隠れしている、と書くと言い過ぎでしょうか。
ラファウに感じた痛みについても ──
── 痛みだ。
── 君の選択を見て気の毒に思った。死を選ぶな。自分の信念や他人の信仰に殺されるには若すぎる。そう思った。そうですか。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
僕の考えとは違いますね。
幻ラファウの答えは、ノヴァクの中でのラファウです。
つまり、ノヴァクが考えている、もしくはノヴァクが欲しい答えを作り出しているのです。
ということは、ラファウに感じた「痛み」は、ノヴァク側が勝手に想像しラファウに押しつけた感情。
実は、ラファウは痛みや気の毒に感じてもらう必要などなかった。
地動説の研究を後進に残せることを一片も悔いていなかった。
そのことを認めたくなかったし、そうまでしてなぜ地動説を愛するのか理解しようとしなかった。
でも、今、その可能性に気付いたから認めたい。
が、信仰上それは許されない。
その一線だけは譲れない、自分で許したくない。
そんな葛藤の中での表現ではないでしょうか。

神様、娘の過ちはすべて私の勘違いが原因なのです。
全て私の過ちなのです。地動説があなたに反するものでないなら、どうか、どうか娘は天国へ・・・。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
地動説が異端だと唱え始めたのは、前の司教です。
ノヴァクは実行犯ではありますが、主犯ではありません。
が、実行犯として罪を犯してきたのも事実。
地動説が異端である事を疑いもせず実行してきたのも事実。
ここで初めて、ノヴァクは自分の過ちを認めたのです。
最愛の娘を天国に送り届ける代わりとして・・・。
ノヴァクは、「地動説は異端ではない」事を認めることで、ヨレンタを受け入れることができたのです。
「地動説は異端ではない」ことは、ノヴァクにとっても救いになったのです・・・。
原) 脱出
ふざけんなよ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
クソッ、刺しやがった。
ドゥラカは、街に入るときは賄賂を渡しました。(22話 )
出るときには問題なかったのでしょうか?

あっ、そうじゃん!
ましてや門番はノヴァクから疑惑を聞いており、ドゥラカ自身も負傷しています。
一体全体どうやって外へ出たのでしょうか?
それは原作に答えがありました。
ドゥラカは、しばらく門の様子を窺っていましたが、教会が燃えていると連絡が入り門番はそちらに向かいます。
手薄になった隙に、ドゥラカは門を通り抜け外へ出たのです。
何の為に生きてきた
間違えた。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
死んだら全部終わりだ。
神も死後もないんだ。
稼いだ金も覚えた知識も見えた未来も全て無駄だ・・・。
「間違えた」。
ドゥラカは、どのことを言っているのでしょうか。
今話の間違いと言えば、教会から逃げる時、燃えさかる炎に一瞬躊躇してしまったこと・・・。
その後、飛び越えたのだから、あのまま速度を落とさず飛び越えていたら・・・。
それとも、アントニに相談したことか、一人逃がしてもらい本出版の責任を負ったことか、異端解放戦線に帯同したことか、叔父ドゥルーヴの口車に乗ったことか、金儲けを信念にしてしまったことでしょうか・・・。

随分、一杯あるね…

そうなんだよ、短い間に結構選択してるんだよね~
こんなところで終わりなんだ。
私の人生は一体何の為に・・・。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
間違いはさておき、ドゥラカはシュミットらに任された任務は果たしたのでしょうか?
確かに、前話、アントニ司教から本の出版と印刷機の使用許可を得ました。
でも本の出版はどうなったのでしょうか?
アントニ司教は、ノヴァクの記録を削除するよう指示した、と言っていました。
ならば、本の出版も指示した可能性はないでしょうか?
いや、でもノヴァクの思惑通りなら ──
今回の事件は地動説を信じる異端者の犯行となり、本の出版など以ての外になってしまったかもしれません。
それに ──
そもそもドゥラカが本を持っていた様子が描かれていません。
ドゥラカは、一体全体どうやって本を出版する計画だったのでしょうか?
ドゥラカの記憶からまた復元するつもりだったのでしょうか?
一つ、可能性が考えられるのは ──
ドゥラカは、活版印刷で印刷した本を1冊持っており、それをアントニ司教に渡して、既に印刷を依頼済み。
だから、伝書鳩を飛ばしたのではないでしょうか。
なにせ ──
もう一つ、あなたに渡したい物がある。
中に手紙が入ってる。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第20話
あの本の印刷と配布が済んだら、郵送して欲しい。
「印刷と出版が済んだら郵送して欲しい」との約束だったのですから・・・。

あっ、そうじゃん!
でも、メタ的な考察で申し訳ないですが・・・。
ここまでは、史実に準拠していません。
ここまで描かれた人々は「歴史の登場人物じゃない」のです。
だから、皆の努力は形としては残らなかった。
イコール、本は出版されず、どこにも残っていなかった。
でも、何かの形で後進に伝わっていく。
それがほんの少しでも誰かの背を押したりすると、皆の命は無駄ではなくなるのではないでしょうか・・・。
そんな可能性に懸けて、いずれ地動説に関する本が出版されると確信して、ドゥラカは伝書鳩を飛ばしたのかもしれませんね・・・。
本の出版はどうなった?
埋めて隠したオクジーの本はどうなった?
朝日
久しぶりに朝日を直接見たドゥラカ。
シュミットは、朝日を浴びるために生まれてきた、とまで言っていました。
それに対して、ドゥラカは ──
朝日はすべてを勝手に照らす。
隠れたくても、見たくもない日も、勝手にやって来る。しかも決まって律儀に毎日登る。
誰も逃げられない。私の大嫌いな運命って言葉を思い出す。
朝日は最悪だ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
私には、その良さは死んでも分からない。
死んでも分からない、と言っていた朝日。
死を目前にして、朝日の良さを実感できたのでしょうか。
ドゥラカの最期は、そんな顔をしているように見えますね・・・。

ドゥラカ~~






学問は無意味
1468年、ポーランド王国都市部。アルベルトが働くパン屋は繁盛していた。
史実に忠実
1468年 ポーランド王国 都市部
by 『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
1話では、時代も国も、はっきりと記載されていませんでした。
15世紀(前期) P王国某所
by 『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第1話
これは、史実ではなくフィクション(創作)だとの意思表示だと私は解釈しました。(1話 )
教会が地動説を弾圧し、拷問しているのは作り話だ、という表明ですね。
では、今回、西暦と国名を記載したのは ──
逆に、ここからは史実に準拠するとの意思表示ではないでしょうか。
フィクションではなく、史実に基づいた話になると思われる出だし。
さて、1468年とは ──
シュミットやドゥラカが亡くなった直後でしょうか。
それとも、何年か経った後でしょうか・・・。
アルベルト
はーい!
by アルベルト『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
並んでください!
最終章の主人公と思われるアルベルト登場。

なんで主人公と分かるの?

だって7巻の表紙なんだもん(苦笑)

またそんなメタ的な…ってホントだ!

7巻にはこんな人出てないから誰かと思ったよ…
ご出身は?
by 客『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第23話
出身を答えられないアルベルト。
差別でもあるのか、言いたくないのでしょうか・・・。
親方が気遣うようにパンを売り始めます。
親方は、アルベルトの事情を知っているようです。
アルベルトは、なぜ出身地を言わない?
おわりに (『チ。-地球の運動について-』23話とは)
そして誰もいなくなった・・・。
シュミットやアントニ司教、ノヴァクは想定内でしたが、ドゥラカまで退場。
教会側も主要人物は全て退場。
あとは教会側に知ってる顔が数名残った程度。
オクジー本の出版については、異端解放戦線の面々の安否は分かりませんが、望み薄でしょうか・・・。
なんだか、とんでもない展開になりました。

って、何回同じ事言っているんだろう、本作では…
そこへ出てきた主人公らしき人物・アルベルト。
って、もしかして第三章は終了!?
(アルベルトが登場した)今話終盤から第四章かエピローグ?
って、原作コミック8集(感)、残りページ数、半分程度しかありませんが・・・。
残り2話で一体どんな物語を見せてくれるのでしょうか・・・。
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第23話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
過ち、間違いの「ち」
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 23-01 本の出版はどうなった?
- 疑問 23-02 埋めて隠したオクジーの本はどうなった?
- 疑問 23-03 アルベルトは、なぜ出身地を言えない?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
- 疑問 06-02 なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
- 疑問 06-03 バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
- 疑問 07-01 コルベのヨレンタに対する態度は本心か、それとも・・・
- 疑問 08-01 バデーニは、なぜアリスタルコスを知っている?
- 疑問 08-02 教会は、貴族相手でも異端扱いできる?
- 疑問 10-01 ピャスト伯の観測資料、どこに運び込んだ?
- 疑問 10-02 オクジーは何を書いている?
- 疑問 12-03 バデーニとオクジーを捕らえるのに、なぜ良い人材を回してもらえない?
- 疑問 15-01 ヨレンタはどこへ逃げた?
- 疑問 15-02 クラボフスキが、ふさわしいとは?
- 疑問 16-01 本の内容が奇妙とは?
- 疑問 16-02 異端解放戦線の組織長は、地動説の本で何をしようとしている?
- 疑問 17-01 ドゥラカは、どうやって大金を蓄えた?
- 疑問 18-01 アントニ司教も前司教同様、宇宙論重視?
今週のX感想ポスト
#チ。 #チ球の運動について 23話
— 時文@ここアニ(『チ。』『薬屋』レビュー中) (@toki23_a) March 2, 2025
記録消すなら新たに罪作ればいい
風向きが変わったなら戻せばいい
信念..いや執念が成すこの結末
体に染みついた思想は簡単には変えられない
異端は排除、なら娘は?悪役認める事で娘受け入れたこの皮肉..地動説は異端ではない、これは彼にとっても救いになったのです
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