【文字数(本文):約1万文字(目安16分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第21話「時代は変わる」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第7集
-
第49話中盤~第51話まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- なぜ騎士団とすれ違った?
(原作) 証明書まで準備して、なぜ職人らしい変装しない? - 計画ではなく、想いを引き継ぐとは?
異端解放戦線への違和感の解消 - ヨレンタの夢が叶った?
- フライの裏切り
- (考察) ドゥラカが交渉しようとする相手は誰?
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第16話 | 行動を開始する | 第6集 |
第17話 | この本で大稼ぎできる、かも | |
第18話 | 情報を解放する | |
第19話 | 迷いの中に倫理がある | 第7集 |
第20話 | 私は、地動説を愛している | |
第21話 | 時代は変わる | |
第22話 | ||
第23話 | ||
第24話 | ||
第25話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作漫画:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
ヨレンタの作戦により、異端解放戦線の解散を偽装。
一方、シュミット達は印刷工房に無事到着。
活版印刷による本の印刷が始まり、計画は順調に見えたが・・・。
想いは受け継がれ、熱意は人を動かす。
信念忘れさせる程の感情に心を寄せる者、信念を貫く者。
両者が分けた結末、これも運命なのか・・・。
自分の信念曲げてでも目的果たすその想い。
感情が信念を凌駕する。
それは正解か不正解か・・・いや正誤では測れない何かがそこにある。
おいおいおい、これまたとんでもない展開に・・・。
前話を超える衝撃はもうないだろうと思っていたのに、そうきたか・・・。
それにドゥラカが交渉しようとしているのって、まさか・・・。
いや、それ以外に考えられないですね・・・。(後述)

えーー、アイツだよね…

多分ね…なんかイヤだね…
でも、そういう展開になっていくのか…
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第21話「時代は変わる」
これより出版活動を開始する
シュミットらは無事に印刷工房に到着し、組織の仲間と合流。早速、本の印刷を開始する。
職務質問
君ら何者だ、どこへ行く。
by 騎士団『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
印刷工房へ向かうシュミット達は、すれ違う騎士団に呼び止められます。
なぜ、騎士団とすれ違い、馬車は呼び止められたのでしょうか。
騎士団は、すれ違う人を全てチェックしているのでしょうか?
すれ違ったということは、騎士団はシュミット達が来た方向へ向かっているのでしょう。
ならば、騎士団は、ヨレンタが残った異端解放戦線のアジトに向かっていると考えるのが自然でしょうか。
騎士団からしてみれば ──
(爆発音も聞こえ)急ぎ現場へ行きたいところでしょうが、こんな時間に異端解放戦線のアジトの方向から馬車がやってきた・・・。
一応チェックしておくのが、騎士団として職務なのでしょう。
鋳造職人です。
うちの若いのと女性職人を遍歴に出そうと送ってるところです。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
これが証明書です。
鋳造職人とは、上手いこと考えたものです。
証明書を持っていた、ということは事前に準備していたのでしょう。
鋳造職人であれば、万が一、活字を見られたとしても言い訳ができます。
本の中身を見られると一巻の終わりですが・・・。
ただまあ、シュミットはとてもじゃありませんが鋳造職人には見えないし、白い服装にマントだと目立つことこの上ありません・・・。

確かに…

騎士団も同じように思ったんだろうね
── なぜ武装を?
山賊対策です。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
何かと物騒ですので。
アニメ鑑賞時分かりませんでしたが、シュミットは鎖帷子を着ていたようです。
原作では、はっきり言っています。
なぜ鎖帷子で武装を?
by 騎士団『チ。-地球の運動について-』コミック第7集
鎖帷子とは、鎖でできた防具の一種。
上半身を覆う形で、衣服の下に着ます。
騎士団は、シュミットの首元を見て鎖帷子だと気付いたのでしょう。
証明書が本物だったのでしょう。
問題なし、と判断されます。
ってか、シュミットはこんなに特徴のある顔と格好で異端審問所を襲っているのに、顔どころか特徴も知られていないのですね(苦笑)。

まあ、写真はもちろん印刷技術も出始めだから、こんなものなのかな…

なるほど
原作では、馬車に戻ると、シュミットは足に防具を着けます。
つまり、鋳造職人にしては仰々しい防具は外していたのでしょう。
最低限の対処はしていたのです。
原作を読むと、馬車に戻ったシュミットは防具を着けています。
逆に言うと、騎士団に馬車を覗かれると、活字だけでなく防具や武器?が見つかる可能性があります。
見た目以上に危険な状況だったのかもしれないですね・・・。
それだけに、ドゥラカのフォローはグッジョブだったのです。
布
これ、どうぞ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
見てのとおりボロボロですし、もう捨てようと思ってて。
ドゥラカは、着けていた布を騎士団に提供します。
前話を見た方なら覚えていますよね ──
この布と血の付いたお金は私の父の形見です。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第20話
この布は、ドゥラカにとって父の形見。
それを手放したのです。
シュミットは、前話で聞いていたので布が父の形見である事を知っていたでしょう。
だから、より感謝したのでしょう。
シュミットは、この辺からドゥラカを見直し始めたのかもしれませんね・・・。
神の考え方や信念は違えど、本の出版を成功させたいのだと。
信念より想い?
ここで終わったら私も損をする。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
信念には対価が必要なんでしょ?
ドゥラカは、ここで見つかってしまったら、約束の活版印刷を使えません。
いや、金儲けどころか異端者として捕まってしまいます。
損得を考えて、大切な父の形見を手放したのです。
商人ですね(笑)。
というのは、照れ隠し?建前?で・・・。
ここで終わったらヨレンタさんの感動も死ぬ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
あなたたちがヨレンタさんの計画を引き継ぐなら、私はヨレンタさんの想いを引き継ぐ。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
実に面白い、興味深いですね。
実は、(ヨレンタを除く)異端解放戦線の言動にずっと違和感がありました。

えっ、そう?
シュミット、レヴァンドロフスキ。
彼らが現状を変えるために活動している事は、よく分かりました。
本の出版が、教会正統派にダメージを与える事も理解しているのでしょう。
ですが、この人達・・・本の内容は全く気に掛けていません。
本の中身については、全く興味を示していないのです。

あーーっ、確かに!
命を懸けているのですよ?
組織長は、自爆までしたのですよ?
普通なら、この本に本当にそれだけの価値(影響力)があるのか気になりませんか?
でも、シュミットらは全く気にしていません。
今回、合流した仲間も、印刷した本の内容に関心がない様子・・・。
もしかして、字が読めないのでしょうか?
とも考えましたが、原本のタイトルは読んでいたし、活版印刷をするのだからそんなことはないでしょう。(少なくとも読める人はいるはず)
その違和感が、ようやく解明しました。
彼らは、想いではなく計画しか見ていないのです。
本に何が書かれているかは気にせず、ヨレンタ組織長が決めた本を出版することだけを考えているのです。
一方、ドゥラカは違います。
まず、本を最後まで読んだ、現在(生存している)唯一の人物。
ヨレンタから、地動説にかける想いも聞きました。
この本の出版に懸ける情熱も聞きました。
つまり、この本の出版が感動を伝えようとしていることを、何となくかもしれませんが感じているのではないでしょうか。
ドゥラカが本を初めて読んだ時、こんな感想を漏らしていました。
刺激的な内容だ。
けど、この私の動揺は中身に対してだけじゃない。この感覚は、もっと大きな何かを問うてる。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第17話
感じる、かすかに感じる・・・。
この後、「この本で大稼ぎできる気配を」とオチが付きますが(笑)。
実は、心の奥底で感動(あるいは感動に近い何か)を味わっていたのではないでしょうか。
本を燃やすというリスクある賭けをしたいと思う程に。

先に断っておきますが・・・。
決して、異端解放戦線の人達を落とす気持ちはありません。
ですが、この時点で既に ──
異端解放戦線の誰よりも、ドゥラカの方が、より強く本の出版を望んでいるのではないでしょうか。
面白い。
実に面白い。
かつてバデーニは言いました。
君の文章は論文としての価値はないが、それ故、伝わる可能性は高いだろう。
── 伝わる?何が?
“感動”だ。
それさえ残せれば、あとは自然と立ち上がる。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第14話
バデーニが、オクジーの本に託した想いが、今開こうとしているのです。
組織理念
(前項で書いたように)異端解放戦線のメンバーが、ヨレンタから引き継いだのは計画だけだからと言って、熱意がないわけではありません。
我々の組織理念とは何か。
この世界の風通しを良くすることだ。既存秩序と対峙し、新たな地平を次世代に広げることだ。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
組織理念とは、今で言う企業理念。
なぜ組織(異端解放戦線)は存在しているのか、何を目的として活動するのか、組織としての使命や存在意義を定義し、組織員の行動規範としているのでしょう。
なるほど。
異端解放戦線の理念は「世界の風通しを良くすること」だったのです。
だから言論や行動の自由を妨げる教会正統派を目の敵にする。
本の出版で様々な考え方、自由な発想を(まずは)人々に知ってもらい、広げようとしているのです。
どんな雄弁も語りを止めれば声は消える。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
どんな支柱も時が経てばいつかは朽ちる。
皆死ぬ、万物は流転する。
どれだけ人の心を動かすような話ができても、語るのを止めれば声は届きません。
どれだけ頼れる人でも、人間であればいつかは命が尽きます。
でも、本は違います。
(厳密にいうと違いますが)永遠に残ります。
人々の目に触れ続けます。
だからヨレンタは、本の出版に自分の命を使う事に迷いがなかったのでしょう。
それだけ出版は、影響力が大きいと確信していたのです。
だが我々は方法を知った。
信念を固定化し、思想を可視化し、瞬間を永遠に。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
“今”を遠い場所へ、遙かな未来へ、または別の誰かのところへ、届くようにする方法を。
本は、著者がその瞬間に考えた思想を固定化し、永遠に残します。
本になれば、距離も時間も飛び人々に届きます。
ヨレンタが言っていた「文字は奇跡」を、自ら作り出せるのです。
それどころか、活版印刷があればもっと大きな奇跡を起こせるのです。
この方法は強烈だ。
既存秩序を破壊し、階級を解体する力を持つ。我々は、それを実行する。
これより出版活動を開始する
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話

いや~~~痺れた!

シュミット格好いい!

ここで、オープニング!
入りも最高です!

ってか、シュミットが仕切ってるけど隊長1人だったの??
発行人
ヨレンタさんて、解放戦線の組織長として名前は知れてないですよね。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
ここで言う「名前が知られてない」とは ──
異端審問官だけでなく仲間内でも(ごく一部にしか)知られていない、ということでしょう。
だから異端審問官は組織長の名前までは入手できず、ノヴァクの耳にも届かなかったのでしょう。

でも、本に名前を入れたという事は…

これで分かるってこと!?
発行人として、表紙に名前を組むのはどう?
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
発行人とは、本を発行する人、責任者のことですね。
※本を書いた「著者」ではありません
なるほど。
本に、異端解放戦線と書くわけにはいきません(苦笑)。
何せ、異端解放戦線は組織長が自爆して組織は崩壊。
異端解放戦線と全く関係ない組織として本を出版し、教会改革派に配布してもらう計画なのですから。
でも、ヨレンタの名前は、(知られていないので)異端解放戦線と繋がりません。
それでいて、ヨレンタの想いを残せる。
最良の形になったのです。
ドゥラカ、グッドアイデアです!

シュミットらがOK出したのは、情が入ってる気がするけどね…

あっ、そうじゃん!
O RUCHU ZIEMI
JOLENTA WYDAWCA
by 『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
原作より ──
※O RUCHU ZIEMI=「地球の運動について」のポーランド語
by 『チ。-地球の運動について-』コミック第7集
※JOLENTA WYDAWCA=「ヨレンタ出版」のポーランド語
本に、ヨレンタの名が刻まれたのです。
11話、ヨレンタは言っていました ──

ゆくゆくは、自分の名前でちゃんと論文を発表してみたいです。
── 自分の名前?
ええ、今はそれすらままならないので・・・。
私がそういう前例を作れたら後進も生まれやすいというか、誰でも平等に研究を発表できる未来、自由な知的空間ができるいつかの未来のために一役買えたらな、と。まあ、そんなのは夢みたいな話ですが・・・。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第11話
出版する本はヨレンタが書いたものでも、論文でもありません。
でも、女性の名前で本を出版する。
ある意味、論文よりも多くの人々に対して・・・。
図らずも、別の形でヨレンタの夢が叶ったのです・・・。

ヨレンタ~~
裏切り
この任務は、我が組織にとって最重要と言ってもいい計画でしたよね。
- 中略 -
良かった。
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
じゃあ、これでちゃんと一巻の終わりだ。
疑うべきは、ヨレンタではなくフライだったのです。

って、視聴者の多くは怪しんでたと思うけど(苦笑)
フライは、やたらと組織長の居場所や、今回の任務内容、次の目的地を確認していました。(19話 )
でも、本は一応回収したし、ヨレンタが自爆で偽装解散した時も、今話冒頭で騎士団に呼び止められた時も何もしませんでした・・・。
シュミットが、最重要と言える活版印刷工房の場に、他の仲間と合流する。
異端解放戦線を一網打尽にできる機会を窺っていたのです。
なんとも、我慢強いというか、執念深いですね・・・。

馬は鳴かなかったのかな…

・・・あっ、そうじゃん!
騒いでも良さそうだけど…

きっと、静かに殺す方法を知っていたか、眠らせて殺したのでしょう(苦笑)。
ルサンチマン
俺はな、ずっと憎かったんだ。
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
貴様らみたいな、異端のクズどもがな!
フライはスパイでも、誰かと通じているのでもありませんでした。
なるほど。
だから騎士団や異端審問官を殺せたのです。

教会に密告しても、フライは無事に済まないだろうね

そうじゃん!
自分の命など、どうでもよい。
それでも異端解放戦線を潰したかったのでしょう。
それがフライの信念。
信念に犠牲はつきものとは、自分の命も勘定に入れていたのでしょう。

すごい執念…
貴様らを消す。
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
それが物心ついた時から俺の信念だ。
迷いなどない。
25年前、教会正統派に反発する叔父に両親を殺された子供は、フライだったのです。(16話 )
映像を被らせたり、「勘違い」という共通ワードを使ったりして、この子供はシュミットかと思っていましたが違いました。
両親は、献身的な信徒。
その上、目の前で両親を殺されたのに、なぜ異端者側に立ったのか不思議でした。
シュミットは達観していたので、てっきり叔父を追い込んだ本質である教会正統派を憎んだのだと解釈していました。(20話 )
何のことはありません。
フライは、とても普通の人だったのです。
両親を殺した、異端者が憎い。
その憎しみを糧に生きてきたのです。
異端者は、シュミット達だけではないでしょうに・・・。
君が逃げろ、我々が守る
本の出版計画は順調に見えた。しかし、フライが裏切り教会に密告され、移動手段の馬も殺されてしまう・・・。
作戦会議
シュミットは、信念に従い本の印刷まで漕ぎ着けました。
計画の成功はもうすぐ、というところまできました。
一方、虎視眈々と復讐のチャンスを狙っていたフライは、最後の最後で仕掛けてきました。
それぞれの信念に従って、ここまでやってきた両者の選択が下した分かれ道。
これも運命、(シュミットが言うところの)神の思惑なのでしょうか。
モールドと原本は埋めて隠した。
by 異端解放戦線『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
ここは視界が開けてる。
by ボルコ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
逃げたってバレちまう、最悪全員死ぬ。
先のアジトでは、バレる事を想定して、あるいはバレるのも作戦の内だったから逃げ道も手段(馬車)も確保していたのでしょう。
が、印刷工房は、組織長が命を懸けて守った場所。
異端審問官に見つかるとは思っていなかったのです。
だとしても、選択が一つというのは解せないですね。
戦う、という選択はないのでしょうか?
異端解放戦線はこれまで異端審問官や騎士団と戦ってきたのに・・・。
ドゥラカがアントニ司教に売られそうになった時も、シュミットはたった3人で騎士団に向かっていきました。
異端解放戦線は強いと思っていましたが違うのでしょうか?
なぜ逃げの一択なのでしょうか?
火薬はないのでしょうか?
待ち伏せしてドガンと一発突破口を開けないのでしょうか?
まるで、火薬も武器もまるで足りない。
シュミットと一緒にいたレヴァンドロフスキ(とフライ)以外は、弱くて騎士団に葉が立たないような口ぶりですね・・・。
それとも、騎士団は人数が多く、物量で敵わないのでしょうか。
その辺をもっと知りたいですね。
もう一つの選択
いずれにせよ、逃げる事しかできないようです(苦笑)。
出版するには、もう1つ選択肢がある。
みんなで協力して私を逃がすって選択。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
さて、ドゥラカはどんな作戦を考えたのでしょうか。
ドゥラカは、誰かを頼り、交渉しようとしているのでしょう。
誰と交渉しようとしているか、お分かりですよね?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
ドゥラカが交渉しようとしているのは、アントニ司教でしょう。
だから、レヴァンドロフスキは驚き怒ったのです。
何バカなこと言ってるんだ。
できるわけないだろ!今から誰と戦うと思ってるんだ。
by レヴァンドロフスキ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
教会だぞ!
今、相手にしているのは教会正統派。
その司祭であるアントニ司教が、協力してくれるわけがない、と。
私は教会じゃなく彼個人と話しに行く。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
馬を奪えば数時間で行ける。
彼個人と話しに行っても、相手は司祭。
個人という立場だけでは話せません。
ただ、(ドゥラカの想定とは別に)アントニの場合、司祭という立場を私物化しているので、問題なさそうですが・・・(苦笑)。
では、一つ聞かせろ。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第18話
この先、教会の権威はどうなると思う?
アントニ司教は、教会の権威が落ちているのを気に掛けていました。
そして、ドゥラカの意見を聞きたがっていました。(18話 )
ドゥラカは、そこを突けば本を出版してもらえる、と考えたのではないでしょうか。
この地動説って、今の宇宙論に反するんじゃ・・・。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第18話
でも、この司教なら・・・。
ドゥラカは、アントニ司教は話が分かる人だと認識しているようですから・・・。

アントニは信じられない!

同じく
ってか、こんな奴を頼って欲しくないね
まあ、でもアントニが私怨でヨレンタを貶めたことなど、ドゥラカは知るよしもなく・・・。
むしろどこかに売り飛ばそうとしていたドゥラカを、ある意味認めてくれたので、話の分かる司教に見えるのも致し方なしかもしれないですね・・・。

なるほど
この時点でヨレンタがいない理由が分かった(苦笑)

えっ、あっ、そういうこと!?
司教であれば、力も(おそらく)金もあります。
説得できれば、確かに本の出版に漕ぎ着けられるでしょう。
でもそれは、打倒教会正統派を掲げてきた異端解放戦線にとっては受け入れがたい作戦であって・・・。
(私も)心情的には納得できませんが、流れを見るに、そういう展開になっていくのでしょう。
あまり嬉しくないですね・・・。
それでも、本を出版するには最善の手を打つしかないのです。
上記考察は当たっていると思いますが、本編では触れられていないので、備忘録として疑問点を残しておきます。
ドゥラカが、1人生き残って交渉しようとする相手とは?
神の選択
君を逃がせたとしても、その先で説得できるとは思えない。
成功する根拠がなさすぎる。が、たとえ君以外の数人が逃げ切れても、その先で印刷機を手に入れ、さらに出版、流通までこぎ着ける可能性も、また非常に低いだろう。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
シュミットは、ドゥラカの作戦が成功する確率は低いと見做しています。
でも、誰かが逃げ切って、その後本を出版できる可能性も低いと見ています。
実際には、教会改革派の協力を仰ぐとか。
時間はかかりますが、今回、印刷機を用意できたのだから、同じように準備できないのか。
手段は、他にもあると思いますが(苦笑)。
他には「ない」としましょう。
何せ、本作が描きたいのはそこではない、でしょうから・・・。

それ、前から言ってるよね(苦笑)

うん、特に『チ。』ではよく使ってる(苦笑)
360度完璧な作品など不可能です。
あったとしたら、それは局所的、あるいは冗長過ぎてテンポの悪い展開になってしまいます・・・。
その辺りは大目に見ないとエンタテインメントは楽しめないと思います。
私は、こういう行き詰まった時のいい方法を知ってる。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
神に聞きましょう。
埒が明かないと思ったのか。
シュミットの言うとおりで、成功確率を上げる根拠を示せないと思ったのか。
多分後者でしょう。

そもそも議論している時間がないですね(苦笑)
ならば、とドゥラカは賭けに出ます。
神、つまり選択を運に任せたのです。
いや、彼らを説得するには、彼らのやり方でなくてはならない。
18話、シュミットが取った手段を逆手に取ったのでしょう。
どうだろう、こういう時は、一つ・・・。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第18話
表なら私、裏なら君が正しい。
50%の確率にかけて。
ですが、無情にも結果は「皆で逃げる」。
神はドゥラカに微笑まなかったのです。
だがしかし ──

君が逃げろ、我々が守る
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
自然主義者をモットーとし、人の手による人工的なことを嫌うシュミット。
そんなシュミットが神の意志を覆したのです。
部下達も、シュミットの主義を十分すぎるほど理解しているのでしょう。
隊長、それは提案ですか?
── 命令だ。了解
by レヴァンドロフスキ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
一切、反対することなく従うのです。
シュミットが置いてきた感情を拾い上げ、ここまで積み重ねてきたドゥラカの言動が、ついに彼の揺るぎない自然主義に変化をもたらしたのです。

胸熱!

うん!
ようやくドゥラカの思いが通じた感じ!
それにしても、会ったばかりで思想も違うドゥラカのことをよく信じたものです。
信じるどころか、命に関わる選択をする。
皆、ドゥラカをよく知らないのに、です。
ドゥラカが異端解放戦線と行動を共にしたのは(恐らく)10日程度。
特に、今話から合流したボルコ達は数日です。
でも、異端解放戦線のメンバーとドゥラカには、共通点が一つありますね。
それは、どちらもヨレンタを慕っている。
ヨレンタの願いを叶えたがっている。
異端解放戦線の大人達には、ドゥラカの中にヨレンタの想いを見たのではないでしょうか・・・。
おわりに (『チ。-地球の運動について-』21話とは)
ペンは剣よりも強し。
ヨレンタが残した計画を引き継ぐもの。
もっと深い、記憶や感情まで読み取って想いを引き継ぐもの。
この世界をもっと良くするために、風通しを良くする。
シュミット達は知っています。
人々の心の底にあるものを。
力では崩せないものを。
それは聖書であり、信仰です。
ヨレンタは、異端解放戦線は、人々を内側から変えようとしているのです。
人類改造計画!?
なんて単語が頭に浮かびましたが、安直でしょうか(苦笑)。
でもそれだけの事をやろうとしているのです、この人達は。
信念が大きければ大きいほど、払う犠牲も大きい。
だから命を懸けられるのでしょう・・・。
いよいよ物語も佳境になってきた気配。
残り4話、心して観ましょう。
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第21話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
「既存秩序と対峙し、新たな地平を広げる」の「ち」
応援(投げ銭)
本レビューを面白いと思って下さった方、気に入って下さった方、サポートして頂けるとブログ作成の励みとなります。
Amazonギフト券の贈り方
次の4点(金額、受取人)を記入願います。
- 金額:一番右に自由記入欄があるので、1記事100円を目安に、お好きな金額ご記入下さい。もちろん100円以上でも大歓迎です♪
- 「宛先」or「受取人」:メールアドレス「gift2toki23@gmail.com」
- 贈り主:ご自身のお名前をご記入下さい(匿名でも可)
- メッセージ:好きなメッセージをご記入下さい(デフォルトでもOK)。
全て記入終えましたら、「カートに入れる」or「今すぐ購入」を押して決済に進んで下さい。(ここからは、普段お使いのAmazonでの商品購入時と同様です。)
よろしくお願い致します。

これで毎日ケーキ食べられるかな!?

(君のケーキの為にサポートお願いしているんじゃないだけどね…) 皆に応援してもらえるよう頑張ろう!
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 21-01 ドゥラカが、1人生き残って交渉しようとする相手とは?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
- 疑問 06-02 なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
- 疑問 06-03 バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
- 疑問 07-01 コルベのヨレンタに対する態度は本心か、それとも・・・
- 疑問 08-01 バデーニは、なぜアリスタルコスを知っている?
- 疑問 08-02 教会は、貴族相手でも異端扱いできる?
- 疑問 10-01 ピャスト伯の観測資料、どこに運び込んだ?
- 疑問 10-02 オクジーは何を書いている?
- 疑問 11-01 司教は、なぜ宇宙論を目の敵にしている?
- 疑問 12-03 バデーニとオクジーを捕らえるのに、なぜ良い人材を回してもらえない?
- 疑問 15-01 ヨレンタはどこへ逃げた?
- 疑問 15-02 クラボフスキが、ふさわしいとは?
- 疑問 16-01 本の内容が奇妙とは?
- 疑問 16-02 異端解放戦線の組織長は、地動説の本で何をしようとしている?
- 疑問 17-01 ドゥラカは、どうやって大金を蓄えた?
- 疑問 18-01 アントニ司教も前司教同様、宇宙論重視?
- 疑問 20-01 ノヴァクは、自爆した組織長が娘ヨレンタだと気付いた?
今週のX感想ポスト
#チ。 #チ球の運動について 21話
— 時文@ここアニ(『チ。』『薬屋』レビュー中) (@toki23_a) February 16, 2025
想いは受け継がれ熱意は人を動かす
信念忘れる程の感情に心寄せる者、貫く者
自分の信念曲げてでも目的果たすその想い。感情が信念凌駕する、それは正解か誤りか…いや正誤では測れない何かがそこにある
前話超える衝撃はもうないだろうと思ってたのにそうきたか😭
関連記事
アニメ『チ。-地球の運動について-』次話のレビューはこちら!
