【文字数(本文):約1万文字(目安16分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第22話「君らは歴史の登場人物じゃない」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第7集・8集
-
第52話~第54話まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- 逃げる以外の選択肢は?
- 異端解放戦線とドゥラカの共通点
- テストゥドとは?
- ドゥラカは、どうやって門を通った?
- 地動説で弾圧はなかった!?
- 地動説は弾圧されていない、とドゥラカはなぜ気付いた?
- なぜ地動説の本が売れる?
- (原作) ノヴァクは強い酒を手に入れた?
- (考察) 明かされた真実の検証
- 当時のポーランド国土
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第16話 | 行動を開始する | 第6集 |
第17話 | この本で大稼ぎできる、かも | |
第18話 | 情報を解放する | |
第19話 | 迷いの中に倫理がある | 第7集 |
第20話 | 私は、地動説を愛している | |
第21話 | 時代は変わる | |
第22話 | 君らは歴史の登場人物じゃない | |
第8集 | ||
第23話 | ||
第24話 | ||
第25話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
裏切りにより騎士団にアジトがバレてしまった異端解放戦線は、ドゥラカを逃がす為、正面からぶつかっていく。
ドゥラカが向かった先とは・・・。
自業自得かドッキリか!?
闇か悲劇か現実か!?
この騒動は、一部の人間が起こしたただの勘違い!?
叙述トリック張りの種明かし。
いやいやいや、弾圧したのはノヴァクだけではないでしょ。
ラファウは裁判だってやったし、中盤での異端者移送は別の担当、アントニだって裁いていただろうと言いたいが・・・。
法は権力の下僕。
時の権力者によって如何様にも・・・。
というより、井の中の蛙大海を知らず!?
これまでの話は全て、一国内(一教会配下)だった!?
ならば、教皇直属の異端審問官アッシュは、なぜ異端解放戦線を追った?

そうじゃん!
教皇って全世界のトップでしょ?

う~ん。(確かに地動説は追ってないんだよな…)
後で考察しよう!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第22話「君らは歴史の登場人物じゃない」
私も仕事します
ドゥラカを逃がす作戦が始まった。異端解放戦線は、ノヴァク率いる騎士団と真正面からぶつかり、その隙にシュミットはドゥラカと共に馬を奪う。
想定外

君が逃げろ、我々が守る
── 隊長、それは提案ですか?
── 命令だ。了解
by 異端解放戦線『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第21話
自然主義者をモットーとし、人の手による人工的なことを嫌うシュミットが、神の選択を覆す。
胸熱展開で終わった前話。
ドゥラカを無事に逃がすことができるか~~な今話スタートです!

正直、これだけで1話描ける程のエピソード
でも、描きたいのはそこではないと言わんばかりのスピード展開(苦笑)

物資はこれで全部だ。
by ボルコ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
前話、選択は逃げの一手しかないようなこと言っていました。
異端解放戦線はそこそこ強いのに、なぜ戦う選択肢がないのか不思議でした。(21話 )
爆薬はもちろんのこと、武器は剣しかなく。
その剣と盾ですら人数分なかったのです。(推測)
剣をもらおう。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
シュミットは剣しか持てなかったということですね。

それとも、逃げるのに身軽な方が良いので、盾は必要なかったのかな?
つまり、このアジトが見つかる事は想定外だったのです。
異端解放戦線は、要所要所で爆薬を使っていました。
が、ここでは配備すらしていなかったのです。
ヨレンタ組織長が身を挺して組織解散を偽装したことで、このアジトは大丈夫だと踏んでいたのです。
事実、計画は成功しかけていました。
あと数日で、本の輸送に移れたのですから・・・。
フライは、絶好の(最悪の)タイミングで教会へ密告したのです。
報いる
私たちは、ヨレンタさんを知ってる。
- 中略 -
私にはあの声が、私の価値観への、私の未来への肯定に聞こえた。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
異端解放戦線に参加して間もないドゥラカ。
ドゥラカが皆を知らなくても、皆もドゥラカを知らなくても。
共通しているのはヨレンタ。
てっきり ──
みんな、ヨレンタの願いを叶えたい、ドゥラカの言動にヨレンタを見たのだと思っていました。(21話 )
違いますね。
いや、浅かったですね(苦笑)。
もっと、深い部分でヨレンタの言葉を捉えていたのです。
私にはあの声が、私の価値観への、私の未来への肯定に聞こえた。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
ドゥラカは、ヨレンタとの言葉を、自分への肯定と捉えていたのです。
確かに、ヨレンタはドゥラカを信じた(あるいは期待した)から印刷機を貸すと約束したのでしょう。
シュミットの提案(ドゥラカを消す)も却下したのでしょう。
ヨレンタは、ドゥラカの未来に懸け、手紙を託した・・・。
それに応えたい。
私も仕事します。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
ドゥラカは、皆の思いも引っくるめて引き継いだのです。
テストゥド
テストゥドか。
狼狽えるな。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
あの陣形は白兵戦に弱い。
テストゥドとは、古代ローマ軍が使っていた歩兵戦術の一つ。

Neil Carey, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
「テストゥド」とは、ラテン語で「亀」の意味。
密着して亀の甲羅のように前と上に盾を突きだし、(歩調を合わせて)ゆっくり移動していく。
ノヴァクが言うように、遠距離攻撃には強いが、密集しているが故に白兵戦に弱い。
攻めではなく、防御に徹した異端解放戦線。
なるほど、これでクロスボウの攻撃を防ぎ、近づいてから白兵戦!
と思いきや、ノヴァクに見破られ、アッシュはすぐさま白兵戦に切り替えます。
早くも作戦が崩されたかと思いきや・・・。
今だ。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
レヴァンドロフスキ達は、騎士団を引きつけることが目的だったのです!

あれ?
この戦法で、もう2、3人が後ろに回れば騎士団倒せたような…

まあまあ…
揺らぐ信仰
今、その信仰が私の中で揺らいでいる。
だからもう君たちを殺す正当性がない。しかし、それでも君を殺す。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
動機は私の都合だ、すまん!
自然を崇拝し、人間の知性や人工物を嫌ってきた、シュミット。
だけど、この小一時間。
劇的に方向転換してしまったのです。
自然主義者として生きてきたシュミットが、ヨレンタの想いを引き継いだドゥラカに揺り動かされ、信念を曲げる。
信念を曲げて初めてする選択が、自身の命や、本、ドゥラカの行方に影響 ──
私は自らの選択を恐れたことはなかった。
全ては神が決めた運命に従うだけだと思っていたからだ。だ、今、初めて怖い。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
神が導いた結果(コイン)を覆し。
自らの意思で騎士団に立ち向かう。
それが、この僅か数十分の間に起きたのです。
シュミットの中で信仰が揺らいでも、朝日だけは変わらなかったのでしょう。
だから ──
君にとって魅力的でなくても、私にとっては世界一、素晴らしい時間なのだ。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
それを伝えたくなってね。
ウザがられても、ドゥラカに伝えたのでしょう。
私と君が偶然出会ったからだろう。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
全てをあるがまま受け入れる、シュミットの(今までの)自然主義者の考え方で言うと ──
ドゥラカとの出会いこそ、神のお導きだったのかもしれませんね・・・。
シュミット没。
君らは歴史の登場人物じゃない
街へ着いたドゥラカは、教会のアントニ司教を訪ね取り引きを持ちかける。
遍歴職人
遍歴職人です。
── ふむ、証明書は?
これです。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
ここで言う遍歴職人とは、生産職のことでしょうか。
ドゥラカが遍歴職人?
もちろん、ウソですね。
当然、証明書など持っているわけはなく・・・。

前話冒頭で見せた、鋳造職人の証明書はもらわなかったんだね

そうじゃん!
見せたのは、自分で作ったアクセサリ・・・ではなく、金ですね(笑)。
門番に賄賂を渡して通してもらったのです。
アントニ司教
やはり君か。
── お久しぶりです。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
レヴァンドロフスキがあり得ないと考えていた、ドゥラカの交渉相手は、やはりアントニ司教でしたか(苦笑)。
夜中に司祭を叩き起こし、早速交渉に入るドゥラカ。
今も戦っているかもしれない異端解放戦線を助けて欲しいだなんて一言も言わず(苦笑)。

そうじゃん!
助けてって頼めばいいのに!

もう間に合わないのかも…

そんなぁ…
さっそく取り引きの儲け話をするドゥラカ。
仕事人ですね・・・。
いや、それだけ強い決意を持ってここに来たのでしょう。
何が真実?
あなたにぜひ協力して欲しい。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
印刷機と本の発行許可をもらいたいんです。
何が何だか、よく分からなくなってきました(苦笑)。
この国は、教会正統派の圧政で、民は富を奪われ奴隷同然の暮らしをしているのではなかったのでしょうか。
だから異端解放戦線の面々は賛同し、教会正統派を潰そうとした。
異端解放戦線の思想に共感する異端者もいました。(16話 )
あちこちに誰もいない村があり、かつてバデーニとクラボフスキがいた村も廃村になりました。(19話 )
もうこの国は、教会正統派によって経済はズタボロ。
全国民が疲弊していると思っていました。
なのに、本の出版!?
私はこの先、物の個人所有が進んで、本が売れる時代が来ると思う。
今や、市民は宗教ではなく娯楽を欲している。
大道芸から処刑に至るまで、貪るように群がる彼らの熱気を知ってるでしょ。皆、刺激に飢えています。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
そこで本です。
皆が欲しているのは、今日の食事では?
安心して生きられる平穏では?
なのに、これから物の個人所有が進んで本が売れる?
足りないのは娯楽!?刺激!?
確かに、17話時点で ──
人は、分かりやすいものの方が好きなはず。
いずれ娯楽は、身近で刺激的なものになるんじゃ・・・。そして、もし・・・。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第17話
もし読書がその娯楽になれたら?
ドゥラカは、次に来るのは娯楽だと言っていました。
どうも、見えている状況と、やっていることがチグハグで違和感がありましたが・・・。
この後、地動説を異端として弾圧しているのはここだけ、という事実が判明。
だとしたら、貧困も一部の人達だけなのかもしれません。
視聴者は、(地動説関連だけでなく)他の部分も一面しか見せられていなかったのではないでしょうか。
だとしたら、異端解放戦線も単なる一部の人間によるテロ行為。
アントニ司教に、ドゥラカは異端解放戦線の仕事を任されてきた、などとは自分からは言えないのです。
地動説の弾圧
考えてみてください。
歴史上、地動説が弾圧された前例を聞いたことがありますか?果たしてこの説は、本当に異端なのですか?
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
歴史上、地動説が弾圧されたことはあるか?
いや、私も地動説で処刑されたなんて話は史実にはない、と1話時点から本ブログに記載してきました。(1話 )
地動説が弾圧されているのは、(史実ではなく)作品内だけだと。
だからフィクションだと。
『チ。』の創作なのだと。
確かに、よそで弾圧の話は聞いたことがない。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
なんと、作品内でも、ここでしか地動説は弾圧されていなかったのです。
地動説が弾圧されていたのは、史実ではなく作品内だけのことだと思っていました。
が、実は、作品内でも地動説の弾圧は一般的には行われておらず、ごく一部だったのです。
『チ。-地球の運動について-』は、フィクション。
特に、地動説を弾圧している教会の部分は、創作だと思っていましたが、ある程度、史実を踏まえた内容だったのです。

ややこしいな(苦笑)

うん
なんとなく分かるけど、分かりにくい(苦笑)

そう考えると、前項のような解釈が出てきました

“現時点から”じゃないじゃん!(苦笑)

はっ!
弾圧されてない!?
やっぱり!
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
やっぱり!?
どうやら、ドゥラカは、地動説が100%弾圧されるべきものではないと考えていたようです。
なぜドゥラカは、気付いていたのでしょうか。
ドゥラカは、移動民族です。
他の国も見ていた、あるいは他の国を見てきた村の人から聞いていたのかもしれないですね。
ドゥラカ以外はと言うと・・・。
6話、確かにバデーニも ──

確かに教会では少し問題があるが・・・。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
いや、適切な解釈を見つければ、公表も不可能ではないか?
そして、拷問された時、ノヴァクに説こうとしました ──
── 随分、あっけない答えじゃないか。
ええ、ですが、それが真相です。
それで、私が話したいのは ──地動説は果たして、どの程度異端なのか・・・。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第13話
バデーニも、地動説が完全に異端であるとは考えていなかったのです。

ノヴァクが、あの時真剣に取り合っていれば…

そうじゃん…
攻めた本
── 必ずや損はさせません。
ほう。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
で、その本の内容は?
ところで、そもそも、なぜドゥラカは、地動説の本が売れると言い切れるのでしょうか?
地動説で弾圧された前例がないからといって、地動説を大っぴらに語って良いわけではありません。
中には過剰に反応する人がいるでしょう。
でも、「人々は刺激を求めています」。
地動説に触れた本など、これまでなかったでしょう。
そんな本が世に出たら ──
この本、もしかしてヤバくね?
でも、教会が許可してるんだから問題ないのでは??
いや、でもこの中身は・・・。
というギリギリのラインを攻めれば、爆発的に売れる。
確かに宇宙論は、神の創造に抵触する話題だ。
普通なら避けて当然。これを理由に裁くことも可能でしょう。
慎重になるべきだ。しかし、しかしです。
逆に慎重になりさえすれば、必ずしも禁止されるべきものではないのではないですか?そしてそれは、刺激的な娯楽の題材になりませんか?
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
触れてはいけない話題だから、知ってても誰もが避けてきた。
だからこそ、まだ多くの人に知られていない題材がある。
そこに、巨大なビジネスチャンスがある。
これが、ドゥラカの狙い、儲け話なのです。
強い酒
ここらで強い酒を売ってる店はないか?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
足跡を追って!?、ドゥラカが来た街に着いたノヴァク。
少しでも早く、容疑者を捕まえないといけないのに、なぜ酒を気にしているのでしょうか?
(アルコール中毒者で)アルコールが切れた?
傷口を消毒する?
それとも・・・。
ノヴァクは、何の為に酒を買った?
信仰第一

── 君は、地動説の何が問題だと思う?
そんなの、宇宙論は神の創造に関わる問題で、詳しいことは・・・。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
その・・・前の司教様が・・・。
確かに、ノヴァクはこれまで何人も地動説を研究する者達を捕らえ、拷問、処刑してきましたが、ノヴァク自身の地動説に関する考え方は述べられていません。
先に取り上げたように、バデーニが地動説の異端度に触れても無視しました。
前司教が地動説を異端としていた理由も不明瞭でした。

司教様って、昔天文学をやってたらしいんだよね。
なのに、今は異常に毛嫌いしてる。
こういう場合、昔何か嫌なことがあったんだと思うよ。若い頃のそういうのは、根深いからさあ。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第11話
この程度の理解で、なぜ地動説が異端なのか掘り下げていません。
私は、この時、司教の好みで異端認定しているのかと憤りました。(11話 )
その怒りは正しい反応で、またこの司教でしかなかったのです。
ある意味、新人異端審問官2人の反応が正常だったのです。
(認めたくありませんが)息子のアントニが、父親を無能呼ばわりしているのも正しかったのかもしれないですね・・・。

だとしたら父親を問いただして欲しかった…

そうじゃん!

まあ、それじゃあ物語にならないからね(苦笑)

ああ、確かに…
ノヴァクは、与えられた任務をこなすだけ。
自分の仕事の意味だとか必要性など考えていなかったのです。
あの人、顔色一つ変えてなかった。
by シモン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第11話
続ければ、あんなに慣れる時が来るのかな。
ある意味、教会を信じ切っている。
妄信していると言ってもいいですね。
妄信は決して悪いことではありませんが、思考を止めます。
本作でもずっと言われ続けてきたことですね・・・。
明かされる真実
何にせよ、私が推測する事の顛末はこうだ。
あるところに、宇宙論に特別厳しい権力者がいて、運悪く彼の管轄内で地動説を研究した者達が異端者の烙印を押された。
人々は地動説は禁忌だという物語を信じるようになった。
そして、その汚れ仕事は、修道会出身の通常の異端審問官ではなく、外部の者、つまり傭兵上がりの君に委託された。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
アントニ司教による、種明かしが始まります。
もしそうだとしたら ──
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
この騒動は、教会や人々の信仰を守る聖戦などではなく、一部の人間が起こしたただの勘違いだったという事になる。
とんでもない結論に至ります。
本当に私だけなのか?
地動説の迫害を実行したのは・・・。この世で私だけ?
── ああ、私の知る限り。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
いやいやいや、そんなことはないでしょ!
いやそうなのか!?
3話、ラファウは裁判にかけられました。

でも、(未遂に終わりましたが)拷問すると言ったのはノヴァクのみ。
裁判では、「改心の宣言」と「関係資料の開示と焚書を要求」しただけで、処刑するとは言っていません。
5話、地動説を研究していた異端者移送中 ──

今日の異端はペーターさんの担当でしょ?
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
処刑を宣言したのは、ペーターという別の異端審問官。
でも、ペーターは地動説で処刑するのに疑問を持っていたから、移送を拒みノヴァクに回ってきたとも考えられます。
いや、処刑の判断を下したのは、前司教かもしれないですね・・・。

あっ、そういうこと!?
11話、ノヴァクに緊急派遣要請がありました。
ノヴァクさん!
緊急の派遣要請です。
通報が入りました。── え? それ私が行くの? 今実習指導中なんだけど。
はい、司教じきじきにご指名が。
by 審問官『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第11話
ノヴァクは、理由を聞くこともなく無条件で地動説研究者を排除したので司教から重宝がられていたのです。
地動説を異端として弾圧していたのはノヴァクだけ。
だから、12話、バデーニとオクジーを捕らえようとした時、良い人材を回してもらえなかったのです。(12話 )
命令すればノヴァクは疑うこともなく、指示に従う。
ノヴァクは、前司教の妬み?個人的恨み?を晴らすために、利用されたのです。
なるほど。
一つ謎が解けました。
ノヴァクは、前司教に気に入られ汚れた傭兵上がりでも異端審問官として採用されました。
その割には、(恐らく)25年前、娘が異端認定され異端審問官を首になった後、前司教が手を回したでもなく、司教になったダミアンがノヴァクを助けていました。
前司教は力もあったでしょうに、なぜノヴァクを助けなかったのか疑問でした。
25年前、バデーニとオクジーから石箱の場所を聞きだし、2人を処刑したことで、地動説は完全にこの世から消したと考えたのではないでしょうか。
ノヴァクはもう用済み。
だから、前司教は、ノヴァクを助けなかったのではないでしょうか。

あっ、確かに…
そういうことか…
ノヴァクは、司教の私的な復讐とも言える私怨の手先として利用されていたのです。
他の審問官は、今一つ割り切れない地動説の弾圧を素直に受け入れられなかったのでしょう。
もう完全に、ノヴァクはピエロ、道化ですね・・・。
思い返してみると ──
地動説がこれだけ異端扱いされているのに、なぜ大学で天文学があるのか。
ピャスト泊が「完璧な天動説」を研究してもなぜ問題ないのか。
地動説に触れさせたくなければ天文を禁じれば良いのです。
なぜ自然と辿り着く研究を放置していたのか・・・。
どれもこれも、限定的な地域で行われていたことだったので、成り立っていたのです。
『チ。』は、フィクションです。
と、本ブログでも記載してきましたが、そのこと自体が叙述トリックだったのです。
これが情報伝達が未熟な時代の常識でしょうか・・・。
君や、君が担当した異端者達。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
君らは、歴史の登場人物じゃない。
違いますね。
敢えて私は異論を唱えます。
地動説の本を出すにあたり、本の内容が異端と判断されてしまっては元も子もありません。
それを許可したアントニ司教も責任を問われるでしょう。
だから先手を打ったのです。
幸い、25年間、地動説は裁かれていません。
人々の記憶も薄れているでしょう。
その上、都合の良いことに、25年以上前に裁かれていた地動説による異端者は非公開処刑。
ならば話は簡単です。
他の地区に倣い、地動説の弾圧の記録を消去。
ここでも地動説は弾圧されていないことにしたのです。
君らは、歴史の登場人物じゃない。
by アントニ司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第22話
ノヴァクも地動説で処刑された異端者も歴史の登場人物ではない?
違います。
アントニ司教が、歴史からノヴァクとノヴァクが担当した異端者を消したのです。
おわりに (『チ。-地球の運動について-』22話とは)
これまで描かれた教会による地動説弾圧は、一部の人間が起こした勘違い・・・。
常識だと思っていた地動説の異端認定が、実は限定された地域だけのことだった・・・。
なんとも皮肉たっぷりな展開というか、オチになりそうな『チ。-地球の運動について-』。
ネットで瞬時に海外情報を得ることができる現代では考えられない展開です。
(物語の舞台である)ポーランドの国土面積、現在は日本の約4/5。
でもポーランドは分割と統合を繰り返し、15世紀当時はもっと広い国土を持っていました。
15世紀当時のポーランドとその周辺国

Blowwhite, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
なんなら、16世紀(1569年)には隣国リトアニアと連邦になり、当時、ヨーロッパで最大の国でした。
『チ。-地球の運動について-』は、物語開始時期は15世紀前期。(1話 )
それから第二章が10年後、第三章はその25年後。
まだ15世紀後期だと思われますが、そこは創作(笑)。
これだけ広い国土を、移動手段が馬しかない時代、国を越えることなど想像だにできなかったのかもしれないですね・・・。
ついに原作コミックは最終巻の第8集に入りました。
アニメも残り3話。
世界がひっくり返った今話でしたが、逆に言うとまだ3話あります。
これからどんな展開を見せてくれるのか。
ひっくり返るのは地面か、更なるどんでん返しか(笑)。

くれぐれも言っておきますが私は原作未読です
この先を知らずに書いてます

あっ、予防線張った!

だって、本作は展開早いし、他作品と違って呆気なく決着させたりするし…次話で全て決着ついて残りはエピローグなんて可能性も…

それはないとは思うけど…予想外の展開するのが本作だから心配するのは分かる(苦笑)
ま、兎にも角にも残り3話、心して観ましょう!
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第22話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
「ただの勘違い」の「ち」
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 22-01 ノヴァクは、何の為に酒を買った?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
- 疑問 06-02 なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
- 疑問 06-03 バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
- 疑問 07-01 コルベのヨレンタに対する態度は本心か、それとも・・・
- 疑問 08-01 バデーニは、なぜアリスタルコスを知っている?
- 疑問 08-02 教会は、貴族相手でも異端扱いできる?
- 疑問 10-01 ピャスト伯の観測資料、どこに運び込んだ?
- 疑問 10-02 オクジーは何を書いている?
- 疑問 12-03 バデーニとオクジーを捕らえるのに、なぜ良い人材を回してもらえない?
- 疑問 15-01 ヨレンタはどこへ逃げた?
- 疑問 15-02 クラボフスキが、ふさわしいとは?
- 疑問 16-01 本の内容が奇妙とは?
- 疑問 16-02 異端解放戦線の組織長は、地動説の本で何をしようとしている?
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今週のX感想ポスト
#チ。 #チ球の運動について 22話
— 時文@ここアニ(『チ。』『薬屋』レビュー中) (@toki23_a) February 23, 2025
自業自得かドッキリか!? 闇か悲劇か現実か!?
叙述トリック張りの種明かし😅
いやいや裁判あったし、お前も裁いてただろと言いたいが…法は権力の下僕、時の権力者によって如何様にも…ていうか井の中の蛙大海を知らず!?😱
悲劇と言うより喜劇
差し詰め彼は道化か..
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