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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第6話「世界を、動かせ」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第2集
-
第10話~第12話まで (第2集最後まで)
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- (考察) バデーニ、なぜグラスに逆行教えなかった?
- (考察) 教会にとっては、分からない方が都合良い?
- (考察) 太陽の大きさ、なぜ禁書扱い?
- (考察) バデーニが焼かれたのは片目ではなく・・・
- (原作) バデーニは、なぜオクジーの願い聞いた?
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。
こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第1話 | 『地動説』、とでも呼ぼうか | 第1集 |
第2話 | 今から、地球を動かす | |
第3話 | 僕は、地動説を信じてます | |
第4話 | この地球は、天国なんかよりも美しい | 第2集 |
第5話 | 私が死んでもこの世界は続く | |
第6話 | 世界を、動かせ | |
第7話 | ||
第8話 | ||
第9話 | ||
第10話 | ||
第11話 | ||
第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作漫画:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
オクジーは修道士バデーニに見て欲しい物があると伝えるも、中身を説明できず取り合ってもらえなかった。
一方、バデーニもまた宇宙の真理を追い求めていた・・・。
そこには、何か分からぬが何かある。
歴史を動かすには、一歩踏み出さなくては。
この世の真実知るには、上を見なくては。
特別になるには、この世の真理を知るには、自らも変わらねばならぬ。
それぞれが欲したか、歴史が必要としたか、星の巡り合わせが異色の二人を引き合わす・・・。
ラファウが命を懸けて残した感動。
歴史を動かすには人が必要。
人を動かすには感動が必要。
ラスト、宇宙の美しさを知り、オクジーはこの世界に少し感動し始めた?
であれば、グラスさんに伝えたかったですね・・・。
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第6話「世界を、動かせ」
修道士バデーニ
異端者とグラスから思いを託されたオクジーは、田舎村の教会にいる修道士バデーニを訪ねる。
名は伝わってない?
自分、オクジーと言います。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
おっと、随分正直に自分の名を明かしましたね(苦笑)。
グラスに巻き込まれたとは言え ──
異端者護送任務を放棄し、異端者逃亡の片棒を担ぎました。
いわば、オクジーは教会からマークされていても不思議ではありません。
あっ、そうじゃん!
指名手配されてるかも!
指名手配か分からないけど、罪人として認識されてるだろうね
その教会の修道士相手に、オクジーは名を明かしたのです。
ネットは勿論のこと、電話もない時代です。
連絡手段は、人づて、手紙などでしょう。
オクジーは、最短でバデーニがいる教会へ来たので、現時点連絡は来てないかもしれません。
が、いずれ来るだろう事を想定したら名を明かすべきではありません。
それとも、異端審問官ノヴァクらは街の外までは追いかけてこない、あるいはこんな田舎まで手配されないと踏んだのでしょうか・・・。
まあ、オクジーはそこまで頭が回ってない、というのが真相だと思いますが・・・。
あーー、確かにあり得そう(苦笑)
名前から尻尾を掴まれ、見つからなければ良いのですが・・・。
異端者護送中に裏切ったのに、オクジーは教会から手配されていない?
傭兵嫌い
君、傭兵か。
悪いが私は聖職者だ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
このまま一定の距離を保つように。
血のニオイで、オクジーが人を傷付けたことがあると見抜くバデーニ。
でも、オクジーは傭兵ではなく、(決闘の代理をする)代闘士です。
否定しないところを見ると、代闘士と傭兵は身分的にはさほど変わらないのでしょうか?
傭兵と言えば、元傭兵のノヴァク ──
そういえば、ノヴァクが元傭兵だと知り、若かりし頃のダミアンは憤っていましたね・・・。
傭兵!?
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
そんな血に汚れた手で聖職を?
考えられない・・・なぜそんなことを・・・。
どうやら、聖職者から見ると、傭兵は忌み嫌う存在のようです。
ダミアンとバデーニは、この点は似ているようです。
真面目な聖職者ほど、傭兵や代闘士のような血生臭い職業を蔑んでいるのかもしれませんね。
自分達は懲罰と称して拷問みたいな事してるのに…
そうじゃん!
人生を変える
まず1つ確認したい。
君の話は、私の人生を大きく変えると言えるか?そう断言できないものに時間を割きたくない。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
なんとも難しい問いをぶつけるバデーニ修道士。
前話、バデーニは田舎に左遷された、とグラスが言っていたので ──
てっきり、暇していて面白そうな話題に飛びつくと思っていました(笑)。
どうやら、田舎に左遷されても何かに没頭しているようです。
時間を無駄にしたくないバデーニは、オクジーの話が人生を変える程のモノかとメチャクチャ高いボールを投げかけたのです。
普通、こんな質問をされたら、続けて話すのを躊躇してしまいます。
人生を変えるような話なんて、滅多にありませんから。
ところが、我らがオクジーはサラッと言い切ってしまいます ──
ある意味では、人生を変えてしまうかもしれません。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
その・・・教会的に少し問題かもしれないので。
石箱にあるのは「地動説」の研究資料。
教会が躍起になって、この世から消そうとしているもの。
ある意味、地動説を知ることは人生を変えてしまいます。
ですが、オクジーは石箱の資料に何が書いてあるのか知りません。
ただ異端者が教会から命を懸けて守った資料だとしか・・・。
そこで「教会的に少し問題かもしれない」ので、バデーニの人生を変えるかもしれないと言ったのです。
バデーニが投げた思い切り高いボールを、堂々打ち返したオクジー。
それで、バデーニも「少しは骨がありそうだ」と認めたのです。
オクジーの他人任せで何も考えない・・・失礼、純朴で天然な性格が功を奏しましたね。
言い直しても、あまり意味変わってないよ…
適当
惑星の逆行を知らなかったのか?
そもそも惑星って名前自体が「惑う人」プラネーテスから来てるんだぞ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
やはり当然というか、バデーニは火星の逆行を知っていました。
4話レビューでも解説しましたが。(4話 )
惑星と言う名前自体が惑うことを指し示しています。
正確に言うと惑星は日本語ですから、その語源に遡ります。
昔の人は、他の星とは違い惑うような動きをしている星(惑星)に「planetes(ギリシャ語)」と名付けたのです。
ギリシャ語のプラネーテスが、ラテン語、フランス語と経由して英語(planet)になったと言われています。
日本はその語源から、planetに「惑星(惑う星)」の漢字をあてたのです。
以前、グラスは修道士から惑星のことを聞いたと言っていました。
興味を持った私は、修道士様に聞いてみた。
その動く星は惑星と呼ばれ、空に5つ程あるのだと知った。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
私が見つけたのは、その中で最も動きが分かりやすく炎のように赤く輝く火星だ。
この時の修道士がバデーニ。
ただ惑星のことを教えはしたが、逆行については教えなかったのです。
もしこの時、グラスに火星は逆行すると教えていたら・・・グラスは失望することもなかったでしょう。
なぜバデーニは、グラスに逆行を教えなかったのでしょうか?
グラスが火星観測をするほど熱心だと思わなかった?
グラスが火星が完璧な円環を描くのに陶酔しているとは知らなかった?
いいえ。
グラスは「固定された星座の中を動く星もある」と興味を持ったから修道士に聞いたのです。
少し注意すれば、グラスが天体に魅せられていることに気付くでしょう。
ですが、バデーニは気付かず、逆行を教えることもしませんでした。
その理由は ──
さあな。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
院の決まりで、定期的に市民と話してたが、あの時間はとにかく苦痛で覚えていない。
市民との対話は、適当に対応していたのです。
バデーニは、人に関心がなく。
特に、自分より知識のない者、利益をもたらさない者に興味がなかったのです。
まあ、バデーニからすれば、逆行なんて勉強すれば分かるだろうと思っていたかもしれませんね・・・。
緻密な観測
火星の観測記録か。
なんだ、結構緻密な記録じゃないか。世俗にもたまにはこういう者が・・・。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
市民との対話はいい加減に対応していたにも関わらず、観測記録は公平に評価するグラス。
なかなか学者気質です(苦笑)。
グラスは、機器使ってないのに火星が止まったことに気付いていました。(4話 )
4話鑑賞時、これが普通なのか凄いのか分かりませんでしたが・・・。
やはり、グラスは凄かったのです。
もしグラスが生きていたら、(観測については)バデーニと気が合っていたかもしれないですね。
グラスさ~~ん
そういや、グラスは読み書きもできたな…何者?
渇望する修道士
バデーニは優秀ではあるが独善的で、思想上の禁忌に触れたことで左遷された身だった。
出る杭は鞭打たれる
ここでは、想定を超えた勉強は許されない。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
規律通り行動しろ、足並みを揃えろ。
修道院でも天文の勉強ができることに驚きましたが、勉強の自由はない!?
想定を超えた勉強は許されず、規律、いや足並みを揃えることを重んじる修道院。
バデーニが博学なことは認めるものの ──
確かに君はウチで一番博学だ。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
しかし、思慮深さは皆無だ。
思慮深さが皆無だと言い放つ修道院長。
そんな修道院長に対して ──
思慮深くてはダメなんですよ、修道院長。
そんなヤワな姿勢じゃ、時代に埋もれて終わる。利口なだけではいざという時、つかみ取れない。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
真っ向否定するバデーニ。
確かに、何か事を起こすのに善悪を考えていては前へ進まないことがあります。
現代では善悪ではなく常識に置き換えた方が良いでしょうが、この当時(の設定で)は教会が善悪を決めていたのです。
教会が決めた善悪に囚われていては、常識を覆すことはもちろん、歴史を動かすことも革命を起こすこともできないのです。
確かに、ラファウも教会に背いてまで地動説の研究を続けるなんてバカげている、と頭では考えていました。
確かに地動説はすごいアイデアだ。
でも、あまりに危険で不適切で、何より不確かだ。
これが理に適った決着のつけ方だ、こんなの燃やすしかない。フベルトさんの言うとおり、僕の理屈は書物を燃やした。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
それでも、宇宙は美しいと知ったから、地動説を信じたいから、(教会の言う)異端思想にも関わらず研究を続けたのです。
ただ、バデーニが掴みたいことは ──
── つかむ? 何を?
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
私がずっと待っている、私を特別にする瞬間、私を偉大にする瞬間、私が歴史を動かす瞬間ですよ。
特別、偉大、歴史を動かす。
真理や真実というより・・・特別になりたい?名声を得たい?
ちょっと危なっかしく見えるのは気のせいでしょうか・・・。
禁書を読んで取り押さえられた時も ──
このままでは近いうちに対抗勢力によって、教会正統派は崩れるぞ!
そしたら・・・そしたら私の格も落ちるではないか!
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
教会正統派が崩れることによって、所属している自分が特別でなくなることを気にしているのです。
ちとヤバいですね・・・。
全ての答えは聖書に
全ての答えは聖書にあるぞ。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
「全ての答えは聖書に」
これが、教会側の本音ですね。
本作の教会は時代によって主張を変えています。
── 宇宙の中心には何があるでしょう。
アリストテレス曰く、”重い物体は下に落ちる”。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第1話
地上で物が常に落下するのは、地球が宇宙で最も低い地点、中心にあるからです。
神が創った地球であり人なのだから、宇宙の中心にあるのが正しい。
が、人々の生活が貧しくなってくると ──
中心というのは一番底辺ということだよ。
by 『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
重い物は地球上のどこであろうと常に下に向かって落ちる。
なぜなら地球の中心が宇宙の一番底にあるからだ。
神様が地球を宇宙の底辺である一番底に創った、と解釈を変えていきます。
現代だったら政治が悪い!とか文句が出そうです(苦笑)。
それを神様がそのように創ったのだから仕方ないと諦めさせているのです。
これらは、教会が人々を導くため、いや、管理する為・・・。
科学よりも聖書を重んじることにして、分からない事は自分達に都合の良いように解釈しているのです。
人類が天界について今以上に知れることはない。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
天と地は階級が違うんだ。
その為には、月より上を天上界として、不可解&不可侵領域にしておいた方が好都合。
むしろ、分からないモノは、分からないままの方が教会にとって都合が良いのかもしれないですね・・・。
禁書
本を開くのは一瞬でしょう。
でも私はずっと待ってた、そんな特別な一瞬を!
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
なんと、教会は異端研究の資料を燃やしてはいなかったのです。
ついに禁書を見る機会を得たバデーニ。
目を犠牲にしてでも得たものは ──
太陽測距法により、太陽は地球の約109倍の大きさとなる。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
これにより・・・。
地動説ではなく、何のことはない太陽の大きさでした。
太陽の大きさは紀元前に既に分かっていました。
古代ギリシャのアリスタルコスが、月や太陽の大きさと距離を求めています。(天文学事典 より)
月が半月の時 ──
地球と月と太陽が直角三角形の関係であることから幾何学を使って太陽との距離を求め。
太陽が月に完全に隠れる日食の時 ──
太陽の直径:月の直径 = 太陽との距離:月との距離
上記関係性から太陽の大きさを求めたのです。
Aristarchus of Samos, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
でも、なぜ太陽の大きさを示す資料が禁書になっているのでしょうか?
太陽の大きさが分かれば地動説に繋がる…とか?
そんな風に考えてしまうよね
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
先に述べたとおり、太陽の大きさを最初に求めたのはアリスタルコスです。
この名前聞き覚えありませんか?
はい。
1話、フベルトが口にした名です ──
君は、アリスタルコスを知っているか?
── ん? 何です? それ。
by フベルト『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第1話
アリスタルコスは紀元前の人物ですが、既に地動説を考えついていました。
地動説の先駆者だから、この時フベルトはラファウに問うたのでしょう。
でも、神童のラファウですら知りませんでした。
(それ以降、名が出てこないので、きっと義父ポトツキの資料にもないのでしょう)
はい、もうお分かりですね。
太陽の大きさが異端の対象ではありません。
地動説を唱えたアリスタルコスの資料を全て禁書にしているのでしょう。
だから、世に出回っておらずラファウの目に触れることもなく、アリスタルコスの名前すら知らなかったのです。
教会は、アリスタルコスの存在をこの世から消していたのです。
おおっ、そういうことか~~!
上記考察当たっていると思いますが、本編では述べられていないので疑問点として残しておきます。
管理のためだね
なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
目潰しの刑
間違っても禁書を読もうなどと思うな、体罰では済まんぞ。
── どうするんです?目玉を焼く。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
宣言通り、修道院長は、禁書を見た者は目潰し。
バデーニは右目に眼帯していたので、そうなるだろうなと想定していましたが・・・。
その場でやるとは思わなかった!
ホント、それ!
教会怖すぎ~~
目潰しは、二度と禁書を読めないようにする戒めも込めているのでしょう。
確かに、目が見えなくては禁書を読みたくても読めません。
でも、バデーニは片目になっても細々とは言え研究を続けていますね。
これはどういうことでしょうか?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
修道院長は、バデーニの両目を焼いたのではないでしょうか。
両方の目を焼いたからこそ ──
運が良ければ失明は免れる。
片目だけでも残るといいな。では、神の御加護を。
by 修道院長『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
片目だけしか焼いてなければ、「片目だけで済んで良かったな」「片目があればお前の好きな勉強は続けられるだろう」的な言葉を投げかけたでしょう。
言いそう(苦笑)
両目を焼いたからこそ、「片目だけでも残るといいな」と言ったのです。
神の御加護か運が良かったのか分かりません。
が、なんとか片目は残ったのです。
さて、もしそうだとすると・・・。
バデーニが文字を見る時、ループのようなモノを使っていることから──
失明を免れた左目も視力が弱いのかもしれないですね。
視力が弱いと天体観測も難しいはず。
だから、オクジーに観測を手伝わせたのかもしれませんね。
お~~、繋がってる!
さて先の考察とは違い、上記考察は情報不足で正解とは言い切れないので、疑問点として残しておきます。
なぜ、バデーニはオクジーに観測を条件にしたのでしょうか?
誰にでもできる観測などやってられない?
でも自分の研究に必要だから、助手が欲しかった?
それとも、上記で考察した事が原因でしょうか・・・。
バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
宇宙が変わる
最初は、オクジーの言葉を信じないバデーニだったが、ある条件を出して付き合うことに。
原) 一歩前へ
待て。
書類を見よう。ただし、その観測日誌の続きを君が記録するのが条件だ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
条件を出したとは言え、バデーニはなぜオクジーの願いを聞いたのでしょうか?
アニメ鑑賞時、正直理由が分かりませんでした。
単に、バデーニの気紛れか、暇つぶしか。
あるいは、観測を手伝ってくれる助手でも欲しかったのか・・・。
答えは原作にありました。
もしかするとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
アニメは前話(正確に言うと前話終盤)までは、原作にそれはもう忠実にアニメ化されています。
が、前話ラストと今話は大きく構成を入れ替えています。
アニメは、オクジーがバデーニを訪れてから、バデーニの過去が描かれますが ──
原作は、先にバデーニの過去が描かれ、その後オクジーが訪ねてきます。
結果、アニメでは途中分割されましたが、原作では下記のように続いています ──
やはりここでは人生を特別にする瞬間など・・・。
── その傲慢な態度のままでは”特別”などにはなれん。(修道院長)待て。
書類を見よう。※太字部分はアニメではカット
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
バデーニは、修道院長の「その傲慢な態度のままでは特別などにはなれん」という言葉を思い出し態度を改めたのです。
最下層
いや、こんなことしなきゃいけない理由なんてないぞ?
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
ここで、我に返ったオクジー。
気づくの遅すぎ…
てっきり、オクジーはとっくに覚悟したのだと思っていました(笑)。
前話 ──
ここからは君に選んでほしい。
この先の選択肢は2つ ──
1つは、村に着いたら今回の経緯と石箱のことを教会に通報する。- 中略 -
2つ目は、1つ目全部無視して、この世界に期待することだ。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
そしていつか再び、その目で空を見てくれ。
その後、オクジーは、バデーニを訪ね書類を見て欲しいと願い出ました。
そして、この表情 ──
オクジーは、覚悟して茨の道を選んだのだと思っていました・・・。
ようやく、落ち着いて現状を整理します ──
元の街に帰れなくても、流れ者として別の街で一から人生を始めればいい。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
階級は最下層に落ちるけど、元々似たようなもんだ。
なるほど、元の街でなくても流れ者として別の街行けば教会の手は及ばないのです。
あくまで、オクジーの見立てだけど(苦笑)
ただ、階級は最下層に落ちるようです。
4話レビュー でも紹介しましたが ──
原作ではこの作品内ので階級は4段階あると記されています。
貴族
by 『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
上級市民
下級市民
貧民
オクジーは、現在下級市民です。
最下層とは、貧民になると言うことです。
天国にしか期待していないオクジーにとっては、この世は耐え忍ぶもの。
ならば、下級市民も貧民も、あまり違いはないのです・・・。
特別な二人
オクジーの天国最高は、絶対です。
教会も天国の話をし、他の人も天国に行きたいに違いない。
でも、なぜか死の直前、皆怯えていました・・・。
唯一の例外は、異端者とグラス ──
彼らだけが死ぬその瞬間・・・満足そうな顔をしてた。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
彼らは、(オクジーが信じる)天国よりも、現世を重視、この世に希望を持っていた。
なぜ?
その理由を知るために、知りたいが為に、オクジーは苦手な夜空を見上げるのです。
この時オクジーは、夜空普通に見えたの?
いや、まだ蔑む目が見えたんじゃないかな?
え~~それって、めっちゃ怖いじゃん!
そうだね
だから、翌朝やつれていたんだと思うよ
はい。
空から見つめられる(蔑まれる?)目と向き合いながら、観測を続けたのだと思います。
神を信じるが故
やはり神は間違えてなかったんだ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
面白いですね。
バデーニは神を信じているのです。
何を言いたいのかというと ──
教会は神様を信じ、聖書をルールブックにして理を説いています。
反抗しているバデーニは神を信じていないと思いきや・・・。
神を信じているからこそ、教会の教えに反抗しているのです。
修道院長との会話でも ──
神が設計を間違えたことになる。
そんなことはあり得ない。ならば、ここには人類が気付いていない理由が隠れてるはずだ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
天動説では、惑星の逆行を明確に説明できません。
つまり、神が設計を間違えていると言うのです。
でも、神が設計を間違えるはずがない。
間違えているとすれば、人間の方。
人類が、気付いていない、もしくは見落としている何かがあるはずなのだと。
バデーニは、神を信じているからこそ、この宇宙は(地球も含め)調和が取れているに違いないと信じているのです。
これはフベルトも言っていたことですね。
── なぜ危険を冒して、天国を捨ててまでこんなことをしてるんです? 神を否定したいのですか?
逆だ、神を信じるからやるのだ。
人は皆、この世は醜く貪欲で汚れていて、あの世は清く美しいと言う。
だが、私はそんなのは認めない。神が創ったこの世界は、きっと何よりも美しい。
by フベルト『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
フベルトもバデーニも神を信じているからこそ、研究を続けているのです。
ある意味、神の名誉挽回をしているのです。
地動説
── 一体、何が書かれているのですか?
ああ、端的に言うと・・・。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
アリストテレスの同心球理論とプトレマイオスの離心円・周転円理論の乖離と、それぞれの欠点の指摘・・・
いや、全然端的じゃないから!(爆)
めっちゃ、ハイテンションで笑った!
バデーニは何を言っているのかというと・・・。
この資料は ──
天動説の欠点を突き、天上界と地上界を分けている事への疑義、そして、それら問題点を解決し単純明快に説明できる(地動)説を提示している、と言ったのです。
まあ、もっと端的に言うと ── 地球は動いてる。
── 全然動いてないですが・・・。
だな。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
聞いても信じられないオクジーに、同意するバデーニ。
「地球は丸い」「地球は動いている」。
現代人にとっては常識ですが、実際実感できるかと言えば難しいこの2つ。
特に「地球は動いている」のは、2話でラファウが指摘したように不可解な点が多すぎます。(2話 )
だから、紀元前から地動説の考え自体はあったものの、広がらなかったのです。
一方「地球は丸い」は、意外と体験できたりします。
月食は地球の影が月に写っていることは、昔から知っていました。
故に、月食に写る地球の影が丸みを帯びていることから、地球は丸いと分かったのです。
また、海に行くと船が段々(地平線に沈み)見え隠れしたり、南北へ移動すると今まで見えていた星座が見えなくなったりしたことからも地球が丸いことに気付きました。
「地球は丸い」ことは見て確認ができたので紀元前から認められました。
が、「地球は動いている」ことは、感覚として確認ができず、(あまりにも当時は荒唐無稽で)理解できなかったのです。
実験
── 今ので何か?
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
今の一瞬に、プトレマイオスの1000年を脱する秘密が隠されていたぞ。
オクジーが地球、バデーニが火星と見立て、バデーニが歩き続けているのに、オクジーから見たら逆行しているように見える事を証明して見せたのです。
と同時に、血のニオイがするオクジーと一定の距離を保っていたオクジーを、自分の懐に飛び込むよう指示しました。
これも「下らん常識と積み上げた思い込み」を吐いたからでしょうか(笑)。
夜空は美しい
今日の空、なんかキレイじゃないですか?
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
遂に、オクジーは夜空を見上げても”目”が見えなくなったのでしょう。
元々オクジーは星を見るのが好きでした。
そんなオクジーが、ようやく夜空をまともに見ることができるようになったのです。
神を信じているが故に、(神が創った)この世界は美しいはず。
底辺だと思っていた地上が、天上界と同じなら、この世界は穢れていないはず。
ふっ、その”なんか”を”絶対”にする方法が1つだけあるぞ。
世界を動かせ。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第6話
さて、神童ラファウが受け継いだ石箱が、オクジーを通じて異彩バデーニに受け渡されました。
世界を動かすには、人が動かなくてはならぬ。
人を動かすには、感動が必要。
石箱には感動が詰まっています。
だが、それを潰そうとする教会が存在し、中身を人に理解してもらうのは簡単ではないし、証明することはもっと困難。
バデーニは、そしてオクジーは、世界を動かせるのでしょうか?
おわりに (『チ。-地球の運動について-』6話とは)
すみません、少しお詫びです。
前々話(4話)レビューで解説をした、天上界と地上界 、火星の逆行 について。
モロ今話のネタバレになってしまいました・・・。
今話のように、後に丁寧な説明がある展開になるのであれば、おちおち解説もできないですね(苦笑)。
悩ましい・・・。
ということで、今話の解説で気になる箇所は、一旦隠す(アコーディオン)ようにしました。(例:太陽の大きさがなぜ禁書?)
気にならない方だけご覧下さい。
さて、話は変わって。
今話で、原作第2巻最後まで描かれました。
6話で原作2冊分、カットされることも殆どなく、とても丁寧なアニメ化で嬉しい限りです。
原作コミックは全8巻で完結しているので、全8巻×各3話=24話。
アニメは連続2クール全25話と聞いているので、どこかで1話分じっくり使うのでしょう。
原作未読ですが、アニメ鑑賞後、アニメ化された部分までの原作を読むので、5話レビュー作成時に6話で第2巻は終わるだろうな~とは想定していました。
そこで少し不安要素がありました。
えっ、何、何?
第1巻ラストで起きた事 ── 主人公が退場してしまうことです。
あ~~、確かに
アニメで言うところの3話。
まさか、ラファウが退場してしまうと思いもよりませんでした。
公式HPのTOP画面やエンディングには、ラファウ以外に3人のメインキャラが!
ラファウと合わせて4人。
ラファウが3話で退場したことを鑑みると、3話×4人で12話。
前半クール12話で、4人の主人公がリレーするのでは!?なんて悪い予感がしていました。
なので、オクジーが退場せずにバデーニと合流できて一安心。
いや、次話もいるよね、オクジー!?(笑)
まだ、第3巻の表紙も見ていない時文でした。
何にしても良かった、誰も死ななくて(苦笑)
ホント、それ!
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第6話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
「宇宙が変わる」の「ち」
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 06-01 異端者護送中に裏切ったのに、オクジーは教会から手配されていない?
- 疑問 06-02 なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
- 疑問 06-03 バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 02-02 異端審問官ノヴァクの娘の手紙に何がある?
- 疑問 04-01 なぜ地球が宇宙の中心から底辺へ教会の教えは変わった?
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
今週の感想X
#チ。 #チ球の運動について 6話
— 時文@ここアニ(『チ。』レビュー中) (@toki23_a) November 3, 2024
何か分からぬが何かある
歴史動かすには一歩踏み出さなくては
この世の真実知るには上を見なくては
特別になるには真理知るには自らも変わらねばならぬ。各々が欲したか歴史が必要としたか、星の巡り合わせが異色の2人引き合わす
美しい宇宙グラスに伝えたかったね…
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