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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第19話「迷いの中に倫理がある」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第7集
-
第45話~第46話まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第16話 | 行動を開始する | 第6集 |
第17話 | この本で大稼ぎできる、かも | |
第18話 | 情報を解放する | |
第19話 | 迷いの中に倫理がある | 第7集 |
第20話 | ||
第21話 | ||
第22話 | ||
第23話 | ||
第24話 | ||
第25話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作漫画:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
異端解放戦線の組織長ヨレンタは、自分は何の為に行動しているのかドゥラカに語り始める。
一方、教皇直属の異端審問官アッシュは、異端解放戦線を追っていた。
協力を求めた元異端審問官は・・・。
時を越え、屍を乗り越え、止まっていた時間が再び動き出す・・・。
巡る惑星のような、25年ぶりの再会。
もう読めないと思っていたからこそ、本の存在知ったときの喜び、本読んだ唯一の存在との巡り合わせに感動。
空白埋めるような(読み)聞かせ、四半世紀ぶりの古い教え子の言葉を味わう。
文字は奇跡・・・。
一方、教会側は懐かしい面々が登場。
やはり、最後に立ちはだかるのはこの男か・・・

って、親子対決!?

イヤだ~~
ヨレンタ可哀想!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第19話「迷いの中に倫理がある」
教皇直属 異端審問官
教皇直属の異端審問官アッシュは、異端解放戦線を追っていた。ダミアン司教は、元異端審問官を紹介する・・・。
異端審問官アッシュ
おい、アッシュ君!
by ダミアン司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
ちょっといいか。
またまた新しい異端審問官が登場。

三章、てっきり金髪の異端審問官レフが出てくると思ってました


アッシュも金髪だし、似てるかも(苦笑)
異端審問官アッシュ。
この人が第三章のOP冒頭に出ている異端審問官ですね。
OPでは1人しか歩いていませんが・・・。

次話からノヴァクと二人になったりして(笑)
私は教皇直属の身ですよ。
by ダミアン司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
この仕事に司教であるあなたの許可はいらない。
教皇直属の異端審問官アッシュ。
教皇直属!?
教皇と言えば、(現実のキリスト教に照らし合わせると)教会トップ。
教皇直属の異端審問官が、異端解放戦線を追っているという事は ──
教皇は教会正統派でしょうか。
前話 ──
出版した本は、教会改革派に流通させる構えだ。
── あの改革派に!?
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第18話
ああ、この前まで正統派と大きな戦争をしてた改革派にだ。
本の出版は改革派の力を借りると言っていました。
今話でも、アッシュは ──
どうしてそんなに弱腰なんです。
今まさに改革派や、その後継団体の異端どもが、正統派を攻撃してる。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
改革派は、正統派である教皇をも狙っているのでしょうか。
ダミアン司教
ダミアン司教。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
おお、ダミアンまだ残っていました(笑)。
ダミアン司教は、ノヴァクの傍に物語初期からいた異端審問官。
2話で子供がいる男をノヴァクが拷問した時、外で待っていた異端審問官ですね。
── はい、悪魔集会の場所。あとは任せる。私は家族と夕飯だ。
え? 審問官は独身のはずじゃ・・・。
- 中略 -
傭兵!?
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第2話
そんな血に汚れた手で聖職を?
考えられない、なぜそんなことを・・・。
ダミアンは、若い頃から真面目で、聖職者らしからぬノヴァクに目くじらを立てていました。
5話では、先輩(or上司?)であるノヴァクを注意していました。

── 頼むよ、ダミアン君さ、これ私必要なの? (後略)
ノヴァクさん、前々から思っていましたが、その態度は何ですか。
我々は、神に仕え信仰の安定を守るために働いているのですよ?
惰性は許されない。何かあったら、ノヴァクさんの責任になるって分かってます?
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第5話
そんなダミアンが、出世して司教に。
そして、以前はその仕事態度に不満があったノヴァクを、仕事をさせるでもなく雇っていたのです・・・。
理由は、ノヴァクの辛い過去を知っているどころか、目の前で見たからでしょうか・・・。
娘さんが異端として捕まって、脱走を図ったので今処刑されているようです。
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第15話

ノヴァクにヨレンタの処刑を伝えたのが、ダミアンです
ノヴァクを哀れに思い、放っておけなかったのでしょう。
ダミアンは、これまで数々の異端者に対する拷問を見てきました
その際、何の疑問も挟んでいなかったので冷たい人間だと思っていましたが・・・。
ノヴァクに対しては、情けある対応をしていたのです。
それだけではありません。
異端審問官の過激なやり方に疑問を持つようになっていたのです。
原) 拷問反対
君はいくら何でも過激すぎる。
by ダミアン司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
もう少し柔和な対応で悔悛を促すのが決まりなはず。
※悔悛:犯した罪を悔い改める
ノヴァクが拷問していた時には一切口を挟まなかったダミアンが、拷問に反対する立場になっていたのです。
正確に言うと ──
14話、オクジーが拷問されていた時。
少しやり過ぎでは・・・。
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第14話
ほ、本当に燃やしたんじゃ・・・。
by ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第14話
ダミアンは、ノヴァクの拷問に疑義を唱えています。
このとき既に拷問に疑問を持っていたのかもしれないですね。
長く生き様々を見た。
そして、気付いた。
by ダミアン司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
このやり方で世界が好転してるとは思えない。
アニメではカットされましたが ──
ダミアン司教の上記セリフ中、原作コミックでは背景にノヴァクとのシーンが描かれています。
そのシーンは3つ。
- (アニメ2話) ノヴァクが家族持ちで元傭兵だと聞いた時
- (アニメ4話) 馬車でノヴァクの態度を注意
- (アニメ4話) ヨレンタの処刑をノヴァクに伝えたシーン
偶然にも先に挙げたシーンですね。
ダミアンにとって、ノヴァクに対する印象や態度が変わった転換点です。
つまり、「長く生き様々を見た」とは、ノヴァクのことでしょう。
「このやり方で世界が好転してるとは思えない」とは ──
ノヴァクの人生のことであり、ノヴァクの拷問が生んだ結果を言っているのではないでしょうか。
ダミアンは、ノヴァクの間近で何度も拷問を見てきました。
ですが、異端者は一向に減りません。
それどころか、その異端審問官の娘が異端として処刑されてしまった。
このやり方(拷問)に疑問を持ち始め、でも自分はノヴァクの行き過ぎた拷問を止めなかった・・・。
いや、それどころか、異端審問官の仕事を真面目にするよう注意してしまった(5話 )事に責任を感じているのではないでしょうか。
ノヴァクの拷問を肯定するどころか、背を押してしまった。
だとしたら娘の処刑は自分にも原因がある・・・。
ダミアン司教は、責任を感じてノヴァクを雇っているのかもしれないですね。
ただ、原作では ──
ダミアン司教は、現在のノヴァクのことを「堕落してしまった者」とまで言っています(苦笑)。

ヒドい…
けど、確かに堕落しきってた…
本
先日、我々の審問所が襲撃された。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
警備に当たっていた者と審問官の10名が死んだ。
これは、異端解放戦線シュミットが襲った件ですね。(16話 )
10人全員亡くなったのです・・・。
しかし、そこで気にかかることが・・・。
奴ら押収してあった本を盗んでいった。“地動説“と呼ばれるものです。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
異端解放戦線の狙いは、地動説。
この後、本を盗んだことから、ノヴァクは出版を疑います。
う~ん、本を1冊しか盗まなかったことが、かえって証拠を与えてしまったのです。
本自体は1年程前に押収しました。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
廃村の教会から見つかったとか。
廃村の教会で、オクジーの本が見つかった!?
これは、クラボフスキとバデーニがいた村のことでしょうか。
だとしたら、あの村は廃村になっていたのです。

オクジーの本を復元したのは、クラボフスキです。(15話 )
今話までの情報を整理すると ──
クラボフスキが復元したのは、1冊。
写本もしなかった。(本を増やさなかった)
その後(25年前以降)、地動説について噂も何も流れなかった(ノヴァクの耳にも入っていない)ということは、復元した本を誰にも読ませなかったと想定できます。
地動説は異端思想なので、クラボフスキにとっては当然です。
でも ──
私の・・・私の番なのか・・・。
by クラボフスキ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第15話
等と言っていたので、復元するだけでなく、てっきり何かすると思っていました(苦笑)。
クラボフスキは、その本で何かしようとするでもなく、大事に教会に置いていたのです。
だから、ヨレンタに情報が入ったのが、この本が見つかった1年前以降なのでしょう。
ポトツキ
ポトツキなる人物は大昔に死んでいて、現在その住所にはまったく無関係と思われる市民が住んでいるだけ。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
「ポトツキに寄付しろ」という一文を残しましたが、ポトツキは既に亡くなっていたのです。
ポトツキは地動説を研究し捕らえられた者だ。
その後、彼の教え子と養子も地動説に関わり死んだ。
by ダミアン司教『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
ポトツキの教え子とは、フベルトのこと。
養子とは、ラファウのこと。

つまり、先のセリフ ──
ポトツキなる人物は大昔に死んでいて、現在その住所にはまったく無関係と思われる市民が住んでいるだけ。
by アッシュ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
ポトツキは養子ラファウを亡くし、その後、結婚もせず養子も取らず亡くなっていたということですね。
復活
あり得ない。
もう終わったはずだ。大昔に私が終わらせた。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
「大昔に終わらせた」とは ──
オクジーを拷問しバデーニから情報を聞き出し石箱の資料を回収。
二人を処刑し、地動説に関する一切合切を処分したことを言っているのでしょう。
ノヴァクの手元には、幾多の異端者の手に渡ったネックレス。
ネックレスが最後に描かれたのは ──
バデーニを逃がす時間稼ぎのために、オクジーが異端審問官に向かう際、身に付けていました。

ノヴァクは、そのネックレスを自分で持っていたのです。
事件の記念?
事件を忘れないため?
違うでしょう。
ノヴァクの前に現れた地動説を唱える異端者は、全てこのネックレスを持っていました。
このネックレスに何かあるわけではないことは分かっていつつも・・・。
このネックレスを受け取った者が、地動説を復活させている。
なら、地動説を復活させない為には、このネックレスを自分の手元に置いておくのが一番確実と考えたのではないでしょうか。
今もまだ、ネックレスは目の前にあります。
それもあって地動説の復活に驚いたのではないでしょうか。
ただ、そんな迷信めいた考えはすぐに吹っ切り。
現実に目を向け、先を見据える。
この辺は、敵ながら天晴れですね(苦笑)。

と褒めておいて何ですが…

ん?
勘違いしてるが原動力
私の娘を奪っておいて。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
あなたの娘は、生きています(笑)。
それと、処刑しようとしたのは、アントニの目論見です。
── 情報は錯綜してますが、恐らく女性かと。
あっ、悲惨だな。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
もっと安全に生きる可能性もあっただろうに。
えっと・・・。
確かに、ノヴァクが以前言ったように ──
お前が職場ですべきことは1つだ。
“何もするな“
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第7話
“目立つな“
“栄光を目指すな“
ヨレンタが言いつけを守っていたら、掲示板の問題を解くこともなく、バデーニに目を付けられなかったでしょう。
でも、最終的に ──
分かった。
お前ももう立派に自立してるもんな。心配で、つい出過ぎたマネをしたよ。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第7話
すまなかった。
ヨレンタの意思を尊重したのです。
もう自立しているのだから、口を出すのを止めたのです。
その結果、(幸か不幸か)バデーニの地動説研究には加わりませんでした。
ピャスト泊に繋いだだけです。
そして、そのことを知らぬ存ぜぬで押し通したのです。
でも、ノヴァクの娘だからというだけで、アントニに目を付けられてしまった。
ヨレンタは巻き込まれたのです。
ある意味、アナタが何の手も打たなかったので娘さんは悲惨な人生を歩んでいるのです(苦笑)。

ノヴァクは、ヨレンタが異端として捕らえたバデーニとオクジーと知り合いだと知っています。
それどころか、教会へ報告したのはノヴァク自身でしょう。
祝杯に同席したのはノヴァクだけでしたから。
ならば、ヨレンタが異端審問官の尋問を受けることは予測できたはず。
なのに何の手も打たなかったから、新人異端審問官に尋問され、アントニに好きなようにされてしまったとも言えるのです。
── 証言によると歯が抜けてるとか。
ふっ、間抜けだな。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
いや、アナタの娘です(笑)。
なんなら、歯を抜いたのはアントニです。
それに拷問したのです。
完全に怒りの矛先が違いますね(苦笑)。

真の敵は彼らではない。
これは私の使命だ、私の運命だ。この命があるかぎり、どこまでも追いかけてやる・・・。
諸悪の根源を、地動説をぶち殺す!
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
諸悪の根源は地動説ではなく、思想や言動の自由を奪い、力で押さえつけている教会正統派。
正しいかどうかは置いといて ──
異端解放戦線ヨレンタ組織長は、そう考えています。
私は取り返してるだけ。
教会に奪われた自由と人生を。
父と友を。個人の自由を制限する権威は打倒されるべき。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
ノヴァクとその娘ヨレンタは、立場だけでなく、もはや考え方も対立してしまったのです。
それにしても、ノヴァク。
宇宙論(地動説)や異端者には詳しく思考も行動も読めるようですが、教会内の政治や企みには鈍いようですね(苦笑)。
でも、手強い相手が復活。
娘を亡くした(と思っている)ことが、かえってノヴァクに地動説への恨みを募らせ、25年経った今でも奮い立たせたのです。

ああ、いやだ…
アントニが悪いのに、アントニが喜ぶ方向へノヴァクが動いてる…

あっ、そうじゃん!
なんか複雑…
というか、ノヴァクは教会を、神を絶対的に信じているのでしょうね・・・。
だから、アントニを疑いもしない。
大体、娘が異端として処刑されれば ──
父親なら普通、(少なくとも最初は)娘は無実だ!と考えます。

あっ、そうじゃん!
次に、真相を探るでしょう。
娘が処刑なんて間違いに違いない。
仮に真実だとしても、次になぜ娘が異端なのか探ります。
いや、知りたくなるでしょう。
ノヴァクはとても娘を愛していました。
だったら尚更です。
でも、調べた様子はありません。
いや、それどころか・・・ヨレンタの罪を疑ってもいなさそう。
だからといってヨレンタを信じてないのではないでしょう。
教会を絶対的に信じているが故に、ではないでしょうか。
では、娘は異端?
異端に走った娘が悪い?
いいえ ──
彼らは操られてるだけだ。
ある種被害者だよ。真の敵は彼らではない。
by ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
娘が悪いのではなく、娘を操ったモノ(ここでは地動説)が悪い。
娘の罪を疑うこともなく ──
教会(あるいは神)を妄信し、下された結果は疑いを持つこともなく受け入れる。
それ以上は、考える事もせず思考停止する。
ここに怖さ、危うさがあるのです。
宗教に限った話ではありません
四半世紀ぶりの再会
異端解放戦線の組織長はヨレンタだった。彼女の目的は教会正統派の不正や欺瞞を糺し、自由を取り戻すことだった。
誰の責任
私の瑕疵で彼女に燃やされてしまいましてね。
by シュミット『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
「瑕疵」とは欠陥のこと。
シュミットが「私の瑕疵」でとは ──
自分の失敗で本を燃やされたと報告しているのです。
殊勝ですね。
ドゥラカは、明らかに自分の意思で燃やしました。

シュミットに落ち度があるとすれば、騎士団同様さっさとドゥラカの腕を切り落とさなかったこと。

そんな…
でも、脅せば渡してくれるだろうと判断したから、様子を見たのです。
それがミスだと言われれば、ミスでしょう。
だとしても、少女相手にそんな力で押すのが正しい判断とは思いません。
むしろ、前夜廃村に教会騎士団がいたことにもっと早く気付けなかった事、本を置いてきてしまった事、ドゥラカが見つけるより先に回収できなかった事。
いずれにせよ、ドゥラカが燃やした=ドゥラカの手に渡った。
あるいは、ドゥラカに燃やす隙を与えてしまった。
これらを落ち度と言っているのではないでしょうか。

おお!
それなら理解!
それにしても ──
── しかし彼女は本の内容を記憶したと。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
そのとおりです。
私はドゥラカ、どうぞよろしく。
本を燃やしておいて、なぜここまで堂々挨拶ができるのか・・・。
なかなかに図太い神経をしていますね・・・。

あまり好きになれないな…

だよね…
怒り
動かないで。
信用してないから。なぜ本を燃やしたの?
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
静かに怒る組織長ヨレンタ。
そりゃあ、そうです。
やっと見つけた友人の本。
ヨレンタは、バデーニとオクジーが異端として捕まったと聞きました。
ならば、地動説の資料も全て教会に没収されたと考えていたのでしょう。
二人の本や資料は、この世には存在しないと思っていたからこそ ──
あなたの燃やしたものは、恐らく私の古い友人が書いたものだった。
だとしたら、それは私にとってとても重要なもの。存在を知ったときは、驚きで高熱が出るほどだった。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
本が残っていたと知り、驚きで熱が出たのでしょう。
折角、それを見つけ手に入れたのに、どこの馬の骨とも分からない小娘に燃やされたのです。
本当なら斬り捨ててやりたい気分でしょう(苦笑)。
でも、さすがヨレンタさん、冷静です。

異端解放戦線は過激な組織
普通なら聞き取った後、斬ってたね

コワッ!
でも、確かにそうかも…
組織長がヨレンタだったからこそ。
そして、対応したのがシュミットだったからこそ、ドゥラカは交渉できたのです。
交渉
そうだ、本の内容と引き換えに、この本で出た利益の2割欲しい。
by ドゥラカ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
検討してくれますか?
ドゥラカは、偶然本を手にしただけです。
なのに、なぜここまで・・・。
まるで本は自分の物のように主張できるのでしょうか・・・。
ドゥラカがいた村では、廃村から布を回収してビジネスをしていました。
廃村、つまり所有者のない物は、拾った者の物だ。
という感覚なのかもしれませんね。
まあ、仮に異端解放戦線の物だと言われても、彼らは彼らで教会正統派から盗んだんですけどね・・・。
ドゥラカが自分の物のように主張するのは変、という立場で書いてきましたが・・・。
よく考えると、どちらも盗人猛猛しい(苦笑)。
そんな者達同士の渡り合い、交渉ごとなのかもしれませんね。
図々しいドゥラカに対して、大人の対応をするヨレンタ。

印刷機だったら貸してあげてもいい。
何を売るかは、あなたが新しく見つけて。悪い条件じゃないと思うけど、どうかな。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
精一杯の、そして無限の可能性がある条件を提示するのです。

さすがヨレンタ!
フライ
では、次こそが、この最重要任務の最終目的地なのですね。
── うむ。それは、どこで?
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
── 我々が次に向かうのは・・・。
何だか怪しげな描きをされるフライ。
そういえば、16話でも、組織長がどこにいるか気にしていました。
組織長はどこに?
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第16話
危険な仕事ですから、任務内容、次の目的地が気になるのは当然です。
前話、ようやく組織長の目的を確認できました。(18話 )
じき目的地です。
by フライ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
我々にも今回の任務内容を話してもいいのでは?

そういや、このとき促したのフライだな…
そして今回。
組織長ヨレンタの居場所を確認できました。
後は、印刷機の場所さえ分かれば・・・。
なんて勘繰ってしまいますね(笑)。

ヤバい?

う~ん、ミスリードであればいいんだけどね
フライは裏切っている? バックは誰?
古い友人との再会
さて、本の内容を聞かせて。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
私も古い友人と久々に再会したい。
ドゥラカが本の内容を語り始めた直後、ヨレンタは少し驚いていました。
一体何に驚いたのでしょうか?
地動説の本だと聞いていたので、バデーニの論文だと思ったのでしょうか?
だとすると論文ではなかったことに驚いたのでしょうか?
いみじくもヨレンタ自身が、先ほどドゥラカに言っていました。
── 申し訳ないですけど、それ何の話ですか?
分からない?
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
私の”感動”を必死に伝えてる。
自由を奪われた人々に、今、必要なのは感動。
地動説を広めるには、感動を伝えなくてはならない。
バデーニも言っていました ──

君の文章は論文としての価値はないが、それ故、伝わる可能性は高いだろう。
── 伝わる?何が?
“感動”だ。
それさえ残せれば、あとは自然と立ち上がる。
by バデーニ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第14話
ヨレンタは、バデーニと同じ結論に至ったのではないでしょうか。
なぜか、1冊だけ残っていた本。
バデーニの論文か、オクジーが書いた本か。
ヨレンタの驚きから察するに、残っていたのはバデーニの物だと思っていたかもしれません。
何せ、科学的な価値があるのはバデーニが書いた論文ですから。
しかし、残っていたのは論文ではなく、オクジーが書いた日記のような物。
でも、ヨレンタはオクジーの日記が残った意味をすぐさま悟り、バデーニの意図を察したのではないでしょうか。
やっぱり文字は奇跡ですね。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
本は燃やされましたが、見ず知らずのドゥラカという少女によって、再度復元されました。
そして、大昔に記された記録が、四半世紀後に甦る。
甦ったのは、記録だけではないでしょう。
オクジーが知った事実、感じたこと、思ったこと、感動。
その当時のオクジーの心情が今再現され、ヨレンタは触れたのです。
それが残せたのは、オクジーが文字を学んだから。
オクジーが文字を覚えたのは青年という遅い時期。
でも、勉強に早いも遅いもないと言わんばかりにオクジーは勉強し始めました。
そして、その文字の先生は、ヨレンタ。
かつての教え子の書いた本が、遙か彼方の時間と場所を越えて、今ヨレンタの前に再現されたのです。
やはり、文字は奇跡。
ドゥラカから本の内容を聞き、ヨレンタは ──
オクジーの純粋な好奇心に触れたのでしょうか?
地獄行きと分かっていても、オクジーが教会に逆らった信念に触れたのでしょうか?
感動を知り、オクジーが自由な発想をしているのを目の当たりにしたのでしょうか?
それとも、25年前の記憶が甦り、掲示板の問題を夢中で解いてしまったあの頃。
あるいは地動説を初めて聞いた時の衝撃を思い出したのでしょうか・・・。
でも時々、信念なんて忘れさせる何かに出会ったりする。
その感情も大切にすべき。でないと・・・。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
私みたいになる。

何かを思い出したからこそ、ドゥラカに伝えたのかもしれないですね。
信念はすぐ呪いに化ける。
それは私の強さであって限界でもある。── でも、信念を忘れたら人は迷う。
迷って。
by ヨレンタ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第19話
きっと迷いの中に倫理がある。
ヨレンタはここまで迷うことなく突き進んだのでしょうか。
だから、少し後悔しているのでしょうか。
そんな過ちをしないよう、ドゥラカに告げた気がするのは気のせいでしょうか・・・。

だとしたら悲しすぎる…

だよね…
おわりに (『チ。-地球の運動について-』19話とは)
ヨレンタ再登場。
そしてノヴァクが復活したことで第三章も役者が揃い物語が進みだした感ある今話。
だんだん地動説の研究そのものから外れてる気がして残念なのは、私が理系だからでしょうか(苦笑)。
てっきり、ヨレンタが独自に地動説の研究をしていて、その足らない部分、あるいは裏付けに本を探していたのだと思っていました。
きっと地動説そのものは、第二章でバデーニが完成させた(証明した)ので一区切りなのでしょう。
次は、地動説をどう公開するか、世に広めるか、認知されるか、というフェーズでしょうか。
そこへ、公開どころか、教会正統派を潰す武器として地動説に焦点が当たったのです。
(予想外という意味で)凄い展開ですね。
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第19話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
組織長の「ち」
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 19-01 フライは裏切っている? バックは誰?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 05-01 ラファウの手紙、ポトツキ贈与に込めた意図は?
- 疑問 06-02 なぜ太陽の大きさが、禁書にされている?
- 疑問 06-03 バデーニは、なぜオクジーに観測を頼んだ?
- 疑問 07-01 コルベのヨレンタに対する態度は本心か、それとも・・・
- 疑問 08-01 バデーニは、なぜアリスタルコスを知っている?
- 疑問 08-02 教会は、貴族相手でも異端扱いできる?
- 疑問 10-01 ピャスト伯の観測資料、どこに運び込んだ?
- 疑問 10-02 オクジーは何を書いている?
- 疑問 11-01 司教は、なぜ宇宙論を目の敵にしている?
- 疑問 12-03 バデーニとオクジーを捕らえるのに、なぜ良い人材を回してもらえない?
- 疑問 15-01 ヨレンタはどこへ逃げた?
- 疑問 15-02 クラボフスキが、ふさわしいとは?
- 疑問 16-01 本の内容が奇妙とは?
- 疑問 16-02 異端解放戦線の組織長は、地動説の本で何をしようとしている?
- 疑問 17-01 ドゥラカは、どうやって大金を蓄えた?
- 疑問 18-01 アントニ司教も前司教同様、宇宙論重視?
今週のX感想ポスト
#チ。 #チ球の運動について 19話
— 時文@ここアニ(『チ。』『薬屋』レビュー中) (@toki23_a) February 2, 2025
時を越え 屍乗り越え 時間が再び動き出す
巡る惑星並の再会
もう読めないと思ってたからこそ、本読んだ唯一の存在との巡り合わせに感動。空白埋めるような(読み)聞かせ、四半世紀ぶりに昔の"生徒"の言葉味わう..文字は奇跡😭
やはり最後に立ちはだかるのはコイツか😱
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アニメ『チ。-地球の運動について-』次話のレビューはこちら!
