各話レビュー(1期)

TVアニメ【約束のネバーランド】11話 解説&感想レビュー 次はレイ!?捨て身の作戦でいよいよ計画が動き出す!

約束のネバーランド 第11話

こんばんは。時文です。
TVアニメ『約束のネバーランド』第11話鑑賞しました。

2期11話のレビューはこちらをどうぞ。

今回は原作 4巻 32話~34話(約65ページ)をアニメ化。

脱獄計画がいよいよ動き出した11話。
動きあり、狂気あり、派手なシーンあり!
今まで溜まりに溜まってた分、一気に吐き出したかのような11話!

展開は原作踏襲。
ペースもいい感じでした。(←最初の頃は早いと言ってたくせに(笑))

セリフは若干修正され、モノローグ(思考、感情)はこれまで通り殆どカットされてますが、要所要所セリフで使われてます。

モノローグカットだけのせいではありませんが、ほんの少し、分かりにくい点がありました。

  • ドンとギルダに準備をさせて、それこそママにバレる心配はなかったのか
  • なぜ、脱獄計画決行日はレイの誕生日直前だったのか
  • エマはレイの計画が分かっていたのに、なぜ火を点けようとするのを最初から止めなかったのか
  • レイのベッドの床下にあったものは?
  • シスター・クローネからの「思いがけない品」とは?
  • なぜエマは、ママだけでなく、レイにまで準備を隠していたのか

原作情報と私なりの解釈を含め、順に解説します。

さて、ここでは、以下の観点でレビューします。

  1. アニメだけでは気付きにくい点を「解説」
  2. 必要に応じて、原作コミックの情報を加味して「補足」
  3. “原作既読者”目線の「感想」

作品理解の参考にしていただければ幸いです。

今話の「ネタバレあり」。次話以降のネタバレは「なし」。ご安心を。

前回(10話)の解説&感想レビューはこちらをどうぞ
約束のネバーランド 第10話
TVアニメ【約束のネバーランド】10話 解説&感想レビュー 最後のあがき!出荷は避けられないのか・・・TVアニメ『約束のネバーランド』第10話 解説&補足&感想レビュー。(次話以降のネタバレなしでわかりやすく解説) ノーマンの運命は変えられないのか。エマの最後のあがきは・・・ノーマン、エマ、レイ、最後は何を考え行動していたのか。...

約束のネバーランド(1期)

話数 サブタイトル 各話レビュー 原作巻数
EP.01 121045 1話R 1巻
EP.02 131045 2話R
EP.03 181045 3話R
2巻
EP.04 291045 4話R
EP.05 301045 5話R
EP.06 311045 6話R
3巻
EP.07 011145 7話R
EP.08 021145 8話R
EP.09 031145 9話R 4巻
EP.10 130146 10話R
EP.11 140146 本レビュー
EP.12 150146 12話R 5巻

前回のあらすじ

約束のネバーランド 第10話
あらすじ

逃げたフリをして出荷を逃れる作戦だったのに、ノーマンはハウスへ戻ってきた。
ノーマンはこれが最善の選択だと言う。
諦めきれないエマ達・・・

見送りの時、エマが最後のチャンスとばかりにノーマンを逃がそうとする。
が、ノーマンはそれを許さなかった。

ノーマンが出荷され、エマレイには虚無感しか残ってなかった。
脱獄計画は諦めたのか。

月日が経ち、年が明け、1月14日 ── レイ、12歳の誕生日前夜。

ハウスに別れを告げているレイ
やってきたエマに言う──

── 本当は諦めてなんかないんだろ? ──

今回のあらすじ

あらすじ

レイエマに自身の計画を話す。
レイ自身がオトリとなりママを引きつけると、オイルをかぶりマッチに火を点ける──

混乱し、放心状態のエマ
エマの叫び声により駆けつけたママ

ママは、子ども達をハウスの外へ避難させるようギルダに指示。
ママ自身は、火を消し、レイを回収しようとするも、消せる状況ではなかった。

ママエマに逃げるよう促そうと振り返ると、そこにはエマの姿もなかった──

そのころ、ハウスを出た子ども達は森の奥の塀へ向かっていた。
全てノーマンが計画し、エマ達が準備。
計画通り実行したのだった。

脱獄など不可能だと思われていたハウスで、火を点け、フルスコアの存在をオトリとする作戦で脱獄計画の”初期段階“を成功させたエマ達。

爽快でしたね~~

今までママにいつもいつも先手を打たれ、肝心なことは進展していないかに見えました。

が、ここへ来ての逆転劇!
レイが出荷される前夜の出来事・・・

いいえ、レイが出荷される前夜だからこそ決行できた作戦なのです。

順を追って見ていきましょう♪

解説&感想レビュー

GFハウス 食堂 (レイ/エマ)

約束のネバーランド 第11話

ママの監視下から逃れるため、”あえて”何もしてこなかったエマとレイ。
脱獄計画の準備はドンとギルダに任せ、ママの目をエマに引き付けていたのだ。

レイも、準備ができていると聞き安心。
何年も前から準備してきた計画をエマに話し出す。

その作戦は、レイ自らが犠牲となり、ママを足止めさせると言うのだ。

(原作情報)原作では、この時の日時は「2046年1月14日 23時38分」あと22分でレイ12歳の誕生日(1月15日)。
既に、誕生日当日のレイ出荷は決まっている様子です。

ノーマンが出荷されたのは11月3日
それから2ヶ月以上経過しています。

前話から一気に月日は流れ、レイの12歳誕生日の前夜。
それも、日付が変わる20分程前。

エマはなぜ「何もしないこと」にしたのか

約束のネバーランド 第11話

さて、話を少し戻して、エマはなぜ「何もしないこと」を選んだのか。

ノーマンは出荷されることを、自ら拒みませんでした。
それは脱獄計画を成功させるため
ノーマンが逃げれば、誰かが代わりに出荷され、監視もより厳しくなり、脱獄計画の成功率が下がる。

ノーマンは自らが犠牲になることにより、(残りの)皆で脱出できると考えたのです。

(原作情報)原作ではエマのモノローグが4ページ弱入ります。一部抜粋。
この先はママの直接支配レイを挟まず直接に制御。(中略) 一番の標的は私とレイ。」
他にも作戦実行のために思考。詳しくは原作をご覧下さい。

ノーマン出荷の衝撃ですっかり忘れてました。
ノーマンの出荷を告げる前、ママはシスターと(スパイとしての)レイを切り、エマ達を直接支配することを宣言

だから今まで以上に警戒しなくてはならなかった。

(原作情報)原作ではエマの心情描写でシスターの言葉を振り返ってます。
言葉だけじゃないのよ。情報は。

シスター・クローネと形の上では協力態勢を取り、腹の探り合いをした時。
口にした言葉だけでなく、態度や反応から、シスターに実情を把握されたエマ達。(7話)

今度の相手は、シスターとは格が違うママ・イザベラ。

ママは本当に用心深く、レイとエマの抜け殻のような姿を見ても監視の目を弛めようとはしなかった。
だからエマは、ママの目をエマに集中させ、他の子ども達に準備させたのです。

鬼側には、ママ一人しかいない状況を突いたのです

なぜ、ドンとギルダはバレなかったのか?

では、ドンとギルダ達が準備をしていて、それこそママにバレなかったのでしょうか?

私の推測です

ママは、ドンとギルダが何かやろうとしても、たかが知れてる。
エマやレイが参加しなければ問題ないと思っていたのではないでしょうか
#ドン、ギルダ、ごめんなさい(笑)
#でも、ママのモノローグにそういう気配が。(後述)

だから、エマとレイを押さえておけばいい──

何せ、発信器があり、塀の外は崖、逃げ道は本部の先の橋のみ。
鉄壁の監獄なのですから。

いや、ノーマンがいなくなった今、レイとエマでも脱獄不可能だと思っている節があります

ノーマンの出荷は「他の子供の犠牲を防げた」「警備が強化されなかった」以外にもママを油断させたのではないでしょうか

反対にエマは、ドンやギルダ達に「指示を出している」ことを悟られないように注意

仮に脱獄準備をしていることをママに悟られたとしても、エマは乗り気ではないと思わせれば良いのです

更にレイとエマが連携してないと思わせる。
実際に連携していなかったのですから、接触せず距離を置いていた。

ただ、お互い、脱獄は諦めておらず準備を進めていると信じて──

レイの脱獄計画

さて、脱獄困難なのは、レイとエマも承知。
そのための準備をしてきたのです。

問題は2つ

  1. ママの目
  2. 橋の警備

対策としてレイが考え出したのが「火事を起こす」こと。

火事の効果

  1. ママの目
    消火に手を取られている隙に、「避難」という形で堂々と外へ出る
  2. 橋の警備
    火事隠し扉の鍵穴をふせぐ
    本部へ連絡ができない
    本部には「火事」と思わせ、橋の警備を強化させない
    火事火炎瓶で他のプラントに火事を起こす
    人手を火事対応へ向かわせ、脱獄しやすくする

レイはそのために大量のオイルと火炎瓶を準備。
脱獄した後に必要な道具や食料の準備はエマ側がするとレイは予想し、準備が整っていることを確認したので、「今、逃げよう」としたわけです。
#レイはハウスの外へ出る気がなかったので、その後の準備には消極的だったのでしょう

レイの奥の手

レイが「今、逃げよう」と言った時、エマは不安げな顔をしました。

エマ:「火炎瓶を”投げ入れろ”」って言った
レイ:ああ、おまえか、あるいはドンが・・・

by 『約束のネバーランド』TVアニメ11話

このセリフは原作にはありません。
アニメオリジナルです。
セリフが上手い!

エマは、(やはり)レイ自身は逃げる気がないことを確信したのです
#そう考えていることは、事前にノーマンから知らされてました。

ママが火を消すことよりも、食用児の監視を優先した場合は、火事を起こしても無意味。

そこで、レイが考え出したのがレイ自身をオトリに使うこと。

レイは、ノーマンやエマたちよりずっと前、6年も前から脱獄の計画を練ってました。
ママの行動パターン、ママが何を優先するかも熟知。
ママの注意を引くには、この方法しかないと結論づけたのです。

農園ルールでは食用児は最長でも12歳の誕生日に出荷。
#これを”満期出荷”と言い、農園にとっては誉れ。

レイは更にフルスコアなので、“最上級品”を”最高の状態”で出荷できる、というわけです。

だからこそ、レイが死ぬ=「出荷できない」ことにより、ママへささやかなれど仕返ししようとしたのです

レイの奥の手

“フルスコア”+”12歳満期出荷”の「超」最優先事項だからこそ、

  1. ママを足止めできる”最高のオトリ
  2. ママに最大のダメージを与える”最高の一撃

これが「レイの奥の手」

だから、脱獄計画の決行日はレイの”誕生日直前”だったわけです。
#その考えをノーマンが見抜いていたので、実行日を予想できたのです。

レイの執念も凄いですが、単にママへの反抗心だけではなく、そのことを利用してエマとノーマンを助けようとしていたのがレイらしいですね。

レイは死にたかったのでは?

食用?商品?知ったことか!

俺は人間だ!ザマァ見ろ!

by レイ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

この日のために、6年間準備を進めてきたレイ──
同時に、レイは6年間、真実を知りながら、ずっと家族が出荷されるのを黙って見ていたのです。
#「見ていること”しか”できなかった」が正解ですが

それに、これでいい、これがいいんだよ

俺は家族をずっと見殺しに・・・踏み台にしてきたんだから。
みんないい奴らだったのに・・・
優しい人たちだったのにな・・・

by レイ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

推測

「踏み台」というのは、脱獄するために必要な情報収集。
おそらく発信器の壊し方を調べる際、出荷間際の兄弟で実験したと思われます。(原作コミック2巻P163より)

ハウスの真実を確信して6年・・・

2ヶ月に一度の定期出荷が継続してあったとは限りません。
が、仮に5人/年としても、6年間で30人もの家族を見送る”しか”できなかった

その苦しみは計り知れないし、レイ自身、家族を「見殺し」「見捨てた」気持ちになってしまったのもうなずけます。

レイは、それでも、自暴自棄にならず、12歳まで生きてきたのは、最も大切なエマとノーマンを逃がしたいから

同時に、ママ一矢報いるために、最高の一撃を与えるために、堪えてきたのです。

ただ、今回のシーンをアニメで見て、私が思うに・・・

レイには(家族に何もしてあげられなかった)”懺悔”の気持ちの方が強く、最初から「自分の犠牲ありき」を考えていたのではないでしょうか

そして、そのレイの考えをノーマンは気づいていたのではないか・・・

すいません、ちょっとセンチになってしまいました(笑)

2ヶ月ぶりにノーマンの顔を見る

レイがエマに渡した本には、ノーマンとの写真が──

(原作情報)原作ではエマとノーマンだけでなく、家族の写真も描かれてます。

GFハウスにはカメラも写真もありません
レイが手に入れたのは、スパイの報酬として特別です。

だから、ノーマンとのツーショットはこの写真のみ。
それに、ずっとレイが持っていた様子。

エマは(写真ではありますが)2ヶ月ぶりにノーマンの顔を見たのです

だから、思わず涙してしまったのです。

原作には他の子ども達の写真もあって、良かったのですが。
そのシーンもアニメで見たかったな~~

と思っていたら、アニメではEDの最後の最後に描かれてました!

TVアニメ「約束のネバーランド」ノンクレジットエンディングムービー
アニプレックス

焼けた本と、数枚の写真

本が焼けてるのは、食堂で一緒に燃えたから?
写真が燃えてないのは、エマが持っていったのでしょうか。

写真は小さいですが目をこらすとエマとノーマンのツーショットも。
そして、他の子ども達の写真も。

本編で見たかったな~~

ちなみに、レイが渡した本にも意味があります。
知りたい方は原作4巻、カバー折り返しの原作者コメントをお読み下さい。
#だからレイが開いていたのは最終ページ!?(10話ラスト)
#原作者の白井カイト先生、アニメ製作スタッフも巧み!

レイの脱獄計画開始!

時計の針が0時を示す。
日付は変わり、レイ12歳の誕生日。

オイルを全身にかぶったレイは、マッチに火を点ける。

── ありがとう ──
── バイバイ、エマ ──

おいおいおい、レイさんよー

レイの計画は、逃げる準備をして、隠し部屋への扉の鍵穴を防いだ上で、火事を起こしてママの隙を突く
なのに、エマに作戦を一方的に話すだけ話して、火を点けてはダメでしょう~~

と、突っ込みたくなるのは我慢我慢(笑)。
ここは大人の解釈で・・・

エマにドンとギルダに早く伝えてこい、と言っているのに、エマが動かない。
それに、エマはきっとレイが死ぬことを止める。

だから、レイは強行突破したのです
#先に書いたように、レイは「死にたい」気持ちがあった。

決してサプライズのための、ムリクリ展開ではありません!(きっぱり!)
#いえ、正直いい展開でした
#原作読んでたときもすっかり引っかかりました(苦笑)

もう一つ考えられる理由は──
(先にも書いたように)レイはずっと死にたかったから、少しでも早く実行したかった。

誕生日の日付になったと告げる鐘の音を聞いて、我慢できなかったのではないでしょうか。
待ちに待った12歳の誕生日だったのですから。

ああ、すいません。またセンチに・・・

GFハウス ママの部屋 (ママ)

赤ちゃんの様子を見ているママ。
鼻歌を歌いご機嫌の様子。

約束のネバーランド 第11話
(原作情報)原作では時刻が示されます。
「2046年1月14日 23時45分」
レイがマッチに火を点けた時より、15分ほど前に遡ってます。

ママは上機嫌?

レイの狂気と行動が衝撃的で、最初、このシーンは落ち着いて見れないですね(苦笑)。

なので、ママの感情に気付きにくいにくいですが、この時のママは上機嫌です。
だから、鼻歌を歌っているのだと思われます。

原作では、ママの心情描写が2ページほど続きます。
一部抜粋します。

満期出荷なんて何年ぶりかしら
それもティファリで捧げる●●(鬼の文字)の御膳。
絶対にしくじれない

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

なんと、ママにとっても満期出荷は何年かぶり!
それもフルスコアでの出荷というおまけ付き。

だから、ママも上機嫌だったのです。

ママの鼻歌はアニメオリジナル。
コニーを連れて門へ歩いていた時、歌っていたのと同じ鼻歌です。(1話)

ママは決して油断してない

約束のネバーランド 第11話

アニメだけだとママはすっかり安心している様子に見えます。
が、原作のママは、決して監視の目を緩めていません。

レイもエマも本当に何もしていない。
ドンもギルダも見た限りでは大した動きはできていない

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ママは、ドンとギルダが何かしていることは把握しています。
が、大したことはできないだろうと高をくくっているのです
さすがドンとギルダ!(褒めてない?!)

それでも、ママは、レイの出荷を明日に控え、気を引き締めてます。

明日さえ越えれば・・・
いいえ・・・だからこそそれまで気を抜けないわ。

今夜は夜通し起きていよう
念のため見廻りも・・・

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ママは、レイを出荷するまでは油断してはいけないと考えていたのです。
むしろ、今夜何か起きるのではないかと勘ぐっています。
恐るべしママ。

が、タッチの差でした。

レイはママが警戒するだろうと読んでたからこそ、日付が変わり、即行動を起こしたのかもしれないですね。

GFハウス 食堂 (ママ/エマ)

エマの叫び声を聞き、食堂へ駆けつけるママ。
食堂は既に火の海だった。

レイが火の中に!?

ママも最初は疑っていた

抜け目のないママのことです、最初は当然疑ってます。

アニメではカットされてますが、原作では「ワナ」ではないかと考えます──

何?
これは・・・罠?
火事を・・・起こして逃げる・・・

いや、違う。
この臭い、あの動揺、発信器!!

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

が、臭いと、エマの動揺具合、そして発信器に示される火の先の反応!
#ママは発信器に頼り過ぎてますね

そして、極めつけは”レイの性格”です

これは”報復”!!

あの子、自分に火をつけたんだ。
自分を出荷させないために!!

ぬかった!!
まさか最後にこんな形で抵抗してくるなんて・・・!

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

レイ”なら”、こういう子供じみた反抗をやりかねない性格だとママはよく知ってます
これが完全に引っかかった原因となったのです

もちろん、裏には、エマ達の準備が。

  • 発信器の埋め込み場所を知っていた
  • 医療用メスで発信器を取り出せると考えていた

これらを今までママに悟られることなく、

  • エマの迫真の演技
  • 満期出荷を明日に控えていた、ママの焦りをついた作戦

ママの飼育監として、最上級品を献上したいと言う”欲”を突き、騙せたのです!!

#エマの迫真の演技については、次話でもう少し触れますね。

そうか!脳だけでもいいのか!

せめて・・・せめて脳だけでも

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

これは面白い着想!
他の作品にはできない!

『約束のネバーランド』だから言えたセリフと展開です。

普通ならあれだけの炎で助けるのは不可能だと諦める。
が、ママにとって大事なのは、生きていることではなく、食用児として出荷できること!

最悪、体は無理でも、育てるのに一番時間と手間が掛かり、一番美味しい”脳”だけでも燃え尽きる前に手に入れればOK。
という彼らの優先事項が見えてきます。

それにより、想定以上、ママがレイ救出に時間を取られたのではないでしょうか。

上手い!!

スプリンクラーもレイの仕業?

スプリンクラーは?
どうして?

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

原作では、スプリンクラーが作動しないのも、レイの仕業を勘ぐります。
レイは自殺しようと考えていたのですから当然ですよね。

ママは消化器の消化液がなくなった後も火を消すことを諦めてません。
原作では、消化器では追いつかないと判断し、消火栓を開けようと判断します。

で、エマに早く逃げるよう、振り返ったところ、エマがいないことに気付いたのです。

エマを心配!?

まさか・・・エマまで煙に!?

※心情描写なのでアニメではカット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

もちろん、エマのことを心配したのではなく、商品としての心配でしょう。

でも、ママは純粋にエマの心配をしているようにも取れます。
エマにママへの道を示したり、エマに特別な想いを持っているのではないか。
私の深読みでしょうか・・・

夜中に靴を履くのは変ですか?

エマの耳を見つけ、ママは推理します。

あの子”達”、何履いてた?

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

ハウスは夜間外出禁止。

エマは、火が点く前に食堂にいた様子。
ギルダが駆けつけた時、火事だと分からなかったはず。

にも関わらず、皆、靴を履いていた。
それも履きづらい、靴ひもタイプの革靴を!

手際が良すぎる・・・いや、最初から外へ出るつもりだった!

つまり、この火事は計画されたこと。
ならば、レイも火の中にはいない

だから、ママはここで火を消すことを止めた。

脱獄されたと判断し、本部へ連絡するために隠し部屋へ向かった。
という感じでしょうか。

GFハウス 食堂 種明かし(エマ/レイ)

レイが立てた自ら犠牲となる作戦を、ノーマンは見抜いていた。
だからノーマンはエマに手紙を託していた。

レイを死なせないよう、そして、レイが仕掛ける火事を利用した脱獄計画を立てたのだ。

ノーマンの脱獄計画が開始する!

種明かしシーンです。
まるでハリウッド映画のような構成。
好きです♪

計画を知りながら、なぜ火を点けるまで止めなかったのか

ノーマンの手紙により、レイが自ら犠牲になりママの目を引く作戦だということは分かってました。
だから、レイの身代わりとなる食材や髪の毛を事前に準備していたのです。
#これもノーマンの案です。

では、なぜ、レイが火を点けるまで止めなかったのでしょうか

私の推測です

それはレイの性格を知っていたからではないでしょうか。

レイはエマのことを頑固だと言ってますが、レイも相当頑固。
とくに自分の事に関しては方針を変えない頑固さを、エマはよく知ってます。

「レイは死ぬ気?」と直接聞いてもはぐらかされたでしょう
また、認めたとしても説得に応じる性格ではない

なので、エマの前で実行させ、行為そのものを止めるしかなかった

そこで、「作戦の決行は明日の昼」だの嘘を言ったり、エマ達が進めていた作戦をレイには内緒にして、レイの計画を聞き出して穴を突こうと考えていた。
#レイに内緒にしていたのは、もう一つ理由があります(後述)。

レイの計画を聞き、レイが犠牲になることを確認したエマ。
“本当は”火なんか点ける前に止めたかったでしょう・・・

そこで、出てきたのが、ノーマンとの写真です。
ノーマンとのツーショット写真に気を取られ、レイにマッチを擦らせてしまったのです。

だからあんな間際のタイミングになったのです。

という演出を狙った、展開ではないでしょうか(笑)
巧みですね~~♪

ノーマンからの手紙

親愛なるエマへ。
この先の計画をここに記す。

レイは死ぬ気だ。

「全ては僕とエマを殺させないため」そう言った。
自分を数に入れていない。
逃げる気がないんだ・・・

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ11話

6話終盤を見れるなら見直して下さい。(6話)
ドンとギルダに真実を話した翌日、ノーマンとエマが洗濯物を干しながら会話しているシーン。

レイはずっと僕たちのことを考えて動いてくれてたんだ。
いつだって僕たち二人のことを。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ6話

「僕たち二人」というのは、「自分の死」でノーマンとエマを救うという意味。

この時(6話時点)、既にノーマンはレイが死ぬ気だと気付いてました
が、何を企み、どうやって死ぬ気なのかは不明。

なので、レイの周りを探る。
レイのベッドの床下に、その証拠となる”あるもの”を見つける。

6話では何か分かりませんでしたが、その時見つけたのが、今回使われた「オイル」です。

ノーマンは、レイがオイルを大量に準備していることから、今回の作戦を読んだのです!

◇◇◇◇◇

ノーマンからの手紙。
前話、医務室でノーマンは言ってました。(10話)

今日できるだけのことはやってきた

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

このセリフの真意は、塀の外の下見だけではなく、手紙に記した『脱獄計画』のことも指していたのです。

シスターからの思いがけない品とは?

それに思いがけない品も手にした。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ11話

シスター・クローネからの「思いがけない品」。
アニメではあまり説明なかったので、なんだか分かりにくかったかも。

原作では、シスターとの過去コマと共に紹介されています。

鍵型

鍵型は「医務室の鍵」の型です
#マスターキーかもしれません

医務室には、薬も道具も備えてある。
麻酔もね。

まあ、5人位なら足りるでしょ。

使い方も教えてあげる。
鍵も貸してあげる

by シスター・クローネ『約束のネバーランド』TVアニメ7話

この時、言ってたことを、シスターは果たしたのです。

エマ達は医務室の鍵を使い、医療用メス、麻酔や薬を手に入れる。
それを使い、レイとエマの耳を切り落とし、発信器をオトリにしたのです。

他の子ども達は、レイが作った装置で発信器を壊しました。

(原作情報)原作では、エマが他の子に「みんなちゃんと発信器壊した?」と確認しています。

ペン

このペンは、シスターが本部にいた時、本部に出入りしていた人間が落とした物。

現時点では何の役に立つのか不明。

(原作情報)原作では、ペンには「W.M」とイニシャルが・・・

森で待っていたのは準備万端の子ども達。
子ども達は、皆状況を理解している様子。

戸惑うレイにドンは説明する。

レイ呆然・・・

キョトンとしたレイの顔が印象的(笑)

一体何が起こっているのか!?

しかも、レイは6年越しの計画で、自ら死を覚悟していた。
#その死を待ち望んでいた節もあることは前述した通り。

その選択を阻まれただけでなく、(レイが犠牲にならないとママを足止めできないと思っていたのに)レイが死ぬことなくママを出し抜き、森まで脱出できた

その上、子ども達が状況を把握しているとしか思えない行動なのです

レイにとっては、何が何だか・・・(笑)
そりゃあ、レイが放心状態となるのも当然。

爽快、かつニヤリとするシーンに仕上がってました♪

子ども達にも真実を

エマはドンとギルダ以外の子ども達にも真実を話した──

ドンとギルダを守りたいと思う余り真実を隠した5話。
その結果、ドンとギルダに悲しい思いをさせてしまった。

GFハウスにいる子は普通の子どもではなく優秀な子。
最初から真実を話して、課題と目標を正確に理解して計画に参加してもらう

これがエマが考えた「全員を連れ出す方法」。
6話終盤、エマがノーマンに話した、案はこの作戦だったのです。(6話)

ノーマンもエマの案は「無茶」と思いながらも、ママだけじゃなくレイを欺けるとも感じてます

最初は、4人。
9歳のナット、アンナ。
7歳のラニオン、トーマ。

信じさせるためにシスターとの会話を聞かせていたのだ。

4人に聞かせていたのは7話のシスターの部屋で、シスターと駆け引きをしていたとき。

実は、これキチンと伏線があります。
7話、シスターの部屋へ行く前のシーン──

エマ:使えるチャンスは全て使わないと
ノーマン:レイ、ちょっといいかな?下見の段取りを相談しておきたい
(と言って、ノーマンはレイを別の場所へ連れて行く)

(その後、エマはドンとギルダに対して)
エマ:二人にお願いがあるんだけど

by 『約束のネバーランド』TVアニメ7話

子ども達に鬼のことを話しても信じてもらえるとは限らない。
そこで、シスターが真実を話しているのを聞かせようとしたのです。

これが「使えるチャンス」。

エマがドンとギルダに頼んだのは「シスターの部屋の前に4人を連れてくる」こと。

シスターとの会話は、シスターから情報を得るだけでなく、4人にハウスの真実を信じさせるためにも利用したのです

ノーマンとエマは、レイに隠れて、この作戦を遂行していたのです。

7話、見返せる方は、見て下さい。

この時、シスターの部屋に入ったノーマンの仕草を見ると、ドアの外を気にしてます!

アニメ、芸が細かい!!

ちなみに、この時、レイに隠していたのは、「内通者のレイが協力する条件が『全員で逃げることを諦める』こと」だったからです。

ノーマンの手紙をレイに隠していたのも、レイが全員で逃げることに反対していたからでしょう。

足手まとい ×/活躍 ○

驚いたでしょうね、レイは。
直前まで、ドンとギルダ以外の子ども達など役立たずどころか”足手まとい”、と断定していた。

ところが、その足手まといだと思っていた子ども達が、今回の脱獄計画の準備を進めていたのです。

この2ヶ月のエマの本当の手足って──

※心情描写なのでアニメではカット

by レイ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

実はドンとギルダですら、ママの目をそらせるフェイク!!

この2ヶ月間のエマの本当の手足は、年長ではなく年中の子ども達だったのです!

これが、ママを出し抜き、レイにすら予想できなかった、(子ども達が主となる)”エマのアイデア”と(火事を起こす)”レイの計画”を利用した”ノーマンの脱獄計画”だったのです!

それが分かったので、塀へ向かっている走っている途中、レイは子ども達を見ながら言ったのです──

お前ら・・・

by レイ『約束のネバーランド』TVアニメ11話

このセリフはアニメオリジナル!
レイの感情をよく表しています。

ここまで分かって、このシーンを見ると、爽快感感じると同時に感動しますよ(涙)

GFハウス前 (ママ/フィル)

燃えさかるハウスを茫然と眺めるママ。

だが、エマやレイが死んでないと分かり、気を取り直す。
ハウスが焼けても、子ども達さえ逃がさなければ問題はないのだ!!

そうです。
ママの目的は、子どもを「食用」として出荷すること。

それを育てるハウスや、ハウスを脱出した行為など関係ない。
商品さえ確保できれば問題はないのです。

全然諦めていないママ!

まだ生きている!!
エマもレイも(まだ生きている!)

(ああ良かった!!生きてさえいれば捕まえられる)

※()内がアニメではカット

by ママ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ママは子ども達が死んでさえいなければ、まだチャンスはある。
捕まえれば問題ないと、全然諦めてません

しかし、ママにはまた想定外のことが・・・

ママ・・・

by フィル『約束のネバーランド』TVアニメ11話

エマは全員を連れて逃げたのではないのか?

フィルは逃げ遅れた?
エマが置いていった?

真相は如何に!

おわりに (『約束のネバーランド』11話とは)

ついに決行された脱獄計画!
これまでの鬱憤を晴らすかのような怒濤の展開が気持ちいい!

6話から始まっていたノーマンとエマの「真の計画」。
7話のシスターとの会話の裏で、年中者に信じさせるのにそんなやりとりがあったとは!

伏線回収が見事すぎて脱帽です!

結果、すいません・・・
レビュー文字数が1万2000文字オーバーとなってしまいました・・・

決して、アニメに不足があって、補足事項が増えたわけではありません。
伝えたいことが次から次へと出てきて、筆(キーボード)が止まりませんでした(苦笑)。

ここまで得てきた情報と道具と仲間、そして犠牲・・・
それらが結集したからこその作戦!
語らずにはいられませんでした。

ノーマンは決意し、レイはずっと堪え忍び、エマは成長したのです。

でも、まだ終わりではありません!

脱獄計画は塀まで辿り着いた”初期”段階!
その先には崖があり、唯一の橋には、鬼達の警備が?!

ママも諦めてはいません。
フィルも気になります。

ラスト1話、何を見せてくれるのか。
楽しみです!

では、12話、最終話でお会いしましょう。

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