こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『約束のネバーランド 2期』第7話を鑑賞。
2期3話前半まで、原作準拠だったアニメ『約束のネバーランド』。
2期3話後半から、アニメオリジナル展開となりました。
本サイトはアニメ側にポジションを取っているので・・・
アニメの感想を書きつつ──
「アニメで描かれた」ストーリーを補足する形で、原作内容を紹介。
※原作情報は必要最低限にします
#時々、心の声がもれるのは、ご了承を
今話の補足・疑問ポイント
- エマの主張はなんなのか
- エマとノーマンの交渉は成り立っているのか?
- ノーマンの元へ、ムジカを連れてきてはダメなのでは?
- 「ノーマンが全部背負って」とは何のこと?
原作情報と私なりの解釈を含め、順に解説します。
約束のネバーランド(2期)
話数 | 各話レビュー | 原作巻数 |
EP01 | 1話R | 5・6巻 |
6巻 | ||
EP02 | 2話R | |
EP03 | 3話R | |
EP04 | 4話R | アニメオリジナル |
EP05 | 5話R | |
EP06 | 6話R | |
EP07 | 本レビュー |
※リンクは各話レビューへ
目次
今回のあらすじ
ムジカは人間を一度も食べたことのない鬼「邪血の少女」。
その血があれば、鬼は人間を食べなくてもよい。
エマは一筋の光明を見る。
ノーマンは逆に、自らの作戦において「邪血の少女」は邪魔な存在だと考える・・・
「邪血の少女」の血を一口飲めば、人間を食べなくても鬼は退化しない。
また、血を飲んだ鬼の血も、同様の効果を持つ。
ムジカの血が持つ力を、知ったエマ。
鬼と人間が共存できる道を見いだす。
が、ノーマンは反対。
仮に、鬼が人間を食べる必要がなくなったとしても。
人間を食べるか食べないかは別問題。
一度人間の味を知った鬼達は、人間を求めるだろう。
食の制限、あるいは好みまで変えなくては人間は安心して暮らせない。
そんなことが、すぐにできるわけはなく、その間に食用児は食べ続けられる。
選択一つで多くの命が失われる。
どちらが正しいのか、いや、どちらが確実なのか。
理想と現実がぶつかり合う。
では、振り返っていきましょう。
解説&感想レビュー 7話
邪血の少女
「邪血の少女」の血を飲めば、鬼は人間を食べなくても、人型と知能を保てる。
ムジカの血の能力に、エマは希望を持ち、ノーマンは危険分子と考える。
「邪血」ではなく「救世主」
存在を伝え聞く限りだけど。
「その鬼は生まれて一度も人間を食べたことがない」
「人を食べなくても、その姿と、知能を保てる超特異個体」by ノーマン『約束のネバーランド』アニメ2期7話
1000年前の約束で、この世は、人間と鬼の世界に分けられた。
鬼の世界から人間は消え、狩りで人肉を得ることができなくなってしまった。
王や貴族管理の下、人間は食用として養殖され供給。
貧しい村は人肉を調達できず、人間を食べない鬼は獣に退化する。
そこに現れたのが「邪血の少女」ムジカ。
ムジカの血を飲めば、人間を食べなくても退化することはない。
「邪血」と言えば、普通は、”正しくない”、”よくない”血のこと。
しかし、飢餓の村にとっては救世主。
エマ達が隠れていた神殿に「邪血の少女」が祀られていたのは、感謝の意味が込められていたのです。(2期5話)
ちなみに、人間を一度も食べたことがないのはムジカだけ。
ソンジュは、人間を食べたことがあります。
ああ、もう一度食いてぇなぁ。腹一杯人間をよ。
by ソンジュ『約束のネバーランド』アニメ2期3話
王や貴族にとり、ムジカは「邪魔者」
だが、人間を売って稼ぎを得ている者にとっては、ムジカは邪魔な存在。
王や貴族にとっては、食用児は利益を得るだけではありません。
食用児の生産と供給を握るのは、生殺与奪権を得ること。
鬼の社会を、思うがままに制御できるのです。
そんな王や貴族にとって、ムジカは邪魔者。
ムジカの血を飲んだ、同じ能力を持つ鬼も同様。
人間を食べなくても心配のない体は、王と貴族だけで充分。
ムジカと同じ力を持つ鬼を全て捕らえ、殺す。
王と貴族は、その血肉を食べ超特異体質を独占したのです。
王から見ると、ムジカとソンジュは、その支配構造を覆す危険分子。
ムジカとソンジュは、王と貴族から逃げていた。
逃走の旅をしていたのです。
700年間も・・・
必要がなくても、鬼は人間を食べる
ダメなんだよ、エマ
必要がなくても、食べたければ襲ってくる。
そもそも人間だってそうじゃないか。by ノーマン『約束のネバーランド』アニメ2期7話
エマはムジカの血、いや王や貴族の血があれば、鬼をみんな人間を食べなくてもいい体にできると言う。
それでも、ノーマンは鬼は人間を食べるのを止めないと言い切る。
人間だってそうですよね。
食べなくたって死ぬわけじゃないと言われても、美味しいと思うものを我慢できるとは限らない。
例えば──
肉で言うと、牛肉、豚肉、鶏肉。
魚で言うと、マグロやウナギ。
嗜好品で言うと、酒やタバコ。
やめろと言われて、止められる人もいるでしょうが、全員が止められるわけではない。
ましてや、肉食の鬼達相手に、好物の人間を食べさせないなんて・・・
原作では、事実が物語っています──
必要がなくても食べたければ襲ってくる。
この700年の王・貴族がまさにそうだし。※アニメではカット
by ノーマン『約束のネバーランド』原作コミック15巻
王と貴族は、人間を食べる必要がない体にも関わらず、人間を食べ続けていたのです。
エマの言い分は「可能性があるなら試したい」
不確実だけど。
わずかでも双方生き残る道があるのなら、その道に賭けて進もうよ。by エマ『約束のネバーランド』アニメ2期7話
ノーマンの作戦は、全食用児にとって最も安全に確実に救える方法。
エマもそれは理解しています。
が、罪もない鬼の子ども達まで殺して、それが正しい方法と思えないと言う。
鬼も人間も共に生きられる道があるなら、考えたい、試みたい。
そのためには、食用児に犠牲が出ても良いのか?
普通なら、味方に被害を出したくないので、そんな選択はしない。
が、エマは夢見る少女(苦笑)。
「食用児に犠牲も出したくない」そして「鬼も絶滅させたくない」。
犠牲は許さないが、妥協も許さない。
両立できる可能性があるなら、そこに向かって進みたい。
超ワガママ!
だけど、その思いが皆を突き動かし、知恵を出し努力して、これまで不可能を可能にしてきた。
これが『約束のネバーランド』の主人公エマなのです!
ムジカを連れてくるのは無意味
私、ソンジュとムジカ探しに行ってくる。
探し出したいんでしょ?
見つけてきてあげる。その代わり、鬼を絶滅させるのを止めて。
by エマ『約束のネバーランド』アニメ2期7話
今話のここまでは、経緯と状況は違えど、原作15巻の内容に概ね準拠。
エマが出した「ソンジュとムジカを」探すのはアニメオリジナル展開。
はっきり言って、この交渉はムチャクチャです。
なぜなら、この時点でノーマンの所へムジカを連れてくるのは「ムジカ達を殺してもいい」と言っているに等しい。
ノーマンの作戦において、「邪血の少女」の血は不確定要素。
鬼を退化させる薬を用いても、元に戻される可能性がある。
人間を食べなくても退化しない鬼は──王と貴族、そしてムジカとソンジュ。
王と貴族は居場所が分かっているので、直接処分すれば問題なし。
が、ムジカとソンジュは居場所を掴めてないから問題なのです。
それよりも警戒すべきは、そのソンジュとムジカ。
彼らは、退化した鬼を人型に戻す力を持っている。
僕らの計画において、極めて不確定な危険要素だ。探し出して、殺さないと。
by ノーマン『約束のネバーランド』アニメ2期7話
ノーマンは、ソンジュとムジカを殺さないと計画に支障が出ると言っているのです。
ノーマンが、ムジカを探し出したいのは、ムジカを殺すため。
にも関わらず、エマはソンジュとムジカを連れてくるという。
エマは、恐らくムジカの血があれば、人間を食べなくても良い鬼になるから、そのために連れてくるのでしょう。
が、血が必要なら、これから狙う王や貴族の血でいいのです。
ムジカやソンジュの血である必要はない。
むしろ、二人はその血を絶やしてはいけない最後の砦。
どちらかと言うと、保険にしなくてはならないほど。
それを軽々しく、ノーマンの前へ連れてくるというエマの神経が分かりません。
鬼の絶滅を止めるために「友達」を差し出そうとしているのです。
いや、それどころか、ムジカとソンジュを殺され、本当に鬼を絶滅させる後押しになってしまうのです・・・
その取り引きを受けたノーマンは、連れてきた邪血を殺したいのだから、エマの提案は都合がいい。
「邪血の少女」を得たからと言って、鬼の社会、構造を変え、食生活を変えなければ人間は安心して暮らせない。
「邪血の少女」は「鬼の絶滅作戦」を止める取り引き材料にはなりません。
シェルター脱出後、何もできなかったエマ。
今回の言動と言い、アニメのエマは普通の子になってしまったようです。
が、レイも気づかないなんて・・・
原) 原作の交渉材料は人間の世界へ行く方法
ここで、ノーマンと取り引きするのは、原作も同様。
では、原作では何を取り引き材料にしているのでしょうか。
ちゃんと”約束”結び直せて戻って来られたら全滅考え直してね。
※アニメではカット
by エマ『約束のネバーランド』原作コミック15巻
アニメと違い原作のエマは、GFハウスを脱獄してから、ずっと人間の世界へ行く方法を模索し続けていました。
まだ謎は残っているものの、必要なモノは全て集め、条件が揃えば鬼の頂点である”あの方”の所へ行ける状態に。
#その進捗状況はノーマンも驚くほど
エマはノーマンに、1000年前の人間と鬼との約束を結び直してくると宣言。
それを交渉材料にしたのです。
約束を結び直せば、人間の世界へ逃げられる道筋ができる。
鬼は、王と貴族の血で、人間を食べなくていいようにする。
であれば、鬼を絶滅させなくても良いのではないか、というのがエマの提案。
「鬼を絶滅させたくない」理想論は変わりません。
が、「邪血の血」の効果を知り、鬼を絶滅させずに食用児が助かる方法。
まだまだ無茶で無謀ですが、実現可能性のある選択肢を見せたのです。
それでもノーマンは、考えを変えません。
理由は、成功率が低いから。
ただ、作戦が決行される前に、”約束”を結び直し戻ってくれば、その時に「絶滅」させるかさせないかを”考える”と、答えるに留めています。
それでも、首の皮一枚繋がったのです。
エマは、そこに賭け、これまで誰も戻って来なかった場所へ行きます。
それは、鬼のため?
いいえ、それだけではありません。
ノーマンのためでもあるのです。(後述)
背負うべきもの
ノーマン達は、「鬼を退化させる薬」の最終実験段階に。
ラムダ組は実験動物
鬼ってのは、そういうんじゃない・・・!
そういうんじゃないだろう・・・!?-中略-
あたしたち人間の命なんて、物以下、家畜以下。
それが当然だと思ってる。畜生!
奴らさえ、鬼さえいなければ!!by バーバラ『約束のネバーランド』アニメ2期7話
ラムダは試験農園。
食用児を効率良く育てる為に、品種改良・・・人体実験をしていた。
鬼に食べられる運命は同じとは言え、それまでは幸せに暮らしていたGFハウスの食用児とは全く違う。
ラムダ組の鬼への恨みは深い。
そして、人体実験により、寿命も長くないと悟っているのです。
ノーマンが計画を止めないのは「既に覚悟ができている」
何も変わらない。
邪血は殺す。この計画を変更するつもりはない。
ここまでやったんだ。
無論、後には退かないよ。by ノーマン『約束のネバーランド』アニメ2期7話
エマにあれだけ責められても、ノーマンが頑なに鬼全滅計画中止を拒んだ理由──
全食用児を救うには、ノーマンの計画が最適だからだけではありません。
「鬼を退化させる薬」を作るのに、既に多くの鬼を殺してきた。
今更、鬼と人間との共存など、言う資格はないのです。
原作では、ここでノーマンの心情描写が──
僕に悔いはない。
救いたい。
僕はエマ達もシスロ達も仲間全員を。そのためならば──
僕は神にでも悪魔にでも喜んでなるよ、エマ。
※アニメではカット
by ノーマン『約束のネバーランド』原作コミック15巻
GFハウスで出荷され、一度は諦めた命。
生き延びた命を、皆のために使うと決めた、ノーマンの覚悟なのです。
神殿に戻ったエマとレイが言ったセリフ──
エマ:それにね、もうノーマンに自分を殺させたくないんだ。
レイ:あいつはまた、同じ事をしようとしている。
エマ:今も私達のために、全部背負って片を付けようとしてる。by 『約束のネバーランド』アニメ2期7話
ノーマンが、全部背負っているのは、このこと。
鬼を全滅させる、罪と責任。
いや、子供の鬼、罪のない鬼を殺す「罪悪感」と「非難」。
ノーマンは、これらを一手に引き受けようとしているのです。
エマとレイはそれが分かるからこそ、別の道を模索したい。
決して、鬼を全滅させたくないだけではないのです。
報告
エマとレイは神殿に戻り、鬼を全滅させないため、ムジカとソンジュを探すと皆に説明。
子ども達が想像できなかったのはシェルターにいたから
子ども達は、エマが言う「人間を食べないと生きていけない鬼は、人間と同じ」に共感する。
ラムダ組とは大違い。
これは、GFハウスの子ども達に被害が出てないことが大きいかも。
では、前話で、ノーマンの「鬼を全滅させる」計画を聞いた子ども達が歓喜したのはなぜか。(2期6話)
ラニオン:確かに俺達、想像が足りてなかったかも・・・
レイ:まあ、お前らは実際に外へ出て町の鬼達を見たわけじゃねぇからな。※アニメではカット
by 『約束のネバーランド』原作コミック15巻
原作では、鬼の集落近くの神殿に隠れ住んでません。
ノーマンに会う直前まで、シェルターの中でひっそりと暮らしています。
シェルターから外へ出て、他の場所へ行くのは年長者のみ。
それ以外は、敵に見つからないようシェルターから出ていません。
なので、「鬼」と言えば、凶暴な野良鬼しか思い浮かばない。
鬼にも家族や子供がいるのを見たことがなかったのです。
アニメだと、すぐ近くに集落があり、皆、年を取った鬼を見てますし、トーマとラニオンは昨日集落に行ってます。
鬼のことを全く知らないような素振りは、少し不自然に感じますね。
残された子ども達は大丈夫?
こっちはしっかり留守番しておくからな。
by 『約束のネバーランド』アニメ2期7話
エマとレイ、ドンとギルダの4人がムジカとソンジュ探しに行く。
毎日食べる物に苦労していたのに、残される子ども達は大丈夫なのでしょうか??(笑)
5日程度なら、食べ物はなんとかするにしても・・・
鬼に襲われた時はどうするのでしょう?
先に書いた通り、原作では、この後、エマとレイは”約束”を結び直しに。
ムジカとソンジュを探すのは、ドンとギルダです。
ノーマンの出荷
ノーマンはGFハウスから出荷された時のことを思い出す──
ノーマンも実験対象に?
エマ、レイ、ごめんね。
by ノーマン『約束のネバーランド』アニメ2期7話
ノーマンも咳をして血を吐く。
ラムダの3人と同じく、ノーマンも実験対象だったのか?
ここで、過去回想を見せる意図は?
そう言えば、ママがエマ達を捕らえるために動いているはず。
#アニメオリジナル
その動向も気になります。
まだ、7話。
残りは3~4話。
Blu-ray&DVD発売情報によると2期は全11話。
特別編「道標」がその中に入っているのかどうかが不明。
入っていれば残りは3話、入ってなければ残り4話です。
これからどこへ向かうのか。
原作準拠じゃないので、原作を知っていてもドキドキ(笑)。
色んな意味で楽しみです!
おわりに (『約束のネバーランド』2期7話とは)
今話も、ここまでの経緯と状況は違えど、原作に沿った展開。
完全アニメオリジナルなら、頭をリセットして見られます。
が、原作のエピソードやシーンを一部取り入れているものですから、どうしても違いが目についてしまいます(苦笑)。
原作とは情報量も、経緯も違うので、訴えかける中身がまるで違う。
単にエマが理想論を振りかざしているだけのワガママ娘にしか見えません。
原作では、ノーマンに鬼と人間が共存できる対案を示し。
確実にするために、自ら危険を顧みず次の目的地に向かう。
無事に戻ってきたらと言う、条件付きではあるものの。
ノーマンに”絶滅”作戦決行を改めさせる、首の皮一枚繋げたのです。
アニメのような「ムジカを連れてくれば解決する」。
そんな単純な状況ではありません。
どうもアニメは、物語を収束させるのを優先しているのか、構造をシンプルにし、エマの思考と言動が薄っぺらいものになっています。
残念。
エマは、人間の世界へ行く道を自ら調査し、もう少しの段階まできた。
だから、ノーマンの作戦を止める言葉に説得力がある。
ノーマンは、”被害をできるだけ最小限にして”全食用児を救うことを考え行動。
この世界で安心して暮らせる場所を作るには、犠牲はつきもの。
鬼を全滅させるのが、最善手。
そして、ノーマンが言う”全食用児”の中にはエマやレイ、GFハウスの子ども達も当然入っている。
ノーマンは、これ以上、エマにも危険な目にあわせたくないのです。
ノーマンは最適解を。
エマは、ノーマンや鬼達も含めて最適解を。
この3人は、GFハウスにいたときと、構造は変わってないのです。
#いや、レイは変わったか(笑)
ではでは。