各話レビュー(1期)

TVアニメ【約束のネバーランド】10話 解説&感想レビュー 最後のあがき!出荷は避けられないのか・・・

約束のネバーランド 第10話

こんばんは。時文です。
TVアニメ『約束のネバーランド』第10話鑑賞しました。

2期10話のレビューはこちらをどうぞ。

今回は原作 4巻 29話半ば~31話(約50ページ)がアニメ化。

なんと、原作2.5話分しか進んでません!
今までにないゆっくりとしたペース!
#1話も丁寧に描かれていて、それ以来

丁寧に描くだけでなく、原作本編にはないノーマン達の幼少時代のシーンもアニメ化
これはうれしかった~~♪♪
#幼少時代は原作本編にはありませんが、アニオリでもありません。
#後ほど説明します。

時間をかけて描いてくれていたのですが、真意が分かりにくい点もいくつか。
#ストーリーが理解できないほどではありません。

  • なぜ、ノーマンは死を選ぶしかなかったのか
  • ノーマン見送り時、エマはどうやってママの注意を引こうとしたのか
  • エマの作戦は考えなしだったのか。
  • エマの「えっ」の意味は?
  • 気力を失っていた時、エマは何を考えていたのか

先のネタバレなしで、原作情報と私なりの解釈を含め、順に解説します。

さて、ここでは、以下の観点でレビューします。

  1. アニメだけでは気付きにくい点を「解説」
  2. 必要に応じて、原作コミックの情報を加味して「補足」
  3. “原作既読者”目線の「感想」

作品理解の参考にしていただければ幸いです。

今話の「ネタバレあり」。次話以降のネタバレは「なし」。ご安心を。

前回(9話)の解説&感想レビューはこちらをどうぞ
約束のネバーランド 第9話
TVアニメ【約束のネバーランド】9話 解説&感想レビュー ノーマンが!?策はあるのか?新情報は更なる窮地を示す・・・TVアニメ『約束のネバーランド』第9話 解説&補足&感想レビュー。(次話以降のネタバレなしでわかりやすく解説) どうしてノーマンが?!なぜ予測できなかったのか?対策はあるのか?!絶望へのカウントダウンなのか・・・...

約束のネバーランド(1期)

話数 サブタイトル 各話レビュー 原作巻数
EP.01 121045 1話R 1巻
EP.02 131045 2話R
EP.03 181045 3話R
2巻
EP.04 291045 4話R
EP.05 301045 5話R
EP.06 311045 6話R
3巻
EP.07 011145 7話R
EP.08 021145 8話R
EP.09 031145 9話R 4巻
EP.10 130146 本レビュー
EP.11 140146 11話R
EP.12 150146 12話R 5巻

前回のあらすじ

約束のネバーランド 第9話
あらすじ

エマの足は折られ、ロープは取り上げられ、下見は失敗。
それよりも、ノーマンが明日出荷されると告げられた。

今すぐ脱獄することもできず、ノーマンを死なせるわけにもいかない。
3人が出した結論はノーマンが逃げたフリをする作戦。

翌日、ノーマンは逃げると同時に、ついに塀の外を見ることに成功。
しかし、そこで見たものは・・・

── 塀の向こうは、崖だ ──

今回のあらすじ

あらすじ

逃げたフリをして出荷を逃れる作戦だったのに、ノーマンはハウスへ戻ってきた。
ノーマンはこれが最善の選択だと言う。
諦めきれないエマ達・・・

見送りの時、エマが最後のチャンスとばかりにノーマンを逃がそうとする。
が、ノーマンはそれを許さなかった。

ノーマンが出荷され、エマレイには虚無感しか残ってなかった。
脱獄計画は諦めたのか。

そして、2ヶ月が経過した・・・

ノーマンも納得の上での「逃げたフリ」作戦。
が、ノーマンは最初から逃げる気はなかった。

諦めきれないエマとレイは考えを巡らせ手を尽くすが徒労に・・・
ノーマンにその気(逃げる気持ち)がないのだから当然です。

ノーマンは、死ぬのが怖くないのか?
そんなことはありません。

ではなぜ、ノーマンはあれほど強い意思だったのでしょうか・・・

では、振り返っていきましょう。

解説&感想レビュー

GFハウス 医務室(ノーマン/レイ/エマ)

約束のネバーランド 第10話

ノーマンは下見の報告をする。

塀の外は崖。

GFハウスは本部と5つのプラント(飼育場)で構成。
全体は正六角形になっており、塀と崖に囲まれていた。

外部への唯一の逃げ道は、鬼がいる本部の先にある”橋”。

塀の向こうは「崖」

塀の外は、とても飛び降りられる高さでも、飛び越えられる幅でもない”崖”だった

シスターはウソをついていなかったし、鬼も僕らをナメてはいなかった。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

「シスターのウソ」とは、アニメ7話、シスターにGFハウス周辺のセキュリティを聞いたときのこと。

大したことないわ。

発信器に頼って、ろくな人数配置してないし
巡回すらしていないはずよ

by シスター・クローネ『約束のネバーランド』TVアニメ7話

このとき、原作ではノーマンとエマは、疑っています。

ノーマン:確かに静かだった・・・
エマ:でもこれは多分ウソだ。

ノーマン:そんなに甘いはずがない・・・

※アニメでは全てカット

by 『約束のネバーランド』原作コミック3巻

GFハウスにいるのは特別な食用児。
警備が甘いわけがないと疑っていたのです。

だからこそ、シスターの言葉を鵜呑みにせず「塀の外の下見」が必要だったのです

ところが、シスターの情報は正しかった──

塀の外側は「崖」
崖があるので、塀は登ろうと思えばなんとか登れる高さで、巡回もなかった
のです。

GFハウスの構造

ノーマンは諦めることなく、塀沿いを調査。

前話(9話)、レイからGFハウスは本部と5つのプラントで成り立っていると聞いていたノーマンは、混乱することなくGFハウスの構造を把握します

ちなみに・・・
ノーマンが書いたGFハウスの図。
六角形の線が外側と内側の二重になってました。

外側の線が「塀」、内側の線が「門」

門の先が、本部&5つのプラントに繋がる場所になっていると思われます。
実際には、もっと中心の小さな区画になると思いますが、ノーマンが描いたのはあくまでイメージですね。

最初はハウス周辺だけだった『約束のネバーランド』。

少しずつ周囲の状況が明らかになっていくのが堪りません!!

ノーマンはなぜ逃げなかったのか?

ノーマンは”崖”を見つけ、塀から逃げることができない一大事を報告をしに戻ってきたように見えました。

が、ノーマンは最初から逃げる気はなかった。
ハウスへ戻ってきたのはノーマンの予定通り。

ノーマンは、この日、下見をしに森へ行ったのです

(原作情報)原作では、レイはもっとツッコミを入れてます。
崖は戻ってきたのと関係ない。こんな報告、潜伏しながらでもできるもんな!

ノーマンが逃げたフリをして、森に潜伏。
エマの足が完治し、逃げる準備が整い次第、全員で脱獄。

一見、問題ない作戦に見えますが・・・
ノーマンはどうして作戦放棄したのでしょうか。

原作にヒントがあります

甘いんだよなぁ、二人とも。

-中略-

年長5人想定だと気づいてもいない
どれもこれも選び取れるほど世界は甘くないだろう。

-中略-

誰一人見捨てない
夢物語の理想論かもしれない。
“不可能だ”って誰もが諦めてしまう。

だけど、だからこそ・・・
僕も覆したい、諦めたくないじゃないか

だから、僕は死を選ぶ

※全文アニメではカット

by ノーマンの心情描写『約束のネバーランド』原作コミック4巻

これに、アニメでもあったノーマンのセリフを重ねて読み解きましょう。

僕は間違えるわけにはいかないんだ。
誰一人死なせないために

僕が逃げたら計画が狂う

仮にわずかでも、それじゃ困る。
僕は万が一にも負けたくない。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

ノーマンが覚悟を決めたのは脱獄計画を成功させるため

  1. ノーマンが逃げれば、代わりに誰かが出荷される
    「誰一人死なせない」が叶わない
  2. ノーマンが逃げれば、警備がより厳しくなる
    誰も脱獄できなくなる

ノーマンは、例えレイが(ケガや病気で)出荷を免れたとしても、次はドン、ギルダに順番が回るだけだと考えてました。

誰かがノーマンの身代わりになる・・・ノーマンはそれは堪えられなかった。

その上、警備が厳しくなり、もっと犠牲が増えてしまう、あるいは誰も脱獄できなくなってしまう。

計画を遂行するには、このまま”予定通り”自分が犠牲になるのが一番影響が少ない
だから、ノーマンは逃げなかった──

こう考えていくと、ノーマンの選択はとても合理的です。

だからと言って、普通、そんな選択などできませんが・・・

ノーマンの執念?

また、ノーマンは別のことも考えてます。

誰もが、GFハウス脱獄など不可能、ましてや全員での脱獄など有り得ないと考えている

その状況下で脱獄を成し遂げたい、ママを出し抜きたい!

それなら、自分一人は犠牲になっても良い、と。
出荷されるその直前まで下見など脱獄計画に時間を費やしたのです。

ここまで来ると、エマやレイを助けたいと言う優しさだけでなく、ママに負けたくない、この世界の理に抗いたい、という”執念”を感じますね

実はノーマン、強度の負けず嫌いなのかも・・・

ノーマンは森で何をしてきたのか?

今日できるだけのことはやってきた。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

これは、塀の外の下見だけのことではなさそうです。

出荷される最後の日。
突然の決定でした。
やりたいこと、やり残したこと、沢山あるだろうに、ノーマンはエマのため、皆のために、”自分の時間”を脱獄計画に使ったのです

この日、ノーマンは何をしていたのかは、今後明かされるでしょう。

また、この日のノーマンは、小説『ノーマンからの手紙』でも触れられています。
興味ある方はお手にとっては如何でしょうか。

アニメ10話鑑賞時点で小説を読むと、少しネタバレがあります
最終12話まで鑑賞後、読むことをオススメします

詳しくは、小説『ノーマンからの手紙』のレビューをご覧下さい。

約束のネバーランド
小説【約束のネバーランド ~ノーマンからの手紙~】感想レビュー ノーマンはあの時何をしていたのか。原作の設定を巧みに取り入れた最上のスピンオフ!コミック漫画『約束のネバーランド』のスピンオフ小説第1弾『ノーマンからの手紙』(以降のネタバレなしでわかりやすく解説) 原作では描かれなかった時期の行動や情報が描かれる、ファン垂涎のスピンオフ。随所にニヤリとしてしまう。オススメです!...

あったかい・・・

約束のネバーランド 第10話

あったかい・・・

今までありがとう。
2人のおかげで、いい人生だった。

楽しかった、うれしかった、幸せだった・・・

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

ノーマン、レイ、エマの声優さんの演技もあり、原作よりずっと温かい。
熱いものがこみ上げるシーン。

レイの悔しさ、エマの感情。
よく分かります。

ノーマンがいなくなるなんて・・・
信じられない・・・
信じたくない・・・

GFハウス 寝室(ノーマン)

ノーマンは寝室でハウスを出る身支度をする。

糸電話を見つけ、幼少の頃を思い出す──

幼少のノーマンが風邪を引いたシーンは、原作本編にはありません

(原作情報)原作本編では、トランクの中に「糸電話」が少し描かれる程度。

この回想シーンは、原作コミック2巻に収録された「番外編」が元になっています

回想シーンは6年前、6年前と言えば・・・

Happy New Year 2039

by 『約束のネバーランド』原作コミック2巻

2039年、新年早々、雪合戦をしていると、ノーマンが倒れます
エマは大騒ぎです(笑)。

作品内の現在は、2045年11月。
2039年新年早々ということは、約6年前。

ノーマン、レイ、エマは5歳。
誕生日が一番早い、1月生まれのレイが6歳になる直前

レイの6歳と言えば、レイがママにハウスの秘密を確認した年。(9話)
誕生日にママに確認したので、正にその直前ですね!

ノーマンはこのときエマを好きになった!?

風邪を引いたノーマンに近づいてはダメだと言われているのに、ノーマンが寂しがっているだろうと心配して、医務室へ何度も行くエマ──

だって、ノーマン。
病気の度に一人ぼっちになっちゃうから、そんなの、寂しいじゃない

by エマ『約束のネバーランド』TVアニメ10話

エマらしい思いやり。
5歳なのに、エマしてます!

私の勝手な推測ですが・・・
ノーマンはこの時、エマを好きになったのではないでしょうか

アニメでは、糸電話を使う前は一度しか行ってません。
が、原作ではもう一度行き、エマはノーマンに「ずっと一緒にいたい」的なことを言ってます(笑)。

そのときのノーマンの顔ったら・・・
ぜひ、原作でご確認を!

照れ顔!

エマだけではない!?

原作は、それだけではありません!

エマに余計な知恵をつけ暴走させる元凶であるレイに、ママは強硬手段に出ます!
#この時のママは、(平和な)ママですよ♪

エマの心配が、他の子ども達にも伝播し、ママにいくつかの解決策を提示!

最終結果が「糸電話」なのです。

既に準備は整っていた

回想シーンを挟んだのはアニメオリジナル
原作では、医務室を出た後、すぐに食堂へ向かいます。

(原作情報)原作では、医務室で3人で会話したとき、既にノーマンの荷物の整理も着替えも済んでました。荷物と言っても一つですが・・・

だから、フィルがノーマンに、ママが呼んでいると伝えたとき──

今、行くって伝えて。

by ノーマン『約束のネバーランド』TVアニメ10話

と答えたのです。

◇◇◇◇◇

アニメ独自の構成にしたので「今、行く」と言ってから少し時間が経ち違和感があったかもしれません。

が、最後の時間をじっくり味わえる、とてもいいシーンになってました。

回想シーンは破壊力も抜群!
アニメ製作スタッフさん、グッジョブです!!

GFハウス 食堂

ハウスを出るノーマンを、見送る子ども達。
レイは医務室に籠もり、エマは意気消沈・・・

エマは最後の賭けに出る──

アニメだけ見ると、エマの無鉄砲ぶりだけが目立ちます。
#原作も似たようなものですが(笑)

原作では、ノーマンが出て行った医務室で、エマとレイの会話が続きます。
レイはノーマンをなんとかしたいが、何もできないと悟り、悔しがる。

ノーマンは「死にたくないはず」「怖くてたまらない」だろうに、レイは何もできないことを申し訳なくて、悔しくて、医務室に籠もっていたのです

一方エマは、ノーマンが”死を望んでないなら”止めたいと考えます

子ども達が、ノーマンに別れを告げている時、エマが黙っていたのは、ずっと考え続けていたのです。

全部私たち(家族)のため。
わかるよ、わかる。

わかるけど・・・分かりたくない!!

掴んでおかなきゃ・・・
今ここで送り出したらノーマンの死が決まっちゃう

※心情描写なのでアニメではカット

by エマの心情描写『約束のネバーランド』原作コミック4巻

悩んだ末、葛藤の末・・・

ここで止めなければ「ノーマンの死が確定する」
それだけは絶対に止めなくては!!と考えてのあの行動なのです

エマは何を狙ったのか?

ママの目を引き付ける
お願い逃げて

by エマ『約束のネバーランド』TVアニメ10話

エマは2つのことをしようと動きました。

エマがしようとしたこと

  1. 追跡できないよう、ノーマンの発信器を壊す
  2. 骨折した右足を、床に叩きつける

エマは、骨折した足を床に叩きつけ、痛がってママの注意を引く
その隙にノーマンに逃げてもらう──ことを狙ったのです。

エマの狙いに気づいたノーマン。
エマが足を床に叩きつけるのを回避するために、エマを倒したのです。

ノーマンの頭の回転の速さも凄いですが、反射神経も凄いのでは?(笑)
まあ、エマは片足なので、倒すのは簡単だったのでしょうが。

ノーマンが怒ったのは──

  1. 今ママに発信器を壊せることがバレたら、計画に支障がでる
  2. エマの足がこれ以上悪く、もしくは治らなくなってしまっては脱獄どころではなくなる

というわけですね。

推測も入れた、私の解釈です

エマは勢いだけで行動したのでしょうか?
いいえ、違います。

エマは、ノーマンが「逃げる気がない」ことは理解してました。
だから、「逃げるしかない」状況を作ろうとしたのではないでしょうか。

  1. 発信器を壊して逃げるのは1回限り
    ママにバレてしまっては以後対策を取られるから。
    だからこそ、発信器を壊せば、ノーマンはそのチャンスを無駄にしないと考えた。
  2. エマの骨折も同様
    エマの体を張ったチャンスを、ノーマンは無駄にはしないと考えた。

エマの「え?」の意味は?

ノーマン:メチャクチャだよ、君は・・・(中略)・・・だから、だから僕は・・・

エマ:え?

by 『約束のネバーランド』TVアニメ10話

ノーマンのセリフは、原作では「心情描写」です
アニメは、原作の心情描写の一部をセリフにしています。

原作には、心情描写の続きがあります──

でも、エマはわかっていない。
その気持ち、その思いだけで、どれだけ僕が幸せだったか

だから、僕は辛くても怖くても笑顔でいられた。

今も笑って逝けるんだ。

※心情描写なのでアニメではカット

by ノーマンの心情描写『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ノーマンは、エマが自分を大切に思ってくれる気持ちをよく分かっていて、それだけで幸せを感じていた。

今回も、どれだけ自分の事を想ってくれているのか痛いほど分かる──

だから「死を目前にした今でさえ」笑って逝ける

ノーマンはこのとき、エマに笑顔を見せたのではないでしょうか

なので、エマは驚いた──

エマの後悔

このシーンでの会話は、ママと子ども達がいるので、ノーマンもエマも本心を隠した会話です

エマはこれだけ感情が高ぶっているのに、本心を隠しながら会話しているのが凄い!
ってか、11歳には思えない・・・(←今更っ)

エマは、ノーマンの顔を見て、ノーマンが後悔してないことを感じたのか。
段々落ち着いていきます。

最後には──

ごめんね、笑って見送れなくて
笑顔を見せてあげられなくて

-後略-

※心情描写なのでアニメではカット

by エマの心情描写『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ノーマンがエマに笑顔を見せているのに、エマは見せる事ができなかった──

原作では、最後には、エマは、ノーマンに申し訳ない気持ちで溢れています
そして、感謝も・・・

作品屈指の名シーンです。

約束のネバーランド 第10話

庭-門 (ノーマン/ママ)

ママに連れられ、ノーマンは門へ・・・

ノーマンの予想は正しかった

あなたなら、決して逃げない。
分かっていたわ、私には最初から。

立派よ、あなたは正しい。

これでレイとエマは満期で出せる

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』TVアニメ10話

ノーマンが逃げなかったから「レイとエマは満期で出せる」。

ノーマンが逃げてたら、レイかエマが出荷されていたということ。

やはり、ノーマンの読みは正しかったわけですね。

ママは本当に子供を愛している?

ノーマン:ママは幸せ?

ママ:幸せよ。あなたという子に会えたもの

by 『約束のネバーランド』TVアニメ10話

このノーマンの質問、エグいですねーー
ママの動揺ぶりもお見事。
#ママが、こんなに動揺したの初めてでは?

ただ、分からないのが「あなたという子に会えたもの」。

このセリフ。
私には”本心”としか思えません

その前のセリフと一緒にもう一度。

ママ:・・・これでレイとエマは満期で出せる。
ノーマン:「決められた時間、最後まで」「お家の中で幸せに」

ママ:そう「幸福な一生

ノーマン:ねえ。ママは幸せ?
ママ:ええ・・・。幸せよ。あなたという子に会えたもの。

by 『約束のネバーランド』TVアニメ10話

ノーマンがママに聞いた「幸せ?」という問い。
少なくとも2つの意味を示してます。

  1. ママが言うこの世界の幸せである、”ハウスで決められた時間、何不自由なく過ごす”幸せ。
    では、その道から外れたママ(飼育監)は幸せなのか?
  2. (単純に)大好きな子ども達を送り出す日々を過ごしていて、本当に幸せなのか?

どちらの意味で聞いているのか分かりませんが、ママはノーマンに会えたことを幸せだという・・・

つまりママは、いずれ出荷されることは分かっている限られた時間の子ども達と過ごすのを幸せだと思っている──

Aパートの、ノーマン達が幼少の頃のエピソード。

その中でのママは本当に”良いママ”なのです。
子ども達の行動に対して、一喜一憂しているのです。

子ども達を愛しているのは本当なのかな、と思ってしまいます。

#甘い?
#だからと言ってママの行動を肯定できるわけではありませんが・・・

門 (ノーマン/ママ)

門に着いたノーマン。
車へ向かうノーマンだが、ママに部屋へ行くよう促される。

1話のコニー。
8話のシスター。
──門は最悪の展開しか描かれてません。

が、流石に主人公級のノーマンの最後を描くのは遠慮したのか、はたまた別の意図があるのか。

ノーマン最後のシーンは描かれませんでした。
#原作も同様です。

ノーマンが部屋の中を見たとき「え?」と言ってますが、この締め方も原作同様です。

GFハウス 医務室 (エマ/ママ)

約束のネバーランド 第10話

ノーマンが出荷されてしまい、疲れ切ったレイ、落ち込み嘆くエマ。

ママはエマに言葉を投げかける。
エマが望めばママになる道もあると──

脱獄を成功させなくては!と分かっているのだが・・・

皆の頭脳であり、リーダーだったノーマンが出荷された。
それは、ノーマンがこの世に存在しないことを意味する

レイも魂が抜けたようになり、脱獄計画は降りると言う・・・

アニメだけだと、ひたすらエマが落ち込んでいるようですが、原作ではエマは「頑張ろう」としています──

嘆きながらも頑張らなくてはいけないと思っているから、ママが来た時、発信器を壊す装置を枕の下に隠したのです

考えなきゃいけないのに、頑張らなきゃいけないのに。
頭が、体が、動かない

※心情描写なのでアニメではカット

by エマの心情描写『約束のネバーランド』原作コミック4巻

決してエマはノーマンの最後の言葉「絶対(脱獄を)諦めないでね」を忘れていません
忘れてないし、脱獄を諦めてもない。

ノーマンは「皆のため」「全員での脱獄を成功させるため」に自ら犠牲になった。
だから、脱獄は成功させなくてはならない。
そのためには、脱獄に向けて準備しなくては、考えなくては・・・

頭では分かってはいるが、心がどうしてもノーマンを求めてしまう。

ノーマンが側にいたから、エマはエマでいられたのだ──

エマをママ候補に!?

そこへママが追い打ちをかけるように、いや、ママにとってはここぞとばかりにママへの道を示す

絶望に苦しまずに済む一番の方法は「諦める」ことよ
そういうものだと諦めてしまえばいい

-中略-

何もできない、誰も救えない。
ただ死を呪う苦しみの連鎖よ。

生きてママ(飼育監)を目指しなさい。
絶望を受け入れて楽になるのよ

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』TVアニメ10話

エマに投げかけているこのセリフ。
ママ自身の経験ではないでしょうか。

ママ自身も苦しんだからこそ、エマの苦痛を理解でき、「ママなりの」エマへの優しさ。

ママが部屋を出る瞬間、フッと見せる表情。
原作では、ママが呟きます──

バカね・・・
諦めるしかないのに・・・
苦しみが続くだけなのに。

※アニメでは全文カット

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

ただ、飼育監としての考えが透けて見えるのが怖いですが(笑)

GFハウス 食堂(エマ/レイ)

約束のネバーランド 第10話

-2ヶ月後-

月日が経ち、日付は「2046年1月14日」
レイが出荷される前日

何の動きもなく2ヶ月が過ぎ、レイは最後の夜という。

カレンダーに丸印があり「レイ」と書かれているのは「レイの誕生日」であり「レイがハウスを出る日」です

この2ヶ月、エマはレイと連携した気配はないどころか、脱獄計画の手を動かしていません

原作では、ママが、腑抜けたエマとレイを見て呟きます──

チェックメイト

by ママ・イザベラ『約束のネバーランド』原作コミック4巻

そんなわけない!

本当は、諦めてなんかないんだろ?エマ

by レイ『約束のネバーランド』TVアニメ10話

その後の、エマの表情!

おい、主人公だよね?
闇落ちしたりしないよね?

と心配してしまうような表情でした(苦笑)
#原作も相当悪い顔してます

2ヶ月も時間を無駄にして、本当に諦めてないのか?
今度はレイが出荷されるというのに、あと1日で何ができるのか?!

ラスト2話!
期待しましょう!

── 抗え!この世界の運命に! ──

おわりに (『約束のネバーランド』10話とは)

1話以来となるスローペース。(良い意味で)
主役級のノーマンが出荷されてしまう、原作でも一番ショックでインパクトがあったエピソード。

原作を読んでいた時も、最後の最後までノーマンが出荷されるなんて有り得ないと思っていたし、どう覆すのかと期待してました。

が、本当に出荷されてしまうとは・・・

ノーマンは、脱出を成功させるために逃げることをしなかった。

ママの思い通りにさせないために、ママの望み通り出荷されるのです。
なんという皮肉!
なんという決意!!

ただ、ノーマン出荷後。
エマやレイと同様、「私も」落ち込み虚無感に襲われたのでした・・・

有り得ないよ・・・こんな展開・・・
酷すぎる・・・

でも、迫り来るレイの出荷に止まっているわけにはいかない。
次からはエマ達の反撃!なのか?!

残り2話!
ノーマンはいなくなったが、ノーマンの犠牲を無駄にしないためにも応援したい!

次週も楽しみです!

ではでは。

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