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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第12話「宦官と妓女」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
1巻 31話「解雇」終話「宦官と妓女」
- コミック
-
3巻 13話「解雇」中盤~終盤
今話でコミック3巻は終了。
そして、ついに原作の1巻の最後まで描かれました。
とても丁寧にアニメ化されて、大満足です!
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第1話 | 猫猫 | 1巻 | 1巻 |
第2話 | 無愛想な薬師 | ||
第3話 | 幽霊騒動 | ||
第4話 | 恫喝 | ||
第5話 | 暗躍 | 2巻 | |
第6話 | 園遊会 | ||
第7話 | 里帰り | ||
第8話 | 麦稈 | ||
第9話 | 自殺か他殺か | ||
第10話 | 蜂蜜 | 3巻 | |
第11話 | 二つを一つに | ||
第12話 | 宦官と妓女 |
※話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
上級妃暗殺を企てた風明に対する処罰の対象は、彼女の親族だけでなく関係者にまで及んだ。その中には猫猫の名も。
猫猫は壬氏に直訴しようとするが・・・。
住めば都か妓女への身売りを避けるためか、でも下女が逆らうわけにはいかない。
後宮に残りたいのに残れない。
後悔先に立たず。
残ってほしいが、贔屓はかえって二人の溝を深める。
後宮に残したいのに残せない。
覆水盆に返らず。
猫猫は念願叶って? 1年早く花街へ。
後宮も花街も変わらないと思っていたのに、何かが違う?
花街にも良い姐ちゃん達がいる。
何よりオヤジがいる。
猫猫が物足りないのは、主人か仲間か緊張か。
猫猫が欲しているのは、やり甲斐か刺激か未知なる世界か。
一方、周囲はあの手この手で舞台を設定。
だけど、最後に決断するのは当人たち。
雨降って地固まる?
得をしたのは、やり手婆か猫猫か。
人さらいで始まり、解雇で終わると見せかけ身請けで締める。
第一部完結、見事なり。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第12話「宦官と妓女」
解雇
風明の一件による処罰は、彼女の親族だけでなく、その関係者にまで及んだ。そこには猫猫が人さらいに売り飛ばされた商家も含まれていた。
やはり壬氏は権力者?
風明の処刑後、風明の親族は財産を奪われ、重さの違いはあるがすべて肉刑に処された。
犯行は風明の一存によるものとされ、主である阿多妃に沙汰がなかったのは幸いだった。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
実に興味深い言い方ですね~~
え!?何が??
壬氏の語り口から察するに ──
処罰を決めているのは壬氏ではなさそうです。
事件を調査し犯人を見つけ出すまでが壬氏の役目のようですが、処罰は別の部署が決めているようですね。
警察は、壬氏。
裁判所は、別。
という感じでしょうか。
ただ ──
── お望みであれば隠蔽しますが。
「お望みであれば」・・・そうだろうな。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
正しいかどうかは関係ない、俺が言えばその通りになる。
処罰の決定に口を出すことはできるのです。
前話、猫猫の妄想ですが、壬氏は現帝と阿多妃の子の可能性が出て来ました。(11話 )
壬氏は東宮。
それも、現帝の最初の男児。
つまり次期帝、第一継承権保持者。
この国でNo2とも言えるのです。
そりゃあ、何でもできるってものです。
帝のご意向に逆らわない限り(苦笑)。
というか、子供の取り替え説。
これだけ壬氏の権限を見せられると、ますます信憑性を帯びてきましたね!
やっぱりそうなの!?
壬氏様は次期帝!?
どうなんだろうね~
血筋は確かでも隠しているのは何かあるような…
バックに親族?
風明の単独犯で幕を閉じた、園遊会での里樹妃毒殺未遂事件。
風明の処刑後、風明の親族は財産を奪われ、重さの違いはあるがすべて肉刑に処された。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
犯行は風明の一存によるものと見做され、主人である阿多妃はお咎めはなし。
が、風明の親族は処罰。
風明の単独犯だから、阿多妃は処罰の対象外。
単独犯だから主は関係なし、と判断されたのなら ──
なぜ親族全員に処罰が及ぶのでしょうか?
それって、単独犯と思っていないのでは??
可能性は二つ考えられます。
- 処罰の対象は連座
- 親族も絡んでいた?
① 処罰の対象は連座
「連座」とは──
罪を犯した本人だけでなく、家族や親族も処罰の対象とする考え方。
罪を犯すとその人だけでなく、家族にまで罰を与えられる。
影響範囲を広めることでより抑止効果を高めます。
今回の毒混入は、幸いにして未遂でした。
毒を飲んだ毒味役に被害はなく、喜んでさえいます(笑)。
たとえ未遂でも、上級妃を狙った罪は重い。
原作では──
園遊会で混入された毒は、後に「遅効性」だと語られています。(8話 )
猫猫だから気付けたのであって、もし器が入れ替えられていなかったら、里樹妃が毒を飲んでいた可能性があるのです。
犯罪の成功率は十分高かったのです。
このことからも罪は重いですね。
上級妃の命を狙うと重い罰が下される、と連座は見せしめ効果もあるのでしょう。
原作でも ──
風明はそのまま処刑、一族郎党皆殺しは行われなかったものの、親族は皆、財産をすべて奪われ、重さの違いはあるもののすべて肉刑に処せられている。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
「一族郎党」とは ──
家族と血縁はもちろん家来も全て、広い意味では所属している組織全員。
セリフでは、その後「親族は皆」と続いているので、一族郎党は「親族」のことを指しているのでしょう。
「皆殺しは行われなかったものの」とは ──
皆殺しが行われてもおかしくはなかった、という意味にも取れます。
つまり、上級妃の命を狙うことは、それだけ重い罪なのです。
「肉刑」とは──
肉体の一部を切り取る刑罰。
切り取る部位は、指や耳や足・・・。
オヤジが片足の膝の骨を抜かれたのもの「肉刑」です。
親族は全員、財産を没収され、肉刑まで処せられる。
命を取られなかっただけマシ、と考えるべきか。
財産を取られ肉刑までされると、人生終わった気がしますが・・・。
里樹妃の命を狙った風明が罪を受けるのは当然だと思います。
が、何もしていない親族まで処罰対象にするのは理不尽な気がするのですが・・・。
いや・・・。
本当に親族は全く絡んでいないのでしょうか?
② 親族も絡んでいた?
風明は、本当に単独犯だったのでしょうか?
一人で考え、一人で準備し、一人で実行した?
赤子の死の原因を隠すために、里樹妃の阿多妃への面会を断っていたのは一人でも実行できるでしょう。
ですが、園遊会での暗殺事件。
これは、正直一人では難しいのではないでしょうか。
実は、コミックでは面白い解釈をしています。
あなたは毒を入手するため、外部の者と密かにやり取りをした。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック3巻
木簡を燃やした炎の色を暗号にして・・・。
園遊会で使った毒は、風明が外部から手に入れたと言うのです。
上級妃が毒殺されれば毒の入手経路が入念に調査されるでしょう。
木簡は入手経路を隠すための通信手段だったのです。
毒は信用のおける者から入手しないと、すぐにバレるか逆に強請られてしまいます。
信頼できるのはやはり家族や親族、少なくとも関係者。
その人は、風明が上級妃暗殺計画を企てていたことを事前に知っていた可能性があります。
だとしたら、その誰かは計画を止めることもできたはず。
上級妃暗殺がバレれば親族および関係者まで罪が及ぶことを(常識として)知っていたはずです。
それでも止めなかったのは、十分罪に値するのではないでしょうか。
上記コミック情報にあるような外部からの毒入手があったのか。
原作では触れられていないので(アニメ世界では)正解かどうかは分かりません。
アニメはコミックと違う解釈をしている可能もあるという意味です
ただ、明らかなのは ──
燃やさなければ違いが分からない木簡は存在し、それは何らかの連絡を行っていた証拠。
文や文字ではやりとりができない、やましいことを考えていたのは事実なのです。
風明が毒の入手経路を明かしていないのは、親しい人を庇っている?
ならば、疑わしきは罰す?
いや、罰するのはやり過ぎだとして、遠ざければ良いのです。
結果、風明と接点のあった人を全て後宮から排除。
家族親族はもちろん関係者を排除するのは、後宮を守る身としては当然の判断とも言えるのです。
主は問題なし?
ただ、そう考えていくと ──
主の阿多妃がお咎めなしなのは、少し引っかかりますね(苦笑)。
関係者まで解雇するほど疑うなら、阿多妃を疑うのが先です。
上級妃は、やはり特別なのでしょうか。
それとも、阿多妃は信頼されているのか、あるいは里樹妃を暗殺するなどあり得ないと考えているのか・・・。
阿多妃は、帝の愛着があるので手心が入った。
あるいは、壬氏が次期皇帝候補なら、皇帝になった時に阿多妃が皇后になるので特別扱いか。
ああ、そう考えていくと──
そもそも、阿多妃が里樹妃を暗殺してまで上級妃の座に拘る必要がないですね(笑)。
阿多妃は既に上級妃としての最も重要な役目(世継ぎを産む事)を果たしているのです。
だから、前話ラスト。
堂々と後宮を後にしたのではないでしょうか。
故に、阿多妃は里樹妃暗殺未遂に絡んでない、と断言できるのです。
まあ、上級妃を降ろされる事が、解雇と変わりありませんが(爆)。
80人の解雇
名簿には商いの取引先も含まれています。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
養蜂以外にも手広くやっていたようで、後宮内に関係者の子女が80人ほどいます。
今回の毒混入未遂事件に関わったかいないかに関わらず、関係者は全員処分。
風明の実家は商いをやっていたので、関係者はその取引先も含まれます。
親族や同じ会社内でなくても、取引のあった者まで関係者としたのです。
つまり、風明の実家と接点があった者は、全員処分の対象にしたのです。
なかなかに厳しい。
だとすると、この世界では取引先も考えないといけないのです・・・。
2,000人中80人か・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
なかなかの的中率だな。
後宮にいる女官は2,000人。
内80人が関係者だったのです。
風明は、後宮内で商売をしていたわけではありません。
後宮にいるのは、その家の娘。
にもかかわらず80人も該当者がいたのは、実家が相当手広く商売をしていた結果ですね。
でも、なぜ猫猫まで関係者となってしまったのでしょうか?
猫猫の実家(オヤジ)は薬屋です。
薬屋を営むにあたり、風明の実家と取り引きがあったのでしょうか?
違いますね。
薬屋がさらわれて売り飛ばされた先は、件の関係者だったらしい。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
前に確認したとき、私の書類上の実家は交易を行っている商家になっていた。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
風明の実家が養蜂農家なら、何らかの接点があるかもしれない。
猫猫の実家は商家!?
さらったのは商家だった!?
いや、違いますね。
商家がさらったのではなく・・・。
猫猫をさらい、売り飛ばした先が商家。
その買い取った商家が、猫猫を後宮へ入れたのです。
ずっと引っかかっていた疑問が解消しました。
以前 ──
稼いだ給金の2割が猫猫をさらった奴の懐に入っていると原作に書かれている、と紹介しました。(2話 )
今まで金字塔の底辺にいた猫猫の官位は真ん中くらいまで上がっている。説明によると、給金も跳ね上がっているらしいが、その二割は実家こと、猫猫を売りとばした商家に入る。ややこしい仕組みだ。どうせ欲の皮の突っ張った官が、利潤を得るために作ったものだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
拉致した犯人が分かっているなら、なぜ捕らえないのか。
それが疑問でした。
なるほど。
商家は、拉致をしているのではなく、いわゆる仲介業者。
拉致された子だとは知らずに買い取った、ととぼけられたら罪に問えないのです。
だとしても、猫猫の訴えに応じて書類を正しく訂正していれば、関係者として処罰を受けることもなかったでしょう。
が、そんなに簡単にいかないのでしょうね。
とは言え、今回の処罰が下された後でも ──
猫猫の実家は商家ではなく、薬屋だ。
猫猫は、今回の事件解決の功労者だ。
猫猫は、数々の功績を残しているので恩赦を。
などなど救う手立てはいくらでもあったかと思います・・・。
が、それら引っくるめて特別扱いになってしまうので、壬氏にとっては「隠蔽」と同義。
隠蔽すれば、このまま後宮に留めておける。
だが、もしそれが彼女の意に反しているのであれば、好きでもない場所に引き止められたと気付いた時、どのように受け取られよう。二人の間の亀裂が、これ以上開くのがとても恐ろしい。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
そのことを知ったら、猫猫が自分の事をどう思うかを考えると、できなかったのでしょうね・・・。
借金まみれ
今、解雇だとかなり困るんだが・・・。
時期が悪い。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
李白のあと、まだやり手婆のところに上客を送り込めていない。
猫猫はこれまで平然としていましたが、実は借金まみれです(苦笑)。
とはいえ前払いで足りなかった銀を補うのは私だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
── 帰ってくるときは、連絡しな。
おかげで次の身売り先が決定である。
里帰りの際、李白に三姫の一人・白鈴を三日三晩相手させた代金は猫猫持ち。
働いて返せない分は、上客を紹介することで許してもらう口約束でした。
今、花街に戻されると ──
後宮勤めで当てにしていた上客も紹介できなくなり、緑青館へ身売り決定となってしまうのです。
壬氏を探す猫猫
猫猫は嫌な予感がして、壬氏を探します。
『薬屋のひとりごと』が始まって12話。
猫猫が壬氏を探すのは初めてですね。
あっ、確かに!
宮官長の部屋、やぶ医者(医官)。
阿多妃以外の上級妃の宮を探し回る。
その頃、壬氏は阿多妃なき後の柘榴宮へ行っていたのです。
駆け回るシーンは、原作では1行のみ。
(コミックでも一コマのみ)
猫猫は小蘭と別れると、普段会おうとは思わないその人物を探すことにした。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
この1行を、アニメは1分半ものシーンに仕立て上げたのです。
いつも冷静な猫猫がこれほど焦るシーンも珍しく、どれだけ切羽詰まった状況なのか絵で見せる。
丁寧に映像化するだけでなく、完全に原作の内容を補強しているのです。
上手い!
ただの女官
名簿だ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
── つまり解雇というわけですね。
どうしたい?
変態蜂蜜野郎はどこへやら。
今日の壬氏様は、キラキラも甘い笑顔もなし。
見せてもらった名簿には、猫猫の名が。
壬氏は隠蔽工作も何もしなかったのです。
まだ迷っていたのでしょう。
だから、最後に猫猫本人の意思を確認したのです。
ところが ──
私はただの女官です。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
言われるままに下働きでも、まかないでも、毒味役でも、命じられればやります。
猫猫が「ただの女官」だから「命じられれば(何でも)やります」と答えたものだから──壬氏はかえって曲がった事ができなくなったのではないでしょうか・・・。
壬氏は、薬の知識を持つ猫猫を「都合の良い駒」になると探し出し、玉葉妃の侍女にしました。(2話 )
今話序盤、高順からも確認されます ──
壬氏様。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
都合の良い駒ではなかったのですか?
この言葉で、かえって猫猫を「都合の良い駒」として扱えなくなったのではないでしょうか・・・。
高順は、残したいのであれば相手の都合など気にせず決めてしまえば良い、という意味で言ったのだと思いますが・・・。
道具として扱いたくなくて、引き止めるのをやめたのだから。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
猫猫を道具として扱いたくなかったから解雇した!?
つまり、自分の欲求よりも猫猫の気持ちを優先したのです。
この時、壬氏は ──
猫猫は花街に戻りたがっていると考えていたのです。
そりゃそうです。
文字が読めれば給金が上がるのに ──
2年の勤めを穏便に終えたいので、目立たぬよう能力を隠し。
後宮の女官は如何に自分をキレイに見せるか競い合っている中 ──
ワザと醜く見えるソバカス化粧をしていました。
出世も目立ちもしたくない。
その上、つい先日、カンザシを手に入れると真っ先に花街へ里帰り。
確かに猫猫は花街へ帰りたがっているように見えますね(笑)。
でも猫猫は、玉葉妃の侍女になってから花街へ帰りたいとも、侍女を辞めたいなんてことは一言も言っていないんですよね~~。
花街へ里帰りしたのは、別れがあまりに唐突だったからでしょう。
それに、ちゃんと後宮へ戻ってきたのが証拠。
玉葉様の侍女になってから、毒味もできるし医局にも出入りできる。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
それなりに今の生活を気に入ってる。
猫猫は、後宮での生活を気に入っていたのです。
ただ、そのことを口にしないから、壬氏からは「命令に従っているだけ」と見えてしまう。
これが──
そうだよな、お前、そういう奴だよな。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
── 何ですか?
言葉が足りないって言われないか?
言葉が足りないと言われてしまう、猫猫の「そういうところ」なのです。
まあ、たとえ言葉にしていたとしても・・・。
猫猫の頭によぎったのは ── 後宮勤めが気に入った、翡翠宮の侍女が天職、玉葉妃に仕えるのが幸せという理由ではなく ──
多少給金が下がっても文句は言わない。
売り飛ばされるまでの時間が稼げれば何とかする。だから、クビにしないでくれ!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
今花街に戻されると身売りしなくてはならないから帰りたくない。
という不純な動機だったから罰が当たった気がしますが(苦笑)。
あ~~ね(苦笑)
交渉失敗 ──
猫猫 解雇
by ナレーション『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
金を弾んでもらえたのは、せめてもの心遣い。
壬氏は、後宮での猫猫の活躍を感謝しているのでしょう。
悲々こもごも
よいしょっと。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
解雇が決定し、翌週、後宮を後にする猫猫。
皆に何と言ってお別れしたのか。
皆はどんな風にして猫猫を見送ったのか・・・。
お別れのシーンはアニメだけでなく、原作やコミックでも描かれていません(残念!)。
唯一、アニメでカットされているのは ──
猫猫は解雇通告の翌週に出ていった。愛想はないが、礼儀正しく、世話になったところを一軒一軒回っていったらしい。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
愛想はないが、礼儀正しい挨拶!
実に猫猫らしい!(爆)
いや~~止め絵でいいので見たかった!!
だよね!
小蘭とか泣いてそう!
でも、描かれていない理由は、今話ラストまで見れば分かりますよね!
猫猫は壬氏に身売りされ、すぐ後宮に戻るのです!
あっそうか!
なら、いい・・・かな(笑)
って、あれ・・・。
次話のサブタイトルは「外廷勤務」。
えっ、外廷って・・・。
私の理解が間違っていなかったら、後宮は内廷です。
外廷とは後宮の外!?
恐らく、園遊会をやった所だと思う (5話 )
えっ・・・。
猫猫、後宮に戻れるんじゃないの!?
えっと・・・。
外廷勤務でも壬氏様とは会えるでしょう。
でも、後宮の皆には会えないですね・・・。
猫猫は後宮勤めを望んだような・・・。
いや、きっとワンステップ経るか、後宮にいながら外廷の仕事をするんですよ!!
そうだよ!きっとそうだよ!
でないと悲しすぎる!!
折角、四夫人の信頼を得たのに。(1人減ってしまいましたが(苦笑))
壬氏も落とし(笑)、医局の出入りも自由で、これから猫猫無双が始まると思っていたのに!
あっ・・・だから新しい舞台なのかも(苦笑)
え~~分かるけど、やだっ!
まだまだ上級妃の姿を見ていたいですよね。
そういえば、玉葉妃は猫猫の解雇を納得したのでしょうか?
玉葉妃が猫猫を採用したのは、元はと言えば侍女が4人しかいないから。(2話 )
猫猫が辞めて一番困るのは玉葉妃であり、翡翠宮の侍女達です。
毒味役はどうするの!?
あっ、ホントだ!
3人娘の誰かがやるということ!?
原作によると ──
玉葉妃は渋っていたが、壬氏が決めたことだと聞くととりあえず引き下がった。「後悔しても知らないわよ」とご丁寧に捨て台詞を残して。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
やはり、反対していたのです。
仕方なく、壬氏の決定に従ったのです。
この時の玉葉妃様、最高!
上級妃と言えども壬氏様の決定には・・・。
そりゃそうか、だって壬氏様の正体は・・・。
あれ?
玉葉妃は、正体を知らないのでは・・・。
なら、上級妃の方が上のような・・・いや実は玉葉妃は壬氏の正体を知っているのかな?
そもそも、壬氏の表向きの立場である後宮の管理者は、上級妃より上なのでしょうか?
この辺がまだよく分からないですね。
そして、当の壬氏は ──
いつまでそうしているつもりですか?
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
猫猫が出ていった翌週の時期と同時に描かれているので、少なくとも1週間はいじけていたのでしょう(苦笑)。
ただ、原作よると ──
いじけた主を見るのは、今日で何日連続だろうか、と高順は深い息をつく。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
仕事には今のところ支障はないが、自室に戻ると部屋の隅に座り込み、陰気な空気を醸し出すのは勘弁願いたい。
胞子でも飛ばさんばかりの勢いである。
仕事はキチンとこなしていたようです。
偉い!
のかな(苦笑)
猫猫の解雇に対して、悲喜こもごもの皆。
いや、誰も喜んでいませんね(笑)。
悲々こもごもの皆の姿でした。
皆が反対するのは分かっていたが、主の決定には従わなくてはなりません。
でも、このいじけよう(笑)。
高順は主人を立ち直らせる策を考えますが、猫猫の代わりなんて用意できません。
代わりがないなら仕方ない?
代わりがダメなら・・・あの武官に尋ねてみるか。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
猫猫本人に会わせないと、ポンコツ壬氏は元に戻らない(笑)。
漢・高順が一肌脱ぐしかないのです。
あれ?
宦官だから「漢」ではないか(爆)。
宦官と妓女
猫猫は後宮に残りたかったが、願いは叶わず風明の関係者として解雇されてしまう。花街に戻り、古巣の緑青館で働く猫猫。ある夜、白鈴・女華・梅梅の三姫の供として客の待つ屋敷を訪れると、そこには見覚えのある人物が・・・。
免れた身売り
── やっぱりソバカスはない方がいいわね。
── 口紅は私のを貸してあげる。
── まさか猫猫と一緒に宴に行く日が来るとはな。今宵の仕事は、妓楼の外で行われる貴人の宴。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
舞台は花街に切り替わり、猫猫が化粧を施されている場面に・・・。
早速、猫猫が客を取らされるのかと思いきや!?
後宮を出るとき思ったより金を弾んでもらえたから、とりあえず売り飛ばされずに済んでいる。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
売り飛ばされずに済んだようです(笑)。
良かった~~
理由は、後宮から金を弾んでもらえたから。
壬氏の最後の計らいが効いたのです。
壬氏はそんなつもりはなかったのでしょうが・・・。
結果的に、壬氏が猫猫を救ったのです。
あっ・・・確かに!?
この辺、猫猫はもう少し壬氏に感謝してもいいと思うんだけどね(苦笑)
あーねっ!
でも、猫猫のことだから気付いてない・・・とか?
とは言え、免れたのは一時的?
売り飛ばされずに済みましたが、借金を完全返済したのではなさそうです。
原作では ──
まあ、金は思ったよりはずんでもらえたので、身売りするほどでもなく、こうやって短期就労ですんでいるのでよかったが。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
身売りするほどの借金ではなく、アルバイトで返済できる程度の借金にはなったようです。
それに ──
やり手婆は、どうしても私を妓女にしたいらしい。
詩歌も吟ぜず二胡も弾けない。
舞踏なんてもってのほか。薬以外には興味もない薬屋の娘なのに、どうにもここ数年、その動きが顕著だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
やり手婆は、何としてでも猫猫を妓女にさせたい!?
皆さん、酷い婆さんだとお思いでしょう。
ただ原作によると ──
一生を花街に捧げたこの婆は、妓女が不幸な職とは思っちゃいない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
やり手婆は、妓女を不幸な仕事と思っていないのです。
だから、悪びれることもなく、猫猫に妓女を勧めているのだと思われます。
だとしても、その気が全くない猫猫にゴリ押しするのはどうかと思いますが(苦笑)。
この点、コミックでは、やり手婆が興味深いことを言いかけています。
重要な事のような気がするので引用は控えます。
気になる方は(月刊サンデーGX版)コミック3巻 をご覧下さい。
やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
再会
おや?つまらないのか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
皆、宴を楽しんでいるというのに、一人だけ空気が違う場所が・・・。
妓女になる気はないが、任された仕事は真面目にこなす猫猫(笑)。
誰も付いていないのなら、自分が行かねば!
そこにいたのは壬氏様!?
ちゃんと、三姫が宴会場に入ってきた時から壬氏様は描かれています。
舞台に向かって左奥の席。
既に壬氏は下を向いています(笑)。
あっ本当だ!
細かい!!
目の前にいるのが猫猫だと分かると、一瞬でウジウジモードから復活する壬氏(笑)。
分かりやすいな、おいっ!(笑)
すぐにいつも通りの二人のやりとりになるのが良き!
ホントそれ!
── もしかして、お前・・・。
この御方は、どうにも人の貞操を疑う性格らしい。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
猫猫さん、壬氏様が心配するのは貴方だからですよ(笑)。
という、観察眼は鋭いのに、自分に向けられた好意には超鈍い名探偵あるあるは置いといて(笑)。
壬氏は、猫猫の貞操は気になってしまうのです。
「この御方は、どうにも~」と以前もあった風に言っているのは、園遊会の時の事ですね。
連れ込まれたのか?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話
それに対して猫猫は ──
別に個人で客を取ったりしてませんよ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
まだ・・・。
「まだ・・・」なんて言うものだから、壬氏をあんな焦った顔にしてしまう(笑)。
でも、なぜ「まだ」なんて言ったのでしょうか。
猫猫は、妓女になる気はないと言っていたのに・・・。
もしかして、いずれは妓女にならなくては、と覚悟を決めているのでしょうか??
なぜ「まだ」などと言ったのか。
その答えは原作にありました ──
「まだ・・・」
「・・・」言い返せない。残りの借金を返済する前に、婆が無理やり客を連れてくる可能性はなきにしもあらず。おやじと小姐たちの抑制で、今のところは事なきを得ているが。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
なんと、今のところ売り飛ばされずに済んではいますが、借金を返済する前に、ムリヤリ客を取らせる可能性があると言うのです。
「残りの返済する前に」とは──
借金を返済してしまったら、猫猫に客を取らせる理由がありません。
その前に、客を取らせようとするかもしれないと言うのです。
なぜか?
やり手婆が、猫猫を妓女にしたいからですね。
どうせ、一回客を取らせれば踏ん切りが付いて義序になるだろうとでも思っているのでしょう(苦笑)。
今はオヤジと姐ちゃんたちが抑えていてくれていたのです。
それで、「まだ」と正直に言ってしまったのです(苦笑)。
壬氏の「まだ・・・!?」という問いかけに、上記の状況なので言い返せません。
だから、猫猫は顔を逸らしてしまったのです。
手癖が少し悪く、女官相手に啖呵を切ったりしますが、ちゃんとした相手には筋は通す生真面目なところがある猫猫。
客を取る気はサラサラありませんが、借金を帰すためだと無理矢理迫られたら確かに割り切ってしまいそうです(苦笑)。
そんな思考の持ち主だから、壬氏の質問に正直に答えたのかもしれないですね。
でも、その答えが壬氏にある考えを呼び起こします ──
つかえが取れたか、これが素か
なら、俺が買ってやろうか?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
── はあ?冗談で・・・
猫猫が「冗談で・・・」と言いかけたのは、壬氏が宦官だからでしょうか(笑)。
宦官は妓女を買っても何もできない!?
まあ、もはやここまで来ると、そもそも壬氏が宦官なのか怪しいですが(苦笑)。
いいかもしれませんね。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
もう一度、後宮に勤めるのも悪くないです。
意図的か、無意識か ──
壬氏は妓女を買う(=体を買う)意味で言ったのに、後宮に入ることだと置き換える猫猫。
壬氏の頭を想像するに──
そういう意味で言ったのではないのだが・・・。
いや、そもそも後宮を出ていきたかったのでは??
と言った感じでしょうか(笑)。
呆れると同時に安心する壬氏。
やっと、いつもの壬氏に戻ったのです。
おっと、違いますね。
いつもと違う、いつも以上に子供っぽい姿を見せたのです。
こいつ・・・うつるじゃないか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
さて、何が移るのでしょうか?
猫猫は、なぜいつものゾゾゾゾゾッとしないのでしょうか(笑)。
あっ!そう言えば!
これで判明しましたね。
猫猫は、壬氏を嫌っていたのでも、生理的に嫌悪していたのでもありません。
壬氏の作ったような笑顔や素振りが気持ち悪かったのです。
観察眼の鋭い猫猫。
壬氏が顔や表情を作っていると見抜いて、それを嫌悪して毛虫を見るような目になってしまったのではないでしょうか。
では、なぜ今回は大丈夫なのでしょうか?
それは、壬氏が素で本物の笑顔を見せたからですね。
二本の指を離すと、ほんのり紅が形よい唇に移っている。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
壬氏は目を細め、さらにあどけない笑みを浮かべる。頬にも紅が移ったかのように、かすかに桜色をしていた。
猫猫はふるふると肩を揺らしたが、壬氏があまりに幼い笑顔を向けるのでなにも言えず、うつむいて目をそらした。
では、一体何が移ったのでしょうか。
これも原作を引用するのが一番ですね(苦笑)。
壬氏は目を細め、さらにあどけない笑みを浮かべる。頬にも紅が移ったかのように、かすかに桜色をしていた。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
猫猫はふるふると肩を揺らしたが、壬氏があまりに幼い笑顔を向けるのでなにも言えず、うつむいて目をそらした。
(うつるじゃないか)
口をぎざぎざに結んだ猫猫の頬は桜色になっている。頬紅はつけていないはずなのに。
移ったのは、口紅を移したかのような桜色のことですね。
壬氏の指先を許したばかりに ──
猫猫の唇 ── 壬氏の指 ── 唇 ── 頬 ── 猫猫の頬
へと、紅が移っていくかのように桜色に染まっていったのです。
確かに、猫猫はこのとき頬を赤く染めているのです。
いつもクールで色恋沙汰には興味がないと思っていた猫猫が、異性に対して頬を赤らめたのです。
キャ~~これはもしかして猫猫もついに!?
猫猫を小さい頃から見ていた小姐たちもさぞ驚いたことでしょう。
だから ──
梅梅:あら、いつの間に。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
白鈴:ウフフッ、猫猫ったら。
女華:見てられないな。
祝福したのでしょう。
壬氏を緑青館に連れてくると ──
宦官でも客になるのか?
あれはダメだ・・・妓女が本気になり店が潰れる。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話
妓女が惚れてしまって仕事にならなくなってしまうと考えていました。
が、そんなことはなく。
壬氏と猫猫の関係に興味津々な姐ちゃん達。
女華:あれ、誰なんだ?
梅梅:どういう関係?
白鈴:もうっ、やるじゃないの。猫猫:ただ、とにかく姐ちゃん達の追求がしつこかったのはよく覚えている。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
このシーンなんて、非水球の侍女達と変わらないですね!
同じこと思った!
皆いいお姉さん!
偶然か仕込みか
ちょっ姐ちゃん。
高順様!?
え?え!?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
もう何が何やら困ったもので。
演目の幕間だったのか、壬氏と猫猫のやりとりが注目を浴びたのか。
皆が手を止め足を止め、二人の言葉に耳すませ初々しい妹の反応を鑑賞する。
奥には一仕事終えたかのように、何度も頷く高順まで(笑)。
さて、この宴は何だったのでしょうか。
壬氏との再会は偶然だったのでしょうか?
とここまで書くと、何を言いたいのか分かりますよね(笑)。
高順が、壬氏様の為に舞台を設定したのでしょう。
猫猫だけでなく、壬氏様にも内緒で。
Aパートラスト ──
代わりがダメなら・・・あの武官に尋ねてみるか。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
あの武官とは李白のことでしょう。
李白に聞けば、猫猫の本当の実家であり緑青館との関係も分かります。
そこで、二人が自然に会えるよう宴を設けたのです。
もしかすると李白から猫猫の借金云々を聞いたかもしれません。
猫猫は李白に上客の紹介を頼んでいた可能性もありそうです。
それなら李白経由で宴を頼めば良い。
李白の紹介なら猫猫も付いてくると読めます。
コミックでは ──
当たり前だ、お前の連れてきた武官の紹介なのに、お前が行かなくてどうすんだい?
by やり手婆『薬屋のひとりごと』コミック3巻
やり手婆は、猫猫にも行くよう指示しています。
もしかすると、本人には内緒で猫猫を付けるよう指定したのかもしれないですね。
李白がいないのは・・・
と解釈していくと ── 大きな違和感も自ずと解が見えてきます。
李白様の紹介の宮廷高官だと聞いたが、思ったより年若いな。
こんな金持ちがいるなら、もっと早く紹介してくれればいいのに。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
「こんな金持ちがいる」のに、もっと早く紹介できなかったのは ──
李白の知り合いでも何でもなく、高順が仕掛けたから。
それよりももっと引っかかっていたのは ──
「李白の紹介」なのに、なぜ李白本人は参加していないのか?
前項で考察したように、宴は壬氏様の為にセッティングしたなら ──
この場に於いて、李白の存在は邪魔でしかありません。
李白がいれば、猫猫は必ず参加するでしょう。
でも、李白が宴の席にいたら、猫猫は李白と楽しげに話すでしょう。
なにせ、上客を連れてきてくれたのですから(笑)。
ちょっとでも(お礼という意味で)笑顔でも振りまいておこうと考えるのが猫様です(爆)。
でも、楽しげに話す猫猫と李白の姿を壬氏様が目撃したら・・・。
里帰り時の衝撃再来です!
ただでさえ体に菌類が発生するほどくさっているのに、弱り目にたたり目、泣きっ面に蜂(笑)。
壬氏様が自分は蚊帳の外だと誤解を招きかねないのです。
確かにラブコメあるある展開…
高順は、そんな憂いを取り除くため李白を参加させなかったのではないでしょうか。
さすが高順!
まあ、単に李白は金がなかった、あるいはお偉いさんの宴には興味ないかもしれませんが(苦笑)
なんにせよ、互いの(特に壬氏の)誤解が解けて良かった!
壬氏様がウジウジしていたのは、解決策が思いつかなかったから。
猫猫は、後宮勤めを嫌がっている。
花街に戻りたがっている。
本当は猫猫を後宮に残したかったが ──
彼女の気持ちを尊重して、解雇したのです。
猫猫のために、自分が諦め我慢するしかないと考えていたのです。
その誤解が解け、猫猫が後宮に勤めたいのであれば、やることは一つ!
白馬の王子
数日後、都の花街に美しい貴人が現れる。
やり手婆も目がくらむ金子と、それとなぜか・・・虫から生えた奇妙な草を持ったその男は ──一人の娘を所望した。
by ナレーション『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
怪しき妓楼で意地悪婆にこき使われている可哀想な少女を助けに来るのは、白馬の王子と決まってる!?
手には大金とガラスの靴を持って・・・。
え?
ガラスの靴でも指輪でもなくて、装飾品ですらない!?
奇妙な草は、「冬虫夏草」。
「冬虫夏草」は虫でも草でもなく、キノコの一種。
実際に漢方や薬に使われていたようで、確かに貴重でしょう。
ミニアニメでも紹介されています
さすが、壬氏様(いや、高順か!?)。
猫猫の好みを分かってらっしゃる!(笑)。
でも、猫猫自身、何が起きたか分かっているのでしょうか(笑)。
大金に目がくらんだやり手婆。
冬虫夏草に心奪われる猫猫。
売り飛ばされずにアルバイトで済んでいるなら、身請けの必要はないと思うが(苦笑)。
「身売り」が合法なこの世界なら、確実に娘を手に入れるには身請けが一番?
現代で言うと、他チームへの移籍か。
それとも単なる物扱いか・・・。
風明の関係者だから解雇されたのに、戻ることができるのか?
そんなに簡単に戻れるなら、玉葉妃に再雇用された方が良かったのでは?
雨降って地固まる。
全ては丸く収まったのか?
ちょっと疑問は残りつつ、全24話前半クールは終わりを告げるのでした。
さて、猫猫は公式に壬氏様の○○となるのでしょうか?
気に入っていたあの場所へ戻れるのでしょうか?
後半クールも楽しみです!
おわりに (『薬屋のひとりごと』12話とは)
全24話、前半クール終了。
と同時に、原作1巻がようやく終わりました。
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第1話 | 猫猫 | 1巻 | 1巻 |
第2話 | 無愛想な薬師 | ||
第3話 | 幽霊騒動 | ||
第4話 | 恫喝 | ||
第5話 | 暗躍 | 2巻 | |
第6話 | 園遊会 | ||
第7話 | 里帰り | ||
第8話 | 麦稈 | ||
第9話 | 自殺か他殺か | ||
第10話 | 蜂蜜 | 3巻 | |
第11話 | 二つを一つに | ||
本レビュー | 宦官と妓女 |
※話数:リンクは各話レビューへ
アクションシーンがないので、原作の消化速度はある程度ゆっくりになるでしょう。
が、だとしても、かなり丁寧にアニメ化されています。
(原作ありアニメを全て見ているわけではありませんが)これほど丁寧にアニメ化された作品はこれまでなかったのではないでしょうか。
確かに原作は行間を読ませるような表現になっています。
シーン描写ではなく、ナレーションのような説明形式が多用されています。
大事な箇所はじっくりと。
それ以外の所は必要最低限に。
重要なシーンとシーンの間を、(コミックや)アニメは丁寧にすくい取り表現されています。
例えば、今話で言うと ──
原作では、壬氏を探すシーンは1行です。(詳細「壬氏を探す猫猫」)
やり手婆の入浴シーンはもちろん(笑)、猫猫の入浴シーンすらありません。
猫猫が夜中に寝付けず外に出るどころか、家で寝ているシーンすら原作にはありません。
このシーンは、完全アニメオリジナルです
セリフ単位で言うと、良い味を出していた三姫のセリフや猫猫とのやりとりは、ほぼ全てアニメオリジナルです。
コストパフォーマンスならぬ、タイムパフォーマンスが叫ばれる昨今。
アニメ作品も、展開は早いものが好まれる傾向があります。
そんな中、『薬屋のひとりごと』は、たっぷり尺を取って丁寧に映像化。
倍速どころか、0.75倍速ですね!
アニメ化お見事です!
現在原作は14巻まで刊行されています。
このペースだと、14クール分のストックがあるということ!?
良い作品は、じっくり味わいたい。
好きな作品は、長く浸っていたい。
いやあ~~~後半クールも実に楽しみです!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第12話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
13話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 12話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) December 28, 2023
住めば都か妓女への身売り避ける為か
残りたいのに残れない後悔先に立たず
残って欲しいが贔屓は返って溝深める
残したいのに残せない覆水盆に返らず
周囲があの手この手で舞台を設定
得をしたのは、やり手婆か猫猫か
人さらいで始まり身請けで終わる
第一部完結見事なり😆
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アニメ『薬屋のひとりごと』第13話のレビューはこちら!