アニメ【薬屋のひとりごと】12話感想&考察 残りたいのに残れない…猫猫解雇でホワイト職場からピンク産業へ転職!?

薬屋のひとりごと 第12話

【文字数(本文):約1万7千文字(目安28分)

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第12話「宦官と妓女」を鑑賞しました。

本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。

皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。

今話の原作

原作小説 1巻

コミック 3巻

今回アニメ化されたのは──

原作

1巻 31話「解雇」終話「宦官と妓女」

コミック

3巻 13話「解雇」中盤~終盤

今話でコミック3巻は終了。
そして、ついに原作の1巻の最後まで描かれました。

とても丁寧にアニメ化されて、大満足です!

今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)

今話で解決しなかった疑問

最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載

本レビューの方針

本レビューは、次話以降のネタバレなし

『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります

私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。

アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください

アニメ鑑賞

コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」

原作情報

本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。

  • 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
  • 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
ココア

緑系の色を目印にしてね!

コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。

  • 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと
  • 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜

両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多いを選択しました。

「コミック」として紹介する情報は基本です。
が、今後も両方読んでいくので、にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。

ココア

同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・

時文

その方が、理解が深まるんだよ

全24話 各話リスト

薬屋のひとりごと (前半クール)各話リスト
話数サブタイトルコミック原作
第1話猫猫1巻1巻
第2話無愛想な薬師
第3話幽霊騒動
第4話恫喝
第5話暗躍2巻
第6話園遊会
第7話里帰り
第8話麦稈
第9話自殺か他殺か
第10話蜂蜜3巻
第11話二つを一つに
第12話宦官と妓女

※話数:リンクは各話レビューへ

後半クール (13~24話)
薬屋のひとりごと (後半クール)各話リスト
話数サブタイトルコミック原作
第13話4巻2巻
第14話
第15話
5巻
第16話
第17話
第18話
第19話
6巻
第20話
第21話
第22話7巻
第23話
第24話
8巻

※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク

目次

はじめに

今話あらすじ

上級妃暗殺を企てた風明フォンミンに対する処罰の対象は、彼女の親族だけでなく関係者にまで及んだ。その中には猫猫マオマオの名も。

猫猫壬氏ジンシに直訴しようとするが・・・。

住めば都か妓女への身売りを避けるためか、でも下女が逆らうわけにはいかない
後宮に残りたいのに残れない
後悔先に立たず。

残ってほしいが、贔屓ひいきはかえって二人の溝を深める
後宮に残したいのに残せない
覆水盆に返らず。

猫猫は念願叶って? 1年早く花街へ。
後宮も花街も変わらないと思っていたのに、何かが違う?

花街にも良いねえちゃん達がいる。
何よりオヤジがいる。

猫猫が物足りないのは、主人か仲間か緊張か
猫猫が欲しているのは、やり甲斐か刺激か未知なる世界か

一方、周囲はあの手この手で舞台を設定。
だけど、最後に決断するのは当人たち

雨降って地固まる?
得をしたのは、やり手婆か猫猫か。

人さらいで始まり、解雇で終わると見せかけ身請けで締める
第一部完結、見事なり。

では、今話を振り返っていきましょう!

感想&考察レビュー 第12話「宦官と妓女」

解雇

あらすじ

風明フォンミンの一件による処罰は、彼女の親族だけでなく、その関係者にまで及んだ。そこには猫猫マオマオが人さらいに売り飛ばされた商家も含まれていた。

やはり壬氏は権力者?

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

風明フォンミンの処刑後、風明フォンミンの親族は財産を奪われ、重さの違いはあるがすべて肉刑に処された。

犯行は風明フォンミンの一存によるものとされ、主である阿多アードゥオ妃に沙汰がなかったのは幸いだった。

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

実に興味深い言い方ですね~~

ココア

え!?何が??

考察

壬氏ジンシの語り口から察するに ──
処罰を決めているのは壬氏ではなさそうです

事件を調査し犯人を見つけ出すまでが壬氏の役目のようですが、処罰は別の部署が決めているようですね。

警察は、壬氏。
裁判所は、別。

という感じでしょうか。

ただ ──

── お望みであれば隠蔽しますが

「お望みであれば」・・・そうだろうな。
正しいかどうかは関係ない、俺が言えばその通りになる

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

処罰の決定に口を出すことはできるのです

前話、猫猫の妄想ですが、壬氏は現帝と阿多アードゥオ妃の子の可能性が出て来ました。(11話 )

壬氏は東宮。
それも、現帝の最初の男児。

つまり次期帝、第一継承権保持者
この国でNo2とも言えるのです。

そりゃあ、何でもできるってものです。
帝のご意向に逆らわない限り(苦笑)。

というか、子供の取り替え説。
これだけ壬氏の権限を見せられると、ますます信憑性を帯びてきましたね!

ココア

やっぱりそうなの!?
壬氏様は次期帝!?

時文

どうなんだろうね~
血筋は確かでも隠しているのは何かあるような…

バックに親族?

薬屋のひとりごと 第6話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「special-Keywords」より引用

風明フォンミンの単独犯で幕を閉じた、園遊会での里樹リーシュ妃毒殺未遂事件。

風明フォンミンの処刑後、風明フォンミンの親族は財産を奪われ、重さの違いはあるがすべて肉刑に処された

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

犯行は風明フォンミンの一存によるものと見做され、主人である阿多アードゥオ妃はお咎めはなし。
が、風明フォンミンの親族は処罰。

風明フォンミンの単独犯だから、阿多アードゥオ妃は処罰の対象外

単独犯だからあるじは関係なし、と判断されたのなら ──
なぜ親族全員に処罰が及ぶのでしょうか?

それって、単独犯と思っていないのでは??

可能性は二つ考えられます。

  1. 処罰の対象は連座
  2. 親族も絡んでいた?
① 処罰の対象は連座

「連座」とは──
罪を犯した本人だけでなく、家族や親族も処罰の対象とする考え方

罪を犯すとその人だけでなく、家族にまで罰を与えられる。
影響範囲を広めることでより抑止効果を高めます。

今回の毒混入は、幸いにして未遂でした。
毒を飲んだ毒味役に被害はなく、喜んでさえいます(笑)。

薬屋のひとりごと 第6話
TVアニメ『薬屋のひとりごと』ティザーPVより引用

たとえ未遂でも、上級妃を狙った罪は重い

原作情報

原作では──
園遊会で混入された毒は、後に「遅効性」だと語られています。(8話 )

猫猫だから気付けたのであって、もし器が入れ替えられていなかったら、里樹リーシュ妃が毒を飲んでいた可能性があるのです

犯罪の成功率は十分高かったのです。

このことからも罪は重いですね。

上級妃の命を狙うと重い罰が下される、と連座は見せしめ効果もあるのでしょう

原作でも ──

 風明はそのまま処刑、一族郎党皆殺しは行われなかったものの、親族は皆、財産をすべて奪われ、重さの違いはあるもののすべて肉刑に処せられている。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

一族郎党」とは ──
家族と血縁はもちろん家来も全て、広い意味では所属している組織全員。
セリフでは、その後「親族は皆」と続いているので、一族郎党は「親族」のことを指しているのでしょう。

皆殺しは行われなかったものの」とは ──
皆殺しが行われてもおかしくはなかった、という意味にも取れます

つまり、上級妃の命を狙うことは、それだけ重い罪なのです。

肉刑」とは──
肉体の一部を切り取る刑罰
切り取る部位は、指や耳や足・・・。

補足

オヤジが片足の膝の骨を抜かれたのもの「肉刑」です。

親族は全員、財産を没収され、肉刑まで処せられる

命を取られなかっただけマシ、と考えるべきか。
財産を取られ肉刑までされると、人生終わった気がしますが・・・。

里樹リーシュ妃の命を狙った風明フォンミンが罪を受けるのは当然だと思います。
が、何もしていない親族まで処罰対象にするのは理不尽な気がするのですが・・・

いや・・・。
本当に親族は全く絡んでいないのでしょうか?

② 親族も絡んでいた?
薬屋のひとりごと 第11話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「SpeciaL-Interview」より引用

風明フォンミンは、本当に単独犯だったのでしょうか?

一人で考え、一人で準備し、一人で実行した?

赤子の死の原因を隠すために、里樹リーシュ妃の阿多アードゥオ妃への面会を断っていたのは一人でも実行できるでしょう。

ですが、園遊会での暗殺事件。
これは、正直一人では難しいのではないでしょうか。

コミック情報

実は、コミックでは面白い解釈をしています。

(サンデーGX版)コミックの解釈は、ネーム段階で原作者・日向夏先生がOKを出しています。(ポスト )

あなたは毒を入手するため、外部の者と密かにやり取りをした
木簡もっかんを燃やした炎の色を暗号にして・・・

by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック3巻

園遊会で使った毒は、風明フォンミンが外部から手に入れたと言うのです

上級妃が毒殺されれば毒の入手経路が入念に調査されるでしょう。
木簡もっかんは入手経路を隠すための通信手段だったのです。

毒は信用のおける者から入手しないと、すぐにバレるか逆に強請ゆすられてしまいます

信頼できるのはやはり家族や親族、少なくとも関係者

その人は、風明フォンミンが上級妃暗殺計画を企てていたことを事前に知っていた可能性があります。

だとしたら、その誰かは計画を止めることもできたはず。

上級妃暗殺がバレれば親族および関係者まで罪が及ぶことを(常識として)知っていたはずです。

それでも止めなかったのは、十分罪に値するのではないでしょうか。

上記コミック情報にあるような外部からの毒入手があったのか。
原作では触れられていないので(アニメ世界では)正解かどうかは分かりません。

時文

アニメはコミックと違う解釈をしている可能もあるという意味です

ただ、明らかなのは ──
燃やさなければ違いが分からない木簡は存在し、それは何らかの連絡を行っていた証拠

文や文字ではやりとりができない、やましいことを考えていたのは事実なのです

風明フォンミンが毒の入手経路を明かしていないのは、親しい人を庇っている?

ならば、疑わしきは罰す?
いや、罰するのはやり過ぎだとして、遠ざければ良いのです。

結果、風明フォンミンと接点のあった人を全て後宮から排除
家族親族はもちろん関係者を排除するのは、後宮を守る身としては当然の判断とも言えるのです

主は問題なし?

ただ、そう考えていくと ──
あるじ阿多アードゥオ妃がお咎めなしなのは、少し引っかかりますね(苦笑)

関係者まで解雇するほど疑うなら、阿多アードゥオ妃を疑うのが先です。

上級妃は、やはり特別なのでしょうか。
それとも、阿多アードゥオ妃は信頼されているのか、あるいは里樹リーシュ妃を暗殺するなどあり得ないと考えているのか・・・。

考察

阿多アードゥオ妃は、帝の愛着があるので手心が入った。
あるいは、壬氏が次期皇帝候補なら、皇帝になった時に阿多アードゥオ妃が皇后になるので特別扱いか。

ああ、そう考えていくと──
そもそも、阿多アードゥオ妃が里樹リーシュ妃を暗殺してまで上級妃の座に拘る必要がないですね(笑)

阿多アードゥオ妃は既に上級妃としての最も重要な役目(世継ぎを産む事)を果たしているのです。

だから、前話ラスト。
堂々と後宮を後にしたのではないでしょうか

故に、阿多アードゥオ妃は里樹リーシュ妃暗殺未遂に絡んでない、と断言できるのです。

まあ、上級妃を降ろされる事が、解雇と変わりありませんが(爆)。

80人の解雇

名簿には商いの取引先も含まれています。
養蜂ようほう以外にも手広くやっていたようで、後宮内に関係者の子女が80人ほどいます。

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

今回の毒混入未遂事件に関わったかいないかに関わらず、関係者は全員処分。

風明フォンミンの実家は商いをやっていたので、関係者はその取引先も含まれます
親族や同じ会社内でなくても、取引のあった者まで関係者としたのです。

つまり、風明フォンミンの実家と接点があった者は、全員処分の対象にしたのです

なかなかに厳しい。
だとすると、この世界では取引先も考えないといけないのです・・・。

2,000人中80人か・・・。
なかなかの的中率だな。

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

後宮にいる女官は2,000人。
内80人が関係者だったのです。

風明フォンミンは、後宮内で商売をしていたわけではありません。
後宮にいるのは、その家の娘。

にもかかわらず80人も該当者がいたのは、実家が相当手広く商売をしていた結果ですね。

でも、なぜ猫猫マオマオまで関係者となってしまったのでしょうか?
猫猫の実家(オヤジ)は薬屋です。

薬屋を営むにあたり、風明フォンミンの実家と取り引きがあったのでしょうか?

違いますね。

薬屋のひとりごと 第1話
TVアニメ『薬屋のひとりごと』プロジェクトPVより引用

薬屋がさらわれて売り飛ばされた先は、くだんの関係者だったらしい。

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

前に確認したとき、私の書類上の実家は交易を行っている商家になっていた。
風明フォンミンの実家が養蜂農家なら、何らかの接点があるかもしれない。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫の実家は商家!?
さらったのは商家だった!?

いや、違いますね。

商家がさらったのではなく・・・。
猫猫をさらい、売り飛ばした先が商家
その買い取った商家が、猫猫を後宮へ入れたのです

考察

ずっと引っかかっていた疑問が解消しました。

以前 ──
稼いだ給金の2割が猫猫をさらった奴の懐に入っていると原作に書かれている、と紹介しました。(2話 )

今まで金字塔の底辺にいた猫猫の官位は真ん中くらいまで上がっている。説明によると、給金も跳ね上がっているらしいが、その二割は実家こと、猫猫を売りとばした商家に入る。ややこしい仕組みだ。どうせ欲の皮の突っ張った官が、利潤を得るために作ったものだろう。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

拉致した犯人が分かっているなら、なぜ捕らえないのか
それが疑問でした。

なるほど。
商家は、拉致をしているのではなく、いわゆる仲介業者

拉致された子だとは知らずに買い取った、ととぼけられたら罪に問えないのです

『薬屋のひとりごと』の世界は「身売り」は合法です。

だとしても、猫猫の訴えに応じて書類を正しく訂正していれば、関係者として処罰を受けることもなかったでしょう。

が、そんなに簡単にいかないのでしょうね。

とは言え、今回の処罰が下された後でも ──
猫猫の実家は商家ではなく、薬屋だ。
猫猫は、今回の事件解決の功労者だ。
猫猫は、数々の功績を残しているので恩赦を。

などなど救う手立てはいくらでもあったかと思います・・・。

が、それら引っくるめて特別扱いになってしまうので、壬氏にとっては「隠蔽」と同義

隠蔽すれば、このまま後宮に留めておける。
だが、もしそれが彼女の意に反しているのであれば、好きでもない場所に引き止められたと気付いた時、どのように受け取られよう

二人の間の亀裂が、これ以上開くのがとても恐ろしい。

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

そのことを知ったら、猫猫が自分の事をどう思うかを考えると、できなかったのでしょうね・・・。

借金まみれ

今、解雇だとかなり困るんだが・・・

時期が悪い。
李白のあと、まだやり手婆のところに上客を送り込めていない。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫マオマオはこれまで平然としていましたが、実は借金まみれです(苦笑)。

薬屋のひとりごと 第7話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #7」より引用

とはいえ前払いで足りなかった銀を補うのは私だ
── 帰ってくるときは、連絡しな。
おかげで次の身売り先が決定である

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話

里帰りの際、李白に三姫の一人・白鈴パイリンを三日三晩相手させた代金は猫猫持ち。
働いて返せない分は、上客を紹介することで許してもらう口約束でした。

今、花街に戻されると ──
後宮勤めで当てにしていた上客も紹介できなくなり、緑青館へ身売り決定となってしまうのです

壬氏を探す猫猫

猫猫マオマオは嫌な予感がして、壬氏ジンシを探します

『薬屋のひとりごと』が始まって12話。
猫猫が壬氏を探すのは初めてですね。

ココア

あっ、確かに!

駆け回るシーンは原作にはありません。アニメオリジナルシーンです。

宮官長の部屋、やぶ医者(医官)。
阿多アードゥオ妃以外の上級妃の宮を探し回る。

その頃、壬氏は阿多アードゥオ妃なき後の柘榴ザクロ宮へ行っていたのです。

原作情報

駆け回るシーンは、原作では1行のみ。
(コミックでも一コマのみ)

 猫猫は小蘭と別れると、普段会おうとは思わないその人物を探すことにした。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

この1行を、アニメは1分半ものシーンに仕立て上げたのです。
いつも冷静な猫猫がこれほど焦るシーンも珍しく、どれだけ切羽詰まった状況なのか絵で見せる。

丁寧に映像化するだけでなく、完全に原作の内容を補強しているのです。
上手い!

ただの女官

名簿だ。
── つまり解雇というわけですね。
どうしたい?

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

変態蜂蜜野郎はどこへやら。
今日の壬氏ジンシ様は、キラキラも甘い笑顔もなし。

見せてもらった名簿には、猫猫マオマオの名が
壬氏は隠蔽工作も何もしなかったのです。

まだ迷っていたのでしょう。
だから、最後に猫猫本人の意思を確認したのです。

ところが ──

私はただの女官です
言われるままに下働きでも、まかないでも、毒味役でも、命じられればやります

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫が「ただの女官」だから「命じられれば(何でも)やります」と答えたものだから──壬氏はかえって曲がった事ができなくなったのではないでしょうか・・・。

薬屋のひとりごと 第1話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #1」より引用

壬氏は、薬の知識を持つ猫猫を「都合の良い駒」になると探し出し、玉葉妃の侍女にしました。(2話 )

今話序盤、高順ガオシュンからも確認されます ──

壬氏様。
都合の良い駒ではなかったのですか?

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
考察

この言葉で、かえって猫猫を「都合の良い駒」として扱えなくなったのではないでしょうか・・・

高順は、残したいのであれば相手の都合など気にせず決めてしまえば良い、という意味で言ったのだと思いますが・・・。

道具として扱いたくなくて、引き止めるのをやめたのだから

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫を道具として扱いたくなかったから解雇した!?

つまり、自分の欲求よりも猫猫の気持ちを優先したのです

この時、壬氏は ──
猫猫は花街に戻りたがっていると考えていたのです

そりゃそうです。

文字が読めれば給金が上がるのに ──
2年の勤めを穏便に終えたいので、目立たぬよう能力を隠し。

後宮の女官は如何に自分をキレイに見せるか競い合っている中 ──
ワザと醜く見えるソバカス化粧をしていました。

出世も目立ちもしたくない。
その上、つい先日、カンザシを手に入れると真っ先に花街へ里帰り。

薬屋のひとりごと 第8話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #8」より引用

確かに猫猫は花街へ帰りたがっているように見えますね(笑)

でも猫猫は、玉葉妃の侍女になってから花街へ帰りたいとも、侍女を辞めたいなんてことは一言も言っていないんですよね~~

花街へ里帰りしたのは、別れがあまりに唐突だったからでしょう。
それに、ちゃんと後宮へ戻ってきたのが証拠。

玉葉様の侍女になってから、毒味もできるし医局にも出入りできる。
それなりに今の生活を気に入ってる

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫は、後宮での生活を気に入っていたのです。
ただ、そのことを口にしないから、壬氏からは「命令に従っているだけ」と見えてしまう

これが──

そうだよな、お前、そういう奴だよな。
── 何ですか?
言葉が足りないって言われないか?

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

言葉が足りないと言われてしまう、猫猫の「そういうところ」なのです

まあ、たとえ言葉にしていたとしても・・・。
猫猫の頭によぎったのは ── 後宮勤めが気に入った、翡翠宮の侍女が天職、玉葉ギョクヨウ妃に仕えるのが幸せという理由ではなく ──

多少給金が下がっても文句は言わない。
売り飛ばされるまでの時間が稼げれば何とかする

だから、クビにしないでくれ!

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

今花街に戻されると身売りしなくてはならないから帰りたくない
という不純な動機だったから罰が当たった気がしますが(苦笑)

ココア

あ~~ね(苦笑)

交渉失敗 ──

猫猫マオマオ 解雇

by ナレーション『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

金を弾んでもらえたのは、せめてもの心遣い。
壬氏は、後宮での猫猫の活躍を感謝しているのでしょう。

悲々こもごも

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

よいしょっと。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

解雇が決定し、翌週、後宮を後にする猫猫マオマオ

皆に何と言ってお別れしたのか。
皆はどんな風にして猫猫を見送ったのか・・・。

お別れのシーンはアニメだけでなく、原作やコミックでも描かれていません(残念!)

唯一、アニメでカットされているのは ──

 猫猫は解雇通告の翌週に出ていった。愛想はないが、礼儀正しく、世話になったところを一軒一軒回っていったらしい。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

愛想はないが、礼儀正しい挨拶!
実に猫猫らしい!(爆)

いや~~止め絵でいいので見たかった!!

ココア

だよね!
小蘭とか泣いてそう!

でも、描かれていない理由は、今話ラストまで見れば分かりますよね!
猫猫は壬氏に身売りされ、すぐ後宮に戻るのです!

ココア

あっそうか!
なら、いい・・・かな(笑)

って、あれ・・・。

『薬屋のひとりごと』第13話「外廷勤務」予告

次話のサブタイトルは「外廷勤務」。
えっ、外廷って・・・。

私の理解が間違っていなかったら、後宮は内廷です
外廷とは後宮の外!?

時文

恐らく、園遊会をやった所だと思う (5話 )

ココア

えっ・・・。
猫猫、後宮に戻れるんじゃないの!?

えっと・・・。
外廷勤務でも壬氏様とは会えるでしょう。
でも、後宮の皆には会えないですね・・・。

猫猫は後宮勤めを望んだような・・・。

いや、きっとワンステップ経るか、後宮にいながら外廷の仕事をするんですよ!!

ココア

そうだよ!きっとそうだよ!
でないと悲しすぎる!!

折角、四夫人の信頼を得たのに。(1人減ってしまいましたが(苦笑))
壬氏も落とし(笑)、医局の出入りも自由で、これから猫猫無双が始まると思っていたのに!

時文

あっ・・・だから新しい舞台なのかも(苦笑)

ココア

え~~分かるけど、やだっ!

まだまだ上級妃の姿を見ていたいですよね。

そういえば、玉葉妃は猫猫の解雇を納得したのでしょうか?

補足
薬屋のひとりごと 第2話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #2」より引用

玉葉妃が猫猫を採用したのは、元はと言えば侍女が4人しかいないから。(2話 )

猫猫が辞めて一番困るのは玉葉妃であり、翡翠宮の侍女達です。

時文

毒味役はどうするの!?

ココア

あっ、ホントだ!
3人娘の誰かがやるということ!?

原作によると ──

 玉葉妃は渋っていたが、壬氏が決めたことだと聞くととりあえず引き下がった「後悔しても知らないわよ」とご丁寧に捨て台詞を残して

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

やはり、反対していたのです。
仕方なく、壬氏の決定に従ったのです。

後悔しても知らないわよ」という捨てセリフの部分がアニメ化。このシーンいいです!

ココア

この時の玉葉妃様、最高!

上級妃と言えども壬氏様の決定には・・・。
そりゃそうか、だって壬氏様の正体は・・・。

あれ?
玉葉妃は、正体を知らないのでは・・・。
なら、上級妃の方が上のような・・・いや実は玉葉妃は壬氏の正体を知っているのかな?

そもそも、壬氏の表向きの立場である後宮の管理者は、上級妃より上なのでしょうか?
この辺がまだよく分からないですね。

そして、当の壬氏は ──

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

いつまでそうしているつもりですか?

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫が出ていった翌週の時期と同時に描かれているので、少なくとも1週間はいじけていたのでしょう(苦笑)。

ただ、原作よると ──

 いじけた主を見るのは、今日で何日連続だろうか、と高順は深い息をつく。
 仕事には今のところ支障はないが、自室に戻ると部屋の隅に座り込み、陰気な空気を醸し出すのは勘弁願いたい。
 胞子でも飛ばさんばかりの勢いである。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

仕事はキチンとこなしていたようです

ココア

偉い!
のかな(苦笑)

そして、「胞子でも飛ばさんばかりの勢い」が映像化されたのです(笑)

猫猫の解雇に対して、悲喜こもごもの皆。
いや、誰も喜んでいませんね(笑)。

悲々こもごもの皆の姿でした。

皆が反対するのは分かっていたが、主の決定には従わなくてはなりません。

でも、このいじけよう(笑)。

高順ガオシュンは主人を立ち直らせる策を考えますが、猫猫の代わりなんて用意できません。
代わりがないなら仕方ない?

代わりがダメなら・・・あの武官に尋ねてみるか

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫本人に会わせないと、ポンコツ壬氏は元に戻らない(笑)。
おとこ・高順が一肌脱ぐしかないのです。

あれ?
宦官だから「おとこ」ではないか(爆)。

宦官と妓女

あらすじ

猫猫マオマオは後宮に残りたかったが、願いは叶わず風明フォンミンの関係者として解雇されてしまう。花街に戻り、古巣の緑青館で働く猫猫。ある夜、白鈴・女華・梅梅の三姫の供として客の待つ屋敷を訪れると、そこには見覚えのある人物が・・・。

免れた身売り

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

── やっぱりソバカスはない方がいいわね。
── 口紅は私のを貸してあげる。
── まさか猫猫マオマオと一緒に宴に行く日が来るとはな。

今宵の仕事は、妓楼の外で行われる貴人の宴。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

舞台は花街に切り替わり、猫猫マオマオが化粧を施されている場面に・・・。

(原作情報) 涙の別れも感動の再会もなく当たり前のように場面が変わりました。これはアニメだけでなく、原作もコミックも同様です。というか、原作では話数が変わっています。原作1巻の最終章として描かれており、エピローグという感じですね(笑)。

早速、猫猫が客を取らされるのかと思いきや!?

後宮を出るとき思ったより金を弾んでもらえたから、とりあえず売り飛ばされずに済んでいる

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

売り飛ばされずに済んだようです(笑)。

ココア

良かった~~

理由は、後宮から金を弾んでもらえたから。
壬氏の最後の計らいが効いたのです。

壬氏はそんなつもりはなかったのでしょうが・・・。
結果的に、壬氏が猫猫を救ったのです

ココア

あっ・・・確かに!?

時文

この辺、猫猫はもう少し壬氏に感謝してもいいと思うんだけどね(苦笑)

ココア

あーねっ!
でも、猫猫のことだから気付いてない・・・とか?

とは言え、免れたのは一時的?
売り飛ばされずに済みましたが、借金を完全返済したのではなさそうです。

原作情報

原作では ──

 まあ、金は思ったよりはずんでもらえたので、身売りするほどでもなく、こうやって短期就労アルバイトですんでいるのでよかったが。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

身売りするほどの借金ではなく、アルバイトで返済できる程度の借金にはなったようです。

それに ──

やり手婆は、どうしても私を妓女にしたいらしい
詩歌も吟ぜず二胡も弾けない。
舞踏なんてもってのほか。

薬以外には興味もない薬屋の娘なのに、どうにもここ数年、その動きが顕著だ

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

やり手婆は、何としてでも猫猫を妓女にさせたい!?

皆さん、酷い婆さんだとお思いでしょう。
ただ原作によると ──

一生を花街に捧げたこの婆は、妓女が不幸な職とは思っちゃいない

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

この描写は里帰りした時のことです。(原作22話「里帰り」)

やり手婆は、妓女を不幸な仕事と思っていないのです
だから、悪びれることもなく、猫猫に妓女を勧めているのだと思われます。

だとしても、その気が全くない猫猫にゴリ押しするのはどうかと思いますが(苦笑)。

コミック情報

この点、コミックでは、やり手婆が興味深いことを言いかけています

重要な事のような気がするので引用は控えます。
気になる方は(月刊サンデーGX版)コミック3巻 をご覧下さい。

疑問 12-01

やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?

再会

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

おや?つまらないのか?

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

皆、宴を楽しんでいるというのに、一人だけ空気が違う場所が・・・。

妓女になる気はないが、任された仕事は真面目にこなす猫猫マオマオ(笑)
誰も付いていないのなら、自分が行かねば!

そこにいたのは壬氏様!?

余談

ちゃんと、三姫が宴会場に入ってきた時から壬氏様は描かれています。

舞台に向かって左奥の席。
既に壬氏は下を向いています(笑)。

ココア

あっ本当だ!
細かい!!

目の前にいるのが猫猫だと分かると、一瞬でウジウジモードから復活する壬氏(笑)。
分かりやすいな、おいっ!(笑)

時文

すぐにいつも通りの二人のやりとりになるのが良き!

ココア

ホントそれ!

── もしかして、お前・・・。

この御方は、どうにも人の貞操を疑う性格らしい

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

猫猫さん、壬氏様が心配するのは貴方だからですよ(笑)
という、観察眼は鋭いのに、自分に向けられた好意には超鈍い名探偵あるあるは置いといて(笑)。

壬氏は、猫猫の貞操は気になってしまうのです。

補足

この御方は、どうにも」と以前もあった風に言っているのは、園遊会の時の事ですね。

薬屋のひとりごと 第5話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #5」より引用

連れ込まれたのか?

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話

それに対して猫猫は ──

別に個人で客を取ったりしてませんよ。
まだ・・・

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

まだ・・・」なんて言うものだから、壬氏をあんな焦った顔にしてしまう(笑)。

でも、なぜ「まだ」なんて言ったのでしょうか
猫猫は、妓女になる気はないと言っていたのに・・・。

もしかして、いずれは妓女にならなくては、と覚悟を決めているのでしょうか??

原作情報

なぜ「まだ」などと言ったのか。

その答えは原作にありました ──

「まだ・・・」
「・・・」

 言い返せない。残りの借金を返済する前に、婆が無理やり客を連れてくる可能性はなきにしもあらず。おやじと小姐たちの抑制で、今のところは事なきを得ているが。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

なんと、今のところ売り飛ばされずに済んではいますが、借金を返済する前に、ムリヤリ客を取らせる可能性があると言うのです

残りの返済する前に」とは──
借金を返済してしまったら、猫猫に客を取らせる理由がありません。
その前に、客を取らせようとするかもしれないと言うのです。

なぜか?
やり手婆が、猫猫を妓女にしたいからですね。

どうせ、一回客を取らせれば踏ん切りが付いて義序になるだろうとでも思っているのでしょう(苦笑)。

今はオヤジと姐ちゃんたちが抑えていてくれていたのです
それで、「まだ」と正直に言ってしまったのです(苦笑)。

壬氏の「まだ・・・!?」という問いかけに、上記の状況なので言い返せません。
だから、猫猫は顔を逸らしてしまったのです

手癖が少し悪く、女官相手に啖呵を切ったりしますが、ちゃんとした相手には筋は通す生真面目なところがある猫猫

客を取る気はサラサラありませんが、借金を帰すためだと無理矢理迫られたら確かに割り切ってしまいそうです(苦笑)。

そんな思考の持ち主だから、壬氏の質問に正直に答えたのかもしれないですね

でも、その答えが壬氏にある考えを呼び起こします ──

つかえが取れたか、これが素か

なら、俺が買ってやろうか?
── はあ?冗談で・・・

by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話
補足

猫猫が「冗談で・・・」と言いかけたのは、壬氏が宦官だからでしょうか(笑)。
宦官は妓女を買っても何もできない!?

まあ、もはやここまで来ると、そもそも壬氏が宦官なのか怪しいですが(苦笑)。

いいかもしれませんね
もう一度、後宮に勤めるのも悪くないです。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

意図的か、無意識か ──
壬氏は妓女を買う(=体を買う)意味で言ったのに、後宮に入ることだと置き換える猫猫

考察

壬氏の頭を想像するに──
そういう意味で言ったのではないのだが・・・。
いや、そもそも後宮を出ていきたかったのでは??

と言った感じでしょうか(笑)。

呆れると同時に安心する壬氏。
やっと、いつもの壬氏に戻ったのです。

おっと、違いますね。
いつもと違う、いつも以上に子供っぽい姿を見せたのです

薬屋のひとりごと 第12話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #12」より引用

こいつ・・・うつるじゃないか。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

さて、何が移るのでしょうか?

猫猫は、なぜいつものゾゾゾゾゾッとしないのでしょうか(笑)。

ココア

あっ!そう言えば!

考察

これで判明しましたね。

猫猫は、壬氏を嫌っていたのでも、生理的に嫌悪していたのでもありません。
壬氏の作ったような笑顔や素振りが気持ち悪かったのです

観察眼の鋭い猫猫。
壬氏が顔や表情を作っていると見抜いて、それを嫌悪して毛虫を見るような目になってしまったのではないでしょうか。

では、なぜ今回は大丈夫なのでしょうか?

それは、壬氏が素で本物の笑顔を見せたからですね

 二本の指を離すと、ほんのり紅が形よい唇に移っている。
 壬氏は目を細め、さらにあどけない笑みを浮かべる。頬にも紅が移ったかのように、かすかに桜色をしていた。
 猫猫はふるふると肩を揺らしたが、壬氏があまりに幼い笑顔を向けるのでなにも言えず、うつむいて目をそらした

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

では、一体何が移ったのでしょうか。
これも原作を引用するのが一番ですね(苦笑)。

 壬氏は目を細め、さらにあどけない笑みを浮かべる。頬にも紅が移ったかのように、かすかに桜色をしていた
 猫猫はふるふると肩を揺らしたが、壬氏があまりに幼い笑顔を向けるのでなにも言えず、うつむいて目をそらした。
(うつるじゃないか)
 口をぎざぎざに結んだ猫猫の頬は桜色になっている頬紅はつけていないはずなのに

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

移ったのは、口紅を移したかのような桜色のことですね。

壬氏の指先を許したばかりに ──

猫猫の唇 ── 壬氏の指 ── 唇 ── 頬 ── 猫猫の頬

へと、紅が移っていくかのように桜色に染まっていったのです
確かに、猫猫はこのとき頬を赤く染めているのです。

いつもクールで色恋沙汰には興味がないと思っていた猫猫が、異性に対して頬を赤らめたのです。

ココア

キャ~~これはもしかして猫猫もついに!?

猫猫を小さい頃から見ていた小姐ねえちゃんたちもさぞ驚いたことでしょう。

だから ──

梅梅メイメイ:あら、いつの間に。
白鈴パイリン:ウフフッ、猫猫マオマオったら。
女華ジョカ:見てられないな。

by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

祝福したのでしょう。

余談

壬氏を緑青館に連れてくると ──

宦官でも客になるのか?

あれはダメだ・・・妓女が本気になり店が潰れる

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話

妓女が惚れてしまって仕事にならなくなってしまうと考えていました。

が、そんなことはなく。
壬氏と猫猫の関係に興味津々な姐ちゃん達。

女華ジョカ:あれ、誰なんだ?
梅梅メイメイ:どういう関係?
白鈴パイリン:もうっ、やるじゃないの。

猫猫:ただ、とにかく姐ちゃん達の追求がしつこかったのはよく覚えている

by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

このシーンなんて、非水球の侍女達と変わらないですね!

ココア

同じこと思った!
皆いいお姉さん!

偶然か仕込みか

ちょっ姐ちゃん。

高順ガオシュン様!?

え?え!?
もう何が何やら困ったもので。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

演目の幕間だったのか、壬氏ジンシ猫猫マオマオのやりとりが注目を浴びたのか。
皆が手を止め足を止め、二人の言葉に耳すませ初々しい妹の反応を鑑賞する。

奥には一仕事終えたかのように、何度も頷く高順ガオシュンまで(笑)。

さて、この宴は何だったのでしょうか。
壬氏との再会は偶然だったのでしょうか?

とここまで書くと、何を言いたいのか分かりますよね(笑)。

考察

高順ガオシュンが、壬氏様の為に舞台を設定したのでしょう
猫猫だけでなく、壬氏様にも内緒で

Aパートラスト ──

代わりがダメなら・・・あの武官に尋ねてみるか

by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

あの武官とは李白のことでしょう。
李白に聞けば、猫猫の本当の実家であり緑青館との関係も分かります

薬屋のひとりごと 第7話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #7」より引用

そこで、二人が自然に会えるよう宴を設けたのです

もしかすると李白から猫猫の借金云々を聞いたかもしれません。
猫猫は李白に上客の紹介を頼んでいた可能性もありそうです。

それなら李白経由で宴を頼めば良い。
李白の紹介なら猫猫も付いてくると読めます。

コミック情報

コミックでは ──

当たり前だ、お前の連れてきた武官の紹介なのに、お前が行かなくてどうすんだい?

by やり手婆『薬屋のひとりごと』コミック3巻

やり手婆は、猫猫にも行くよう指示しています。

もしかすると、本人には内緒で猫猫を付けるよう指定したのかもしれないですね。

李白がいないのは・・・

と解釈していくと ── 大きな違和感も自ずと解が見えてきます。

李白様の紹介の宮廷高官だと聞いたが、思ったより年若いな

こんな金持ちがいるなら、もっと早く紹介してくれればいいのに

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

こんな金持ちがいる」のに、もっと早く紹介できなかったのは ──
李白の知り合いでも何でもなく、高順ガオシュンが仕掛けたから。

それよりももっと引っかかっていたのは ──
李白の紹介」なのに、なぜ李白本人は参加していないのか?

考察

前項で考察したように、宴は壬氏様の為にセッティングしたなら ──
この場に於いて、李白の存在は邪魔でしかありません

李白がいれば、猫猫は必ず参加するでしょう。
でも、李白が宴の席にいたら、猫猫は李白と楽しげに話すでしょう

なにせ、上客を連れてきてくれたのですから(笑)。
ちょっとでも(お礼という意味で)笑顔でも振りまいておこうと考えるのが猫様です(爆)。

でも、楽しげに話す猫猫と李白の姿を壬氏様が目撃したら・・・

薬屋のひとりごと 第7話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #7」より引用

里帰り時の衝撃再来です!
ただでさえ体に菌類が発生するほどくさっているのに、弱り目にたたり目、泣きっ面に蜂(笑)。

壬氏様が自分は蚊帳の外だと誤解を招きかねないのです

ココア

確かにラブコメあるある展開…

高順は、そんな憂いを取り除くため李白を参加させなかったのではないでしょうか

ココア

さすが高順!

時文

まあ、単に李白は金がなかった、あるいはお偉いさんの宴には興味ないかもしれませんが(苦笑)

なんにせよ、互いの(特に壬氏の)誤解が解けて良かった!

壬氏様がウジウジしていたのは、解決策が思いつかなかったから

猫猫は、後宮勤めを嫌がっている。
花街に戻りたがっている。

本当は猫猫を後宮に残したかったが ──
彼女の気持ちを尊重して、解雇したのです。

猫猫のために、自分が諦め我慢するしかないと考えていたのです

その誤解が解け、猫猫が後宮に勤めたいのであれば、やることは一つ!

白馬の王子

数日後、都の花街に美しい貴人が現れる。
やり手婆も目がくらむ金子と、それとなぜか・・・虫から生えた奇妙な草を持ったその男は ──

一人の娘を所望した。

by ナレーション『薬屋のひとりごと』TVアニメ第12話

怪しき妓楼で意地悪婆にこき使われている可哀想な少女を助けに来るのは、白馬の王子と決まってる!?

手には大金とガラスの靴を持って・・・。

え?
ガラスの靴でも指輪でもなくて、装飾品ですらない!?

奇妙な草は、「冬虫夏草」

「冬虫夏草」は虫でも草でもなく、キノコの一種。
実際に漢方や薬に使われていたようで、確かに貴重でしょう。

ミニアニメでも紹介されています

『薬屋のひとりごと』ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第12話

さすが、壬氏ジンシ様(いや、高順ガオシュンか!?)。
猫猫の好みを分かってらっしゃる!(笑)。

でも、猫猫自身、何が起きたか分かっているのでしょうか(笑)。

大金に目がくらんだやり手婆。
冬虫夏草に心奪われる猫猫。

売り飛ばされずにアルバイトで済んでいるなら、身請けの必要はないと思うが(苦笑)。
「身売り」が合法なこの世界なら、確実に娘を手に入れるには身請けが一番?

現代で言うと、他チームへの移籍か。
それとも単なる物扱いか・・・。

風明フォンミンの関係者だから解雇されたのに、戻ることができるのか?
そんなに簡単に戻れるなら、玉葉ギョクヨウ妃に再雇用された方が良かったのでは?

雨降って地固まる。
全ては丸く収まったのか?

ちょっと疑問は残りつつ、全24話前半クールは終わりを告げるのでした。

さて、猫猫は公式に壬氏様の○○となるのでしょうか?
気に入っていたあの場所へ戻れるのでしょうか?

後半クールも楽しみです!

おわりに (『薬屋のひとりごと』12話とは)

原作小説 1巻

コミック 3巻

全24話、前半クール終了。
と同時に、原作1巻がようやく終わりました。

薬屋のひとりごと (前半クール)各話リスト
話数サブタイトルコミック原作
第1話猫猫1巻1巻
第2話無愛想な薬師
第3話幽霊騒動
第4話恫喝
第5話暗躍2巻
第6話園遊会
第7話里帰り
第8話麦稈
第9話自殺か他殺か
第10話蜂蜜3巻
第11話二つを一つに
本レビュー宦官と妓女

※話数:リンクは各話レビューへ

アクションシーンがないので、原作の消化速度はある程度ゆっくりになるでしょう。
が、だとしても、かなり丁寧にアニメ化されています。

(原作ありアニメを全て見ているわけではありませんが)これほど丁寧にアニメ化された作品はこれまでなかったのではないでしょうか。

確かに原作は行間を読ませるような表現になっています。
シーン描写ではなく、ナレーションのような説明形式が多用されています。

大事な箇所はじっくりと。
それ以外の所は必要最低限に。

重要なシーンとシーンの間を、(コミックや)アニメは丁寧にすくい取り表現されています。

補足

例えば、今話で言うと ──

原作では、壬氏を探すシーンは1行です。(詳細「壬氏を探す猫猫」)
やり手婆の入浴シーンはもちろん(笑)、猫猫の入浴シーンすらありません。
猫猫が夜中に寝付けず外に出るどころか、家で寝ているシーンすら原作にはありません。

このシーンは、完全アニメオリジナルです

『薬屋のひとりごと』第12話挿入歌「雪中花」

セリフ単位で言うと、良い味を出していた三姫のセリフや猫猫とのやりとりは、ほぼ全てアニメオリジナルです。

コストパフォーマンスならぬ、タイムパフォーマンスが叫ばれる昨今。
アニメ作品も、展開は早いものが好まれる傾向があります。

そんな中、『薬屋のひとりごと』は、たっぷり尺を取って丁寧に映像化
倍速どころか、0.75倍速ですね!

アニメ化お見事です!

現在原作は14巻まで刊行されています。
このペースだと、14クール分のストックがあるということ!?

良い作品は、じっくり味わいたい。
好きな作品は、長く浸っていたい。

いやあ~~~後半クールも実に楽しみです!

以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第12話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

13話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。

ではでは。

きょうのひとこと李白は元の生活に戻れているのでしょうか・・・(遠い目)

疑問点 まとめ(Q&A一覧)

この章では、疑問点をまとめていきます。

「疑問点まとめ(Q&A一覧)」運用ルール
  • 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
  • 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
    ⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ
  • 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
    ※推測が入る場合は、断りを入れる
    解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
風明単独犯なのに、なぜ関係者までが処罰対象?

連座の考えか、実際に親族が絡んでいた可能がある (推測です)

上級妃を狙った重罪なので、家族も処罰される連座の考え方。
また、木簡で外部とやりとりをしていたことから、親族が何らかの形で絡んでいた可能性が考えられるから。

猫猫は、結局なぜ解雇された?

壬氏は、猫猫の意思を尊重して引き止めなかった

「命じられば何でもやる」と答えたので、花街へ戻りたいと考えている猫猫を後宮へ引き止めることができなかった。

猫猫が後宮を出たとき、金を弾んでもらえたのはなぜ?

猫猫の後宮での働きに、壬氏が報いた (推測です)

玉葉妃は、猫猫の解雇を納得した?

壬氏の決定だったので、渋々了承した (原作より)

猫猫は、なぜ”まだ”客を取ってない、と答えた?

いつ客を取らされるか分からない状況だったから (原作より)

借金返済する前に、やり手婆がムリヤリ客を連れてきて、猫猫に客を取らせる可能性があったから。

「うつる」とは何のこと?

壬氏が頬を桜色に染め、自分の頬も赤くなるのを感じたから

壬氏は指先で猫猫の唇に触れ自分の口元に、口紅が猫猫から壬氏に移った。壬氏の笑顔は、頬を桜色に染め口紅が移ったかのように見えた。

壬氏があまりに無邪気に笑うものだから、猫猫は自分の頬が赤くなるのを感じたのを「移る」と比喩した。

高官の宴での壬氏との再会は偶然?

高順が壬氏の元気を取り戻すためにセッティングしたと思われる (推測)

今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
  • 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
残っている疑問
  • 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
  • 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
  • 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
  • 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
  • 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
  • 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
  • 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
  • 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
  • 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
  • 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
  • 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
  • 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
  • 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
  • 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
  • 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
  • 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?

今週の感想ツイート

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