【文字数(本文):約2万文字(目安33分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第18話「羅漢」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
2巻 8話「梅毒」~10話「翠苓」
- コミック
-
5巻 21話「羅漢」~22話「偶然か、必然か」序盤まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第13話 | 外廷勤務 | 4巻 | 2巻 |
第14話 | 新しい淑妃 | ||
第15話 | 鱠 | ||
5巻 | |||
第16話 | 鉛 | ||
第17話 | 街歩き | ||
第18話 | 羅漢 | ||
第19話 | |||
6巻 | |||
第20話 | |||
第21話 | |||
第22話 | 7巻 | ||
第23話 | |||
第24話 | |||
8巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
壬氏を送り届けた猫猫は花街へ里帰りする。
翌日、オヤジに頼まれ緑青館へ行き、離れで病に伏せる妓女に薬を与える。
一方、後宮に戻った壬氏の元には羅漢が訪れ、猫猫の関係性に気付かされる。
事件は起きずとも、事案は静かに動き出す。
猫猫が抱えるのは、闇か憎悪かトラウマか。
壬氏の正体は、国の最高機密か実は誰もが知っている公然の秘密か。
羅漢は三顧の礼で娘を身請け!?
羅漢にとっての壬氏の行動は、トンビに油揚をさらわれた!?
壬氏が猫猫に問うたのは、触れてはならぬパンドラの箱?
そう仕向けた羅漢は何を目論む?
それに、娘と言いながら、手に入れる手段が身請け!?
やはりどこか信用ならない、この変人。
人の良い坊ちゃんでは丸め込まれてしまいそうな・・・。
各々の思いや苦悩が複雑にうごめきだす。
これらは一つに収れんされていくのか、それとも・・・。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第18話「羅漢」
梅毒
壬氏と街で別れて里帰りした猫猫は、羅門に頼まれ緑青館の離れへと薬を届ける。そこには病に臥せる妓女がいて、猫猫は薬を飲ませつつ、昔の緑青館や当時の妓女たちのことを思い出して物思いにふける。
女買うのに女同伴では…
俺に化粧をしてくれないか?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第17話
前話、国家存亡の危機を食い止めた猫猫(笑)。
そんな活躍をした(← 違うっ)にも関わらず、目的地まで壬氏様のエスコートを頼まれてしまいます。
ところが、壬氏の待ち合わせ場所は女が買える店。
猫猫は、壬氏様は女を買うために変装したのだと勘違いしてしまいます。
── ここでか?
せっかく変装したのに、私が中に入ってはダメでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
変装までして女を買う店に来たのに、女性(猫猫)が一緒にいてはマズいだろうと、猫猫は気を遣ったのです。
まあ早く別れたかったんだろうけど(笑)
あー大根買いに行きたいんだよね(苦笑)
面白いのが、別れてからの猫猫の言動。
別れてから振り返る猫猫。
壬氏が誰と遊ぼうと、猫猫は気にしていないと思っていました。
ならば、振り返る必要はありません。
それが振り返ったということは・・・。
それとも、単に店に入るまで見届けないといけないと考え直したのでしょうか。
そう言えば、壬氏に腕を掴まれても掴まれたこと自体について非難しなかった猫猫。
以前なら ──
離して頂けませんか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第10話
と、すぐに拒否っていました。
壬氏に少し心を許し始めていると考えるのは早いでしょうか。
ちなみに、原作の心情描写では ──
猫猫はあの飯屋がどういう店なのか知っていた。飯盛り娘が買える店だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
(今宵はお楽しみくださいませ)
猫猫は冷めた目で、壬氏を見送った。
「冷めた目」で見送っているだけ。
女を買う店に、女性に道案内させたのです。
冷めた目で見られるのも当然ですね(苦笑)。
まあ、猫猫は、いつも壬氏を蔑んだ目で見ていますが(爆)。
待ち合わせすれど姿は見せぬ
本当は、壬氏は女を買いに来たのではありません。
まさか、待ち合わせの店が、花街のような接待をしていたとは。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
誰かと待ち合わせをしていたのです。
変装までして会いに来た人。
壬氏が会っているのを公にしてはならない人と待ち合わせしていたのです。
原作もアニメ同様、現時点では壬氏が誰と待ち合わせをしていたのか描かれていません。
ですが、「月刊サンデーGX」コミック には描かれています。
アニメ勢にとってはネタバレになるので、ここでは引用しません。
気になる方はコミックを手に取ってください。
私は読んでしまいました(涙)
アニメで知りたかったんだ(苦笑)
変装までして隠さないといけない相手。
となると、猫猫に見られるわけにはいかないのでしょう。
だから ──
── ここでか?
せっかく変装したのに、私が中に入ってはダメでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
猫猫を中に入れるわけにはいかない(会う人を見られてはいけない)と気付き、納得して手を離したのでしょう。
猫猫に誤解されているとも知らずに・・・。
壬氏が変装までして待ち合わせした人とは?
気を抜くと…
大丈夫。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
何の感慨もなく言ってのけたはずだ。
これは、何のことを言っているのでしょうか?
「感慨もなく言ってのけたはず」とは、妓女の価値を下げる手段についてです。
根拠は、原作を読めば明らかです。
メタ的な根拠ですみません(苦笑)
アニメは、壬氏が女を買う店に来たので、猫猫が動揺したと取れなくもありません。
そういう効果も狙ったのかも…
が、違います。
原作では、妓女の価値を下げる手段を確認するのは外廷に戻ってから。
「妓女の価値を下げる」話題しかしていない時に、「感慨もなく言ってのけた」と説明されているからです。
妓女の価値を落とすことについて、普通に対応した(感慨もなく言ってのけた)と言っているのです。
猫猫がこのように自身の言動を振り返っているのは ──
「妓女の価値を下げる」手段について、意識しないと感情移入してしまう、という事に他なりません。
つまり、当事者か近しい誰かがそのようなことをされたのではないか・・・。
流れからすると、離れにいる女性がその犠牲者で、子を孕まされて妓女としての価値を無くしたと考えるのが自然ですかね。
となると、その子どもは・・・。
赤子の記憶
ハッ!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
昔の夢・・・いや赤子の頃の夢か。
「赤子の頃の夢」とは、「赤子の頃に実際にあった体験」という意味でしょうか。
原作では ──
昔の夢、いや、昔あったとされる夢。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
覚えているはずもない、それが本当なのかもわからない出来事。
と描写されています。
あんなこと話したせいかな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
あんなこととは、壬氏に話した「妓女の価値を落とす手段」のことでしょう。
下衆な手段は、やはり事実なのでしょうか・・・。
前話レビューにも記載しましたが ──
壬氏が「妓女の価値を下げる方法」を聞いたのは、原作では街歩き中ではありません。
原作では、アニメで言うと今話 ──
羅漢の土産(果実水)を渡した辺りで、確認しています。
夢を見たのも里帰りした時ではなく、外廷へ戻ってから。
だからオヤジも何も言わなかったのです(苦笑)
あっ!猫猫飛び起きたのに、オヤジが何も言わないの変だと思った!
では、変な夢を見た原因は、原作では何になっているのでしょうか?
(あの女を看たせいかな、古いものを思い出す)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
里帰りをしたとき離れで看病したので、それが原因で夢を見たと考えています。
もし夢が現実だとしたら ──
夢に出てきた場所があの離れで、病で伏せている女に襲われたのなら・・・。
実際、夢に出てきた部屋は、窓の格子まで離れとそっくりです。
猫猫は、久しぶりに離れに行き、羅漢?と思われる客と鉢合わせしないようずっと中で待っていたのです。
そりゃあ嫌な記憶も呼び起こされ、夢も見るというものです・・・。
赤子の頃の経験です。
それが本当にあった事実なのかどうかは分かりません。
が、もし実際に起きた事実なら ──
オシャレな窓の形から、現場はこのあと行った離れ。
となると、猫猫に刃物を振りかざしていたのは病に伏せている女でしょうか・・・。
だとすると、病に伏せた女が猫猫の母親でしょうか。
猫猫は幼少の頃、妓楼の客を取る部屋の隣で寝ています。(5話 )
母親と一緒にいると、またいつ襲われるか分からないので隔離されたのかもしれないですね。
その結果、13話で猫猫は ──
母親はいない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第13話
でも優しいオヤジと、うるさい婆、賑やかな姐ちゃん達が沢山いる。
「母親はいない」と言い切っています。
自分の子どもを殺そうとする人など母親ではない。
あるいは、母親ではないと考えるようにしているのかもしれないですね。
狙われているのは、どうやら猫猫の手の小指のようです。
猫猫はこれまでも時折小指を見ています。
一体、小指に何があるのでしょうか?
この所作は、母親を思い出していると考えるのは甘いでしょうか・・・。
時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
里帰り
おはよう。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
原作によると ──
何だかんだいって外廷勤務後、初めての里帰りのようです。
外廷に出仕して帰ってくるのは今回が初めてだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
後宮と違って、外廷勤務は「いつでも帰ってこれる」と言っていました。(13話 )
が、そもそも休み自体が少ないようです。
本来、側仕えの下女に休みらしい休みはない。主人の仕事が休みでも、その生活がないわけじゃないので当たり前だ。まだ、ほかに下女がいればいいが、壬 氏の周りは特殊なのでそういうわけにもいかない。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
部屋付きの下女は、主人のお世話が仕事。
主人がいる限り(世話の)仕事はあるので、休めないのです。
官女になっていたらもっと休めたかも(笑)
他に下女がいれば、シフトを組むこともできるでしょう。
が、壬氏様の下女は水蓮と猫猫の二人しかいないので余裕がありません。
ってか、これまで水蓮一人でやっていたことに、猫猫も感心しています(苦笑)。
では、一体どれくらい帰っていなかったのでしょうか。
Bパートの壬氏様の行動パターンを振り返るとき、原作では ──
二月ほど仕えているが、壬氏には定期的に回ってくる仕事があるようだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「二月ほど仕えている」とあるので、外廷勤務になってから2ヶ月。
2ヶ月ぶりに花街に帰ってきたのです。
だから、姐ちゃん達も喜んでいたのです。
伏せる女
昔は毛嫌いされて追い出されたけど、もうそんな元気もないか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
それとも、とうに言葉も忘れたか。
8話「里帰り」 で一瞬描かれた「離れ」がようやくキチンと描かれました。
猫猫と同じ髪の色。
周囲は、猫猫に「離れ」を促していました。
普通の患者だったら猫猫でなくてもオヤジでも良いわけで、猫猫に対してそこまで気を遣いませんよね。
話の流れから推測するに、伏せている女性は猫猫の母親でしょう。
気になるのは ──
母親はいない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第13話
でも優しいオヤジと、うるさい婆、賑やかな姐ちゃん達が沢山いる。
猫猫自身が「母親はいない」と言い切っていたこと。(13話 )
ただ、これも ──
母親はここにはいない(一緒にはいない)、という意味での「いない」とも取れます。
猫猫が見た夢が事実で夢の女が母親なら、自分を襲うような女は母親と思っていない、という意味かもしれません。
昔は毛嫌いされて追い出されたけど、もうそんな元気もないか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「昔は毛嫌いされて追い出された」と言っているので、育児放棄された上に毛嫌いされていたのなら、母親と見做していないとも取れますね。
あくまで夢は夢。
実際、猫猫とこの女の間に、過去、何があったのかは分かりません。
ですが、猫猫が優しく挨拶している様子からして、今は落ち着いて向き合えるのでしょう。
積極的に関わろうとはしていないけどね…
今話終盤、「よみがえりの薬」を聞いた時、猫猫は過剰な反応を見せました。
この女性の病を治したいと思っているのではないか?と考えるのは甘いでしょうか・・・。
羅漢のお気に入り?
緑青館の離れで伏せている女性は、猫猫の母親?
と同時に、羅漢が話していた「馴染みの妓女」でしょうか。(15話 )
いい妓女でしたよ。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第15話
碁と将棋が得意で、将棋では勝てるが、碁では負けてばかりだった。
あれほど面白い女には、もう会えないだろうと、身請けも考えましたが──
離れの女は、小石で碁の真似事をしていました。
年齢的にもピッタリです。
ただ、羅漢はこうも言っていました ──
芸は売れど身は売らず。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第15話
それどころか、客を客とも思わない。
客に茶をつぐ時も、下賎の民に施しを与えるような尊大な目で見ておりました。
離れの女は梅毒にかかっています。
緑青館は今でこそ格式ある妓楼だが、十数年前、泥のかかった看板をかけていた時期がある。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
この妓女は、その数年間に客を取り、不幸にも梅毒をうつされた。
身を売っていたから、梅毒にかかったのです。
羅漢の言う女は身を売らず、離れの女は身を売っている。
ならば別人なのでしょうか?
これは、時期の違いと考えれば筋は通ります。
壬氏の推測が正しければ ──
羅漢は、身を売らない女に子を孕ませた。
妓女の価値を失った女は、生きていくには身を売らねばならず。
そこで運悪く梅毒をうつされてしまった・・・。
子を孕んだことで妓女の価値がなくなり、体を売らなくてはならなくなった。
挙げ句の果てに梅毒にまでかかってしまう・・・。
子に罪はないにしても、「この子さえいなければ」と考えてしまうのも頷けます。
かわいそう…
そうなんだよ、悪いのは男の方であって女ではないんだよね…
ん?
何か気になるの?
はい。
この女は変な男に目を付けられた可哀想な被害者です。
なのに、なぜ猫猫は ──
バカな女。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
などと蔑んでいるのでしょうか・・・。
あっ!確かに
子を孕んだ過程に、何かありそうですね・・・。
こうして一つ一つ検証していくと、羅漢が目を付けた妓女は、この離れの女である可能性が高いです。
羅漢、最低!大っ嫌い!
でも、一つ大きな疑問が残りますね。
えっ何!?
羅漢は、なぜこの女を身請けしていないのでしょうか?
(壬氏の推測が正しければ)羅漢は、自分が手を出せないほど値段のつり上がった妓女を、身請けできるようにする為に汚い手段に打って出たのです。
話の流れからすると ──
羅漢の悪巧みは成功して、彼女の妓女としての(市場)価値はなくなったのでしょう。
なのに、なぜ羅漢は、この女を身請けしていないのでしょうか?
あっ確かに!
私は、てっきり目当ての妓女は亡くなっているのだと思っていました。
だから、その子どもである猫猫に目を付けたのだと。
考えられる可能性は ──
離れの妓女は羅漢の目当ての女ではない・・・。
と、この考えは、全てが崩れるので今は排除しておきましょう(笑)。
女は、妓女としての価値は失ったが、羅漢の身請けは断った?
誰にも身請けされる気などなかった?
あるいは、(羅漢とは別の)誰かに身請けされたかった?
となると、なぜ羅漢に体を許したのか・・・。
この辺に、猫猫の「バカな女」の理由があるのかもしれないですね。
羅漢は、価値を下げた妓女をなぜ身請けしていない?
優しさか、それとも…
数年後、再び発疹が出始めると、腫瘍は瞬く間に広がった。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
以来、女は客の目の届かぬ、この離れに押し込められている。
使い物にならなくなった妓女が、ドブに投げ出されなかっただけ寛容だ。
使い物にならなくなった妓女が十数年も離れで看病されている!?
あの金にうるさいやり手婆にしてはあり得ないような(苦笑)。
昔は、トップ妓女だったので蓄えがあるのか、それとも恩でもあるのでしょうか?
もしかすると、猫猫達が支払っているのかもしれないですね。
おやじ、今月やり手婆に家賃払えるのか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
この世界では、薬師は儲かる仕事のようです。
にもかかわらず、あんなあばら家に住んでいるのは、そこそこ豪華な?離れの家賃を払っているせいかもしれないですね。
と、8話時点では思っていたのですが・・・。(8話 )
その後、(アニメだけでなく)コミックや原作を読んでいると ──
どうやら、緑青館にある薬屋は、緑青館に間借りして出店しているようです。
「家賃」とは、店の家賃である可能性が高いですね(苦笑)。
では、離れは誰が負担しているのでしょうか?
店側(やり手婆)で負担しているのでしょうか?
使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
羅漢接近
姐さんに言われて。
by 禿『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
あの変なメガネの人がいるから、こっちには戻らない方がいいって。
「変なメガネの人」とは、猫猫が思い浮かべている背景でも描かれていますし羅漢でしょう。
となると ──
── あの客、また来てますよ。
まったく鼻が利くねえ。梅梅を呼びな。
by やり手婆『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「鼻が利く」とは、猫猫が帰ってきたタイミングで、訪れたからでしょう。
このやり取りから、やり手婆は、羅漢に猫猫を会わせる気はなく、当然身請け話も進める気もなし。
大体、羅漢に身請けさせるつもりなら、壬氏と雇用契約をさせませんね。
まあ、やり手婆の普段の言動を見ていると、大金を積まれたら考えを変えてしまいそうですが・・・。
何も知らない?
他から見たら、またとないご縁だわよ。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
望み望まれを願って叶う妓女が、どんだけ少ないか分かる?
ん?
このセリフ ──
梅梅は、猫猫が羅漢に身請けされるのを反対しているのではなさそうですね・・・。
梅梅は、猫猫と羅漢の関係を知らないのでしょうか?
30歳近くであれば、猫猫が生まれた頃も知っているはず。
それと、気になる梅梅の発言 ──
もう少しだけ、この仕事続けるわ。
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
そう言った梅梅と一緒に描かれたのは、羅漢らしき男と碁を打つ姿。
まさか、梅梅は変人羅漢を!?
となると、猫猫は羅漢がしでかした事を梅梅に言えないのかもしれません。
だとしたら、梅梅は相当鈍いと思いますし、そんな風には見えませんが、それが恋というものでしょうか・・・。
猫猫の言う ──
梅梅姐ちゃんの感情は、私にはよく分からない。
深く考えたくもない。もしそれが恋というものだとしたら、そんな感情はきっと私を産んだ女の体内に置いてきてしまった。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
理解はできないが、口出しもしていないのかもしれないですね。
夢で見た赤子の頃に襲われたのが事実なら ──
襲った女が猫猫の母親なら ──
確かに、猫猫は母親から愛情を受けなかったかもしれません。
ですが、緑青館の姐ちゃん達や、オヤジこと羅門ら等、猫猫の周囲は温かい人達ばかり。
人の愛情に触れていない、とは思えないのですけどね・・・。
後悔先に立たず
まさか待ち合わせの店が、花街のような接待をしていたとは。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
そんなものを買いに行ったわけじゃないのに・・・。
「花街のような接待」とは、女を買えるサービスのことです。
詳しくは、前話レビュー をご覧下さい。
猫猫に目的地まで案内され「なら花街まで来てくれれば良いものを」「私が中に入ってはダメ」と言われた意味に、やっと気付いた坊ちゃま。
その上、女を買う店の前で「妓女の価値を下げる」方法を確認してしまう大失態(爆)。
猫猫にどんな誤解をさせてしまったか、さすがの坊ちゃんも気付いたようですね(笑)。
原作では ──
変装して市井に出た理由は、表に出しづらいことだった。それなのに、猫猫を使い、あまつさえ途中まで同伴させることになるとは、壬氏としても思いもよらなかった。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
それを提案したのは、壬氏の横で黙々と書類を片付ける従者だ。
猫猫に同伴・・・失礼。
目的地まで同行を頼んだのは高順の提案です。
その提案をした従者まで、壬氏様は疑っています(苦笑)。
高順に限ってそんなことはないと思いますが・・・。
ただ前話で、高順は気になる事を言っていましたね ──
一つのものに執着する。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第17話
壬氏様は、それが許される立場にありませんから。
高順は、壬氏と猫猫の仲を裂こうと、あるいは程々にしておこうと考えていてもおかしくはないと思わせる発言ですね・・・。
翠苓
猫猫は水蓮から仕事を頼まれ、医局へ薬を取りに行く。
欲しいのは薬棚であって部屋ではない
変な草を物置に隠すのもダメよ。
by 水蓮『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
置き場所がないなら、壬氏様にお願いして余ってる部屋を使わせてもらったら?
水蓮は、猫猫の頼みなら壬氏様は聞き入れてくれると考えたのでしょう。
何せ壬氏様は猫猫を気に入っているのを知っていますからね(笑)。
でも、猫猫はそうは考えていません。
原作では ──
(そうだろうか?)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
以前、厩を貸してくれと言ったのに、断ったのは向こうだ。
一度断られているので、同じ願いをしては無礼だと考えているのです。
だから ──
いえ、貴人の住まう場所を薬棚扱いはできません。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
もっともらしい理由を述べたのでしょう。
猫猫さん。
壬氏様のことは水蓮の方がずっと理解していますよ。
壬氏様が問うたのは ──
お前が良ければ、新しい部屋を用意させよう。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
猫猫が生活するための部屋です。
なんなら、壬氏様が通うための部屋だったかも(笑)。
少なくとも、薬棚として使う部屋ではないのは確か(爆)。
それなのに、猫猫は厩が欲しい、と言ったのです。
猫猫を厩に住まわせる許可はできず、だから却下したのです。
もしかすると壬氏様は、猫猫は意図を理解していないと判断したのかもしれないですね。
身分が全てではない
でも尊い生まれだからといって、最初から別のものだと思わないで。
何がどう転がって人生どうなるかなんて分からないもの。身分だけで何でも分けるのは、もったいないわ。
by 水蓮『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
さて、突然意味深なことを言い出した侍女・水蓮。
一体誰の何のことを言っているのでしょうか?
話の流れからすると ──
猫猫に向かって、壬氏様に対して一線を画していることを言っているように聞こえます。
猫猫は、全く気付いていないだろうけど(苦笑)
だろうね…
「何がどう転がって人生どうなるか」という言葉だけを捉まえると ──
もしかすると水蓮自身の経験談かもしれません。
もっと、(水蓮が意識して言ったのではなく)メタ的に考えると官女などやらなくても良い翠苓のことかもしれないですね。
あっ!そういうこと!?
本作は身分違い多いので、当てはまるのは幾つもあるんだよね(苦笑)
猫にまたたび
失礼します!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
薬を頂きに参りました。
お遣いで外廷の医局に来た猫猫。
ああ・・・この苦みが口の中に広がる匂い。
薬棚には何が入ってるんだろう。
医局中をあさりた~~い!いやっダメだ!こらえろ!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「猫にまたたび」ならぬ「猫猫に薬草の匂い」!
今話は、猫猫にとって辛いことが多かったですが・・・。
風呂で姐ちゃん達に優しくされるシーンと、この医局でのシーンが数少ない癒やしの時間でしたね。
猫猫さん、独り言が体中から漏れ出てる(笑)
ホントに嬉しそう!!こんなに生き生きとした猫猫久しぶり!
後宮の医局へ行ったとき以来か
アニメは、原作と構成が違い ──
原作では、医局へ来る前に羅漢のエピソードがあります。
つまり、この医局のシーンは、猫猫が壬氏様から羅漢の名前を聞いた後です。
猫猫は先日の壬氏の言葉を思い出したが、それ以上にこちらの医局に興味があった。ここの医官が優秀なのは、前に薬を見てわかっている。後宮の医局はやぶ医者が管理しているため、宝の持ち腐れのようになっていたが、ここではどう活用されているのか興味がわいた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
壬氏から聞いた羅漢の事は気になっていたが、それを吹き飛ばすくらい外廷の医局に興味があったのです。
人生苦もありゃ、楽もある?
腹立たしい出来事のあとには、ご褒美?
日向夏先生、粋です!
本作は、悪いことがあってもグズグズしないので見ていて気持ちいい!
ホントそれ!
翠苓との再会
何やってるの?
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第13話
以前絡んできた官女・翠苓と再会。
13話ラスト、猫猫が外で翠苓と出会った際 ──
白檀の香りと、独特の苦みを帯びた匂い。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第13話
翠苓の白檀の香りを意味ありげに取り上げていましたが・・・。
薬草の匂いがしたのは、軍部に勤めているからか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
薬草の匂いがしたのは、軍部に勤めているから。
随分あっさり判明しましたね(苦笑)。
でも、軍部に勤めている人が全員白檀の香りがするわけではないでしょう・・・多分。
ならば、翠苓は軍部で薬師をしているのでしょうか?
だから薬草を植えていたのでしょうか?
翠苓は、なぜ薬草を植えている?
壬氏様のお役目
考えてみたら、壬氏様は不可解な点が多い。
半月に一度ほど、定期的に回ってくる仕事もそうだけど。
前日からゆっくり湯浴みをして、香を焚いて出かけて、精進料理もそう、まるで禊ぎだ。宦官も祭祀をやれるのだろうか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
高貴な人物であればおかしくないけど、それほどの男がなぜ宦官に?
ようやく、猫猫が壬氏様に興味を持ち始めた?(笑)
これまで、壬氏様に全く興味を持たなかった猫猫。
他の下女や女官のように壬氏に惹かれることもなく、それどころか虫でも見るかのような目つき。
前話でも、どれだけ近づこうとも、鍛えられた上半身や手のマメを見ても、興味なし。
そんな猫猫が、遂に壬氏様に関心を持ったのです!
壬氏が祭祀をやったり、高貴な人なのは、それこそ猫猫さんが推測してくださったので想像がつきますが・・・。(11話 )
医局で受け取った「芋の粉」は何の為でしょうか?
「芋の粉」は、誰の何のための薬?
薬草畑
この匂い・・・薬草畑だ!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
この丘は、13話で入るのを叱られた場所な気がしますが(苦笑)。
ここから先は、あなたの立ち入る場所ではないはずです。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
なるほど。
猫猫が丘に対して気になる様子を見せていたのは、薬草畑だったからです。
猫猫は、視覚ではなく嗅覚で薬草を見つける!?
別に咎めないわよ、ここは非公式な畑だし。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
ただ、医官も知っている場所だから、あまり出入りしない方がいいわ。
翠苓は、薬師でしょうか?
薬草になる草花がまとめて生えることはありません。
医官も含め意図的に、ここに薬草を植えていたから薬草畑になっていたのです。
原作によると ──
翠苓が去った後、どれを採るか、いや採ってはダメだ、と一人自問自答をしていて戻るのが遅くなり、水蓮からしごきを受けます(笑)。
・・・
ちなみに、翠苓は「別に咎めないわよ」と言っておきながら壬氏に告げ口しています。
ミニアニメの中で、ですが(苦笑)。
よみがえりの薬
── 何を植えているのですか?
よみがえりの薬・・・。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
猫猫の質問に「よみがえりの薬」と答える翠苓。
翠苓は冗談を言うキャラではなさそうだし、そもそも猫猫と冗談を言える間柄でもありません。
ならば、実在するかはともかく・・・。
「よみがえりの薬」を欲しがっているのは本心ではないでしょうか。
そして、猫猫の反応も予想外。
死者がよみがえることのできる薬。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
そんなものが実在するなら、喉から手が出るほど欲しい。
猫猫は夢想家でもロマンチストでもありません。
むしろ現実的です。
粉塵爆発事故の時には ──
世の中、不思議なことは殆どない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第14話
不思議というなら、それは知らないだけだ。
世の中の不思議な事象は、ほとんど(科学で)説明できる言っています。(14話 )
説明できないのは科学的に解明できていないだけ、という意味ですね。
そんなリアリストな猫猫が、死者をよみがえらせる薬を信じている!?
いや「そんなものが実在するなら」と前置きしています。
信じてはいないが、あるなら欲しいと言っているのでしょう。
薬と毒には目がない猫猫。
ならば、珍しい薬であれば興味を持っても不思議ではありませんね。
でも、ここまで食いつく姿を見ると、まるで誰かを生き返らせたいと考えているように見えますが・・・。
現時点で、そんな人物は思い当たりません。
「母親はいない」「オヤジは養父」。
両親が死んでいるなら分かりますが ──
それこそ今話で、母親は生きており、父親も生きているどころか近くに(苦笑)。
家族以外で、猫猫には大切な人がいるのでしょうか?
そんな風には思えず・・・。
そう考えていくと、結局戻ってしまいます。
はい。
離れで伏せている母親らしき女性ですね。
母親に死が迫っているので、「よみがえり」に敏感になっているのではないでしょうか。
それと、翠苓が最後に言った言葉の意味はなんだったのでしょう?
あなた、薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしら?
── さあ?
もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
なぜ、猫猫が薬師と知っている!?
「朝顔を植える」とはどういう意味!?
そして ──
薬草畑まで来て手ぶらで帰る・・・翠苓は、何しにここに来たの!?
あっ言われてみれば…
翠苓の言う「朝顔」とは?
羅漢
壬氏の元に再び軍師・羅漢が訪ねてきた。猫猫に興味を示す羅漢と話しているうちに、壬氏は猫猫との関係性に気付く。
元宦官の医官
あの娘の養父は元宦官で医官だそうだ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
猫猫がようやく?壬氏様に少~~しだけ(笑)興味を持ち始めた頃。
壬氏も猫猫のバックグラウンドに疑問を持ちます。
君たち、もう少しコミュニケーション取ろうね!
確かに(苦笑)
元医官に教えを受けたなら、あの知識は納得がいきますが・・・元宦官ですか?
── そうだ。
そんな優秀な医官が、宦官の中にいたでしょうか。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
オヤジこと羅門が後宮で医官をやっていたのは16年前。(10話 )
阿多妃の御子が生まれた頃です。
壬氏様が阿多妃の子であれば。(11話 )
生まれたばかりで知らないのも当然。
高順もまだお付きになっていないでしょうから知らなくても仕方ないかもしれません。
アニメではすぐに羅漢が来てしまい途切れますが、原作ではもっと掘り下げています。
正直、後宮の医官の質はあまりよくない。医官になるほどの人物が去勢してまで後宮に入る理由はない。なにかしら問題がある医官が送り込まれてくるのが普通だ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
優秀な医官はどこでも仕事があるので、男性機能を失う宦官になってまで後宮の医官になる必要はありません。
結果、後宮の医官は、レベルが低いのです。
つまり ── 後宮の医官は優秀ではない。
これが半ば常識になっているので、猫猫の師匠が宦官だと聞いて二人は驚いたのです。
気になる壬氏。
「そんなに優秀な医官が宦官の中にいたでしょうか?」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「それが不思議でな」
ふむ、と高順が顎を撫でる。ここまで言っておけば、気が利くこの男は調べておいてくれるだろう。
ちゃんと、高順が調べてくれることを期待しています(笑)。
壬氏はトンビ?
本当に、随分あくどいことをされたようですね。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
羅漢に対して、不快感を露わにする壬氏。
一方、羅漢は ──
失礼な。
トンビには言われたくないですな。10年以上かけてようやくやり手婆を説得したのに。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
横からかっさらわれた身にもなるといい。
トンビとは壬氏のこと。
「トンビに油揚をさらわれる」のことを言っているのでしょう。
「トンビに油揚をさらわれる」
当然自分のものになると思っていたものを、思いがけず横合いから奪われて、呆然とする。
(広辞苑より)
羅漢は、やり手婆を10年以上かけて説得したのに、壬氏が奪ったと言っているのです。
となると「油揚げ」とは猫猫のこと。
壬氏:油揚げを返せと?
羅漢:いいや、いくらでも出しましょう。昔と同じ轍は踏みたくないのでね。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
無茶苦茶な論法ですね。
壬氏は、猫猫を羅漢から奪ったのではありません。
猫猫の借金を肩代わりして、猫猫の意思で壬氏と雇用契約を結んだのです。
トンビ呼ばわりされる謂れはないのです。
にも関わらず、壬氏がそう言い返せないのは・・・。
猫猫は羅漢の…
ああ嫌だ・・・つまりそういうことだ・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
認めたくないが、羅漢は猫猫の実の父親だ。
羅漢は猫猫の実の父親!?
確かに ──
離れで伏せている女性が羅漢のお気に入りの妓女で。
その妓女に「価値を下げる」行為を羅漢がしたのなら、猫猫の父親は羅漢であると筋が通ります。
ただ、気になるのは羅漢の口から、猫猫の実父とは語っていません。
え?
言っているじゃないかって?
ただ娘がどう思うかなのですけど。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
話の流れから、ここで言う「娘」は「自分(羅漢)の娘」と解釈してしまいます。
が、決して羅漢は「私の娘」とは言っていません。
自分の子どもでなくても、年頃の女性を「娘」と呼んだりします。
「この小娘が~」とか言うよね(苦笑)
あっ!
何だったら、羅漢は「汚い手を使った」と言っただけで、妓女を孕ませたとも言っていません。
「馴染みの妓女」=「猫猫の母親」
「妓女の価値を下げた」=「妓女を孕ませた」
「娘」=「実の娘」
繋げたのは全て壬氏の推測です。
原作では、次のように言っています。
猫猫の答えから、このずる賢い狂人がなにをやったかあらかた想像がついた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
そして、もう一つあまり歓迎できない憶測が頭に浮かんだ。
さて、どこまでが真実なのでしょうか?
現時点では、全てが真実のように思えますが、では、なぜ羅漢は自ら何も語らない(遠回しに匂わせる)のでしょうか?
もう一捻りあるのでしょうか・・・。
猫猫の父親ではないと言って欲しい!
でも、本作はあまり捻らないんだよな…
では、羅漢と猫猫は何の関係もないでのでしょうか?
それも違います。
なぜなら、もし二人に関係がなかったら、猫猫は羅漢に対してあれほどの憎悪を抱かないでしょう。
猫猫にとって、羅漢は嫌悪するほど存在なのは確か。
だけどその理由は、本人達の口からまだ何も語られていないです。
逆に羅漢がこんなまどろっこしい言い方をする方が気になります。
これじゃあ、事件を必要以上に明らかにしない猫猫の独り言と同じじゃないですか・・・。
「ひとりごと」って猫猫の事だけじゃない!?
えっ、そこに繋がるの!?
実父だとすると…
さて、羅漢は本当に猫猫の父親なのか?
それを疑っても、現時点では確たる証拠も証言もないので分かりません。
それに疑い始めると、何が何だか分からなくなってきます(苦笑)。
根底が揺らぐとレビューもグダグダになってしまう(苦笑)
そうなんだ
よって・・・。
状況が二人は親子だと指し示しているので ──
本レビューでは、「羅漢は猫猫の実の父親の可能性大」としてレビューを進めます。
でも、二人が親子だとすると、おかしくないですか?
ん?何が?
なぜ父親が子を引き取るのに身請けしなくてはならないのでしょうか?
あっ!確かに!
『薬屋のひとりごと』世界では、子は母親のもの?
それとも、緑青館で生まれた子は、緑青館のもの?
もしくは、幼少の頃に引き取らなかったので、現代で言う親権が剥奪されたのでしょうか?
だとしても、実の父親が娘を取り戻すのに、金を積んで身請けするのはとても違和感を感じるのは私だけでしょうか・・・。
それと、羅漢はなぜ猫猫に執着しているのでしょうか?
気に入った女の娘だから?
自分の娘だから?
私が気にしているのは、そこではありません。
なぜ、馴染みの女をほったらかしで、猫猫を手に入れようとしているのでしょうか。
手に入れるなら馴染みの女が先ではないでしょうか?
馴染みの女が口もきけないから、娘を欲しがる?(だとしたら最低ですね)
私が同じ立場なら、母娘二人を身請けします。
そう考えていくと ──
馴染みの女がまだ生きていることを羅漢は知っているのでしょうか?
いずれにせよ、羅漢と猫猫、離れの女の関係は見えてきつつあるものの。
一筋縄ではいかない複雑な関係性と背景がありそうですね。
憎悪?
今度、お前に会いたいという官がいるのだが・・・。
── どんな方ですか?
前から話している変人だ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
名は羅漢という・・・。
横暴で失礼な変人の頼みなど聞く必要はないと思うのですが・・・。
バカ正直に、猫猫に伝言を伝える壬氏。
原作では ──
「今度、おまえに会いたいという官がいるのだが」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
壬氏は、部屋に戻るなり、伝えないわけにもいかず、正直に猫猫に言った。
さすがに相手は軍部の高官。
軍師殿の依頼を無視することはできなかったのでしょう。
「羅漢」の名前を出した途端、空気が変わったのか、言葉を飲み込む壬氏。
一瞬写る、今まで見たことがないような憎悪に溢れた猫猫の表情。
アニメの猫猫の表情も圧巻でしたが、原作小説 も見事でした。
ここでは結論だけ引用させて頂きます ──
これだけで、壬氏はあの男が娘にとってどんな存在かわかった気がした。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
「……どうにか断っておく」
猫猫が口にせずとも、羅漢に会いたくない意思は伝わった。
だから ──
どうにか断っておく。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
と、猫猫の意を汲んだのです。
にしても、猫猫の精神力は大したものですね。
羅漢の名を聞いても、感情を出すのはこの一瞬だけ。
直後にケロッとしています。(表面上は)
ウジウジしても仕方ないでしょうけど、達観しているというか、単に感情を表に出さない性格なのか・・・。
いずれにせよ、視聴者目線で言うと、ウジウジした猫猫は見たくないのでありがたいですね(笑)。
恐るべき羅漢の・・・
はぁ、やっぱり気付かれてたか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「気付かれてた」とは ──
猫猫が外廷勤務、それも壬氏の部屋付きの下女として働いていることを羅漢に気付かれていたという意味。
「やっぱり」とは、さすが相手は軍部の高官。
猫猫も羅漢の調査能力を買っていたのです。
いや噂話だから情報網か!?
軍部なのに情報源は噂なんだ(苦笑)
調査能力や情報網というより、羅漢の執着心ですね・・・。
いや、ストーカー気質か(爆)。
粘着~~キモい~~
猫猫は、外廷勤務になってから軍部を気にしていました。(14話 )
原作では、先のセリフの直後 ──
先日、壬氏が言った人物について、予感していた。猫猫が軍部に行くのを避けていたのも、その人物が関わっていたためだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
とまで心情描写されています。
「先日、壬氏が言った人物」というのは ──
家柄は良いのに、40を過ぎて妻帯もせず甥御を養子にとって家の管理を任せている、有名な変人だ。
── 40を過ぎた軍部で高官で・・・変人?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第15話
40を過ぎた軍部の変人高官の話を聞いたときから。
変人とは羅漢のことだと予感していたのです。
果実水を受け取った時、猫猫が喜んでいなかったのは、羅漢からだと分かったからかもしれないですね。
まあ、酒以外もらっても嬉しくないのかもしれないけど(苦笑)
羅漢がいることを知っていたので、猫猫は軍部を避けていたのです。
ジワジワと猫猫の身に迫る、羅漢の魔の手。
相手はこの国の軍師で、猫猫の実父!?
10年以上かけてようやくやり手婆を説得したのに。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
横からかっさらわれた身にもなるといい。
説得に10年以上かかったと言っています。
それはつまり、猫猫は10年以上逃げ続けていたということ。
羅漢は「説得したのに」と言っていますが、やり手婆が了承したとも思えません。
ならば、10年以上、緑青館で守られていたとも言えるのです。
それが、猫猫が自ら望んで緑青館を出た。
それも、外廷勤務。
猫猫は、羅漢の領域に足を踏み入れていたのです。
オヤジが猫猫の雇用契約書を見た際 ──
オヤジも好きにしなさいと言ってくれたけど・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
あれはどういうことだろうか?
オヤジは神妙な表情をしていました。(13話 )
契約書を読み猫猫が働くのは外廷だと分かり、羅漢と会うと思い、心配したのかもしれないですね・・・。
もっと深掘り!
この中項目では、本編よりもっと深く考察を進めます。
根拠が曖昧で考察というより想像に近くなったり、時には(私の)妄想が入ることもあるので、その辺はご了承を(汗)。
ただ、当たっていると、ネタバレと同義になってしまうかも知れません。
少しでもネタバレの可能性があるなら読みたくない、という方は次項「おわりに」まで飛んでください。
ではでは、始めていきますよ~~。
緑青館が衰退!?
猫猫の口からさりげなく語られた過去。
所々気になる箇所がありましたね。
緑青館は今でこそ格式ある妓楼だが、十数年前、泥のかかった看板をかけていた時期がある。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
男のロマンが詰まっている緑青館。
三姫ともなれば一晩で1年分の給金が吹き飛んでいくほどの高級店。
男共の評判から、緑青館の経営はずっと順調だと思っていました。
その緑青館に、苦渋の時代が!?
十数年、それと離れの女の状況からすると ──
猫猫が生まれた直後ですね。
猫猫が生まれた頃から緑青館の経営が傾いた・・・。
これは偶然でしょうか?
仮に、離れの女が原因で、緑青館の評判が下がったとしたら・・・。
責任を感じて、(これまで身を売らなかった女が)体を売る理由になるのではないでしょうか。
原) お香の裏に…
だいぶ匂いがこもってるな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
香も少し焚くか。
香を焚くと、女は鼻歌を歌い始めます。
何気ないシーンですが、猫猫が女を見る目が印象的でした。
原作を読むと、少しだけ意味深なシーンになっています。
アニメで描かれていないのでネタバレになってしまうかもしれませんが、今後描かれるとも思えないので紹介します。
とある貴人からいただいた香がある。上品な香で、本人も好きな香りだと言っていたが、調合には邪魔なので普段は付けていない。においが混じると困る薬も多いのだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
本人が来たときだけ、少しだけ焚くようにしている。それを少し失敬する。
ほんのりと甘いにおいのする香を焚くと、妓女は枯れた表情に薄ら笑みを浮かべる。
かすれた声で歌うわらべ歌が聞こえる。
「貴人」とは高貴な身分の人のこと。
焚いたお香は、貴人から頂いた本人も好きだと言っている香りだったのです。
その貴人とは誰でしょうか?
一見、羅漢かと思いましたが違いますね。
「本人が来たときだけ、少しだけ焚くようにしている」とあります。
その貴人は、今でも、この離れに来ているのです。
その時だけ、香を焚いているのです。
猫猫は、羅漢はこの離れに「来ることはない」と言い切っています。
よって、この貴人は羅漢ではないと言えます。
では、貴人とは一体誰でしょうか?
それを推測するにはまだ情報がありません。
この時点で言えるのは ──
ほんのりと甘いにおいのする香を焚くと、妓女は枯れた表情に薄ら笑みを浮かべる。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
このお香の香りで、感情を失っていた女が笑みを浮かべたのです。
この貴人こそ、女が好いていた人であり。
羅漢の身請けを断った理由ではないでしょうか。
もしそうだとすると、なぜ羅漢に体を許したのでしょうか?
一体、この女は、どんなバカなことをしたのでしょうか?
ここからは、考察というより妄想です!(笑)
仮に、この離れの女にバックアップしている貴人がいたとしましょう。
そうなると、あの金にうるさいやり手婆が離れを使わせているのも頷けますね。
羅漢が、折角価値を下げたのに女を身請けできない理由も想像できます。
軍師になっても、手を出せないのは、その貴人が相当身分の高い方か?
一方で、貴人の身分が高ければ、女を貶めた羅漢に罰を与えることもできそうですが・・・。
孕ませたとは言え、羅漢は正統な手段(取り引き等)で体を奪ったのかもしれないですね・・・。
おお!なんか説得力ある!
妄想なので、話半分位で聞いといてね
おわりに (『薬屋のひとりごと』18話とは)
前話は概ね楽しげな1話でしたが、今話は一転不穏な空気に。
事件は起きませんでしたが、話は進み情報盛り沢山。
原作消化も、珍しくハイペースで3話分進みました。
その結果、レビューは2万文字を越えてしまいました(苦笑)。
(2万文字超は『薬屋のひとりごと』各話レビューでは初めて)
監督・シリーズ構成の長沼範裕さんインタビュー記事 によると、アニメは3話単位で構成されています。
全24話で、前半後半クールに分かれているので、それぞれ12話。
12話を3話単位で構成しているのなら、(12÷3=)4分割。
4分割と聞いて思いつくのは「起承転結」。
今話は、2クール後半の6話目 ── 「承」に相当する最終話。
いよいよ、物語が動き出したのです。
次話から「転」パート?
確かに、予告を見ると次話は更に動く気配!
台風の目は、羅漢か翠苓か、はたまた別の人物か?
同時並行して進む事案は、一つに収れんしていくのか、単に並行か。
次話から後半クールの後半戦。
楽しみです!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第18話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
19話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 18-01 壬氏が変装までして待ち合わせした人とは?
- 疑問 18-02 羅漢は、価値を下げた妓女をなぜ身請けしていない?
- 疑問 18-03 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 18-04 翠苓は、なぜ薬草を植えている?
- 疑問 18-05 「芋の粉」は、誰の何のための薬?
- 疑問 18-06 翠苓の言う「朝顔」とは?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 13-02 契約書を見た時、羅門(オヤジ)が表情を曇らせたのはなぜ?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 15-02 同じ海藻でも下ごしらえによっては毒があると、悪知恵を与えたのは誰か?
- 疑問 15-03 羅漢が馴染みのある緑青館の妓女とは?
- 疑問 16-01 羅漢は三男が一番の腕前だと知っていて、なぜ猫猫に調べさせた?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 18話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) February 13, 2024
事件起きずとも事案は静かに動き出す
猫猫抱えるのは闇か憎悪かトラウマか
壬氏の正体は最高機密か公然の秘密か
壬氏が触れたのはパンドラの箱
"そう仕向けた"羅漢は何目論む?
娘と言いながら手段は身請け!?やはりどこか怪しいこの変人..坊ちゃんでは丸め込まれてしまう!?😱
関連記事
アニメ『薬屋のひとりごと』第19話のレビューはこちら!