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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第4話「この地球は、天国なんかよりも美しい」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作コミック『チ。-地球の運動について-』第2集
-
第5話~第7話まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『チ。-地球の運動について-』の原作は、魚豊先生による同名漫画。
私は原作未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作コミックの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。
こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
燃やす理屈、なんかより!!
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』コミック1巻
僕の直感は、地動説を信じたい!!
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系 ──
補足や余談、参考情報はブルー系 ──
と色分けしているので、読む際の目安にして下さい。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作漫画 |
第1話 | 『地動説』、とでも呼ぼうか | 第1集 |
第2話 | 今から、地球を動かす | |
第3話 | 僕は、地動説を信じてます | |
第4話 | この地球は、天国なんかよりも美しい | 第2集 |
第5話 | ||
第6話 | ||
第7話 | ||
第8話 | ||
第9話 | ||
第10話 | ||
第11話 | ||
第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作漫画:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
ラファウの死から10年後。
代闘士オクジーは希望もなく日々決闘に明け暮れ、同僚のグラスは火星の観測を生き甲斐にしていた。
ある日、二人は異端者護送を任される・・・。
夢なし、好きな物なし、希望なし・・・。
ついでに、ギャグなし、女気なし(苦笑)。
信じていた事が揺らぎ出す。
一体自分は何のために生きているのか・・・。
信じたいのは天国か?
それとも、この世が美しいことか?
全ての答えは、あの石箱に!?
異端の言葉に耳傾け、信じたいと縋り付く。
進む道は天国か地獄か・・・。
でも、今の世に天国がないのなら、一縷の望みに賭けるだけ?
人生捨てるか、異端者の甘言切り捨てるか。
代闘士たちの選択は・・・。
この時代の楽しみは天体や天国だけではないと思いますが。
信じていたものが揺らぎ出す不安を描く物語として、没入感が半端ない!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第4話「この地球は、天国なんかよりも美しい」
この世は地獄、あの世は天国?
代闘士オクジーは、現世に希望を見いだせず天国に行くことだけを心の支えにしていた。だが、最近自分が天国へ行けるか不安になっていた・・・。
美と汚れ
いつ見ても空の世界はキレイだ。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
なのに・・・。
いつ見ても天体は美しい。
一方、地上に目を向けると・・・。
壁上にいるのは貴族か上級市民か。
ばら撒いているのは食料か残飯か。(ばら撒き方からして残飯の可能性高し…)
地上では醜い光景が繰り返されているのです。
壁の上には蔑む目。
オクジーには、これも汚いモノに見えるのでしょう。
教会で、地球は底辺だと教え込まれ ──
天の世界は崇高で荘厳で、偉大で広大で、下等な地球如きとは調和しない。
by 司祭『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
と聞き、地上の貴族や上級国民と自分達の差を、空と地上の関係に重ねるようになったのでしょう。
地球は天から見下ろされている。
だから ──
空を見るのは・・・苦手で。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
オクジーは見上げることが嫌になったのです。
中心ではなく底辺
中心というのは一番底辺ということだよ。
by 司祭『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
重い物は地球上のどこであろうと常に下に向かって落ちる。
なぜなら地球の中心が宇宙の一番底にあるからだ。
地球は宇宙の中心。
これはラファウも答えていた、天動説の考え方ですね。(1話 )
「全ての物」ではなく「重い物」としているのは ──
アリストテレス曰く、重い物は世界の中心へ向かって直進(下に落ちる)、軽い物は離れていく(上に昇る)、とあるからです。
ここで言う「重い物」とは重さがある物。
「軽い物」とは重さがなく空へ昇っていく物(例えば炎や煙)のこと。
神様がそうお創りになられた。
──なぜですか?
by 司祭『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
地球は位が低く穢れていて、そこに住む人類は無力で罪深いと思い知らせるためだよ。
地球は底辺、って天動説ヤバいじゃん!
だよね
にしても、それっぽいこと言うなぁ…
同じ天動説なはずなのに・・・ものは言いよう捉えよう。
ラファウがいた時代(10年前)から随分考えが変わりましたね。
第1章(1~3話)では ──
この世界は神様が創ったのだから、主役である地球が中心にあるのが当然!
という体で説明されていました。
だからラファウも誇らしげに答えていたのです。
── 宇宙の中心には何があるでしょう。
アリストテレス曰く、”重い物体は下に落ちる”。
by ラファウ『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第1話
地上で物が常に落下するのは、地球が宇宙で最も低い地点、中心にあるからです。
同じ現象を説明しているはずなのに、印象が全く変わってしまいました。
1話:「地球が宇宙で最も低い地点、中心」
4話:「地球の中心が宇宙の一番底」
地球が中心(主役)だったのに、今や地球は宇宙の中で底辺(モブ…どころか背景)!?
アニメではカットされていますが ──
── 中心なら特別な感じでいい気が・・・
一般的にはそう勘違いされがちだが、最近の研究によってその考えは否定されてる。
中心というのは一番”底辺”ということだよ。
※太字部分はアニメではカット
by 司祭『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
原作では「最近の研究によって」と形容されています。
つまり、10年前とは捉え方が変わったのです。
ただ、このシーンでのオクジーは少年姿です。
ラファウ没後10年後どころか、数年後、あるいはラファウ没直後に「地球が中心」の考えが否定されたのかもしれないですね。
ラファウやフベルトが亡くなった直後・・・。
このタイミングは偶然なのでしょうか、それとも二人の何かが影響したのでしょうか・・・。
ただ、地球が中心ではなく底辺なら ──
地動説が受け入れやすい土壌に近づいたような気も・・・。
あっ、そうじゃん!
ま、いずれにせよ教会の教えに反してるけどね(苦笑)
なぜ地球が宇宙の中心から底辺へ教会の教えは変わった?
天動説の矛盾
地球が宇宙の一番下にあるなら、なんで空の星は落ちてこないんですか?
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
オクジー少年、天動説の痛いところを突いてます(笑)。
先にも書いたとおり ──
アリストテレスの説では「重い物」は下、つまり地球の中心に向かって落ちてきます。
ならば、空の星も地球に落ちてくるはず・・・。
分からない。
by 司祭『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
人は所詮、この大地のことしか分からない。
司祭は答えを避けます。
いや、開き直ってますね(笑)。
この司祭の真意は分かりませんが・・・。
実際、この時代の天動説派の学者は、宇宙の星々の動きを解明することを放棄しています。
天動説を唱えたアリストテレスは、この「空の星はなぜ落ちてこない?」に対して、どう解釈していたのでしょうか ──
アリストテレスは、地球と月は同じ法則の元(地上界)で、月より外の星々は別の法則に従っている(天上界)と唱えていました。(二元的宇宙像)
この説は人々の感覚的にも納得でき、かつ宗教の考えと一致。
いや、宗教が後押しした感もありますね。(注:個人的想像)
人の手が届かない真理が分からない世界を天上界、と切り分けた方が都合良かったのです。
結果、科学者の研究は地上界に留まり、天上界を研究することから遠ざかってしまいます。
天上界って聞いただけで縁遠く聞こえる…
そうだね
人は手を出してはいけない、心理的な抑制になったかもね
地動説はこれら全てを説明できるのに。
アリスタルコスは紀元前から地動説を唱えていたのに。
地上界と天上界はまるで別物。
あのアリストテレスが言ってるのだから間違いない。
そんなことは常識中の常識、それを疑うなんてバカげている・・・。
こうして、アリストテレスの天動説は1500年もの間、揺るがなかったのです。
代闘士
俺、行きます。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
── 私が決闘を申し込んだのはナストゥラ伯だぞ。なぜこの私が貴様らのような下級の者と戦わねばならんのだ。
そのナストゥラ伯に依頼され、代理で戦うのが我々代闘士です。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
代闘士とは、代理で決闘を行う人のこと。
『チ。』は文化系の話だと思っていたのに、いきなり体育会系!?
なんだか、予想外の職業が出てきました(苦笑)。
マスク被った時点で、何ごとかと思った
ホント、それ!
どうやら、オクジーは目が良いようです。
夜の決闘でも相手の剣が見えている!?
2本目の剣を使うのはルール上良いのかどうか分かりませんが、責められなかったのを見ると問題ないのでしょう。
圧倒的な強さを見せるオクジー。
でも、強いからと言って決闘が好きではなさそう ──
── 人を殺すなど罪深い。本当は君もやりたくないはずだ。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
いや、正直マジでその通りなんですけど・・・。
仕事なので。
敗者の言葉に正直に答えるも、仕事は仕事。
きっちり代闘士の仕事を全うする。
この地に就いてから1年。
日々このような仕事をこなしてきたのでしょう。
気乗りはしないものの、仕事は躊躇することなく全うするのです。
天国行くのになぜ不満?
彼は天国に行けたのでしょうか?
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
本作の教会のモデルと思われるキリスト教では ──
(前話レビュー でも記載したように)死後は神がいる天に召され復活の日まで天国で過ごす、とされていました。
なので、死を迎えるのは決して不幸ではないはずですが・・・。
オクジーの目には、死者はみな恐怖していた、と写っていたのです。
この仕事で人が死ぬ瞬間を何度も見てきた。
でも誰一人満足な顔で死ぬ人はいなかった。皆、ひどくおびえた顔で死んでいった。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
地獄の入口が見えてるみたいに。
って、突然訪れた死を前に、怯えるのは当たり前ですね(笑)。
オクジーがこれまで仕事で見てきた死ぬ瞬間とは、決闘で破れた人。
寿命で死ぬのではありません、決闘で負けて死ぬのです。
まだまだ生きられるのに、ここで死ぬなんて悔しくて腹立たしい。
痛みと感覚を失っていく感覚は恐怖でしかないでしょう。
そんなことも想像できない時代なのです・・・。
もしかしたら天国に行ける人ってのは、ものすごく少ないんじゃないんですか?
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
結果、天国へ行く人はごく限られていて、殆どの人は死の間際に地獄が見え恐怖しているのではないかと、オクジーは怯えているのです。
正確には、誰も死後天国へ行けると心の底から信じていないことだと気付かずに・・・。
え、どういうこと?
死後天国へ行けると信じていれば、死は嬉しいはずだよね
あっ、そうか…
まあ、信じてはいても死の直前は大半が不安だろうけど…
原) 天国最高!
期待したら裏切られるのがオチ。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
これが俺の心情です。
オクジーの長い独白。
早口でまくし立てましたが・・・。
これでもアニメでは半分近くカットされています。
原作ではなんと1ページびっちりセリフで埋め尽くされています。
ある意味圧巻(苦笑)
オクジーのダークサイドが見えた感じ
アニメのセリフだけでも趣旨は十分伝わりますが、原作ではもう少し補足されています。
- 中略 -
俺らは「祖先が犯した罪を生まれながらにして背負ってる」らしいので、この世界で喜びより苦しみの方が多いのは当然なんですよね。
だから自分の人生を思いのままに生きられないのも当然。この世は終わってる。
※太字部分はアニメではカット
by オクジー『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
その人が何の罪を犯していなくても、祖先の罪を背負って生を受けている。
ここら辺が、オクジーの謝罪「生まれてすいません生まれてすいません」に繋がっているかと(苦笑)。
よって、苦しみが多いのは当然。
だから「この世は終わって」いるのです。
この世とは、世界のことではありません。
オクジーが生きてる「彼の現世」のことです。
オクジーが生を受けた現世が、最初から希望もなく詰んでいるので ──
なので希望は天国にしかない。
by オクジー『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
死後に行けるだろう、天国にしか希望はないのです。
結果 ──
なので希望は天国にしかない。
俺の未来も救いも充実もすべて死後の世界、天国にだけある。
- 中略 -
この世ですべきことは一つ祈ることだけだ。
そうすれば、こんな価値のない俺のことも天国は救ってくれる。天国最高天国最高天国最高早く行きたい早く行きたい早く行きたい。
※太字部分はアニメではカット
by オクジー『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
全ての望みと救いは天国にしかない。
そんな唯一の希望である天国に行けないとなると、彼には何もなくなってしまうのです・・・。
つまり君は ──
この世に永遠とか完璧がないから、何も信頼できないと?── え? 全然そんなこと言って・・・
分かる!
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
何を隠そう、私も少し前までそう思っていたよ。
えっと・・・オクジーは ──
この世で幸福になれるのは一部の人だけ、それ以外は何をしても無駄だから早く天国へ行きたい、と言ったのです。
グラスは、オクジーの疑問や意見に答えていません。
言っちゃ悪いですけど、オクジーに意見を聞きたいと言っておきながら、全然話を聞いていないですね(苦笑)。
でも悩み聞いたりお酒おごってくれたりして、いい人では?
いや~、単に(自分の)好きな物の話をしたかったのでは?
えっ・・・
あっ、確かに強引に繋げてる!
ま、オクジーの本音を聞いてもなお付き合うのは良いところでもあるんだろうけど
下級市民
── おい、あいつら。
by 客『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
── ああ人殺しだ。
顔を隠して決闘する割に代闘士なのはバレてるんだ(笑)
あっ、確かに(苦笑)
ここは上級市民が通う店だ。
by 上級市民『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
代闘士風情はお引き取り願おう。
アニメ鑑賞時、この店が「上級市民が通う店」なのは分かりました。
が、この男は上級市民か貴族なのか、オクジー達は下級市民なのかもっと下なのか分かりませんでした。
この世界での貴族がどの程度の存在か分かりませんが、貴族というからには通常上級市民のお店に来るとは思えません。
よって、彼は上級市民でしょう。
火星軌道の完璧な円環だって?
by 上級市民『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
さすが下級市民の無教養ぶりは羨ましい。
その上級市民が、グラスに下級市民呼ばわりしています。
グラス(とオクジー)は否定していないので、彼らは下級市民なのでしょう。
そもそも、本作にはどんな階級があるのでしょうか?
その答えは原作にありました。
貴族
by 『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
上級市民
下級市民
貧民
貴族を頂点に4階層のようです。
今話後半、(アニメではカットされていますが)異端審問官ダミアンが自分達のことを「聖職者階級」と言っています。
聖職者階級は、上記4階層とは別立てか。
もしくは、上級市民か貴族に属するかもしれません。
歪む完璧
オクジーの同僚のグラスは、火星の観測記録を生き甲斐にしていた。
完璧な円環
火星の観測記録。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
グラスが希望にしていたのは火星の観測。
今話冒頭、空を眺めていたのも火星を観測していたのです。
その動く星は惑星と呼ばれ、空に5つほどあるのだと知った。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
5つの惑星とは、水星、金星、火星、木星、土星のこと。
これらの惑星は肉眼で見えたので、5000年以上前から知られています。
昔の人々は、惑星の動きを天からのメッセージと捉え熱心に研究していました。
故に、火星が完璧な円環で動いてない事は紀元前から知られています。
酒場の上級市民が知っていたのも、それほど特別なことではありません。
ちなみに、土星の外側を回る天王星、海王星、冥王星の発見は望遠鏡発明後。
本作の舞台である15世紀前期よりもずっと後、18世紀以降です。
この地球は完璧な観測の特等席。
そう考えたら人も地球も捨てたものじゃない。今やこれにより、この世の全てを肯定できる。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
完璧な円環を描く火星を観測できる地球にいる人は幸せ?
オクジーが感想を述べたように、かなりこじつけ・・・。
いや、超ポジティブと言うべきでしょうか(苦笑)。
逆に、これだけ火星の円環に入れ込んでいるので、崩れた時のショックが大きくなってしまったのです・・・。
アニメではカットされていますが ──
原作では増税により決闘の報酬が減る話が描かれています。
オクジーは「また増税って・・・」と落ち込みますが ──
いやァ、痺れるね。
追い込まれるほど人生の本番って感じでワクワクするよ。この世は飽きずに逆境を与えてくれる。
by グラス『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
と、グラスはポジティブ?に捉えています。
この捉え方から、オクジーはグラスを前向きな人と言っていますが・・・。
実際は無理をしており、危うさが見え隠れしていますね・・・。
崩れていく完璧
あ・・・あり得ない・・・。
毎日・・・毎日2年間動いてたんだ。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
それが、ここ最近移動速度が随分遅くなっていたんだが・・・ついに今日火星が止まった・・・。
火星が止まったことよりも・・・。
観測用の機器も使っていないのに、火星が止まった事に気付いたのが凄い!
確かに(苦笑)
まあ、周囲の星との間隔で位置関係把握してるのだろうけど…
兎にも角にも火星が止まり、それどころか ──
曲がった・・・明後日の方に・・・。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
完璧な円環が壊れた。
醜く歪んだ・・・。
遂には、逆行し始めたのです・・・。
まず、実際、火星を地球から観測すると、本当にこのような軌道を描きます。
Eugene Alvin Villar (seav), CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
なぜ火星は逆行したのでしょうか?
実はとても単純なことです。
皆さんご存じのように、現実は天動説ではなく地動説。
地球も火星も太陽の周りを回っています。(公転)
火星は地球より外側を回っています。
地球が太陽の回りを1周するのは365日(1年)。
一方、火星は約687日、約2年弱で1周します。
その結果、約2年に1回、地球は火星を追い越します。
この追い越す間だけ、逆行しているように見えるのです。
実際は同じ(ような円周)方向に速度も変えず進んでいるのに、追い抜く瞬間だけ逆の方向へ動いているように見えるのです。
不思議ですね。
約2年に1回、火星は逆行して見える・・・。
逆に言うと、2年に1回必ず逆行するので毎日観測していれば「完璧な円環」でないことはいずれ分かります。
ただ、グラスが観測を始めたのは ──
そして2年越しの観測の末、そろそろ火星軌道が1周し、輪を閉じる。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
もうじき大団円を迎えるのだ。
ちょうど2年前。
火星が逆行し終えた直後から観測を始めていたのです。
だから ──
しかし、観測を始めた時期が悪かった。
by 上級市民『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
じゃなきゃ、もっと前に気付けたのに・・・。
上級市民は「観測を始めた時期が悪かった」と言ったのです。
2年に1回逆行は観測できるのです。
グラスは、運の悪いことに一番長い時間お預けを食らった形になってしまったのです・・・。
2年間も信じていたのに可哀想…
いや、誰か教えてあげればいいのに…惑星を教えた修道士とか(苦笑)
あっ…
修道士は、なぜグラスに火星の逆行を教えなかった?
常識?
火星軌道の完璧な円環だって?
by 上級市民『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
さすが下級市民の無教養ぶりは羨ましい。
この口ぶりから、彼は火星の逆行は知っていた様子。
上級市民と下級市民に教育の差があるのでしょうか?
それとも、この上級市民が天文に詳しいだけでしょうか?
天文は異端ではありません。
義父ポトツキがラファウに天体観測を止めろと言ったのは、神学に集中させるためです。
もしかすると地動説に気付かせない為かもしれませんが…
教会が異端認定しているのは地動説であって、天文ではありません。
天文学は大学にも専攻があるほどの学問です。
天文学を学ぶこと、天体を観測すること、それ自体は異端ではないのです。
(本作の中で)上級市民が受ける教育に天文があるのかは分かりません。
この上級市民が教養として知っていたのか、趣味として知っていたのかも不明です。
なので別のアプローチで探ってみましょう。
興味を持った私は修道士様に聞いてみた。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
その動く星は惑星と呼ばれ、空に5つほどあるのだと知った。
修道士とは教会の修道士のことでしょう。
惑星という呼び方は教会は知っているのです。
そもそも「惑星」という名の由来はご存じでしょうか?
惑う星。
「惑う」とは、悩む、乱れる、うろたえる、という意味。
うろたえる、乱れる星って何!?
なぜそんな漢字をあてたのかと言うと ── 英語のplanetが元になっています。
planetは、ギリシャ語で「さまよう者」を意味する語に由来します。
そこで日本では、惑う星、「惑星」と名付けたのです。
水星や火星を惑う星と名付けたのは、日本ではありません。
遠い昔から使われていたplanetを日本語訳して漢字をあてたのです。
では、なぜ火星に「さまよう者」を意味する語をあてたのでしょうか?
もうお分かりですね。
古くから火星を含む惑星は、変な動きをする(ように見える)と認識されていたのです。
よって、火星が逆行をすることを知っているのは今更でも何でもありません。
天文を学べば知ることができる。
実際に火星を観測すれば気付く。
名前の由来を調べれば知ることができる。
知識人(ここでは修道士?)に聞けば教えてもらえるかも・・・。
火星が逆行することは、ある程度の知識人なら知っていたのではないでしょうか。
希望は天国のみ?
異端者護送任務に就く二人。異端者が発する言葉に、最初はバカにするも徐々に心動かされていく・・・。
ノヴァク!?
民間警備組合が到着しました。
by 異端審問官ダミアン『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
我々も行きましょう、ノヴァクさん。
えっ、ノヴァク!?
ノヴァクは死んだわけではないので、出てきてもおかしくはありません。
が、何となくラファウが退場したので、お役御免だと思っていました(笑)。
いや、驚いたのは、そこではなく・・・。
このヒゲ面はノヴァクだったのです!
このヒゲ面の男はOPにも描かれていました。
剣を構える姿が格好いいので、てっきり味方(ラファウ側)だと思っていました(笑)。
なんと、ノヴァクだったとは・・・。
随分とダンディになりましたね・・・。
なぜか悔しい(苦笑)
そうなんだ(苦笑)
そして、このヒゲ面男と言えば・・・。
1話冒頭 ──
効果を捧げれば、パンを得られる。
税を捧げれば、権利を得られる。
労働を捧げれば、報酬を得られる。なら一体、何を捧げれば、この世の全てを知れる?
by ナレーション『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
この時、拷問をしていたのもノヴァクだったのです。
── 何を見てるんです?
by 異端審問官ノヴァク『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
お守り。
ノヴァクがお守りという手紙。
これは、2話でも見せていた娘の手紙でしょう。
2話でノヴァクの手紙を見た男は驚いた表情を見せました。(2話 )
今話では、10年経ったのに、同じように手紙を見ているのです・・・。
何かありそうですね・・・。
まあ、同じ手紙とは限りませんが・・・。
異端審問官ノヴァクの娘の手紙に何がある?
穢れ
異端者の移送警備か。
by グラス『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
そういえば、そもそもなぜ異端者を移送するのに民間に警備を頼むのでしょうか?
襲撃されるのなら、いざ知らず。
どうやら一緒の馬車に乗って警備するようです。
となると、異端者が逃げないようにする為の見張り、ですね。
それなら、異端審問官が一緒に乗れば良いだけ。
なぜ、民間に頼るのでしょうか・・・。
その答えは原作にありました ──
我々、聖職者階級と異端者とが同席するのは好ましくない。
by 異端審問官ダミアン『チ。-地球の運動について-』コミック第2集
別の馬車で後方から同伴させてもらう。
なんと、宗教上の理由で異端者と同じ馬車に乗れなかったのです。
それでわざわざ民間警備組合を雇ったのです。
確かに、馬車は2台走っていました。
異端審問官ノヴァクとダミアンは、別の馬車に乗っていたのです。
甘言
2000年前、アテナイの老人が毒杯をあおった惨事から今の哲学が生まれた。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
1500年前、一人の青年がはりつけにされた無念が今の教会を形づくった。
「2000年前のアテナイの老人」とは ──
アテナイ出身のソクラテスのこと。
「1500年前の一人の青年」とは ──
イエス・キリストのこと。
人類は正面から向き合うべきだ。
麗しの天国なぞ、ないのかもしれないということに。だが、この地球は天国なんかよりも美しいということに。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
天国にしか希望はないが、天国に行けるのは数少ないと考え始めているオクジー。
火星の軌跡は天国にいる家族からのメッセージだと信じ、完璧な円環に思いを馳せていたが裏切られてしまい、これが運命だと意気消沈しているグラス。
二人とも、現世に絶望し、天国に期待しています。
そんな二人に、天国はない(かもしれない)が、今いる地球は天国よりも美しい。
と問うたのです。
現世に夢も希望も失いかけていた二人に、異端者の甘言が入り込んできたのです・・・。
今ちょうど見える、そこの山だ。
by 異端者『チ。-地球の運動について-』TVアニメ第4話
すべての証拠は、あの中腹に置かれた石箱の中にある。
あの山の中腹とは ──
フベルトが研究資料を隠し、ラファウが引き継いで使っていた石箱がある場所。
この異端者は、なぜ石箱のことを知っているのでしょうか・・・。
そういや、前話ラスト。
オクジーが石箱を探している時、ネックレスを持っていましたね・・・。
いずれにせよ、こうして、前話ラストシーンに繋がっていくのでしょう。
ネックレスは、どのようにして渡った?
異端者は、なぜ石箱の場所を知っている?
おわりに (『チ。-地球の運動について-』4話とは)
ラファウの次を継ぐのは代闘士!?
正直、意外だったし、いまだに信じられません。
てっきり学者か学者を目指す者、あるいは同様の素質を持った者。
何せ「地動説」を紡いでいく者達の物語なのですから。
決してオクジーが脳筋で勉強してなさそう、と言ってるのではありません
いや、言ってるじゃん!
申し訳ないですが、オクジーは、地動説の証明に命を賭けるような、知的探究心に溢れているキャラには見えません。
ただ、美しさ・・・いや、自分が生きる意味、生き甲斐については人一倍関心があるようで、方向性が合えば頼りになりそうです。
一方、学者風情なのはグラスや異端者。
とは言え、グラスは凡人っぽいですし、異端者は(前話ラスト)石箱には辿り着いていませんでした。
ラファウですら、3話で人生を終えたのです。
オクジー、グラス、異端者が地動説を証明する可能性は低いでしょう。(残り話数からメタ的推測)
一体全体、どんな展開になるのでしょうか。
以上、TVアニメ『チ。-地球の運動について-』第4話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
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ではでは。
「現実はチョロくない」の「チ」…
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 04-01 なぜ地球が宇宙の中心から底辺へ教会の教えは変わった?
- 疑問 04-02 修道士は、なぜグラスに火星の逆行を教えなかった?
- 疑問 04-03 異端者は、なぜ石箱の場所を知っている?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 02-02 異端審問官ノヴァクの娘の手紙に何がある?
- 疑問 03-01 ネックレスは、どのようにして渡った?
今週の感想ツイート
#チ。 #チ球の運動について 4話
— 時文@ここアニ(『チ。』レビュー中) (@toki23_a) October 20, 2024
夢なし好きな物なし希望なし…
ついでにギャグなし女気なし!?
信じてた事が揺らぎ出す
一体何の為に生きてるのか…信じたいのは天国か、それともこの世が美しい事か…全ての答えは石箱に!?異端の言葉に耳傾け人生捨てるか切り捨てるか😆
この髭面、奴だったのね😅
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