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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第29話「月精」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
3巻 8話「月精」中盤 ~ 9話「診療所」まで
- コミック
-
9巻 37話「月精・前編」中盤 ~ 10巻 39話「診療所」中盤まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
宦官が驚いた表情で猫猫を見るが、そんなの関係なかった。
引出しの見出しを眺め、珍しい薬を見つけるなり踊るような奇妙な動きをしてしまう。喜びがあふれ出て、頭の中に納まりきれなかった。
「なんかの呪いか、なにかか?」四半時、そんなことを繰り返したところだった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
いつのまにか現れた壬氏が奇異の目で踊る猫猫を見ていた。
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読んでいますが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。

同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・

その方が、理解が深まるんだよ
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系。
補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際に目安にして下さい。
2期 全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第25話 | 猫猫と毛毛 | 8巻 | 3巻 |
第26話 | 隊商 | ||
第27話 | 冬人夏草 | 9巻 | |
第28話 | 鏡 | ||
第29話 | 月精 | ||
10巻 | |||
第30話 | |||
第31話 | |||
第32話 | |||
第33話 | |||
第34話 | |||
第35話 | |||
第36話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
「月の精」を見たいという特使の要望に応える為、準備に取りかかる猫猫。
大柄の美人は準備できたが、まだ何か足りないと感じていた。
ある時、子翠との会話から秘策を思いつく。
火のない所に煙は立たぬ、根拠なければ噂は立たぬ!?
皆に、どうだと言わんばかりに見せ付けるのかと思いきや・・・。
こっそりひっそり特使だけを狙い撃ち。
ちょっと不思議で、魅惑的なマジックショー始まり始まり~~。
“ハッとするほど鮮やかな”エフェクトで。
“アッと言わせるような”美しさを魅せ付ける。
クローズドは勿体ない気もするが・・・。
女装した彼の人を表に出せば、国が傾くから仕方なし!?
さて、臍を噬む思いをした特使はどう出る?
後半は、新たな好奇心の対象となる診療所の登場。
でも猫猫を窮地に陥れてしまう!?

次話も気になる~
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第29話「月精」
月精
「月の精」を見たいという特使の要望に応える為、大柄の美人は準備できたが、まだ何か足りないと感じていた・・・。
尾ひれ

噂というのは尾ひれがつくものである。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
広く遠くへ伝わるほど事実とは異なり、時には噂が噂に留まらなくなる。
前話ラスト、大柄の美人は目処が付きました。
ですが、猫猫はまだ何か足りないと感じています。
前話でも ──
いくら当時の婆さんが美人だったとしても、女神とまで言わしめたのは何だったのか・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第28話
絵はかなり美化されているように見えるが、本当に美化だけなのか・・・。
何か気付いていない事があるのではないか・・・。
答えが出ないまま、猫猫は宴が開催される場所に足を運んだのでしょう。
宴の場所
後宮の北側にある荒れた桃園。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
近くには古い廟のような建物。
そして池。
※廟(びょう):祖先の霊を祭るところ
ここが、今回宴が催された場所ですね。
初めて描かれた場所ですが、猫猫が普通に来れたのだから当然後宮内です。
原作によると ──
面白いことに、以前宴に使われた場所は、後宮内にあった。その当時はまだ、後宮は今ほどの規模ではなく、今使われている後宮はあとから増築した部分である。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
当時は後宮の外にある遺跡跡を使いましたが、今は増築した後宮敷地内にあり、猫猫も足を運べたのです。
その後 ──
昔この辺りに他の民族が住んでいたそうで、残された建物や外壁、地下水路は今もそのまま利用されているという。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
アニメのセリフに続きます。
つまり、何もない場所に都と後宮を造ったのではなく、都は遷都。(28話 )
後宮も既に建物等があった場所を後宮としたのです。

古い遺跡、そのままの建物と地下水路…
ミステリー好きだと、ワクワクする設定(苦笑)
ところで・・・
後宮の北側と言えば ──

中級妃・静妃の死体が見つかった場所ですね。(27話 )
死体が見つかった場所の近くで、宴を開いて問題ないのでしょうか?
その疑問には原作で言及されていました。
ちょっと前に北側で死体が見つかったという話については、内密にしていたのでよかった。変な噂が立ったら面倒だったろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
どこまで内密にしていたかは不明ですが ──
中級妃・静妃の死体が北の森林に埋まっていたことは、公表していなかったのです。
だから今回、変な噂が立つこともなく、問題なく、宴がこの場で開催できたのです。
猫猫は、(何か用事があったか、下見に来たのかは分かりませんが)宴が開かれる場所に来ていたのです。
考察というより、想像ですが・・・。
もしかすると ──
この時点では、まだここで宴をやると決まっていなかったのかもしれませんね。
宴には、特使の護衛や、官の者、後宮に入れない者達がいるので、最初は後宮の外で予定されていたのではないでしょうか。
ところが、猫猫がこの場所でないと「50年前の月の精」は再現できない、と壬氏に進言した。
そこから、本来男子禁制の宮に今回だけ入れるよう調整、普段使われていない場所を整えるのに時間がかかったのではないでしょうか。
つまり猫猫がこの時この場所に来たのは ──
何か用事があったわけでも、会場の下見に来たわけでもありません。
月精の完成にまだ何か足りないと感じ、50年前に宴が開催された場所に何か手がかりがないか探しに来ていたのではないでしょうか。
そこで子翠に声をかけられたのです。
子翠と虫
猫猫も夜、見においでよ。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
月明かりにふわふわ輝いて桃源郷にでも迷い込んだ気分になるんだから。
子翠の何気ない虫語りに、足りない何かが分かった猫猫。
そうです。
ここは、やり手婆が踊った舞台と同じ場所。
50年前の宴では、この蛾が・・・いや、ここにしかいない蛾が一役買っていたのです。
蛾の採集に小蘭まで駆り出しているのが面白い。
1期、青薔薇を作るときも小蘭が手伝いに来ました。(22話 )

猫猫は、お目付役か?とうがった見方をしていましたが、虫を怖がる宦官よりも小蘭の方が役に立っていましたね(笑)。
今回も、応援は宦官よりも小蘭の方が役に立つので頼んだのかもしれませんね。
ただ、小蘭に手伝ってもらうシーンは、原作にはなくアニメオリジナル。
でもしっかりと ──
手伝ってくれた子翠と小蘭にはお礼しなくちゃな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
小蘭の名前も入っていますね。
アニメ制作スタッフ抜かりなし、グッジョブです!
原) 馬車での鑑賞
出席者は馬車の中から宴を楽しむ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
異国の特使を見世物にしない、という配慮でもあるが・・・。
今回の宴は馬車の中から鑑賞。
現代で言うところの、ドライブインシアター!?
面白い試みだと思っていたら、ちゃんと理由があったのです。
でも上記セリフは、何だか少し含みのある言い方ですね・・・。
意図的か、尺の関係かは分かりませんが、アニメは説明が省略されていました。
原作によると、馬車にしたのは ──
蚊遣りが焚きやすく、車内はある程度好きな姿勢ができるので、いつもの宴席よりもいいと言う官もいた。基本、御簾を上げているが、三方に壁があるぶん視線が気にならないのだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
「蚊遣り」とは、今で言う「蚊取り線香」のこと。
夜なので虫が寄ってこないよう蚊遣りを焚くとなると、馬車が都合良かったのです。
その上、演目中、好きな姿勢ができるので楽で良い、ということですね。
この「好きな姿勢ができる」というのが味噌で ──
それに、壬氏たちは妃たちを見世物にするような真似をしようとは思わないので、当て馬にする気はない。馬車に御簾をかけたのも、玉葉妃の体型を隠すためだけでなくそのような意味もある。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
特使がライバル視、いや下手したら見下している上級妃を見世物にしない為にも、馬車の方が都合が良く。
同時に、玉葉妃の膨らんできたお腹を見られない対策でもあったのです。
お見事!
特使の目的

それにしてもよく似ているな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
同じ祖父を持つ従姉妹だと聞いたが、双子みたいだ。
そっくりな二人は、双子でも姉妹でもなく従姉妹。
今日、皇弟様はご欠席とか。
by 姶良『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
ぜひ、お会いしたかったです。
皇帝の弟は、今回欠席。
明言されてはいませんが、皇帝の弟は ──
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
特使の本当の目的は、皇帝とその弟。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
2人の寵愛を受け、婚姻関係を結びたいという政治的思惑があるのだろう。
特使達の狙いは妃の座!?
この言葉だけで決めつけるのはどうかと思いますが・・・。
でも、我らが猫猫さんの推理です(笑)。
確かに帰り際 ──
すぐに皇帝から声がかかるかもしれないわよ。
by 姶良『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
と、赤特使が言っていたので、(少なくとも皇帝を狙っているのは)あながち的外れではない気がします。
最終目的ではないかもしれませんが、目的の一つではあるのでしょう。
そもそもあの2人は祖父が見たという絶世の美女になど興味がないのかもしれない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
この世に自分達以上の美人はいない、そう自負しているのだ。
「自分達以上の美人はいない」
となると、「月の精」を要望したのは、見たいという意味ではなく・・・。
自分より美しい人がこの国にはいるか? という問いなのかもしれませんね。
自分は、この国の誰よりも美しい。
だから娶りなさい、という意味の・・・。
となると ──
このぶんでは、四夫人に鏡を贈ったのも挑発のつもりなのかもな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
玻璃製鏡を贈ったのは、特使と自分どちらが美しい?という挑戦状でしょうか・・・。
この特使は、上級妃たちですら下に見ているのです。
おそろしや・・・。
アニメでは、帝の前まで行った特使は、もう一人の特使に注意されあっさり戻ります。
が、原作では ──
赤い髪飾りの特使は、不機嫌そうな顔をしたが、青い髪飾りの特使になにやら耳元で囁かれると、おとなしく元の馬車に戻った。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
(なにを言ったんだか)
青特使が赤特使の耳元で囁いて、やっと戻る気になったのです。
一体、何と囁いたのでしょうか・・・。
原) 種明かし
あれは皆に見せる代物ではない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
傾国、まさに国を傾ける破壊力がある。
てっきり、壬氏様版「月の精」をここぞとばかりに皆に魅せ付けると思っていました(笑)。

うん、そう思ってた…
そういや、性別関係なく見せてはいけない存在でしたね(苦笑)。

この3人だけで良かった。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第17話
もし誰か別の者がいたら、大惨事だった。
1期、口紅を塗っただけで村の1つや2つ滅ぼしかねない破壊力だ、と言っていました(苦笑)。(17話 )
本気で女装した壬氏様の姿を見たので ──
── できるだけのことはやりました。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
あ・・・、まあそういう反応になるわな。
さすがの高順も平静を保てず・・・。
原作では ──
猫猫はそっと奥を見た。そこにいる人物を見ると、急激に身体中の血が引いていくのがわかる。高順の顔色の悪さの理由が存分にわかった。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
女性の猫猫ですら、美しいという表現を超越した、この世の物ではないものを見たような衝撃を受けていたのです。
しかし、特使だけにあの光景を見せるのは苦労した。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
では、一体、どのようにして特使二人だけに見せたのでしょうか。
まず前段。
アニメでは一切説明せずに、絵だけで描写。(分かると言えば分かります(苦笑))
宴が終わると主賓が先に席を立つ。今回は馬車を宴席として利用したため、そのまま移動する。退出とともに、音楽が流れ始めた。主賓が席を立ち、見えなくなるまでほかの者は退出してはいけない。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
宴が終わると、今回の主賓である特使の馬車が先に退席。
他の者達は、特使の馬車が完全に見えなくなるまで退席してはいけない。
結果、特使の馬車だけが単独で走り、宴の会場からは柳の木々に隠れる死角で猫猫は仕掛けたのです。
猫猫たちの存在に特使たちは気が付いた。そしてただの下女かと一瞥したときだった。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
道の傍らにいる猫猫に気付いた特使達。
つまり、猫猫は、特使が自分を認識、あるいは自分と目が合った瞬間、壬氏にかけていた黒い布を剥ぎ取ったのです。

暗闇の中で黒い布を剥げば、突如現れたように見えるでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
原作では ──
特使が猫猫を視認した途端に始めたので、実は馬車はまだ少し走り続け猫猫と壬氏の傍を通り抜けます。
そこから壬氏は、少し歩いて移動します。
(舞台まで)移動するのは壬氏1人(という段取りだったのでしょう)。
そこで猫猫が手を離そうとしたのに、壬氏は猫猫の手をギュッと掴んできたのです。
だから ──
この野郎・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
仕方なく、目的の場所まで壬氏と一緒に歩く猫猫・・・。

おお、そういうことか!
ここ、よく分からなかったんだよ(苦笑)

慣れない女装に、失敗できない重圧
手を離さなかったのは不安だったからかな…

おおっ、その解釈いいかも
そりゃあ不安だよね!
では、なぜ原作では壬氏は移動したのか?
それは、蛾を集めるためです。
歩く度に舞うひれに、白く淡い光が集まってきたのです。
数十、数百の淡い光が猫猫と、人ならざる美しさを持つ美人を取り囲む。 路 を渡り、池の前に立ったとき馬車が止まった。馬車から身を乗り出して、特使たちはこちらへ向く。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
ようやくそこで、握っていた手が離れた。猫猫はゆっくりと後ろへ下がる。
つまり、特使に見つけてもらうために馬車が通る道の脇で待機。
月の光が池に反射し上下から蛾が光を浴びる最高の舞台となる池の前まで移動すると同時に、蛾が集まる時間を稼いだのです。
演出がお見事!

スゴッ!
御者にはあらかじめ、こちらを見ないよう言い含め。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
何かあっても、すぐ飛び出せるよう、高順様達がそばで待機していた。
馬車を引く業者にも見せなかったのです。
確かに、アニメでも業者は後ろを向いていましたね(笑)。
そして最後は・・・。
重い衣装のまま対岸まで泳いで頂いて。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
壬氏は、後ろの池に飛び込みフェードアウトし、対岸まで泳いだのです。
原作では、最後に花びらが舞い、気が付くと天女はいなくなり白いひれがふわりと地面に落ち、淡い光も散り散りになっていきます。
恐らく、手動で花びらをまき特使の気を逸らし、その間に池に飛び込ませたのでしょう。
まさにマジックショーですね(笑)。
それと、もう一つ。
衣装を着て泳ぐなんて大変だと思いませんか?
しかも特使に見つからないよう泳ぐなんて・・・。
その点も、原作は抜かりなく ──
十二分の働きだったろう。重い衣装をつけたまま、池の底を這って対岸まで行く。よほど、体力がないとできることではない。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
なんと、壬氏様は、泳いだのではなく池の底を這って対岸まで行ったのです。
そりゃあ、上から見えないはずですね(笑)。
先ほどまで、こちらの国の言葉で話していた赤い特使。
猫猫に母国語でまくしたてます。
よほど動揺したのでしょう。
つまり、壬氏様による「月の精」は上手くいったのです。

大成功だよ
やったー!
雄の習性
何より、その蛾が決め手です。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
淡い光の正体は、蛾の成虫。

虫の中には異性を呼ぶために匂いを発するものがいる。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
匂いにつられて来た雄が婆の周りに集まって、光をまとって舞う月の精に見えたわけだ。
では、猫猫達は一体何をしたのでしょうか?
「羽化したらすぐ交尾する?」
「雄雌の区別できる?」
という質問は何だったのでしょうか?

分かった?

雌雄の区別は分かるけど、羽化したらすぐ交尾ってのが今一…

じゃあ解説するね

よろしく!
そんなに難しい事をやったわけではありませんが、アニメは先の一言だけで説明が終わり、少し分かりにくいですよね。
猫猫達が何をやったのか、順に説明します。
まず、子翠に蛾をオスとメスに分けてもらいます。
次に、壬氏の衣装に匂いを仕込ませます。
衣装に染み込ませたのは蛾のメスの匂い。
以上で、準備は完了。
本番。
壬氏の黒い布を取った瞬間に、虫かごに捕らえていた蛾のオスを放つ。
放ったオスの数は数十?数百?(と原作には描かれています)
この蛾は、メスがオスを匂いで呼びます。
それで、メスの匂いがする壬氏に一斉に近寄ってきたのです。
つまり ──
ねえ、この蛾の雌雄の区別ってできる?
── 大体ならできると思うけど・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
オスとメスに分けたのは ──
まずメスは、衣装に匂いを染み込ませるため。
メスの匂いに寄っていくのはオスです。
オスの蛾を大量に放つ必要があったので、仕分けしてオスだけ集めておきたかったのです。
この蛾って羽化したらすぐ交尾する?
── するんじゃない?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
「羽化したらすぐ交尾する?」とは ──
交尾の時期でないとメスに寄っていきません。
羽化したらすぐ交尾すると分かったから、成虫だけでなく羽化前のサナギまで集めて、大量の蛾のオスを確保できたのです。
このようにして、神秘的な月精を作り上げたのです。
ただでさえ化粧と女装をしてこの世のモノとは思えない壬氏様。
幻想的な淡い光で演出し、出現と退場の仕方もイリュージョン。
あらゆる面で、ファンタジーでミステリアスな舞台(現象)だったので ──
ディアーナ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
現実とは思わなかったのかもしれないですね、特使達は。
月の女神の名・ディアーナと言った猫猫の言葉を信じてしまうほど・・・。
次なる手
特使に見せた「月の精」は大成功。
部屋に戻った特使は、まさに悔しそう。
となると「月の精」は、見たいから言ったのではなく ──
“自分より美しい人などこの国にはいない”という自負から出た挑戦状だったのでしょう。
圧倒的な美しさを持った「月の精」は実在した。
特使、特に赤の特使・姶良はプライドを傷付けられたのです。
(猫猫がどうやって知ったか分かりませんが) だから ──
彼女たちの狙いに、妃の座に潜り込むということもあったかと思いますが・・・。
矜持はズタボロでそれどころじゃないでしょうね。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
言い切っていたのでしょう。
部屋に戻った姶良は一言 ──
なら、いいわ。
by 姶良『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
「なら、いいわ」とは?
普通に考えると ──
最初に考えていた手段は失敗したが、まだ別の手段があるから問題ない。
といった感じでしょうか。
自分達が誰よりも美しいと見せ付けることで帝の妃を狙っていたが、美しさ以外の手段がある?
それとも、帝の妃は諦めて、別の手を打つつもりでしょうか・・・。
特使は一体何を企んでいるのでしょうか・・・。
視線の先の箱には何が入っているのでしょうか・・・。

ってか、特使いつまでこの国にいるの??

確かに…
異国の特使は何を企んでいる?
診療所
微熱が出たという翡翠宮の侍女・愛藍の付き添いで、猫猫は初めて診療所へ行く。
水晶宮 侍女頭・杏
水晶宮の中で1人だけ香油をつけていなかった侍女だ。
流行りに敏感な水晶宮で珍しいと思ったけど、1人ぐらいはいるか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
この侍女は、梨花妃がいる水晶宮の侍女頭・杏。
杏は、唯一香油をつけていなかったのです。

おお、謎が解けた!

えっ、何々?
謎なんてあったっけ?
26話、猫猫は、隊商が売っていた香油の種類を確認するために流行りに敏感な水晶宮の侍女達の匂いを嗅ぎにいきました。
そこで、侍女頭・杏の匂いを嗅いだ時、引っかかる反応をしていました。
証拠映像

あっ、ホントだ!
引っかかったのは、杏だけ香油の匂いがしないから。
流行大好き、オシャレ大好きな水晶宮の他の侍女達とは違ったので、猫猫は不思議に思ったのです。
原作では ──
猫猫とて好きでひんむいたわけじゃない。流行に敏感な水晶宮の女官なら、皆、買った香油をつけていると思っていたら、そうじゃない女官がいたのだ。猫猫は不思議に思って、本当につけていないかどうか確かめようとしただけだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
香油をつけていない女官(侍女頭・杏)がいたので ──
不思議に思い、本当につけてないか確認するために服をひんむいたのです。
水晶宮の侍女頭・杏から抗議文が届いてる。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第26話
てっきり、服をひんむかれたのは他の女官達で、水晶宮の侍女を代表して抗議文を出したのだと思っていました(笑)。
原作では、侍女頭・杏自身が、念入りに?調べられたので抗議文をよこしたのです(笑)。
で、結局、本当に香油をつけていなかったので ──
流行りに敏感な水晶宮で珍しいと思ったけど、1人ぐらいはいるか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
猫猫は、1人くらいは、そんな人もいるかと結論付けていたのです。
原作では ──
(まあ一人くらいいるもんか)
by 『薬屋のひとりごと』原作3巻
水晶宮の女官は多い。侍女だけで十人以上、専属の下女を含めたら三十人くらいいるのだ。
深く考えることもなく、猫猫は桜桃を採りに行った。
なんと、水晶宮の女官は30人。
30人もいたら、1人くらい周囲と違う人もいるだろう、と。
でも、気になるのはその後ですね ──
「深く考えることもなく」
ここまでハッキリと書かれると、これは伏線ですね(笑)。
流行りものに敏感な水晶宮で、侍女頭・杏はなぜ香油をつけていないのでしょうか?
水晶宮の侍女頭・杏は、なぜ香油をつけていない?
診療所
診療所です。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
あんな場所があったんですね。
後宮での病院機能はやぶ医者がいる医局だけだと思っていましたが、診療所があったのです。
後宮は、妃と女官が2,000人、宦官が1,000人、合計3,000人の大所帯。
合計3,000人もいるのに、医局がなぜあんなに暇なのか不思議でした。
医局は、大ケガや薬が必要な症状のみ。
それ以外、軽度のケガや病気は診療所が対応していたのです。

だからあんなヤブでも、もっていたんだね

ヤブ…
ん?
診療所と言えば・・・。
水晶宮で聞きましたね。
杏様、診療所からの言づてです。
by 思思(侍女)『薬屋のひとりごと』TVアニメ第26話
(先ほど出てきた)水晶宮の侍女頭・杏が診療所からの言づてを受け取っていました。(26話 )
『薬屋のひとりごと』では診療所なんて聞いたことないので、何のことだか分かりませんでした。
診療所とは、ここのことだったのです。
色々繋がってきましたね(笑)。
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
26話、上記セリフの少し前 ──
梨花妃はお腹をさすっていました。
香油をつけていない侍女頭。
診療所からの言づて。
診療所は、薬の調合はできない・・・。
それは薬だね。
さっきの下女から薬の匂いがした。あの下女、隠れて薬を作ってるね?
by 深緑『薬屋のひとりごと』TVアニメ第29話
※診療所の女官の名前はEDのCASTより
今話ラスト、猫猫の薬の調合が見つかってしまいました。
次話、(予告によると)水晶宮へ。
何となく、見えてきましたね(笑)。
診療所のおばさんも、水晶宮の侍女頭・杏も悪い人ではない気がしてきました・・・。

あっ、何か分かった顔!

アニメはヒント出しすぎかな…
おわりに (『薬屋のひとりごと』29話とは)
『薬屋のひとりごと』2期が始まり、アニメ鑑賞後(アニメ化された部分の)原作を読んでる時、ずっと気になっていたことが今話で解消しました(笑)。
原作小説3巻の表紙、手前は猫猫だと分かりましたが、奥の人は誰だろう?と思っていました。

てっきり特使かと思ったら全然違うし、新キャラ?
でも全然出てくる気配なし・・・。
どう見ても高貴な方だから、上級妃が変わる!?いやそんな展開は(まだ)ないだろうから、阿多妃再びか!? それとも、どこかの国の妃が出てくるのかと思っていました(笑)。
壬氏様だったとは・・・。

キャラデザ違うので全然気付かなかった(苦笑)

こっちの壬氏様もキレイ!
さて、プライドを傷付けられた特使はどう出るか?
診療所の女官に薬の調合を気付かれた猫猫は問題にされるのか?
という含みを持たせておいて、次話は水晶宮!?
いや、それはそれで楽しみ!
今話後半は、状況整理とこれまでの振り返りのようなシーンがあったので、アニメオリジナルかと思いましたが、原作通り。
2期に入り、大きな物語が動き出す準備段階とみるのは考えすぎでしょうか。
ここまでは、2期のプロローグだと捉えるのは言い過ぎでしょうか。
そんな構成すらあり得てしまうのが『薬屋のひとりごと』。
2期も1期同様全24話の2クール。
まだまだ始まったばかりの物語の幕が遂に上がるのでしょうか・・・。
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第29話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。

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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 29-01 異国の特使は何を企んでいる?
- 疑問 29-02 水晶宮の侍女頭・杏は、なぜ香油をつけていなかった?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
- 疑問 20-01 なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
- 疑問 20-02 壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
- 疑問 20-03 楼蘭妃は、なぜ訪れる度に雰囲気が変わる?
- 疑問 21-01 やぶ医者より先に後宮へ来た姉は、今どこにいる?
- 疑問 21-02 先の皇太后は、なぜ木の伐採に制限をかけた?
- 疑問 22-01 猫猫は、なぜ爪紅を流行らせた?
- 疑問 23-01 賭け対象にした「妓女の身請け」の狙いは?
- 疑問 23-02 羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
- 疑問 25-01 楼蘭妃は、なぜそこまで侍女を増やす?
- 疑問 25-02 子猫はどこから来た?
- 疑問 26-01 水晶宮侍女頭・杏が受け取った言づてには何と書いてあった?
- 疑問 26-02 キャラバンは、なぜ妊婦に影響のある香油と香辛料ばかり売っていた?
- 疑問 27-01 結局、玉葉妃に毒を盛ったのは誰?
- 疑問 28-01 異国の特使は、なぜ上級妃4人に鏡を献上した?
- 疑問 28-02 高順が相談した姉妹とは誰のこと?

1期の残が多いので、時間あるときに整理します
今週のX感想ポスト
#薬屋のひとりごと 29話
— 時文@ここアニ(『チ。』『薬屋』レビュー中) (@toki23_a) February 8, 2025
火のない所に煙は立たぬ
根拠なければ噂は立たぬ!?
大々的に見せつけると思いきや..
クローズドは勿体ない気もするが…彼の人を表に出せば国が傾く。こっそりひっそり特使狙い撃ちマジックショー😆さて特使どう出る?
にしても祭事場に診療所、どんだけデカいんだこの後宮😅
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アニメ『薬屋のひとりごと』次話のレビューはこちら!
