こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『サマータイムレンダ』第25(最終)話「ただいま」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作コミック情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今話の原作
今回アニメ化されたのは、原作コミック最終13巻「ただいま」の終盤から最後まで。
全13巻が見事2クールで余すことなくアニメ化されました。
お見事です♪
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレはありません。
アニメ感想
+
原作コミックを読んで分かった情報を加味して「解説・考察」
私は原作コミック未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって・・・次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
全25話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 周目 | 原作 |
第13話 | トモダチ | 5 | 7巻 |
第14話 | to be/not to be | 6 | |
8巻 | |||
第15話 | ライツ カメラ アクション | 7 | |
第16話 | オリジナル | ||
9巻 | |||
第17話 | 決断 | ||
第18話 | 対面 | ||
10巻 | |||
第19話 | メイドインブラック | 8 | |
第20話 | All is (not) lost. | 11巻 | |
第21話 | 網代慎平の一番長い日 | 9 | |
12巻 | |||
第22話 | 帰還 | ||
10 | |||
第23話 | 常夜 | ||
13巻 | |||
第24話 | Summertime re-rendering | ||
第25話 | ただいま | - |
※ 話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
7月22日。
小舟潮から電話があり、故郷である日都ヶ島へ戻った網代慎平。
慎平は、2年ぶりに戻った島を懐かしむ・・・とは違う感覚に戸惑っていた。
ようやく会えた、会いたかった人に。
ようやく言えた、言いたかった事を。
彼女は潮かウシオか?
潮にウシオの記憶が入っただけか?
慎平と潮(ウシオ)、ループ能力を持つ者だけに残る僅かな記憶。
まるで、夢を見たように詳細を思い出すことはできず。
だけど、今すぐ会いたい、会わなくては。
そんな気持ちがあふれ出てきて抑えられない・・・。
この記憶は何なのか。
この感情は何なのか。
不安に駆られるも、再会が全てを解決する。
前話で全てを終わらせ、エピローグのはずなのに。
『サマータイムレンダ』だけに、何か起きるのではないかとドキドキ(笑)。
その心配は杞憂に終わり、無事に終了。
これ以上ないくらいのハッピーエンド!
実は、該当する原作部分は僅か30ページ。
アニメオリジナルシーンたっぷりの最終話でした。
では、最終話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第25話「ただいま」
辿り着いた世界
慎平が目を覚ますと、そこは7月22日、フェリーの中だった。
慎平が目覚めたのは夢か現実か。
ヒルコを消したが、ここは影のいない世界か、元の世界か。
フェリーの中なら1周目に戻ったのか、それとも11周目なのか。
シデを倒し300年前のヒルコを消し、全てを終わらせたウシオと慎平。
前話ラスト、ウシオが消えてしまったのは理解できましたが、慎平が目覚めた世界がどこなのか分かりませんでした。
今話を観ていくと、徐々に判明。
先に最終話の舞台を整理しておきましょう。
- ここは影のいない世界?
- ウシオが録音した、ひづるへのメッセージはどうなった?
- ウシオは、慎平をいつへ戻したのか?
- ここは1周目なのか?11周目なのか?
基本的なことですが、この辺を理解しておかないと訳が分からなくなってきます。しっかり押さえておきましょう!
影のいない世界
こいつが、ここへ流れ着く限り、その子を消しても、また同じ事が繰り返される。
消さなあかんのは、こっちのヒルコや。by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第24話
前話、シデを倒し、300年前のヒルコを消したウシオ。
300年前のヒルコが消えれば、現在のヒルコ&ハイネも消える。
ヒルコが消えれば、全ての影は消える。
ここで、リュウノスケも消えてしまいました。
多少の時間差はありましたが、300年前のヒルコを消した瞬間、他の影も消えてしまうのです。
恐らく、この瞬間、島にいた影も全て消えてしまったでしょう。
普通なら、これで「影のいない世界」となります。
でも、影であるウシオはまだ消えませんでした。
なぜウシオは、すぐに消えなかったのでしょうか?
それは、前話でも書いたように、まだウシオには役目が残っていたからだと思われます。(24話)
ウシオが慎平に目を渡さないと、慎平はアッという間に死んでしまい、この時いた世界が成立しないのです。
だから、ウシオだけは消えずに、多少の無理ができたのではないでしょうか。
ウシオは7月21日に戻り、ひづるのスマホにメッセージを残す。(24話)
続いて、2周目、3周目終了直後の慎平を見つける。
前話ラストのウシオのシーンから推測すると──
ウシオは、2周目、3周目終了後の2度に渡って接触したのではなく、1度しか接触してないということですね。
慎平!
気を付けて・・・。夏・・・みんな・・・。
・・・慎・・・澪のこと・・・守っちゃってね。
by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第2話
比較すると、ウシオは同じセリフを言ってます。
慎平!
気を付けて、力には限りがある。夏祭りにみんな死ぬ。
止められるんは、慎平だけ!
澪のこと、守っちゃってね。by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第5話
ウシオは一度しかメッセージを伝えてないのです。
慎平がハイネの右目の徐々に慣れていき、二度目はウシオの声がはっきりと聞こえたということでしょう。
最後に7月22日へ行き、慎平に右目を渡す。(24話)
ちゃんと私のこと、見つけてよ。
澪のこと、守っちゃってね。ほなな、もう行くわ。
辿り着いてね、この結末に!
最後の最後に、みんなが待ってるよ。
私が・・・待ってるから!by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第24話
ウシオが慎平にハイネの目を渡した瞬間、10周目までの世界を確定させた慎平の力が備わり条件が整いました。
この直後、ウシオも他の影同様消えてしまったのでしょう。
ウシオが慎平に目を渡すまでは、この世界は「影がいた世界」。
慎平に目を渡したのですから、これは1周目の冒頭。(1話)
そして、ウシオが慎平に目を渡した瞬間、因果が繋がり、300年前のヒルコを消した結果として、最後に残った影であるウシオも消えてしまったのです。
同時に、世界が「影のいない世界」に再構築(リ・レンダリング)されたのではないでしょうか。
これで、完全に「影のいない世界」となったのです。
影(ウシオ)の力で影(ヒルコ)を消す。
ウシオは元々、ヒルコの一部です。
ならば、「親殺しのパラドックス」が起きる気がしますが(苦笑)。(12話)
少し時間差を設けることで不自然さをなくしているのが上手いですね(笑)。
ひづるへのメッセージは消えた世界
前話ラスト、アニメではセリフがカットされてますが、ウシオはひづるのスマホにメッセージを録音します。
南雲先生、聞こえますか?
今、日都ヶ島で大変なことが起きてます。- 中略 -
慎平を助けて下さい!
先生の力を貸して・・・お願いです、どうか──※アニメでは映像のみセリフはカット
by ウシオ『サマータイムレンダ』コミック13巻
元はと言えば、ひづるはウシオのメッセージに好奇心を持ち、島へ戻ってきました。(20話)
あとは、概ね報告通りだ。
そこら中にいるよ・・・まったく。しばらくは様子を見る。
by 南方 ひづる『サマータイムレンダ』TVアニメ第2話
3周目、ひづるが言ってた「報告通り」。(2話)
事前に調査していたわけではなさそうなので、根津の報告(手紙等)だと思ってました。
が、もしかすると、報告とはウシオのメッセージのことを言っていたのかもしれないですね。
ひづるが好奇心に駆られたのは、影のことだけではありません。
ひづるの正体(南雲竜之介)を知っていた上に、ハイネとの関係も知っているかのようなメッセージの内容だったから。
だから、全く帰る気がなかったのに、14年ぶりに戻ってきたのです。
でも、今は「影のいない世界」として再構築(リ・レンダリング)された世界。
影がいなけりゃ、こんなメッセージを聞いても、ひづるに思い当たる節はない。
いや、そもそも、メッセージも届いてないような様子・・・。
ひづるの性格です。
メッセージが録音されていれば、ウシオに確認します。
「影のいない世界」では、ひづるは既に潮とも顔見知りの様子。
朝子や、竜之介とその子供にも親しく接しています。
きっと、14年ぶりではなく、島にちょいちょい戻ってきているのでしょう。
だとすると、ウシオのメッセージを聞けば、どこかで聞いた声だと分かるはずです。
すぐにとは言わないまでも。
ならば、ウシオに確認したでしょう。
そして、ひづるのことです。
慎平から聞いた不思議な記憶と繋げるでしょう(笑)。
そのことを持ち出さない=ひづるのスマホにウシオのメッセージは録音されてない、ということではないでしょうか。
ただ「影のいない世界」では、ひづるの中にリュウノスケは存在しません。
そもそも、スマホにメッセージを録音するという習慣がなくなったかもしれませんが・・・。
ひづるが、メッセージに触れてないということは、メッセージは録音されてなかったのでしょう。
では、ウシオが録音したメッセージはどこへ行ったのか?
それは、「影がいる世界」のひづるに届いたのでしょう。
300年前から「影のいない世界」として再構築された世界では、影であるウシオは存在していません。
結果、ひづるのスマホにメッセージが録音されることはないのです・・・。
では、今回は、メッセージもないのに、なぜ戻ってきたのでしょうか?
取材と休養を兼ねた和歌山だったが、しかし思わぬ収穫だ。
by 南方 ひづる『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
単純に、休養で帰郷したのであり、慎平と同じフェリーに乗ったのは偶然ということ。
ま、神様(原作者・田中靖規先生)の粋な計らいですね(笑)。
え?何の計らいかって?
そりゃあ、慎平に再び胸ダイブ・・・失礼、感動の再会を演出するためですね。
慎平を最初の時間へ
慎平は帰らなあかん!
みんなが待ってるよ!心配いらんっ。
私がちゃんと2018年に帰しちゃるから!by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第24話
男前なウシオさん(笑)。
(少し決心が揺らいだようですが)自分は消えてしまうが、慎平を2018年と宣言する。
てっきり、常夜へ行ったあの時間に戻すのかと思ったら、戻したのは7月22日。
そりゃあ、そうです──
オレの右目も、もう普通の目や。
体に戻っても、オレは死ぬ・・・。by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第24話
シデとの戦いで、慎平の体はボロボロ。
左手は切り落とされ、体の崩壊も始まっていた。
直前に戻したら、慎平が言うように、すぐに死んでしまうのです・・・。
覚醒したウシオは時間と空間を自由に操れる。
ウシオは、慎平をまだ何も起きてない、スタート地点の7月22日に慎平の意識を戻したのです。
「影がいない世界」ならば、7月22日、いやその前から世界は大きく変わってしまっているでしょう。
ならば、潮との再会を最初から・・・。
2年ぶりに故郷へ戻った7月22日からやり直してくれる優しい配慮。
ウシオの粋な計らいに見えますね。
ただ、ヒルコが消え観測者の力を失った慎平は、記憶を持ち越すことができなかったのです。
1周目でも11周目でもない
となると、最後の疑問「ここは1周目なのか?11周目なのか?」は自ずと解が見えてきます──
1周目、11周目とは、慎平が観測者となってループした世界のこと。
この世界は、300年前のヒルコを消し「影のいない世界」として再構築した世界。
よって、1周目でも11周目でもないのではないでしょうか。
同じように見えますが、全く新しい世界に、慎平は飛んできたのです。
正確に言うと──
ウシオが慎平を戻した瞬間はまだ「影がいた世界」。
慎平の観測者としての制限──確定した時間を遡ってやり直すことができない──7月24日夕方を超えて、7月22日11時に戻した。
この7月22日は、まだ慎平には何も起きてない日。
1~10周目、全てのスタート地点なので、1周目とも11周目とも言えるのです。
ところが、ほぼ同時に、世界は「影のいない世界」に再構築された。
結果、何周目でもない新たな7月22日に慎平は戻ってきたのです。
7月22日 帰郷
7月22日。故郷へ戻ってきた慎平。2年ぶりに戻ったのに、つい最近戻ったような感覚を感じていた・・・。
これまでの記憶は消え・・・てない!?
なっ南雲先生!?
い、生きてる・・・。by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
慎平が戻ったのは、7月22日で、記憶も残っている!?
でも、ひづるは慎平のことを覚えてない!?
いや、ひづるはループしてないのだから、当然か(笑)。
と、ワクワクドキドキしながら観ていると──
オレは2年ぶりに、この故郷に帰ってきたんやけど・・・。
あれ?
この景色見たことある。
いや、故郷やから当たり前やけど・・・なんか・・・つい最近?あの人が南雲竜之介だってことも、なんで知ってるんだっけ?
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
もし「影がいた世界」の記憶が残っているのなら、慎平はループをして、日都港から眺めるこの景色を何度も見ているのです。
そりゃあ、つい最近見たと思うのも無理はない!?
慎平には、おぼろげながら記憶が残っているが、その記憶に確固たる認識がないのです。
観測者としての力を失ったからか、それとも「影のいない世界」が再構築された影響でしょうか。
なんとなくといった、感覚だけが残っているのです。
何も変わってない日都ヶ島
和歌山県和歌山市、紀淡海峡に浮かぶ「日都ヶ島」。
後ろに見えるのは淡路島だ。面積5.3キロ平方メートル、人口はおよそ700人。
特産品は、よもぎ餅とイカの塩辛。
観光と漁業でなりたつ、小さな離島。オレは2年ぶりにこの故郷に帰ってきた。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
1話では「後ろに見えるのは淡路島だ。面積5.3キロ平方メートル」との説明はありません。(1話)
が、それは、アニメでカットされただけです。
原作では、どちらのセリフも同じです。
よって、慎平は1話と全く同じセリフを言っていると解釈して問題ありません。
ここは「影のいない世界」として再構築された現実。
だけど、島の様子は変わりないようです。
私は、影がいなければ、その変化は島の人口に現れると思ってました(笑)。
シデは言ってました(18話)──
その伝承、そこの件は誤りですね。
島民を何百人か影に変えただけですよ。
影やったら漁師でなくとも魚を捕れる。
飢えた人を救うことができる。日都ヶ島が今あるのは私のおかげなんですよ。
by 雁切 真砂人『サマータイムレンダ』TVアニメ第18話
クジラが島へ漂着した時、島民を何百人も影に変えた(食べた)と言ってます。
ここ数ヶ月、夏祭りに向け要員確保のために、人を食べまくっていました。
それ以前に食べた人もいれば、本来影に殺されてなければ生まれた子供もいたはず・・・。
「影のいない世界」であれば、影の影響で亡くなった人達が生きていて、子供も産まれただろうから、それが人口に現れてくるはず・・・。
一方で、先のセリフで、シデは今の日都ヶ島があるのは自分がいたからとも言ってます──
日都ヶ島が今あるのは私のおかげなんですよ。
by 雁切 真砂人『サマータイムレンダ』TVアニメ第18話
信じたくはないですが、シデがいたから島の人達は飢餓を乗り越え生きられたと言うのです。
影のせいで人口は減ったのか、影がいたおかげで人口は増えたのか。
でも、結果は、700人で変わってない。
どうして人口に変化がないのでしょうか・・・。
ん?
もしかすると・・・逆!?
日都ヶ島の人口が変わってないことで示しているのかもしれません──
影の影響により、人口の増減がなかったことを・・・。
「影がいた世界」と「影のいない世界」。
どちらであろうと、日都ヶ島の人口は変わらなかった、と言う仮説が成り立つか考察してみましょう。
影の影響で、人口に変化が現れる要素は大きく二つあります。
- 日都ヶ島へ流れ着いた時の大量消費
- 普段の食餌
➊ 日都ヶ島へ流れ着いた時の大量消費
真砂人曰く「島民を何百人か影に変えただけ」──影(クジラ)が島へ漂着直後、波稲だけでなく何百人もの島民を食べていた・・・。
影がいなければ、その人達は生きていて子供もできたでしょう。
ならば、「影のいない世界」の300年後である現在は、もっと人口が増えているはずでは?
そうならないのは、真砂人が次に言った言葉「影やったら漁師でなくとも魚を捕れる。飢えた人を救うことができる」が鍵?
影のお陰で飢えた人を救えた。
逆に言うと、影がいなければ、島民は飢餓でもっと死んでいた・・・。
事実、ヒルコが現れる前、島民が飢えで死んでいた事実は、波稲も証言しています(14話)──
飢えでぎょうさん死んだ・・・
大人が死んで・・・魚も獲れんようなった・・・
夏になったら、お父もお母も兄弟も・・・みんな死んでもうた・・・by ハイネ『サマータイムレンダ』TVアニメ第14話
つまり、影がいたら影に食べられ死に(ただしその後、飢えはしのげた)。
影がいなければ、飢えで死んでいた。
「影がいた世界」 「影のいない世界」
影に殺された人数 = 飢えで死んだ人数
ということではないでしょうか。
➋ 普段の食餌
島へ漂着した直後、何百人もの島民を食べたヒルコ。
その後も食べ続けたのではないかと推測。
ならば影がいなければ、食べられないので、人口が増えたはず。
ところが「影のいない世界」でも人口は増えてない。
ヒルコ様をずっと世話してきた菱形家。
その一人である朱鷺子は言ってました(12話)──
年に平均4人、日都ヶ島では死人が出ます。病気や事故で。
もう分かりますよね?
そうした死人をウチは、ずっと彼女に与え続けているんですよ。by 菱形 朱鷺子『サマータイムレンダ』TVアニメ第12話
病気や事故で年に平均4人ほど死人が出る。
それをヒルコ様に食餌として与えている。
逆に言うと、ヒルコ様に生きている人は与えてないとも取れるのです。
普段は、輸血で衰弱を防いでいるようでした。
実は、ヒルコの為に余計な殺しはしていないのではないでしょうか?
◇◇◇◇◇
以上、➊➋の考察を見てお分かりのように、「影のいない世界」になっても日都ヶ島の人口が変わってない理由は、説明が付くのです。
常夜でのリュウノスケのセリフを思い出します──
僕を食べたんはヒルコやし、あいつはそういう生き物ってだけ。
悪いんは、それを利用してるシデや!by リュウノスケ『サマータイムレンダ』TVアニメ第23話
影は人を食べなければ生きていけない。
影が人を食べるのは、生存本能、そういう生き物なのです。
では、仕方ないのか?
影を消さなくても良かったのではないか?
というと、また違いますね。
300年前、何百人もの人を食べたのは、回復するため。
ここ数ヶ月で、密かに島民を影に入れ替え、夏祭りで「最後の食餌」をしたのも回復するためです。
ただ、ここ数ヶ月で大量消費したのは、シデが自身の願いを叶えるため。
故郷へ帰るのに、ヒルコの力を完全回復させる必要はありません。(23話)
シデの欲望を叶える為に、人の命を犠牲にしていたのです。
だから、シデが悪いと、リュウノスケは断じているのです。
落ちない澪
冒頭、フェリーでひづるが生きているのを確認できたのは嬉しいですが、この時点では、ここが「影のいない世界」だとは確定できません。
が、澪の登場で、明らかにこれまでとは違う世界だと分かります──
おーーい!
おかえり慎ちゃん!長旅お疲れさまぁああ~~
by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
このシーンは、何度も観て、慎平でなくても覚えています!(笑)
が、澪の自転車のブレーキは壊れておらず、普通に停止──
何してんの、慎ちゃん。
by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
自転車のブレーキを壊したのは影ミオです。
澪にケガをさせて、病院送りにして入れ替わろうとしていたのです。(2話)
「影のいない世界」では影ミオは存在しません。
影ミオがいなければ、ブレーキに細工はされないのです。
いや、ブレーキ云々より前に・・・。
そもそも、澪が制服ではありません!
スカートではなくハーフパンツです! (←そこっ!?)
これでは、落ちたとしても、あの名シーンに繋がりません! (←あっぽけ)
話を戻しましょう(苦笑)。
思い出して下さい、1話、2話の澪さんを!
今は夏休み。
普通なら、澪は制服を着る必要はありません。
潮の葬儀があったので、澪は制服を着ていたのです。
澪が制服を着てないのは、葬儀はないから。
葬儀がないということは、潮は死んでない。
この時点で、潮が生きていることが示唆されたのです。
ここは「影のいない世界」なのです。
ちなみに、原作では、澪が着ているシャツが、見覚えのある縞パン・・・じゃなくて縞模様になっています。
それは1話から同様です。
縞模様のブルーの部分が、原作では少し太いストライプ。
アニメでは、細い線になっています。
つまり、原作では、澪は(もし縞パンならば)シャツとパンツがお揃いになっているのです!
なんのこっちゃ(苦笑)。
原) 皆無事だったのか?
慎平!
ハグなら、こっちやろ!by 菱形 窓『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
窓の「ハグなら、こっちやろ」というセリフはアニメオリジナル。
確かに、澪の自転車の前に、両手を広げ待ち構えた姿は、ハグを待っているようにも見えますね(笑)。
ならば、窓は、慎平に澪とハグなんてさせまいと、即座に割り込んだのかも!?
などという妄想も膨らみます(笑)。
いいアニオリです!
アニメ制作陣、上手い!
窓&朱鷺子も出迎え。
潮の葬儀がないと、澪だけでなく窓も来てくれたのです。
みんな良かった、無事で・・・。
って、なんで今、こんなに嬉しいのかな・・・。by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
二人の元気な姿を見て喜ぶ慎平。
そりゃあそうです。
10周目終盤、窓と影ミオを残して常夜へ行きました。(23話)
その後、二人の様子は描かれてません。
朱鷺子は、ヒルコ洞侵入途中で、野良影を食い止めるために単独残りました。
根津だって同様です。
皆の様子が分からないままだったのです。
アニメではカットされてますが、原作では、慎平たちが常夜へ行った後の様子が少しだけ描かれています。
最終話を迎えたのでアニメのネタバレにはなりませんが、これから原作を読む方もいるかもしれないので隠しておきます。
続きを読む (クリックして下さい)
窓、みんなを頼む!
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第23話
常夜への入口は閉じ、残された窓と影ミオ。
影ミオはすぐに異変に気付きます──
ヒルコの信号がメチャクチャに乱れてる。
地上が気がかりや、影が暴走はじめても、おかしないで。※アニメでは全文カット
by 影ミオ『サマータイムレンダ』コミック12巻
影が暴走する!?
ヒルコは消えてはないものの、ウシオとシデの最後の一撃で瀕死状態。
影への信号が乱れていたのです。
その時、窓がウシオの髪の毛に気付きます。
その髪の毛は、ヒルコ洞への入口へと続いており──
お姉ちゃん・・・根津さんと別れた時、自分の一部を残してたんや!
髪のバリア!
by 影ミオ『サマータイムレンダ』コミック12巻
23話、常夜で焼夷弾の空爆を受けていた時、ウシオは慎平達を髪の毛のバリアで守りました。
髪の毛を残して、高速回転させて、守る。
それを根津に対してもやっていたのです!
結果、根津も無事。
そこへ、朱鷺子(もちろんギルも!)が駆けつけます!
全員無事に再会し、地上を目指すのです。
地上を目指す方法は・・・どうぞ原作をご覧下さい。
端折って書いたので、詳しく知りたい方は原作を手に取って下さい。
先にも書いたとおり、今話相当分の原作は僅か30ページ。
もしかすると時間を遡って、このシーンが描かれるのでは?と期待してました(苦笑)。
それくらい、窓、影ミオ、朱鷺子がいい味出しているんですよね~~
う~~ん、ここもアニメで観たかった!
いや・・・むしろすごく心配してたような・・・。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
とても心配していた慎平に対し、普段通りの窓たち。
いや、むしろ潮が亡くなったことによる深刻さが全くなくなり。
本当に何のわだかまりもなく、再会を喜ぶ窓達──
この反応を見るに、窓達には「影がいた世界」の記憶は全くない様子。
どうやら、記憶が残っているのは慎平と(後に分かる)潮だけのようです・・・。
ア) 根津夫妻もご健在
殴った~~~!
by 窓&朱鷺子&澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
洋食コフネへ行く途中で潮に会うのは、アニメオリジナルシーン。
何だかんだ言って、オリジナルの潮が登場するのは初!
これまでは、ずっと影のウシオでした。
オリジナルの潮が描かれたのは、回想シーンと潮が録画した映像のみ。
#もしくは遺体(苦笑)
ようやく本物の潮が、生きて現在に登場したのです!
って、記念すべき初登場シーンなのに、これですか(苦笑)。
潮らしいと言えばらしいですが(笑)。
むしろ、ここで注目すべきは、潮と一緒にいた人達。
一緒いたのは、根津夫妻と、宮司の雁切大和。
根津の妻は、影に消され入れ替わっていました(17話)──
ちょうど2ヶ月前や。
こいつァ、ひとりで畑へ出て行って、影になって帰ってきた。by 根津 銀次郎『サマータイムレンダ』TVアニメ第17話
「影のいない世界」となり、根津の妻も生きている世界となったのです。
根津さん、ゴミ拾いに協力したり、奥さんと一緒に外出するのですね・・・。
ごめんなさい!
勝手なイメージで、根津は根っからの一匹狼で、島民に溶け込んでないと思ってました(汗)。
普通に、良い猟師なのです。
ならば、なぜ村に溶け込んでないように見えたのか?
影の影響ですね──
リュウノスケ:根津さんは、姉の影の話を信じてくれた唯一の大人やったからです。
根津:ふん、おかげでワシまで変人扱いされたわい!ま、そういうんは慣れちゃあるけどよ。by 『サマータイムレンダ』TVアニメ第21話
14年前、竜之介が殺された現場に遭遇した時から、根津の人生は変わったのです。
慎平の家は洋食コフネではない
あれ?なんで直でうち?
自分家、先帰らんで良かったん?by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
自分のスマホを見て、初めて親が不在だと思い出すような慎平・・・。
あ・・・うん・・・今日は誰もおらんから──
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
慎平は、明らかに洋食コフネが自分の家だと認識している動きですね(笑)。
このことからも、記憶はおぼろげだが、慎平の主軸は「影がいた世界」と想像できます。
「影のいない世界」の慎平に、「影がいた世界」の慎平の意識と記憶を追記したイメージでしょうか。
ここでの注目は、「影のいない世界」では慎平の両親も生きているということ。
慎平の両親は、ヒルコ洞を見つけ公表しようとしてシデに殺されました。(16話)
影がいなければ、殺されることもなかったのです。
両親が健在なら、慎平は洋食コフネに住む必要がないのです。
両親の健在は嬉しいですが、慎平が洋食コフネに住んでないのは少し寂しいですね(苦笑)。
いや、両親を亡くしアランに引き取られたので、あるべき姿に戻ったのは良いことなのは重々承知しているのですが・・・。
実は、網代家は、小舟家の隣に住んでました!的なオチを期待するのは厨二病でしょうか(笑)。
7月22日 散策
慎平は、島の皆の無事を確認するために島を散策する。
潮だけではなく、皆の為に
「網代くん」にも大いに引っかかったが・・・。
突然の連絡の理由を考えたとき、前の日の変な夢を見ていたことを思い出した。その内容を覚えていないのだが、誰かの声に振りかえると、この島が消えてしまうような不安に駆られた。
皆の無事をこの目で確かめたくて、オレは帰ってきたんだ。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
「はじめに」でも書いたように、今話に相当する原作部分は僅か30ページ程。
半分以上がアニメオリジナルシーンとなっています。
アニオリの大きな要素として、一つは、慎平が島民みんなを大切に思っているのを全面に出したこと。
原作では、島へ戻ってきた理由は、潮に会いたいからと語ってます──
そう・・・帰省のきっかけは、2年ぶりの潮からの電話だった。
このまま帰らないと、潮が東京まで殴り込んで来かねないと思ったから。それもある・・・。
でも、一番の理由は──
会いたくても、もう二度と会えない気がしたから。もう一度、顔を見たい。
ただそれだけ。※アニメでは大幅変更
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』コミック13巻
原作では、慎平は、潮に会いたいから島へ戻ってきたのです。
とても、シンプル!
振りかえると、慎平とウシオが自分の気持ちに気付き正直になっていく物語でもありましたよね。
それは慎平とウシオの二人だけに限りません。影は人の命を奪いましたが、結果的に人々の心に大事な物を残していったのです、なんてね(笑)。
よって、島の皆を心配して、島を散策するシーンは全てアニメオリジナルです。
原作では、慎平は潮only。
アニメでは、潮だけでなく、みんなを心配する。
両方とも「あり」ですね。
ア) コバマート 小早川しおり
今朝からずっとやで。
潮がよぉ、アタシが呼んださけぇ慎平帰ってくるで、って。
5回も聞いたわ。by 小早川 しおり『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
潮&ウシオが必死に守った小早川しおりが・・・戻ってます!
潮が命を賭しても守れなかった、しおり。
ウシオは潮に対して申し訳ない気持ちで一杯でした。(9話)
ごめん潮。
私は、しおりちゃんを守れやんかった・・・私は、慎平と一緒に影をやっつける!
24日の夏祭りから、みんなを救う!
それで、ちょっとは借り、返せるかなあっ!by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第9話
ウシオは、潮が命を賭けてくれたのに、しおりを救えなかったことを悔いてました。
その借りを返すために、影を倒すと誓ったのです。
結果、影を倒し夏祭りの被害を防いだどころか、それまで影に殺された人達をも復活させた。
ウシオは、この時の誓いを果たしたどころか、あの時果たせなかった、しおりまで救った。
完全、完璧に借りを返したのです!
何度も何度も描かれた、コバマートでの死闘。
ようやく小早川家に平穏が訪れたのです。
今話後半、洋食コフネに朝子&竜之介としおり&波稲が現れたので、一瞬、竜之介は朝子と結婚したのかと思いました(笑)。
違いますね。
波稲の誕生日会に、朝子しおり親子が参加していただけです(笑)。
その証拠に、しおりはコバマートの店番をしていますし、一瞬写った朝顔の植木鉢には「小早川しおり」と書いてありました。
朝子は「影のいない世界」でも、変わらず小早川達夫と結婚したのです。
ア) 日都神社 雁切巌・大和
あっ、雁切さん!
お久しぶりです、巌さん。by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
日都神社を尋ねる慎平。
そこで宮司の雁切親子に会う。
巌:ああ、これ息子。覚えてる?
大和:さっき日都港で会うたね。慎平:大和さん。
大和:正解。by 『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
「影のいない世界」だから、真砂人──紙垂彦がヒルコに産ませたクローン人間に自身の人格と記憶を移していた人──は存在せず。
巌は、真砂人が歳を取った姿にそっくりにも見えるが、それは家系。
息子の大和は全く似ていない。
この世界では、紙垂彦の欲は300年すら叶わなかったのです。
ああ、紙垂彦が雁切家系になったかどうかすら不明ですね。
ただ、雁切という名字は、ヒルコが生まれた後、紙垂彦が波稲と結婚し「神の夫」として名乗り始めたもの。(18話)
波稲は、両親も兄弟も亡くなったと言ってました。(14話)
雁切の名を持つ家系は、波稲だけだったとすると・・・。
祭事を司る菱形家の誰かが、波稲と結婚した可能性が高いですね。
一方、「巌」という名前。
巌に真砂人の面影があることからも、紙垂彦の血を引いていると考えるのが自然でしょう。
となると・・・。
紙垂彦と波稲は結婚したのではないでしょうか。
「影のいない世界」では、(300年前の)波稲も幸せな時間をシデ様と過ごしたと思いたいですね。
何ごともなく、無事が一番ありがたいことやわ。
by 雁切 巌『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
宮司・雁切巌の言葉が、島が平和である事を物語っていますね。
祀っている神様も変化しているようです。
「影がいた世界」では「蛭子大神」を祀っていました(図左)。(4話)
今は「日天照大神」(図右)。
日本神話の「天照大神」の頭に「日」を付けているのは「日都ヶ島」だからでしょうか。
このことからも、日都ヶ島に「ヒルコ伝承」はなくなったのです。
300年前に日都ヶ島へ漂着し、漂着神として祀られた波稲は存在しない。
同様に、シデこと真砂人こと紙垂彦も、この世界には、もういないのです。
雁切 巌の息子の大和。
このシーン自体がアニメオリジナルなので、原作本編に息子の大和は描かれてません。
ですが、「あとがき」に、宮司とは全く関係ない「大和さん」が出て来ます。
慎平が窓と澪の3人で会話するプールサイドのシーンでは、男木小学校のプールそのまんまです。
このシーンを描くにあたり、NPO法人・男木島生活研究所の福井大和様※より資料写真の提供を賜りました。
※15年来の友人・福井大和氏
by 『サマータイムレンダ』コミック2巻 作者あとがき
『サマータイムレンダ』の舞台である日都ヶ島のモデルは和歌山の「友ヶ島」と香川県の「男木島」。
3周目、プールのシーンは「男木島」に実在する小学校のプールがモデル。
その資料写真を提供してくれたのが、田中先生の友人の福井大和さん。
「あとがき」には、福井大和さんの似顔絵も描かれており、アニメの雁切大和そっくりです!(笑)
サプライズ&お礼ですね♪
粋です!
万年青浜 小舟潮
あんな、変な夢見てん。
一昨日の晩、慎平に二度と会えやんようになる夢。by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
原作では、慎平はコバマートへも日都神社へも行かず、洋食コフネへ行く途中で潮にも出会いません。
澪と一緒に小舟家へ着きますが、潮はいません。
そこで、潮の音に導かれ、慎平は浜へ向かって駆け出します。
そこで潮に会えたのが、この浜辺のシーンです。
◇◇◇◇◇
それだけではありません。
家を飛び出た慎平を心配して、澪も追いかけて来たのでしょう。
いや、潮が殴るかもしれないから心配したのでしょうか(笑)。
澪は、少し離れた所から二人を眺めてます(苦笑)。
つまり、慎平と潮のやりとりを「澪は見た!」状態──
さて、その時、澪は!?
ぜひ、原作をご覧下さい(笑)。
ああ、この時の澪を、アニメで観たかった~~!!
潮も、夢で「影がいた世界」の記憶を見ていたのです。
いや、潮の場合は、自分が死んでしまった夢でしょうか・・・。
それとも、ウシオ自身が消えてしまう感覚を、共有されたのでしょうか・・・。
捕まえた!
もう動けやん!by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
慎平の影を押さえる潮。
慎平を捕まえるのに、立体ではなく咄嗟に影の方を捕まえる・・・。
これも、立体より影の方が本体だと無意識下の行動か。
記憶なくても体は覚えている。
認識なくても地面に写った影が重要だとの感覚がある。
でも「影のいない世界」では、影を押さえるのは、たわいもない遊び。
ここは、平穏な世界なのです。
いやっ、これって・・・もしかして。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
「影がいた世界」では、何度も見た潮のペンダント!
でも、慎平に「影がいた世界」の記憶があっても、それは朧げ。
なので日都神社で──
潮ちゃんが、浜掃除の時にペンダントを落としてね。
大事な物らしくて、一昨日から探してるんやけど、見つからんみたいで。
えらい、気の毒でね。by 雁切 大和『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
潮のペンダントと聞いても、慎平があげた貝のこととは思わなかった。
これ、お姉ちゃんが最後につけてたネックレス。
慎ちゃんが持ってた方が、ええと思て。by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第1話
慎平は、「影がいた世界」でも、澪にもらって初めて思い出したのです。
あいつ・・・まだこんなん・・・。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第1話
慎平が潮に、小学生の頃にプレゼントした貝殻。
潮はそれをペンダントにして大切にしていたのは、ここまで観てきた方なら周知の事実。
一昨日なぁ、浜掃除の時落としたみたいで、ずっと探しててん。
見つからんかったらどうしようって。
慎平に会わす顔ないて思たら・・・。by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
この瞬間、記憶がリセットされた「影のいない世界」でも、慎平は気付いたのです。
潮の気持ちを・・・。
でも私は、一言だけ言いたい!
慎平、めっちゃ髪伸びたな。
変やで。by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
潮さん、覚えてないでしょうが、めっちゃ髪の毛が伸びてたのは、アナタの方でしたよ!
あっ、潮じゃなくてウシオか(笑)。
7月24日 夏祭り
夏祭り当日。島が準備で活気づいている中、慎平は不思議な体験をひづるに話す。
夢?予知夢?並行世界の記憶?
同じ夢を、同じ日時に、別々の場所で見た。
そして、その夢の中で、私の正体を知った。by 南方 ひづる『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
不思議な体験を、ひづるに話す慎平。
夢の具体的な内容を思い出せないのに、夢の後に本を思い出したと言う──
その夢の後、なぜか思い出した本があって。
ネットの寸評だけ知ってて、まだ読んだことないんですが・・・。by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
ひづるがここまで推測を広げられる、慎平の記憶の内容。
一体、慎平はこの時点でどこまで覚えており、どのような話をしたのでしょうか?
慎平がひづるに、どんな内容を話したのか知りたいですね!
波稲の誕生日
ついに波稲、いや波稲が登場!
まさかの竜之介の子供!?
前話の、リュウノスケとハイネの会話から、二人に何らかの絡みがあるだろうと期待してましたが親子とは!!
波稲は、雁来家系の娘でした。
竜之介は雁切家の血筋と結婚したのでしょうか?
「影がいた世界」では、ハイネはずっと紙垂彦のクローンしか産んでないので女性はいません。
でも「影のいない世界」では波稲は普通の人間、雁切家に女の子が生まれても不思議ではないですね。
それとも、ハイネの生まれ変わりなのでしょうか・・・。
波稲の誕生会、終わったんか?
by 小舟 アラン『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
浜路も言ってました──
しかしよぉ、祭りの日と波稲の誕生日が、ど被りやな!
by 浜路 俊『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
なんと、今日は波稲の誕生日だったのです。
今日は、7月24日、夏祭り。
慎平や、ヒルコにとって運命の日となった7月24日が誕生日。
生まれたのは数年前だとしても、この日に生まれたのは偶然なのでしょうか・・・。
いや・・・はい、その・・・良かったなって・・・。
by 網代 慎平『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
どんな形であろうと、今、目の前に波稲という子がいる。
あれだけ、しおりの体にこだわりを持ち、家族と一緒に過ごすことを望んでいたハイネが、こちらの世界では、しおりと仲良くしている。
慎平じゃないですが、それだけで「良かったな」と思えるのです。
サマータイムレンダ
ああ、少し待ちたまえ。
今、アイデアが石油のように溢れて止まらんねん。キミのおかげでスランプ脱出や!
by 南方 ひづる『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
南雲先生は「取材と休養」を兼ねて島へ帰郷したと言ってましたが、スランプだったのです(笑)。
慎平が「影がいた世界」の事を、どこまで話したか分かりません。
でも、一を聞いて十を知る、推理力抜群で想像力豊かな南雲先生です。
きっと、面白い作品のアイデアを思いついたに違いありません(笑)。
「影がいた世界」では、南雲先生は『沼男』を執筆しました。(2話)
『沼男』は、家族や友人がニセモノに入れ替わっていると妄想する少女が主人公の物語。
今となれば、ひづるの14年前の体験を元にした小説だという事が容易に想像できます。
でも、「影のいない世界」では、そのような体験はしておらず『沼男』も生まれていないでしょう。
ならば、島、瓜二つのニセモノ、入れ替わり、並行世界、記憶。
これらの断片から、小説のアイデアを紡ぎ出していったのでしょう。
もちろん、主人公は少女ではなく、少年で(笑)。
タイトルはもちろん──
サマータイムレンダ
南雲竜之介
by 『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
ウシオに繋いだ潮
私、今どこ?
by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
神輿を担いだ後、はっぴ姿から浴衣に着替えた潮。
おお!
この浴衣姿の潮を見て、長年(ウソです、数ヶ月です)引っかかっていた大きな謎が解けました(笑)。
3周目、海岸にいるウシオを見つける前、慎平が祭りの中で見かけた着物姿の潮はなんだったのか?(3話)
海岸で出会ったウシオの素性は、このあと徐々に判明。
でもウシオの正体が明らかになればなるほど、祭り会場で見かけた女性はウシオではない事が色濃くなっていく。
では、浴衣姿の潮は誰だったのか?
ウシオは影シオリの初期化からこの時ようやく回復して浜へ辿り着いた。
自身が影である記憶はないので、スク水を着物に変えるなんてことはできません。
故に、着物姿の彼女は、(この時浜辺にいた)影のウシオではありません。
ならば、潮の霊?思念?幻?
それとも、未来のウシオ?並行世界のウシオ??
潮が、慎平にウシオを見つけて欲しくて、あの世から化けて出て来たのではないか、とまで考えてました(苦笑)。
今話で、ようやく見えてきたと思うのは──
3周目で見かけた潮の姿が、今話の潮の浴衣姿と全く同じです。
3周目では、周囲の誰も、その潮に気付いてません。
慎平だけが気付いたようです。
慎平は、潮を見つけた時、右目で見ています。
#という描写がされています。
つまり、慎平は時間を俯瞰する力を持つ右目を通して、潮が生きている世界の姿を見たのではないでしょうか。
慎平が辿った周回では、ありえなかった時間、確定できなかった世界を、見たのではないでしょうか。
正解はハッキリと示されてないので、あくまで私個人の根拠のない想像に近い推測ですが、少しスッキリしました(笑)。
落ちない澪2
何の話してんのっ?
by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
おお!
3周目、3話の再来か!?
実は、原作の最終話(相当分)は、慎平と窓とのやりとりはもちろん、窓兄妹とのセリフがありません(汗)。
なので、このシーンはアニメオリジナル!
正直、このカットの澪さん、最高です(笑)。
アニメスタッフさん、よく分かってらっしゃる!
よって、窓の告白も原作にはありません、アニメオリジナルです。
窓の奴、また澪に告白する気や。
by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
どうやら、窓の告白は、夏祭りの恒例行事のようです(笑)。
3周目、潮が亡くなったにもかかわらず、澪に告白した窓。(4話)
潮が亡くなってないのなら、なおさら、告白を止める理由はない!?
視聴者には、窓は何度も告白しているように見えますが、この世界の窓は今年はまだ告白していないのです。
私の、どこがええの?
by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
窓の告白の結果よりも、澪のセリフの方が気になります(笑)。
「影がいた世界」では、澪は──
私なんかの、どこがええの?
by 小舟 澪『サマータイムレンダ』TVアニメ第4話
と言ってました。
「影がいた世界」の澪は、自信なさげ・・・。
「影のいない世界」の澪は、そうでもなさそう。
この違いはどこから来たのでしょうか?
自信がなかったのは、影のせい?
いいえ、確かにこの時、数日前に海岸で澪の前にウシオが姿を見せました。
だけど、それだけです。
影の存在が、澪に影響を与えたとは思えません。
ならば、澪に影響があったと、考えられる理由は──
「影がいた世界」3周目と「影のいない世界」との違いで、澪の性格に影響を与えたと考えられるのは──
- 姉・潮の死
- 慎平が一緒に住んでない
と言ったところでしょうか。
澪の自己評価が低いのは、姉・潮との比較の結果です。(17話)
でも潮が亡くなったのは、夏祭りの3日前、7月21日。
たった3日で、澪が自分が嫌いになったのでしょうか?
潮の死により、それが顕著となったのでしょうか?
いや、その可能性がないとは言いませんが、僅か数日で、そうなったとは思えません。
そもとも、影ミオが生まれたのは、潮が亡くなった日の夜、7月21日。(16話)
実質、影ミオの記憶は、潮が亡くなってから数時間後の状態。
その記憶状態にも関わらず、自分の事が嫌いと知っている。
澪はずっと以前から自分を姉と比較して、自分嫌いになっていたのではないでしょうか。
よって、➊潮の死は、澪の考え方が変わった原因ではないのです。
ならば、澪の考えに影響を与えたのは、それ以前の出来事──
「影のいない世界」で、何がどう変わったのかは分かりません。
正直、多くの人が亡くなったのですから、もっと大きく人間関係は変わっていると想像できます。
が、示された情報からは分からず。
唯一、分かっている違いは、慎平が小舟家に住んでないこと。
そこから導き出されるのは、澪は、慎平のことが好きだが、そこまで強い想いがまだ芽生えてないのではないでしょうか。
澪は慎平を好きだが、憧れているレベル。
強い想いが芽生えてなければ、潮と比較する必要もありません。
むしろ、澪は慎平と潮を応援しているように見えるのです。
そんな澪が、自分を蔑んでいるようには思えません。
結果、「影のいない世界」では、澪は素直に育ったのではないでしょうか。
◇◇◇◇◇
もう一つ考えられるのは──
影ミオの影響、もしくは「影がいた世界」で影ミオがいたことで、自分に正直に行動しようとした澪の思考が「影のいない世界」の澪にも影響した。
ちょっと、ファンタジーですが、こちらの方が夢があっていいかもしれないですね(笑)。
何せ、「影のいない世界」では、波稲の願いも叶っているのですから(笑)。
ただいま
潮:えーだってあのとき約束したやん!
慎平:あの時?なんか言うたっけ、オレ?
潮:せやで!ほら、あの時やんか、ほら!んー思い出せそうやのに~~
慎平:ん?あの時か!旧病棟で狭い隙間に入ってもろた時──10個でも100個でも買うちゃあそ。
by 『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
「旧病棟で狭い隙間に入った」とは、4周目、慎平・ウシオ・窓の3人で、旧病棟に影の手がかりを探しに行ったときのこと。(10話)
最後のセリフの瞬間、花火の映像と相まって、ゾクッとしました!
この後、潮は「おかえり」と言い、慎平は「ただいま」と応える。
つまり、慎平と潮はこれまでの記憶を全て思い出したのです。
と私は解釈しました。
ただ、不思議なのは「影がいた世界」での出来事を実際にくぐり抜けたのは、潮ではなくウシオ。
なのに、なぜ潮が思い出したのか、もしくはなぜ潮にウシオの記憶が残っているのか?
まあ、正直そんなことはどうでもいいです(爆)。
ウシオが時を超え、潮にウシオ自身の記憶を追記したとか、そんなところでしょう(笑)。
潮自身が、言ってました(9話)──
そんなん、どっちでもええか!
どっちも私やもん!by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第9話
オリジナルと影、どちらも自分であれば、どちらの経験も自分の経験。
この世界は少しファンタジー。
ウシオの経験であっても、潮は問題ないのです。
おかえり
by 小舟 潮『サマータイムレンダ』TVアニメ第25話
前話ラスト、ウシオが最後に言った──
ちゃんと私のこと、見つけてよ。
澪のこと、守っちゃってね。ほなな、もう行くわ。
辿り着いてね、この結末に!
最後の最後に、みんなが待ってるよ。
私が・・・待ってるから!by ウシオ『サマータイムレンダ』TVアニメ第24話
最後の最後のセリフ──「みんなが待ってる、私が待ってる」とは、このことだったのか!
そう思ってしまうほどの「おかえり」でした。
雨降って地固まる。
文字通り死ぬ思いをして、ここまで辿り着いた慎平。
その結果、何が大切かを認識し、以前より素直に相手に接することができたのです。
シビアな展開だっただけに、仲間が全員生きている結末は予想外の嬉しさ。
少し残念に思っていたのは、影であるウシオと影ミオが消えてしまったこと。
だけど、これでウシオの記憶は潮の中で生き続けます。
残る影ミオも・・・。
澪が記憶を取り戻すことは(目の力を持ってないので)ないでしょう。
が、慎平と潮が記憶を取り戻したのなら、影ミオも慎平と潮の心の中で記憶として生き続けていくのでしょう。
文字通り、影は記憶の具現化なのですから・・・。
おわりに (『サマータイムレンダ』25話とは)
いや~~とうとう終わってしまいました(涙)
半年間に渡ってTVアニメ『サマータイムレンダ』の感想&考察レビューを書いてきましたが、これで一区切り、終了です。
長きにわたり読んで頂き、また温かいコメントまで頂き、ありがとうございました。
振りかえると序盤は他作品と同程度のボリュームだったのですが、徐々に長文に。
11話で初めて2万文字を超え、18話以降はずっと2万文字超(汗)。
#今話も2万2,000文字です(苦笑)
一体全体、全25話分だと何文字になるか軽く計算してみると・・・。
なんと40万文字を軽く超えました(大汗っっ)。
それもこれも、心を揺さぶってくれた作品のおかげです。
ホントに!
展開は大胆でありながら、情報の出し方が絶妙で、見せ方が巧みときている。
キャラクターの魅力、設定の深み、伏線の張りと回収、そして引きの良さ。
これらを1話からずっと飽きることもダレることもなく出し続けたストーリー展開の秀逸さ。
そして、それらを最大限に活かすアニメ化。
演出に、音楽、声優さんの熱演。
秀逸なSFサスペンス・エンターテインメント作品でした。
こんな素晴らしい作品を世に送り出して下さった関係者の皆様、そして原作者・田中靖規先生に感謝です。
以上、TVアニメ『サマータイムレンダ』第25話の感想&考察レビューでした。
最終話も超長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございました!
他の作品も取り上げています。
良かったらご覧下さい。(レビュー一覧)
最新情報はTwitter(@toki23_a)にて!
ではでは。
“熱い”夏が終わってしまった・・・
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し、今話で解決した疑問は、本文に記載して完結
- 残った疑問点を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる - 解消した疑問は答えを記載し、次話で削除
- 周単位で整理 (区切りは周開始時点)
※すみません!本文作成を優先し、QA一覧は順次整理していきます。
今週の感想ツイート
#サマータイムレンダ 25話(終)
— 時文@ここアニ(ブログテーマ移行中) (@toki23_a) September 30, 2022
ようやく会えた、会いたかった人に
ようやく言えた、言いたかった事を
ループした者だけに残った微かな記憶
今すぐ会いたい会わなくては
その感情だけは抑えられない
不安に駆られるも再会が全てを氷解す
一抹の寂しさ覚えるものの
これ以上ないハピエン😆
お見事👍
スピンオフ作品 関連レビュー
コミック『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』レビューはこちら
小説『サマータイムレンダ2026 小説家・南雲竜之介の異聞百景』レビューはこちら