アニメ【バビロン】8話「希望」感想 希望というより「敗北」「挫折」「立て直し」

バビロン 8話

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『バビロン』第8話「希望」を鑑賞しました。

主人公側の殆どが退場という衝撃の前回(7話)。

今回から新章第3章「曲がる世界」がスタート。
舞台も首都圏どころか日本を飛び出し、グローバルになりそうな気配。

では、TVアニメ『バビロン』8話の感想レビューをどうぞ。

今話の原作

本レビューの方針

本レビューは、次話以降のネタバレはありません。

アニメ鑑賞後の感想

原作小説を読み
知り得た情報を加味して「解説・考察」

私は原作小説未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。

よって・・・次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください

作品レビュー 一覧

バビロン (全12話)各話リスト
話数サブタイトル原作巻数ページ数原作R
第1章 「一滴の毒」
第1話疑惑1巻136P1巻①
第2話標的93P1巻②
第3話革命83P1巻③
第2章 「選ばれた死」
第4話追跡2巻128P2巻①
第5話告白49P2巻②
第6話作戦72P2巻③
第7話最悪53P2巻④
第3章 「曲がる世界」
第8話希望3巻56P3巻①
第9話連鎖67P3巻②
第10話決意79P3巻③
第11話開幕93P3巻④
第12話50P3巻⑤

話数:リンクは各話レビューへ
原作R:リンクは各原作レビューへ

※:8話前半は先の部分が元ネタ。そのページ数(7P)を含む

バビロン 感想レビュー(全話総括)
話数レビュー
全体【ネタバレあり】感想レビュー
目次

今回のあらすじ

今話あらすじ

新域域議選挙が行われ、結果は「自殺法」肯定派48、否定派48、中立4議席の実質肯定派の勝利だった。

齋開化逮捕捜査班の大量死は、警視庁内では瀬黒以外は集団自殺と結論。
正崎は、謹慎処分となり自宅待機。
集団自殺を不祥事と捉えた警視庁は、瀬黒の事件を捜査することもなかった・・・

自殺法施行のニュースは世界中に報じられ、海外で追随する都市が現れた。

アニメ4~7話までが原作小説では2巻に相当する第2章「選ばれた死」。
8話から第3章「曲がる世界」のスタートです。

前半は、前回のテレビ局での壮絶な事件の後日談的位置付け。
後半は、舞台は日本を飛び出しアメリカへ。
3章はどうやら日本だけでなくグローバルな展開になりそうです。

では、順を追って見ていきましょう。

感想レビュー 第8話「希望」

アバンタイトル

事件の後日談

バビロン 8話
TVアニメ『バビロン』公式HP「STORY第8話」より引用
あらすじ

正崎はバーで仲間と語り合う・・・

一瞬、過去編が始まったのかと思ったがさにあらず。
正崎の妄想か想像か・・・

かつての仲間がテレビ局集団事件の後日談を語り出す──

バビロン
  • 警察が殺人と判定したのは瀬黒の1件のみ
  • 残りは自殺と処理された
  • 警察は集団自殺そのものを不祥事として隠蔽
  • 隠蔽した結果、瀬黒の殺人事件の大規模捜査もままならなかった・・・

状況証拠は全て自殺を物語っているので、客観的には自殺と処理されるのは仕方ない。

が、20人もの捜査官が、任務中、集団自殺するなどあり得ない。
ましてや、彼らの性格を知っている人ならなおさらだ。

しかし、ご丁寧に自分で遺書を残し、自分の銃で自殺をしている。
テレビ局だから防犯カメラがあったとしても、映像は自殺の証拠にしかならない・・・

しかし、瀬黒は明らかな殺人。
それも無残な殺され方・・・

正崎に中継された映像は残っていなかったのだろうか?
それとも、映像はあったが、追求できないのだろうか?
それこそ、瀬黒の叔父である法務事務次官は黙っていたのか・・・

その点については何も言及されていない。

これでは完全に検察、警察側の敗北
なんとも後味の悪い後日談。

域議選挙結果

あらすじ

新域域議選挙が行われ、その結果は「自殺法」肯定派48、否定派48、中立4議席。
実質、肯定派の勝利だった。

公開討論が行われたのは域議選挙前日。
討論後の、集団自殺事件の影響はなく予定通り選挙が執り行われた模様。

公開討論前は、支持率3%しかなかった「自殺法」肯定派。

子供の心臓の病のためにと、お涙頂戴物語で住民の心を掴んだ齋が、域議選挙で一気に支持を集めた格好だ。

前日までほぼ支持されてなかった肯定派が、否定派と同議席数を勝ち取ったのは、実質、肯定派の勝利

そして、これまで姿を隠していた齋は、選挙直後に姿を現し、新域庁舎にいるという。

齋にとって、もう恐れるものはないということ・・・

これまた検察、警察にとっては屈辱である。

正崎は、自分の力の無さを痛感し、無力感で一杯。
道行く人が、全て曲世に見えたり、幻覚を見るような状態に・・・

Aパート

束の間の家族サービス

あらすじ

正崎は妻の人美と息子の明日馬を連れ動物園へ。

場面はガラッと変わって、正崎の家族サービス。

あとで分かるのですが、正崎は謹慎中。
謹慎中は外出もダメだと思うのですが、上司は内情を知っているので形式だけの謹慎なのでしょう。

今まで殆ど家に帰れなかった正崎は、明日馬が願っていた動物園へ連れていく。
#明日馬が動物園に行きたいと言っていたのは「齋拉致」を決める前日です(6話)

この時、人美は善に、「来年でも再来年でもいい」と言っていたのに、捜査は大失敗し、皮肉なことに明日馬の願いは1週間ほどで叶えられた・・・

だが、正崎は心から楽しむことはできなかった・・・

曲世の執拗な質問は続いていた

あらすじ

正崎の自宅に小包が届く。
中には「悪いのはどっち?」と書かれたメモと、卵が二つ入っていた・・・

中身は、生卵と・・・・。
おそらく両方とも茹でてあるのだろう。

気色悪い・・・

善ちゃん。
これ、また善ちゃんにお届け物

by 正崎人美『バビロン』TVアニメ8話

人美が「また」と言っているということは、今回が初めてではない。
何度も届いているのだ。

これが曲世が言う「悪のことを考えるお手伝い」なのか?

この小包の送り主を辿り、曲世の居場所を辿れないのか?
齋が新庁舎にいるのであれば、齋から曲世の居場所を聞き出せないのか?

流れから解釈すると、齋どころか曲世を捜査することもできないのだろう・・・

記事にするのも不可能

あらすじ

正崎は半田と駐車場で密会。
野丸は域議選挙に落選し、肩書きを失い、齋を見ていることしかできないのだと言う。

野丸が域議選挙で落選!?

一体何が起こったのか?!
子供を使った演説は、齋に利用されたものの、子供を助けたいと言う気持ちは通じ、一定の支持は得られた。
自殺法肯定派を負かすことはできなかったにしても、野丸自身は議員になれたと思っていたのだが。

バビロン

テレビ局での集団自殺について、警察の隠蔽工作をかいくぐり「集団自殺の証言」は得られた。

が、「曲世による自殺」は根拠も証拠もなく、記事にすることはできなかった・・・

正崎と半田の会話から、警察も検察も事件解明に腰が退けているのであれば、曲世のことをメディアで暴露してやろうと企んだのか。

しかし正崎の頼みとは言えさすがの半田も、証拠もなく正崎一人の証言だけでは、ただのオカルト記事になってしまうのだ。

打つ手がなくなり、これはもう、正崎の「完全敗北」──

自殺法施行で衝動的な自殺は減少

あらすじ

正崎は特捜部・守永部長から呼び出される。

守永部長は辞職。
正崎には考え続けろという。

新域は自殺法の本格的運用に乗り出し、安楽死専用薬「ニュクス」が公開された。

安楽死できる自殺薬「ニュクス」は、1話で自殺した因幡准教授が開発していた新薬。(3話)
その新薬「ニュクス」のデータをオープンにし、全世界の製薬会社がジェネリック薬を作れるという。

齋が「自殺法」を推し進める理由の候補として。

苦痛も苦しみもなく自殺できる新薬「ニュクス」の製造を独占して金儲けする。
そのために、邪魔になった因幡准教授を始末したのではないか。

という可能性も考えていたのですが、「ニュクス」の製造を独占するわけでもない・・・
むしろ、自殺を広く速やかに広がるために行動しています。

相変わらず目的が謎ですね・・・

結果的に、衝動的な自殺は減少した。

時代は変わるかもしれん。
わしや、野丸さんの理想とは違ったがな。

by 特捜部 部長 守永泰孝『バビロン』TVアニメ8話

一方で、”衝動的”な自殺は減ったという。

自殺法が運用されれば”衝動的”な自殺が減るのは理解できる。
なんらかの形で、宣言をし、色々整理した上で自殺をするのだろう。

が、私が知りたいのは、「自殺者総数」。
衝動的にしろ計画的にしろ、自殺は自殺。
自殺者総数も減っているのなら、「自殺法」は数字上は成功。
良い方向なのかもしれない。

でも自殺者総数は増えているのでしょう

自殺法は自殺を肯定。
自殺を推奨されているかのようで”安易に”自殺を考え、”ためらいなく”自殺を選ぶ人が増えると考えられるからです。

守永部長は正崎に言いました。
「時代は変わるかもしれん」と。

数字が減っていることに注目しているのは、メディアも自殺法肯定派の論調に乗っており、全体が見えてない。

こうして、世の中は悪い方向へ「変わっていく」のでしょう。

新域以外でも「自殺法」を認める都市が

あらすじ

正崎は無力感を感じていた。

「自殺法」を導入する第2の都市が現れた。
その時、正崎を訪ねてきたのはFBI捜査官サミュエル・ハーディだった。

自殺法の導入を発表したのはカナダ・ハリファックス。

アメリカではないが、日本に続き隣国カナダで導入されたので、危機感を持ったのか、はたまた何か兆候があるのか・・・

私が持っている全ての情報の提供を約束する。

だが、一つだけ条件がある。

by 特捜部検事 正崎善『バビロン』TVアニメ8話

正崎が出した、交換条件とは?

次の舞台はアメリカか!?

Bパート

アメリカ合衆国大統領アレックスの生い立ち

あらすじ

アメリカ合衆国大統領アレキサンダー・W・ウッド(通称アレックス)。

アレックス自身の言葉で、子供の頃からの生い立ちが語られる。

場面はガラッと変わり、なんなら主役も正崎からアレックスに代わったかのように、8話後半はアレックスの幼少の頃からの生い立ちが描かれる。

正直、アニメとしては凡庸で面白みがないので早送りしてしまいました(苦笑)。
すいません。

僕は信じてるんだ。

人生の多くの問題は、ひたすら考えることで、大抵はうまくいくってね。

それが僕の生き方なんだ。

by アメリカ合衆国大統領アレキサンダー・W・ウッド『バビロン』TVアニメ8話

この脳天気な考え方、イラッときてしまいました(笑)。
考え方ではないかも、語り方、語り口がかんに触ります。

周囲は多くの良い人に囲まれ、恵まれた人生を歩んできたのでしょう。

フランスでも「自殺法」導入

バビロン 8話
TVアニメ『バビロン』公式HP「STORY第8話」より引用
あらすじ

フランス グルノーブルでも自殺法導入を表明。

日本の新域、カナダ・ハリファックスに続く3都市目。
アメリカ合衆国(ホワイトハウス)も他人事ではいられなかった。

このシーンで驚かされたのは、国務長官テイラーと、首席補佐官のエドムンドの会話に出てくる新域のことだ。

エドムンド:始まりは1ヶ月前

テイラー:新域。極東の島国から発信された新しい思想が、報道に乗って世界中に届けられた。当初は、我々合衆国にとって対岸の火事でしかなかった。が・・・

エドムンド:隣の国まで来たら、さすがにな・・・

by 『バビロン』TVアニメ8話

なんと、新域域長・齋が「自殺法」宣言してからまだ1ヶ月しか経ってないのです。
新域でも域議選挙前日まで反対多数だったので、域議選挙で半数を取ってからだと1、2週間か?

確かに異常な早さ。
性急すぎます。
新域で齋が宣言した時か、それより前から考えていたか、それとも・・・

新域のコントロールを失った日本政府

あらすじ

国務長官のテイラーは日本の外務大臣と連絡取る。
日本は新域の解体には消極的な構えだった。

アメリカ合衆国は日本政府と新域の状況を正確に把握していた。

テイラー:新域に関して日本政府は完全にコントロールを失っている

補佐官:そもそも新域構想は、非合法な側面を含んだプロジェクト。そして、その証拠が齋開化に握られている。従って、日本政府はスキャンダルを恐れ、身動きできません。

by 『バビロン』TVアニメ8話

なんとも情けなく歯がゆい、日本の現実。

世界を歪めてしまうような思想なら、スキャンダルなど関係なく体を張ってでも止めるのが政治家だと思うのですが、この体たらく。
なぜだか日本らしいと納得してしまう(苦笑)。

「自殺法」導入=「テロ」

部下:まさか日本から弾が飛んでこようとは。

テイラー:ミサイルが飛んで来る方がまだマシだ。これはイデオロギーによる無差別攻撃テロだよ

by 『バビロン』TVアニメ8話

参考

イデオロギー

観念の体系。
通常、政治思想、社会思想のことを差す。

が、ここでは、人間の行動を左右する根本的な物の考え方の体系だと思われます。

「自殺法」導入を「テロ攻撃」と見做す考えは興味深い。

「自殺法」導入 = テロ攻撃

なるほど、自殺法という思想で破壊行為を行う、という解釈なわけですね

自殺法が広まれば、人口が減り国が弱体化。
人口減少までいかないまでも、自殺法の思想が広がれば活力を失われる。

これが齋の狙いなのかもしれない。

『バビロン』が面白いのは、盛り上がるシーンだけでなく、普通の場面でさりげなく、ハッとさせられるセリフが出てくること。
だから私は各話レビューを書きたくなったのです。

アメリカ国内でも自殺法導入の都市が現れた

バビロン 8話
TVアニメ『バビロン』公式HP「STORY第8話」より引用
あらすじ

自殺法導入の都市、4番目は、アメリカ合衆国コネチカット州ハートフォード。
事前に情報も動きもキャッチできず、ホワイトハウスは騒然としていた。

ここで8話は終了。

アメリカ合衆国大統領アレックスは別名「考える人」。
生い立ち紹介で語られたように「人生の多くの問題は、ひたすら考えることで、大抵はうまくいく」がモットー。

お手並み拝見といきましょう!

おわりに (アニメ『バビロン』8話とは)

衝撃の前話(7話)の後日談。
正崎は完膚なきまで叩きのめされ、曲世の凶行は闇に葬られ、唯一殺人と認められた瀬黒の事件すら追うことを許されない・・・

8話のサブタイトルは「希望」。
だが、彼にとっては、「絶望」「敗北」「挫折」「無力」と言った様相。

Bパートは打って変わって、舞台はアメリカ。
それもホワイトハウス。
一都市ではなく、国の中枢だ。

アメリカが乗り出したことが「希望」なのか?
それともアメリカが正崎にとっての「希望」なのか?

はたまた、自殺法が広がることが「希望」なのか・・・

新章第3章の展開が楽しみですね。

以上、TVアニメ『バビロン』8話のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

9話のレビューも書いているので良かったご覧下さい。
ではでは。

きょうのひとこと

AパートとBパートの落差が・・・

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