こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『バビロン』第3話「革命」を鑑賞しました。
バディものかと思ったら1話ラストで(良い意味で)裏切られ。
政治汚職事件が物語の軸となると思ったら、それも裏切られ(笑)。
ようやく真の敵が見えてきた3話。
それでもラストはトンデモ展開でした。
では、TVアニメ『バビロン』3話の感想レビューをどうぞ。
今話の原作
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレはありません。
アニメ鑑賞後の感想
+
原作小説を読み
知り得た情報を加味して「解説・考察」
私は原作小説未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって・・・次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
作品レビュー 一覧
話数 | サブタイトル | 原作巻数 | ページ数 | 原作R |
第1章 「一滴の毒」 | ||||
第1話 | 疑惑 | 1巻 | 136P | 1巻① |
第2話 | 標的 | 93P | 1巻② | |
第3話 | 革命 | 83P | 1巻③ | |
第2章 「選ばれた死」 | ||||
第4話 | 追跡 | 2巻 | 128P | 2巻① |
第5話 | 告白 | 49P | 2巻② | |
第6話 | 作戦 | 72P | 2巻③ | |
第7話 | 最悪 | 53P | 2巻④ | |
第3章 「曲がる世界」 | ||||
第8話 | 希望 | 3巻 | 56P※ | 3巻① |
第9話 | 連鎖 | 67P | 3巻② | |
第10話 | 決意 | 79P | 3巻③ | |
第11話 | 開幕 | 93P | 3巻④ | |
第12話 | 終 | 50P | 3巻⑤ |
話数:リンクは各話レビューへ
原作R:リンクは各原作レビューへ
※:8話前半は先の部分が元ネタ。そのページ数(7P)を含む
話数 | レビュー |
全体 | 【ネタバレあり】感想レビュー |
今回のあらすじ
域長選挙にまつわる汚職を追っていた正崎は、新域構想の真の目的を知らされる。
正崎は引き続き二人の死に関する捜査を続ける。
一方、初代新域域長となった齋開化が行方をくらます・・・
1話は、突如相棒の自殺でエンディング。
2話は、御前会議に捜査対象だった自明党幹事長・野丸が現れた所でエンディング。
1話最初にカッコ良く踏み込んだ製薬会社のアグラス事件が解決するでもなく、次から次へと別の事件の尻尾が見えてくる。
新域で一体何が起きようとしているのか?
大きな企みが動いている政治に、正崎は踏み込んでしまったようだ。
が、悪は悪。
正崎は、ひとまず目下追いかけている、因幡と文緒の真相を捜査することに。
ところが、展開はまたあらぬ方向へ・・・
では、順を追って見ていきましょう。
感想レビュー 第3話
アバンタイトル
正崎は、自明党幹事長・野丸から「新域構想」の裏の目的を知らされる。
御前会議がどんな状況だったのか見たかったのですが、どうやら終わったようです。
自明党幹事長・野丸から語られる「新域構想」の真の目的。
この日本でできないこと全てだ。
新域とは、新法の試験的運用を行う特別行政区。
いわば「国家の実験場」だ。by 自明党幹事長・野丸龍一郎『バビロン』TVアニメ3話
新域構想は、表向き「第2の東京」と位置付けられる経済発展地域。
実際には公にされていない、もう一つの役目があると言うのだ。
奇妙な文書を書いた医師・因幡は、全医連の選抜者として、ドラッグ・ラグ解消に向け取り組んでいた。
「ドラッグ・ラグ」
新薬承認の遅延。
新たなクスリが開発されてから、治療薬として国内で実際に使用できるようになるまでの時間差。
日本は他国に比べ、承認されるまでの時間が長いとされている。
料亭で接待を受けていた建設業連盟には「建築規制緩和」の大綱取りまとめを頼み。
「大綱」
根本となる骨組み。
箱根で接待をされていた東京労連合には「新労働基準法」に関する協力を求めていた。
各組織に接触していたのは、選挙の票田だけではなく、新域構想の裏の目的の為、実務に協力してもらっていたのです。
あなたは・・・
あなたたちは、その計画のために、人の命にまで手をかけたんですか!by 特捜部検事 正崎善『バビロン』TVアニメ3話
Aパート
域長選挙 結果
新域域長選挙当日。
当選したのは、無所属の齋開化。
自明党幹事長・野丸が言っていた通り、齋開化が初代新域域長となった。
因幡と文緒の死には野丸達は関わってないという・・・
そして、正崎には、引き続き二人の事件を追うよう指示された・・・
新域構想のもう一つの目的が真実であれば、因幡准教授は「新域構想」の協力者であって、彼が亡くなったのは、野丸側にとっても損失だと言うのだ・・・
だから、野丸側にとっても、二人の死の真相が気になるというわけか・・・
重要なのは、野丸たちは「新域構想」でやろうとしていることは「正義」、日本のために良いことだと信じていること。
正崎の上司、守永部長も同様だ。
正崎は、野丸たちがやろうとしていることが「正義」だとは思ってない。
が、自分の力では(抵抗勢力により)立件できないことも分かっている。
やむを得ず、正崎は引き続き二つの事件を追うことに──
守永:なあ正崎、犯人をあげた後はどうする?
正崎:そのときにもう一度考えます。あなたたちがやっていることの是非を。正義とはなんなのかを。
by 『バビロン』TVアニメ3話
このシーンだけを見ていると、正崎が聖人君子に見えますが、正崎も自分の判断基準で動いてます。
因幡のマンションに踏み込んだとき、本来なら逮捕状がなくてはなりません。
親友とは言え、記者(半田)との接触はNGです。
正崎はギリギリ法律は犯してませんが、正義のためなら規則は破っているのです。
それが正崎の価値観。
捜査再開
野丸たちから聞いたことを、正崎は九字院に話す。
再び事件の捜査を続ける。
政治事件をあっさり九字院に話す正崎。
それだけ、九字院を信じているのか、事件の捜査には必要と判断したのか。
逆に、九字院の身は大丈夫なのだろうか?と見ている側が心配をしてしまいます(苦笑)。
にしても、落ち着いた様子の九字院。
既に、頭は状況を推理し、因幡の事件について推測しています。
九字院は因幡については本当に「自殺」の可能性があると考えていた。
ところが、野丸の説明だと、因幡は「ドラッグ・ラグ」解消という国の為に動いていた。
つまり、良い(と思われる)事をしていたので、自殺の原因にならない・・・
にも関わらず、不気味な文書を残す程、病んでたのか・・・
まだ因幡に隠された事実があるはずだと、二人は捜査を続ける。
初代域長 齋開化
正崎は、齋開化の発起会に出席する。
欠点のない男だった。
胡散臭い程に・・・by 特捜部検事 正崎善『バビロン』TVアニメ3話
あまりに爽やか過ぎて、逆に胡散臭い男・齋開化。
心の底では何を考えているのか分からないのがよく分かる。
齋の失踪と女の正体
事件直前の位置情報から、文緒は尾行していた女のマンションの部屋の前まで行った可能性があると推測された。
因幡のマンションの監視カメラにも、自殺前夜、女が単独で訪ねていたのが分かった。
二つの事件に、齋の後援会が囲っていた女が何か関係しているのではないかと睨む。
女が実行犯ではないにしても、事件に繋がる情報を知っている可能性があると踏んだわけです。
本事件は、野丸陣営からも解明の指示を受けているので、女を事情聴取させてもらうよう頼みに行くことに。
齋の失踪と女の正体
守永部長へ、女の事情聴取をさせてもらうよう協力を仰ぎに。
ところが、齋開化と共に行方をくらましたと言うのだ。
しかも、二人と思った女は同一人物で、あろうことか参考人として事情聴取した平松絵見子その人だった。
名は「曲世 愛(まがせ あい)」。
この女は男を惑わす。
一つの部屋にでも入れてやれば、一人残らず虜にしてしまう。この女がいなければ、新域構想は10年、遅れただろう。
by 特捜部 部長 守永泰孝『バビロン』TVアニメ3話
齋の後援会が所有するマンションに住まわせ、接待に使っていると思われた複数の女は、実は一人だった。
外見だけでなく、雰囲気、年齢までも違う別人に見せる・・・
女は、男の好みに合わせて別人になるのか?
はたまた疑われぬように、別人になるのか?
この女の特技を使って、各業界の重鎮を懐柔していたのか。
事情聴取した、あの魔性の女・平松絵見子が、その人。
となると実は手の届くところに、因幡准教授と文緒の事件に関わったかもしれない女がいたのだ。
逃げられたのは二重の意味で悔しく、なんとも屈辱的な話。
それにしても、ここはアニメならでは描写ですね。
私は『バビロン』は実写向きだと思ってましたが、複数いると思われた女が実は同一人物だったというのは、アニメならでは。
アニメでは同姓の顔が似ているのはよくあること(笑)。
雰囲気、髪型といった特徴で別人だと判断します。
というか、キャラクターが別人と言ったら別人みたいな感じ。
実写では同じ女優さんが演じれば、どうしてもばれてしまうか、変装に見えてしまいますからね。
もちろん、(文字だけの)小説ならではの仕掛けだと言えます。
Bパート
齋 プロファイリング
行方をくらました齋と曲世。
周到に練られた行動。
手掛かりのない現状ではすぐに見つけることなど不可能。
正崎は、齋の性格から考え、自ら姿を現すだろうと推測。
それは、最悪の形で当たってしまった・・・
齋の生き方、行動を辿ると一切無駄がない。
つまり域長になったのも、何か目的があったから。
ならば、域長の地位を捨てるはずがない。
明日には域長就任会見がある。
その時に、何らかの形で姿を現すだろうから、それに備えておこうと言う作戦だ。
緊急 生中継
テレビが緊急放送で新域庁舎を映す。
約60名の人々が、屋上の手すりもない縁に並んでいた──
しばらくすると、大型モニターに新域シンボルマークが映し出され、齋のスピーチが始まった──
「新域に於ける最初の域法の施行を、ここに宣言します。」
「新域は”死の権利”を認めます。」
正崎はここで、今までの捜査が完全にズレていたと確信する。
途中で止めることができる30時間もかけての自殺などするはずない。
自殺する性格などではなく、しかも当日一緒に仕事をして変わった点もなかった仲間が自殺などするはずない。
だから、自殺に見せかけた殺人だと睨んでいた。
が、60人もの人々が、普通の表情でビルから飛び降りる姿を見て、正崎ははっきりと分かった。
心から死に魅了され、死ぬことを是とする価値観の人がいるのなら──
30時間もかけて自殺する可能性はあり、何事もなかったかのように突如死ぬこともある・・・
だけど、因幡は精力的に意味ある仕事をしていたし、自殺は考えてないはず。
少なくとも文緒は、そんなことを考えてたわけではないと断言できる。
でもそれを覆した奴がいるのだ。
それが、2人、いや奥田も入れた3人がおかしくなる前に会った女──
「曲世 愛」──
因幡が残した奇妙な文書。
「F」は「Female」の「F」。
医者が扱うカルテは基本英語。
「M」「F」と略称を使うのです。
因幡は曲世のことを思って、または思い詰めて真っ黒になるまで「F」を書き付けたのではないか・・・
だとすると、あの奇妙な文書は、狂ったというより、曲世を強く思った証拠になってしまうのです・・・
アニメ1~3話は第1章としてくくられてます。
第1章のサブタイトルは「一滴の毒」。
そして、相当する原作1巻のサブタイトルは「女」。
どちらも3話まで見ると、よく分かる。
実に言い得て妙ですな。
おわりに (アニメ『バビロン』3話とは)
この作品が独特なのは、作品として取り扱う事件がどんどん変わっていくこと。
最初は、薬事法違反事件。
そこから医師・因幡准教授の奇妙な自殺。
因幡准教授の事件を追っていると、仲間の死。
共通点として選挙工作が絡んでくると、当の本人・野丸の登場。
事情聴取した女がやはり何か知っているかもと追えば、行方をくらまし。
最後は、新域長による「自殺法」。
わずか3話でこれだけ変化。
なんとも慌ただしい。
選挙工作、接待の理由は分かったが、逮捕には至らず。
自殺の真相には糸口すら見えず・・・
と思っていたら、そもそもの考え方(価値観)が違っていたと言うオチ。
今回で第一章「一滴の毒」終了。
3話にして、ようやく作品の方向性がおぼろげながら見えてきた。
次回から第二章。
どんな一面を見せてくれるのか、楽しみです!
以上、TVアニメ『バビロン』3話のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
4話のレビューも書いているので良かったご覧下さい。
ではでは。
もう作品冒頭のアグラス事件は影も形も見えない・・・
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